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コラム - 最新エントリー

賃貸借契約の期間満了時、更新せずに契約を終了させたいと希望される方。

賃貸に出していたが自分で使いたいという事情のある方。

「正当事由」の裁判例を見てどのように判断されるのか勉強しましょう。

事例を紹介します。

その前に復習です(ホームページ「借地借家の秘訣(時系列に沿った事例紹介)」もあわせてご覧ください)。

「正当事由」とは、旧借地法、借家法上においても「自ら使用することを必要とする場合その他正当の事由ある場合」と規定があり、新借地借家法でも双方の事情を比較考量するほか、「財産上の給付」も評価の対象としております。土地所有者の事情ばかりでなく、借主の事情として投下資本の回収、借主の積極損失(移転費用、営業損失等)或いは公益、社会上の諸般の事情をも含めて総合判断するのです。

最高裁判例も従来より「立退料の提供は正当事由の有力な事情」とし、その判断要素としておりますから裁判事例をあたってみることは必要です。

1 自己使用に関する裁判例

立退き料 0 マンションに住む貸主が、家族と住むには手狭になった。借主側は、借地上の居宅を既に使用していなかった。更に借主は明け渡しの約束を何度かしていた。立退き料なしで認定した(借地)。
立退き料 200万 貸主が賃貸から10数年後転勤から戻ってアパート暮らし。

借主には転居する経済的能力あり。借主の移転先を探す仲介料や敷金、引っ越し代などの立退料で正当事由が補完されると認定した(借家)。

立退き料 750万 マンションに住む貸主は家族と住むには手狭になった。借主側は借地上の居宅を既に使用していなかった。(借地)
正当事由なし   貸主には別に居住の場あり。貸地の返還を受けて長女夫婦と同居するための新居を建てる必要ありと主張。借主は家族とともに同居していたことや店舗を営んで生計を立てていたことから正当事由はないと認定された(借地)。
正当事由なし   貸主は身体障害者の子の居宅を建築する必要があるとして立退き料300万を提供する旨申し出たが、借主は多数の家族の居住場所にしていたため正当事由を認めず(借地)。

2 自己使用が「営業目的」に関する裁判例

立退き料 6450万 新聞販売店を営んでいた貸主は、従業員宿舎のビルを建築する必要があるとして賃借人に土地の返還を申し出た。

立退料6450万円で正当事由ありと認定された(借地)。

立退き料 8億 貸主は本社社屋の建築に必要と主張。借主は20年以上パチンコ店を経営しており、明渡せば廃業となる。裁判所は、借地権価格、借主の営業利益、権利金なし等を総合考慮して立退き料の提供により正当事由を認めた(借地)。
正当事由なし   貸主は隣接地に居住。本件土地に養子を居住させて老後の面倒をみさせるため借地権買取価格での立退き料2504万円を提供する旨申し出たが、賃借人は倉庫、資材置き場として使用する必要があるとして異議申出する。正当事由の補完を認めないと認定した、(借地)。

3 居住と営業がセットになっている裁判例

立退き料等 650万 貸主は、自己の子が居住し自動車整備事業を経営するため本件土地が必要であるとし、借主に対して使用継続に異議を述べ、立退き料及び利害調整金として計650万円の提供により、明け渡しが認められた(借地)。
正当事由なし   貸主は隣接地で理髪業を経営。理髪業及び居住に手狭として明渡し要求。借主は商品の保管場所に必要として争う。

貸主は信頼関係の破壊も合わせて主張したが認められず(借地)。

4 再開発事業・有効利用・高度利用に関する裁判例

立退き料 6500万 貸主は、都市の再開発事業を手掛ける不動産業者。再開発事業を効率的に進めるため立ち退き交渉を行い、立退料の提供により、正当事由が具備されると認定された(借家)。
正当事由なし   ホームページ「借地借家の秘訣」に掲載した事例をあわせてご覧ください。

5 建物の老朽化に関する裁判例

立退き料 8億 建物が老朽化して耐震性で危険。補強にも高額の費用が要する状況にあるが、場所が銀座で、土地の高度利用、有効活用が望ましいとして高額の立退き料を補完事由として正当事由を認めた(借家)
正当事由なし   賃貸人は、現行家賃の4年以上の家賃に相当する金額の立退き料を支払うと申し出たが、老朽化については貸主のせいであるとして正当事由は認められないと認定した(借家)。

判決が面白いので説明を加える。

判決;「賃貸人は老朽化に至るまでに恒常的な修繕」などをしていない。故に、建築後30年以上を経過しているものの、建物が老朽化したとはいえず、今後数年の使用に耐えうるものと認定した。

老朽化による裁判例には、建物の建て替えが必要であるとして、隣接ビルとの併合の事例、修繕に過大費用がかかることを理由とする事例など、立退料の提供を補完事由として正当事由が認められた事例は多数あります。

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1 当事務所が勝訴を得た裁判例

  今回は、当事務所が病院側の代理人として勝ち取った画期的な裁判例について話をしたいと思います(平成24年3月30日さいたま地裁秩父支部判決。)本件は、法律系出版社にも関心を示して頂いており、依頼者の了承を得て、同社が運営する判例データベース等にも掲載される予定です。

  さて、この事件は、院長職にあった産婦人科医(原告)が病院(被告)に対して時間外手当(残業代)及び深夜手当等(約1億4000万円)を請求した事案です。

主たる争点は?原告主張どおりの時間外労働が行われたか?原告が管理監督者であったか否かの2点でした。

裁判所は、?原告主張どおりの時間外労働が行われたかという論点について、原告が当直時間中に居酒屋等で飲食をしていたことなどを理由に「原告が当直(待機)をしていた、即ち被告の指揮命令下に置かれていたと認めることはできない」などと判示して、原告主張どおりの時間外労働を認めませんでした。

また、?原告が管理監督者であったか否かという論点について、「原告の職務内容、責任、権限、勤務態様及び賃金等の待遇を総合考慮すると、原告は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあった」と判示しました。

その結果として、原告の請求は棄却され、被告は時間外手当及び深夜手当を1円も支払わないで判決が確定しました。

院長職とはいえ、勤務医の管理監督者性を認めた判決は全国で初めてではないかと思います。

 

 

2 管理監督者とは何か

  労働基準法上、「管理監督者」に対しては、時間外手当に関する割増賃金を支払う必要がありません。

  しかし、コラム「残業代請求は会社を潰す!?」でも書いた通り、社内において「管理職」という肩書を付けたからといって労働基準法上「管理監督者」と認められるわけではありません。

「名ばかり管理職」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。マクドナルドの店長が「管理監督者」として認められなかった事件は有名です。

「管理監督者」として認められるためには、?重要な経営事項に関与して経営者と一体的な立場にあること、?労働時間に関する規制がなじまない勤務態様で出退勤等に関して厳格な制限を受けていないこと、?広い権限と責任を有しており高待遇を受けていることなど様々な要件を満たす必要があります。

そのため、「管理監督者」として認められた裁判例は数えるほどしかありません。

そればかりか、やっとの思いで裁判所に「管理監督者」と認めてもらったとしても、労働基準法上、深夜手当は支払わなければならないことになっています。

時間外手当及び深夜手当について裁判で“1円も支払わなくて良い”という結果を得るのは容易いことではないのです。

 

 

3 勝訴判決を得た理由は何か                                        

(1)産婦人科医不足は深刻です。

  平成21年には、皇族が出産したことでも有名な愛育病院が、労働基準監督署から指導・是正勧告を受けました。宿直による時間外手当が未払いであることなどの労働基準法違反が理由でした。

  しかし、指導・是正勧告どおりに医療を行っていたのでは宿直維持が困難になってしまいます。愛育病院が“総合周産期母子医療センターの認定を自ら東京都に返上する”と発表したために、「出産難民がますます増えるのではないか」と騒ぎになったのを覚えてらっしゃる方もいらっしゃるのではないかと思います。

  産婦人科医師の勤務環境は言葉に表せない程に過酷です。他方で、病院の経済力にも限界があります。病院と産婦人科医師は、妊婦と胎児の生命を守るため、自らの家族や看護師等スタッフを養っていくために、協力し合って日本の医療を支えているのです。

  医療が抱える現実の前では、法律が余りに脆弱すぎるのかもしれません

 

 

(2)本件の被告(病院)も、産婦人科の置かれた厳しい現状の中、産婦人科医不足に苦しみつつ、良好な産婦人科医療を提供するために試行錯誤を続けておりました。

   もちろん、裁判所が判決文の中において、このような背景を被告勝訴の直接の理由にしているわけではありません。裁判所は、?原告の地位が高いこと、?被告経営に積極的な関与をしたこと、?原告に与えられたクリニック運営権限が大きかったこと、?原告が当直に従事することは不可避な態勢であった一方、原告は当直時間中に居酒屋等で飲食することが認められていたこと、?原告の年俸が理事長の給与に匹敵すること、?パート医師に比べて特別の待遇を受けていたことなどを理由に被告勝訴の結論を導き出しました。

   しかし、日本の産婦人科医療が抱える矛盾とも言い得る背景を無視して、このような画期的な判決を得ることはできなかったと考えております。

 

 

(3)本件は、病院の事務局長らの協力を仰ぎながら、病院と当事務所が一丸となって戦い、勝ち取った判決です。

  当事務所では、紛争の根本までさかのぼり、依頼者が何を求めているのかについて寝る間も惜しんで懸命に考えながら、最良の結論を導き出すようにしております。

  お気軽にご連絡いただければ幸いです。

(今回の記事は岡本直也弁護士が担当しております。)

 

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1 びっくりした事例

  私は、東京地方裁判所から個人再生委員を申しつかっておりますが、3カ月に2件程度の割合で個人再生委員を受任しております。

  先日、個人再生債務者つまり個人再生を申立てした方が、私の事務所に面接にいらっしゃいました。私は東京地方裁判所の補助者として、個人再生を申し立てられた方の財産および収入の状況を調査するよう命じられております。

その方は、最近転職をされておりましたので転職前の会社について質問したところ、その会社は為替デリバティブ取引をしていて先がないので辞めましたという話でした。驚いたことにその会社社長は2年ほど前、当事務所においでになって為替デリバティブ取引について相談を受けておられたのです。その会社は直接貿易をされている会社でしたから、為替に対してのリスクヘッジができる会社でした。違法な勧誘がなかったかどうか或いは十分に為替デリバティブ取引を理解していたかどうかなどお聞きしましたが、直ぐに受任するということにはなりませんでした。銀行の勧誘の仕方が典型的な「必ず儲かる」という詐欺的説明や断定的説明があった訳でもない事案でした。

しかしこの2年の間に、従業員にまで見放される会社になったかと思うと心配でなりません。

とにかく私が受任して、次の何らかの手を一緒に検討するべきであったと後悔しきりです。

 

 為替デリバティブ取引での相談は多種多様

為替デリバティブ取引の救済策は必ずしも銀行を訴えるということだけではありません。この取引を中途解約する場合でも、弁護士が必要です。解約金の支払いをめぐって、ある程度引き延ばしというような形になったとしても、今後の対応についてじっくり検討することが可能なのです。とにかく解約金の試算は銀行の支店レベルでは出来ないのですから具体的な金額など聞かされていません。試算された解約金の額を知って驚かれる経営者の何と多いことでしょうか。

当事務所では、為替デリバティブ取引の相談を受けた場合には、その取引を始められた経緯について疑問のあることがあれば、この疑問点を徹底的に検討することにしております。しかし、このような検討だけでは十分ではありません。今後の会社の進むべき道或いは債務整理が必要であっても、破産や任意整理或いは民事再生の検討も必要なのです。事業譲渡という形も取りえない訳ではありません。

法的整理手続である破産や民事再生の方法は債権者である銀行にも大きなプレッシャーになります。また任意整理という手法も可能なのですが、この手続には種々の条件が必要ですので、必ず弁護士に相談しないと駄目です。

 

3 裁判所からの信頼

始めに書きました個人再生手続ですが、破産という手続よりも日本人の意識に合致するようです。意外と利用されることの多い手続なのです。特に自宅だけは保持したいという勤め人には便利な手続です。

個人再生手続の制度ができた平成13年直後、私は弁護士会の法律相談運営委員会委員長、東京法律相談連絡協議会の議長でしたから、長い間、本制度の定着に関与してきたことになります。計算してみますと、これまで受任した事件の総数は100件に近いことになります。個人再生事件から破産に移行する案件も多く、そのような場合には私が破産管財人になる訳ですから嫌でも破産関係の諸事件に熟達せざるをえないことになりました。

一時期、個人再生委員を勤める弁護士の多くの先生がいい加減な処理をされることから、裁判所から種々のご指導をいただきました。そのような中で現在でも個人再生委員として事件をいただいているということは、もっと誇りにしていいと考えています。当事務所は東京地方裁判所より調査委員、保全管理人或いは民事再生監督委員を仰せつかり、時には大型の破産管財業務もお引き受けしております。

為替デリバティブ取引の検討においてもこのような経験が生かされないと依頼者の根本的な解決にはならないと判断しております。

事務所一同、これからも東京地方裁判所の更なる信頼確保のために一層奮起する決意をしております。

 

4 解約料の告知があったか?

本年2月、解約料の告知が不十分であったとする興味ある大阪地裁の判決が出ました。大阪産業大学が野村証券を訴えた事案であります。「勧誘の際、為替レートなどによっては解約料が10億円を上回る可能性があると説明していれば、大学側は契約しなかった」と指摘し、「説明は極めて不十分だった」として、野村証券の説明義務違反を認定し、25000万円の支払いを命じたものです。

為替デリバティブ取引の解約料はとにかく複雑な計算が必要であります。しかも解約料が膨大な額に膨らむということについては説明を受けていない事例が殆どです。そもそも勧誘に携わっている銀行担当者には解約金の計算ができず、本店の専門部署で計算されるものですから、取引の際に具体的に説明できないのは当然なのです。

ところで為替デリバティブ取引は、銀行の損失リスクについては特約により限定されていますが、会社側のあなたにはノックアウト条件が付いていないのです。円高になると日々損が拡大します。損失リスクのヘッジがあなた側にはないという、こんな不公平な取引が許されるのでしょうか?

 

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1 近時急増した法律相談は巨大銀行の恥
 
  当事務所は上場企業の顧問先もありますが、中心の顧問先は中小企業の皆様であります。当事務所の弁護士は、会社の皆様と共に夢を語り合いながら、一緒懸命に頑張ってまいりました。
ところが、近時、超有名銀行の一方的な勧誘によって開始したデリバティブ取引によって、説明もなかった多額の損失を蒙り、苦しめられている顧問先或いは為替デリバティブ取引によって破産寸前まで追い詰められた会社の相談を多数受けることになったのです。
呆れました。これらの銀行は我が国有数のメガバンクそのものであり、為替デリバティブはメガバンクが勧誘した取引なのですから。
所長である私が20数年前在籍した法律事務所での経験ですが、顧問先であった巨大銀行の一つ(当然現在の三大メガバンクが継承)である銀行の専務から招待を受け、都心中央部に所在するひっそりとした、しかしながら車回しまでがある日本料亭で、業務上の心構えについて次のように諭されました。専務の話は本当に印象的でありましたし、その後の弁護士人生に一つの信念をもって臨むことができたと思っております。
専務のお話の要旨です。
「私ども銀行は国に準じる組織であると自負しております。このことを肝に銘じていただき、自信をもって、しかしながら誰に対しても恥ずかしくない弁護士業務を行ってください。」
弁護士になって間もない頃のことですが、本当に貴重な経験でした。
私は、整理回収機構の不動産部の創設にもその意識をもって臨んだつもりであります。整理回収機構は預金保険機構の子会社であり、専務のお話しのとおり文字通り国に準じる会社でありましたから。
 
2 為替デリバティブ(通貨オプション)とは何か?
 
一昨年から相談を受けるようになりました為替デリバティブ取引は、通常、予め設定された為替レートで外貨を買う権利(コールオプションと言います)を購入するものであると認識下さい。これに対して銀行は同じ為替レートで外貨を売る権利(プットオプションと言います)を買うのですが、銀行の損は一定の限度であるにも拘らず、購入した相談者は現在の円高のなかで限りのない損失を受ける仕組みになっております。
多くの相談者は、出入りしている銀行員に毎日のように「儲かります」と言われ続け勧誘を受けております。資金の融通を受けているメーンバンクの言うことであるし、しかも毎日のように顔を合わせている担当者の推薦だから嘘はあるまいと安易に考えて為替デリバティブ取引を始めた事例が本当に多い。そもそも本件為替デリバティブ取引は為替の変動リスクを回避するためのものであります。円高、円安に対してのリスク管理として考案された商品の一種ですから、輸入業務をメーンとしている会社が対象のはずでした。しかし貿易に全く無関係の且つ国内を市場とする業者ですら為替デリバティブ取引をさせられておりました。為替の変動リスクに無関係のこれらの会社は間違いなく博打をさせられていたことになります。
円高が進み1ドル76円程度となった現在、いずれの企業も申し合わせたように億前後の損害が出ております。
現在では為替デリバティブ商品が詐欺商品の類であり、メガバンクによって完全に賭博の世界に引きずり込まれたことは誰しも知るようになりました。契約をお願いした銀行の担当者ですらデリバティブ商品の内容をきちんと説明できなかった事案も続出しております。「必ず儲かる、必ず儲かる」と連呼することのみが営業手法であった事例すら出ております。
 
3 ADRという紛争解決機関
 
    先日は遂に全国銀行協会によるADRという調停制度を利用する事例も経験しました。
ADRは調停の一種で、全国銀行協会にて組織された裁判所ではない紛争解決機関です。当事務所では、私的紛争解決機関として当初はあまり信頼しておりませんでしたが、調停委員の方の真摯な姿勢や解決までのスピードを考えると、それなりに意味のあるものという印象をもちました。もちろん、当事務所での案件は、事案を十分に検討して調停委員の方に対し、万全の準備で説得に成功しましたから、記録尽くめの解決となりました。
しかしADRは結果がそのまま公表されることはありません。苦しむ企業の方の先導となるようにするには、為替デリバティブ取引の結果が公表され基準となる裁判所の司法判断を受けることも厭わない覚悟で本件事案に当たらねばならないと覚悟を決めております。
 
4 メガバンクの責任
 
  為替デリバティブ取引はメガバンクがやはり金儲けに直結する株式会社であることの一端を垣間見せました。私は前述した専務の言葉を大事にしてきた者として、本当に銀行の皆様に反省してほしい。
  こんな感想を述べる私は被害者の企業からは何を甘ったるいことを言っているんだとお叱りを受けるでしょう。当然だと思います。
  銀行の無責任な利益追求姿勢に反省を求めるためにも、徹底して銀行の責任を追及することが大切です。それがこれまでの銀行を変える結果にもなります。
  当事務所では上記信念に基づき徹底して争う覚悟です。

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1 過去の労使紛争
 
  新しい年を迎えたことでもあり、労使紛争を通して将来を考えてみましょう。
私は、労使紛争には社会の鏡の側面があると何時も考えています。
私が労働組合の労働者側の支援者として労使紛争に参加していた時代と、現在の労使関係は全く様相を異にしています。
私が経験した1960年の半ばから1970年代の前半は、まだまだ社会的に不安定な時代でした。その時代の労使紛争は、都心の一等地であっても、いわゆる暴力団の介入もあり、ピケ破りや集会破壊のための殴り込みも頻発し、労働者が自分の権利を守るためには実力が伴う時代でありました。
昔話をさせていただくなら、神田で行なわれた書籍販売会社の労働組合集会に対する暴力団の殴り込みを阻止するべく、文字通りボディガードのように体を張って守った経験や、或いは社長の自宅にデモを組織したこともあります。デモの時は機動隊に阻止され、雨の中での乱闘になり、この予想外の展開には驚き、警察の対応に怒りを覚えたものです。当時は体を張って労働者の立場にたつことに何の躊躇もありませんでした。つまりそのように明白な対立構造を示す時代だったのです。
 
2 現在の労使紛争
 
  現在は随分様相を異にしています。
労働者とはいえ、実力で自己の要求を伝えることにも合理的に制限があると認識されるようになり、それなりの法整備もなされてきました。これまで述べてきた労働法制や、或いは労働者の主張を経営者側で吸い上げる仕組み作りもなされ、法的に限界を超えると判断される実力行使が非民主主義的な行動として考えられ、しかもそれが受け入れられる時代になったと言えます。
昨年5月、生コンクリート製造会社の工場に押し掛けた労働組合の幹部ら12名が威力業務妨害容疑で逮捕されたという記事を記憶されている方もおられると思います。この事例は工場の出荷妨害になった行為が威力業務妨害にあたるというものであり、また会社や元社長の自宅に対する街頭宣伝活動そのものが差止めされた東京高等裁判所判決も存在します(平成17629日東京高等裁判所街頭宣伝活動禁止等請求控訴事件)。これらの事例が違和感のない時代になっているということは過去の労働組合活動からは想像もできないことです。
 
3 これからの労使紛争
 
世界は狭くなりました。
ギリシャの経済危機が欧州債務危機となって瞬時に我が国の経済に影響を及ぼす時代になりました。円高はまだ続くのでしょうか?
昨年は日本の負債が900兆円を超えていると幾度も報道されました。皆さん気づかれないでしょうが、格差社会が進行を始めたと考えられる兆候は我が事務所の事件からでも見通すことができます。
そもそも紛争解決手段として、昔経験した実力による労使紛争が物理的に合理的なものでないことは明白です。これらが、人を大切にする民主主義の理念に反することは争いようがありません。逮捕という上品な(?)結末以上に、怪我をすることくらい止むを得ないものとする当時の労働組合活動に何のメリットがあるのでしょうか。
精神的には勿論、物理的に人を犠牲にすることには何の合理性もありません。こんな不経済なシステムが最悪な社会であることは明らかであり、このような時代の再来は決して見たくありません。
私は危惧します。
我が国が金融恐慌になっても今までの民主主義のルールがこれまでどおりに通用するのであろうかと・・。格差社会がどんどん進行しても法による規制が民主主義の原理として認識され続けるのであろうかと・・。
若かりし私が経験した二つの立場が決定的に対立していた時代が再来することを危惧せざるをえません。当時の社会状況が再度到来しない保証はないからです。
 
4 本来の労使紛争
 
経営者と労働者という二つの立場は、現在の法律上当然に予期されるべき立場であり、どちらの立場においても守られるべき立場、即ち我々法律の職人からするなら、それぞれに守られるべき権利があるのです。それらの権利は当然に保障され、つまり我々弁護士の職業上の課題となるのです。労使紛争においても民主主義としての一つの形が示され、現在機能していると判断できるからです。
学問用語ではこれを法治主義と言いますが、私はこの言葉があまり好きではないと本コラムでも書きました。法治主義は、自由競争という市場経済主義により生じる人の欲望に対する後追い規制政策にすぎないからです。
 
5 課題
 
現在を生きる我々の課題は、この二つの立場が全く融通性なく、非妥協に、対立する時代が来るということだけは避けなければならず、その工夫が必要だということです。

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1 我が国の労働時間
前回コラムに書きましたが、「我が国の労働法制が社会主義化しているか」という問題提起に対して、そのような問題提起は愚問であることを説明しました。しかし上記問題提起に対しては、さらに違った側面から実態的に分かりやすく説明ができることをお教えしたいと思います。
  それは、現在の先進国間における労働時間と、我が国の労働時間を比較対照することです。わが国の労働時間は先進国での労働時間と比較して、とても自慢などできるものではありません。
日本は欧米に並ぶ先進国とされていますが、フランス、ドイツ、デンマーク、スウェーデン等の労働時間と比較すると、日本はなんと年間労働時間は300時間から400時間も長いのです。長時間労働をしている雇用者の比率は5倍にも上ると統計が示しているのですから驚きなのです。市場経済原理が導入されているアメリカは労働時間規制が弱く、長時間労働の比率が高いと問題視されています。それでも週に50時間以上労働している雇用者の比率は日本28.1に対し、アメリカは20でしかありません(「過働社会ニッポン」小倉一哉著 日経ビジネス文庫)。アジアでは先進国とされる韓国が、先進国の中では最も長時間労働だと判断されていますが、これも次のような視点から読み取ると大変興味深くみることができます。
 
2 労働時間と労働力の関係
それは、労働力がその国のシステムのなかで経済的にどのような意味を持っているのかということであります。私は、その国の世界の中での位置づけは、原則として労働者の商品価格、その国の労働者に要する経費(給与等)で容易に推測できると考えております。
後進国を含めて考えて見ましょう。
そこで質問ですが、ある国で、その国の有する資源とは何を意味するのでしょうか?質問されている当該国が石油やウラン或いはレアメタル等の資源、或いは先進国のように他国に対して売ることのできる技術力等の商品を持っている場合は別個の評価を加えて判断されますが、上記に示す例外的な場合を除いて、その国の経済力は、商品としての労働者の市場価格、即ち当該国の賃金の高さ、低さで評価や推測ができるのです。
労働力の商品価格の決定については、後進国では識字力等の文化的な側面もあるでしょうが、先進国では、その国の経済力の反映として価格付けされていると考えて間違いありません。我が国でも、中国その他のアジア諸国の、労働力の安い国に工場を進出させる企業を見るなら容易に分かることです。即ち、労働力の価格はその国の経済的な位置付けにより決定されており、人という資源によって他国の企業が、労働力の安さという一点において海外進出するのです。企業はグローバルな構図の中で流動しています。
 
3 労働力の価格と労働時間
結論からいいますが、先進国の中での労働力の価格の決定基準は、単純には労働時間で考えていただければ、意外と単純化してみることができます。労働力に対する規制も諸外国で種々の形態があるとはいうものの、労働者は人間そのものですから、売却できる労働力の中身が検討された後には、その中身に差がなければ、労働時間の長短でその価格が変わるのは当然のことであります。長時間労働させれば時間当たりの価格・経費は低下するのです。
そもそも労働に関する法令は労働時間に関する規制が中心であります。労働規制のないアジア諸国の労働時間は大変に長時間労働です。先進国と称される韓国が長時間労働であることも既に説明しましたが、妙に納得できるのではありませんか。
また我が国の労働法制を中国と比較するなど無知以外の何ものでもないこともお分かりいただけたでしょうか?
もっとも、労働法では労働力を商品として論じることに強く嫌悪感を示す学者もありますが、実用的に物事をみていくべきです。つまり、グローバルな視野において労働時間を考察する必要があります。
あなたは、労働時間が短縮されれば、余暇が増えるので若者が子作りにいそしみ、人口減少化に歯止めがかかり、ひいては経済力が増すし、消費も増大するという主張を聞いたことがあるでしょうね?「そんな簡単な訳がない」という通俗的な反論は遠慮して下さい。フランスで減少していた出生率が増えたのは35時間労働制にしたためと、その因果関係を主張する人もいます。
では、次項で、日本の労働法制は先進国の中でも進んでいると考えているあなたの常識を覆してみましょう。
 
4 再度労働法制について
日本の労働時間が先進国の中で決して短くないことは既に論証しました。それでも「国民性」を持ち出して反論されるあなたに、日本特有のサービス残業はどう評価されているのかお聞きします。
「サービス」残業なのですから正確な数字を把握することはできません。サービス残業をしましたか?という形での聞取り統計しかありませんが、日本は本当にサービス残業が多い。先進国の中でも異常なのです。しかも非正規労働者ですら残業をしています。これも先進国並みではありません。そもそも非正規労働者(遂に労働者の39%を占めるまでになっていることは前回説明しましたね)の中の「パート労働者」の定義を、EUの殆どの先進国では週30時間以下の労働者であって、残業はないという意味にて説明しておりますが、日本では、これにも絶対に当てはまりません。日本のパート労働者は残業もしております。パート労働者の労働実態によってですが(労基法39条)、パート労働者にも年次有給休暇が与えられるという常識的なことからもお分かりいただけるでしょう。
日本と大違いのフランスでは、労働時間に関する35時間法が見直し議論されているくらいですが、公務員の団結権も認めております。先日、ネットを見ていて、フランスの警察官が集団で団結権を行使しているのを見て、その異様さにびっくりしたとの記載がありました。日本の労働法制が社会主義国のようになっているなどと誤った印象を持たないようにしていただきたいと願います。
 
5 労働時間の長さは「日本の国民性」だけで説明がつくのか?
私は、労働時間の長さを考えると、日本は本当に先進国なのかと時々疑問にも思います。しかし争いごとの嫌いな、真面目な国民性を考えると、争いごとの最先端にいる我々弁護士の業務に影響することはあっても、やはり自慢できると思います。東北大震災での争いごとを好まない国民性が、国際的に評価されたことを誇りに思う気持ちは、既に弁護士として失格なのでしょうか?
以上、国民性を含めて現在の日本の状況を考察しますが、やはり日本は先進国なのですから、「国民性」に甘えている訳にはいかないでしょう。それだけの代償を払うのが先進国であり、「国民性」云々よりも労働力に見合った技術或いは革新性が日本にはあるはずです。ヨーロッパの先進国並みの時間労働であっても、十分に先進国に張り合える国民であると私は思います。
これらから結論付けるとすると、法規制の典型である労働時間は、将来もっと短縮される方向で法立法がなされるのではないでしょうか。
今後、労働時間を巡る紛争、弁護士の出番が減ることはないというのが結論でしょう。
 
6 まとめ
今回は、労働に関する法的な側面からの考察ではなく、世界の資本の流れのなかで、その国の労働法制が決定され、しかもその国の経済力に影響されて法規制として定められ、その過程の中で労働力の価格が決まることを話してみました。
逆説的には、労働法制がその国の経済力まで決定してしまうという側面から労働法制を考えてみましたが、真実は論理が逆で、その国の経済力によって労働法制が定まる、つまり給与が決定されるというのが私の話したい、悲しい結論です。
しかし、給与が高ければ国民の購入意欲が高まり経済力が増すという意見もありますから、本当に難しい問題なのですね。
  これから日本はどうなるのでしょうか。
 
 

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始めに(当事務所が企業側労働法務を行う基本姿勢)

  今回掲載するコラムは元々3回に区分して記載したのですが、3回に分けるほうが読みにくいことが分かりました。我が事務所の労働事件に対する関わり方・姿勢についても示しております。
 3回に区分した題だけでも以下に示し、何を書きたかったかを先ずお知らせしようと思います。当事務所の若い先生方の指針ともなる重要な内容を持つものですから、私のコラムに関心をお持ちの方は本編を是非ともお読みいただきたいと思っております。
 
 第1 日本の労使問題は社会主義化しているのか?
 
 第2 労働法制の歴史
 
 第3 労働事件に関する当事務所のあり方・関わり方
 
 
第1 日本の労使問題は社会主義化しているのか?
 
1 有名弁護士の言葉
 企業による人気投票で超有名な弁護士が、日本の解雇問題にふれ、「中国よりも日本のほうが実質的には社会主義ですね」と指摘し、直ぐ続いて、中国での冗談として「日本人と付き合うと、おまえ、社会主義者になっちゃうよ」と書かれている本を読みました。その本では面白おかしくインタビューに応じている様子が記載されていました。
 皮肉をこめて批評するなら、彼の分析はきちんと事実認識はしているが、しかし歪んだ分析力であると言わざるを得ません(有名弁護士は「冗談です」と言われるかもしれませんが、それでは出版物の内容から判断しても演出過剰でしょう)。
これまで当コラムで記載しましたように、解雇の有効性を裁判所に認めさせることが本当に難しいという事実を述べているだけなら、それは一面では正しい経験に基づいた分析力ではあります。しかし我が国の労働法制は「社会主義」だと直ちに認定されるべきものなのでしょうか。かかる認定は基本的な姿勢に問題があるのです。
 本コラムでも、そろそろ我が国の労働法制がどのように考えられて立法され、今日、労働実態の激変と国民の認識によってどのように変化してきたのか。或いは、立法当時の基本的な認識と根本的に異なった別途の考え方で労働法制に対峙する時期にきているのか。そして変遷があったとする提言があるなら、それはどのような理由に基づいているのか。
これらを考察する時期に来ております。
端的にいうなら、これらは、今、検討途上にあると言えるでしょう。しかし、ここでは学者の世界に入って、その論拠を検証しようという訳ではありません。コラムなのですから、その難しさだけでも感じていただければよいと思っております。これから書きます当コラムは多少理屈っぽくなりますが、労働法の立脚点を知るには重要です。興味のある方はどうか最後までお付き合いください。
 
2 労働法の基本的な考え方
 私が司法試験を志した当時の労働法教科書には社会主義運動の「アジびら」のような内容が記載されております。これを読まれるなら皆さん驚かれると思います。
長いですが象徴的ですのでその一部を紹介しましょう。
 「ところが現実についてみると、労働者は被搾取階級であり、被支配階級である。生産手段をもたない労働者は総体としての資本から自由には生活できない。労働者は商品の生産を資本のもとでしかおこなうことはできない。しかも生産物は労働しない資本所有者の生産物(商品)となる。だから労働力の生産性は資本の生産性として現象する。このような労働者の資本制生産社会における地位は資本に従属的なものというほかはない。そして、かかる階級的な従属は個別的な労使関係における交渉力の不平等としてあらわれるし、また生産過程においては生産手段の所有者の指揮・命令と労働者の服従として形をとる。工場が有機的構成を高めるほど、労働者は工場という組織体に従属するようにもみえる。本質的には資本への従属である。」(労働法要説改訂版沼田稲次郎著5頁)。
 上記労働法の骨子は「従属労働概念」という言葉で要約できると思います。
 
3 私の初心
大学卒業後、相当経ってからこの教科書に出会いました。こんな本当のことを司法試験で書いてよいのかと疑心暗疑になったことを記憶しております。本当のことを堂々と主張できるのなら本気で労働法を勉強することも悪くないと考えるようになりました。28歳ころまでアルバイト中心の生活で、組合活動を支援したり、不動産会社に勤めたこともありました。精神的には、「モラトリアム」気分で勉強を口実に気ままな生活をしておりました。言葉だけでなく、強く司法試験受験の決意ができたのはこの教科書のおかげだと思っております。青春といわれる時期の終末、30歳で結婚し、その女房には私の我が儘を理解してもらい、本当に世話になりました。
 
4 司法試験での経験
急激な社会の変化や国民意識の変化に伴い、今、司法試験で「従属労働概念」をストレートに使って論文を提出したら合格できないでしょうね。少なくとも、現在の複雑な労働問題に直面していない回答だと誤解されるでしょう。
でも本当は私が受験した当時でも、こんな言葉が出てきたら不合格だったと今は考えております。多分論文に合格した年度の出題はこのような概念と無関係に回答できたのでしょうね。申し訳ないが、私は、モラトリアム時代から、司法試験出題者も、採点する先生方も、良くも悪くもこの程度でしかないと判断しておりました。
 
5 現在は労働法の曲がり角か?
結論から述べますが、急激な社会変化に伴い、労働法制を考えるに際しても、従属労働概念に手当ては当然に必要になってきております。社会の多様性や複雑性に伴い、集団的・一律的な労働者としての把握を、「個人主義的な労働者像」として把握するべきであるという労働概念を提起される学者もいます。この考え方からすると集団的労使関係即ち組合活動の解釈は相当変化せざるを得ないでしょうね。
しかし私は、社会の基本構造までは変わっていないと判断しております。確かに労働者派遣法や近時制定された労働契約法等の分析なくして労働紛争を解決することは困難な時代になってきました。労働組合の使用者に対する対決概念だけでは現在の労使関係を考察することは困難な側面も出てきました。個別的な労働形態の発生や、現象面としての組合の組織率の低迷だけからでも直ぐ理解できることです。
では新しい労使哲学が生まれているのでしょうか? 否です。
 結論から言いますが、日本の労使問題即ち労働法制が社会主義化しているかとの問いかけは誤りです。
 
 
第2 労働法制の歴史
 
1 労働法制は破綻したか?
 我が国の労働法制度は決して破綻などしておりません。
確かに現代社会の変遷は、我々の予期の範囲を超えるものです。私は、社会激変の今日でも、労働者は法律的に使用者と契約当事者対等概念を適用する程には成熟しておらず、労働法の基本概念を廃棄する程までの社会変化には達していないと考えております。確かに従属労働などと「アジびら」のような概念を使わなくても消費者保護や高齢者保護と同じ感覚で再度労働者の不平等を手当てすればよいとも言えましょう。しかし果たして、それで労使関係の「根っこ」を捕まえられるのでしょうか?
非正規労働者が労働者の占める割合39パーセントに達したという厚生労働省の2010年度調査の発表をみるだけでも労働法の根本理念に変化があったなどと主張することはできないと思います。
 
2 社会主義とは?
私は、労働法を考えるに際しても、諸外国の政治制度の変遷、特に社会主義制度の国々の幻滅的なまでの失敗或いは我が国の政治理念を振り返るべきであると思っております。そして大多数を占める国民の認識にたつなら、憲法の理念にいささかの揺るぎも発見できないと確信しております。憲法の規定については既に当コラムで触れているところです。
 私は、社会主義制度の国々に憧れ組合活動にも参加したことは前に述べました。学生時代には資本論を読むべく努力し、座右の書はその総纏めだと言われる「ドイツ・イデオロギー」でした。40年以上前ですが、繰り返しマルクス・エンゲルス共著のこの本を読んだ記憶があります。
私のモラトリアム時代、カンボジアの大量殺戮に呆れ、国民を蔑ろにする中国の共産主義に怒りを感じ、ソ連崩壊等を経ていつの間にか人間の欲は社会主義の理想よりすさまじいものがある、共産主義は夢であり、その到達過程には人間の欲が待っていると思い知るようになりました。
私の思想的な変遷は複雑ですが、根は「一般庶民・人間を大切にしろよ」というものでした。「社会主義でも理想は実現できないというより、現実の社会主義は資本主義よりもっとひどい」ということだったと思います。
 
3 我が国の国家制度
 社会主義或いは共産圏国家に絶望しても、現在の国家制度のあり方についてはよく分からなかった時代が長かった。ケインズの「修正資本主義」或いはフリードマンの「新自由主義」もこの頃知ったのだと思います。
政府の市場への介入を主張したケインズの世界恐慌克服論或いはフリードマンの自由市場主義論に淡い期待を抱きながら、資本主義体制の修正或いは手当をどのようにするのかという経済論に関心を寄せたこともありました。
でもフリードマン信奉者である小泉さんには、自らの弁護士業務に関係するだけに、直ちに滅茶苦茶に幻滅しましたね。フリードマンの主張する「政府は小さいほうが良い」との主張には新鮮さを感じていましたが、「医師の免許制は悪しき制度であり、国民の自由を制限するもの」と主張していると知った時から懐疑的になりました。そして「弁護士資格も自動車の運転免許と同じにしよう」という新自由主義信奉学者が法制審議会に参加していることを知り、現在の改革されつつある司法制度に絶望しました。この新自由主義の論拠には、ケインズですら言う「我々が生活している経済社会の際立った欠陥は、完全雇用を与えられないこと、富と所得の分配が恣意的で不公平であること」という人間の欲への基本認識がないことに根本的欠落があると考えております。私が司法の一翼を担う弁護士であるが故に、フリードマンの限界は肌で触れるように直ちに理解できました。
これからの司法制度のあり方が本当に心配です。
 
4 労働法制のあり方
当初述べました企業による人気投票で超有名な弁護士の話が、日本の文化或いは労働法制あり方から論じていれば私は納得したでしょうが、「中国よりも日本のほうが実質的には社会主義です」と何を根拠に言っているのか「あほらしくなる」と言うのが私の真意です。
労働法制の理念は憲法に規定されたとおりであり、法制度は、我が国の文化のあり方、即ち労働社会の複雑さに対応して手当を繰り返してきました。生きる庶民の労働力という商品、労務提供契約に規制があるのは人間の限りない欲に対する規制なのです。修正資本主義という用語を使用してよければ、手直しを加える労働法制に何の問題があるのでしょうか?
かつて総理大臣であった管首相の「最小不幸社会」は理念としては絶対に正しいと思っております。残念なのはケインズ理論で確立された「乗数効果」すらも知らなかった「勉強不足」に、首相としての資質を問うべきでしょうね。
 
5 世界的な労働法制
そもそも世界的にみても日本の労働法制が社会主義化しているなどと誰も言いません。
アメリカにおける雇用の自由市場を前提にした労働法制もあれば(解雇が比較的に容易に認められる)、或いはフランスのように日本と同じように厳しい法規制を課している国もあります。労働市場のあり方等に影響されて労働法制はその国によって様々なのです。
失業率に喘ぐオバマ大統領をみるなら、アメリカの労働法制が成功しているなどとは誰も言わないでしょう。それに引き換えフランスの厳しい労働規制を社会主義化したなどとは誰も言いません。中国での「人治国家」より先進国の「法治国家」が最小不幸社会の防止に寄与していることは真面目に労働法制を勉強する者なら直ちに理解しうることです。
超有名弁護士の言など「世迷いごと」のたぐいなのです。
 
 
第3 労働事件に関する当事務所のあり方・関わり方
 
1 企業側労働法務
揺れ動く社会の変遷のなかで、私はこれまで触れ合う方々との人間関係を大切にして弁護士業務を行ってきました。数え切れない方々とお付き合いさせていただきました。その中から顧問を依頼され、今では立派に上場される企業まで出てきております。こんな幸福な弁護士稼業があるでしょうか。
人間的な深まりのなかで、必然的に労働事件も依頼されるようになりました。たまたま企業の方々との付き合いが中心でしたので企業側の労働法務に精通するようになりました。企業側の労働法務が中心になっていることに所長である私は、自分の生き様と何の矛盾も感じておりません。
 
2 当事務所の課題
労働法は管さんのいう「最小不幸社会を目指して」労働者のための規制を設けております。我々弁護士はこのような労働法に従って双方の立場に立って自己実現に向けて頑張るだけなのです。我々は、法適用場面における紛争解決のために要求される職人でしかありません。正義は双方にあります(「正義」というより、「理由のある自己主張」といったほうが私には馴染む)。企業側であっても、その労働法制の規制の中で、全力を尽くすことで我々の業務は貫徹されたことになります。
国民が司法に要求するものは、立場が違えどもその立場において当該立場の依頼者のために全力を尽くす弁護士こそ求めておられるのではないでしょうか。
法制度はこのように運用されるべきなのですから、当事務所は企業側であることに何の躊躇いもありません。それこそが司法という制度において一方の立場にたつ弁護士に課された責務だからです。
 
3 最後に
 考えて見ますと、今回のコラムは当事務所所属弁護士に向けてのプレゼンテーションのようにも思えます。
私は、当事務所所属弁護士に向けて次のように宣言します。
 
 
『当事務所全員は、司法の一翼を担うという名誉ある立場を誇りにし、依頼者のために全力を挙げて頑張ります。』
 
 以 上

 

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1 奥さま付添いの法律相談

  労使紛争の相談で奥さま付添いはおかしいと考えるべきでした。

しかし、一般に法律相談の際、誰かが同伴されることはよくあることですし、社員10人程度の会社なら奥さまが経理を担当されるなどして一緒に相談されたいというのも全く疑問を差し挟む余地はないものです。

でも本件は奥さまが既に会社に関与されなくなって久しく、社長であるご主人が心配で同道されたということでした。

 

2 本件の発端

相談の内容は、会社の経営が傾いたのは社長のやり方が悪いとして、部長が職場を占拠し、他の社員に社長交代の呼び掛けをしており、社長である相談者は会社に出られない状況になっているというものでした。

ちょうど金曜日、顧問先からの紹介による緊急の相談でした。種々相談をした結果、緊急を要するということで直ぐに現場である会社に行くことにしました。会社は部長等の社員が職場占拠をしているため、当事務所の男性職員をも途中から同席させ、職場占拠を解除させる手段等種々相談をして、翌日の土曜日には現場に入ることにしました。

 

3 事件の急展開

翌日土曜日、地方都市に所在する会社に行きました。しかし土曜日が休みのせいか部長を始め従業員の誰もおらず、従って誰にも邪魔にされずに帳簿類等の持ち出しができました。その後、地方都市のターミナル駅喫茶店で奥さまと一緒に相談をしました。

  奥さまは「もういいじゃない」とご主人に話され、「部長に任せるか、破産の申立をしたらいい」とも提案されました。社長は悩んでおられましたが、帳簿類の検討からしても破産という選択も可能だと判断される事案ではありました。とにかく月曜日に結論を出すことになりました。我々は、月曜日約束の時間に事務所で待っておりましたが、来所されず、また電話もありません。午後になってやっと奥さまから電話がありました。その電話内容は「社長が亡くなった」というものであり、相談は後日ということになりました。

本件の結論は、事業については部長たちに任せるということで一件落着となった事案でありました。

 

4 ショックは男性事務員の告白です。

男性事務員は、当職事務所に来る前、有名学校の元有名教師であり、当時有名学校との労使紛争を抱えている立場にあったことからも、土曜日の相談の際、喫茶店で、社長に対して「仕事を続けたいなら、もっと頑張れ」と具体的にアドバイスをしておりました。社長の肩を落とした姿が印象的でありました。

ところで男性事務員には彼を慕う学生や仲間がたくさんいましたが、その仲間の一人が社長第一発見者であったことです。仲間からショックを受けたという連絡があり、会ってショックの内容を問い質したところ、相談を受けていた懸案の社長のことだと分かり、男性事務員は大変なショックを受けました。

彼は「不思議な縁」を語っておりました。

 

5 「職人に心を」

私にも重大反省を迫る事件でありました。どうしてもっと親身になって相談しなかったのか。社長の事業継続の夢と、奥さまアドバイスの断腸の思いに寄り添えなかったのかという反省です。

事件を見事に片付けるということではなく、弁護士という法律問題解決の職人が、あらゆる可能性に目を配るという基本姿勢の不十分さを思い知った事件でありました。職場占拠をどのように処理するのか、或いは部長にどのように事業承継させるのか、それができないならどのようにして会社を破産させるのかという問題解決の流れ以上に、配慮するべき不可欠のものがあったのです。

 

6 労使紛争は「悩みのるつぼ」

  労使紛争は、労使のどちらに正義があるかなどとは、容易に語ることのできない案件であります。角度を替えて経営者サイドからみるなら、企業人は、苦渋の決断を日々迫られ、悩んでも通常は決断できず、或いはやっと決断しても、ルーティンワークの業務と殆ど変りのない業務を実行していることが殆どであります。

  当事務所は、経営者サイドにて、今日まで弁護士業務を続けさせていただきました。当事務所は、弁護士というより職人を自負して業務に邁進してきましたが、労使紛争の主役は経営者であり従業員であります。経営者には企業存続の義務が、社員には家族を養い生き残る権利があります。

労使紛争には人間という生き様がそのまま反映していると考えて間違いはありません。

  

  次回は、話を替えまして「日本の労使問題は社会主義化していないか?」と題して、私の考えるところを述べてみたいと思います。

 

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 1 解雇を契機とする労使紛争

  中小企業での労使紛争は、理由は種々あっても解雇を契機にして発生することが多い。会社経営を問題にして労使紛争に発展したなどという勿体ぶった説明などできる事件は実際には少ないのです。
弁護士の目から見て、こんな形で解雇をしたら問題が発生しますよと警告したくなるような事件こそが労使紛争にまで発展する確率が高くなると言ってよいでしょう。経営者の皆様、解雇をする際にどれほど厳格に考えていらっしゃるのでしょうか?疑問をもつ事例が本当に多いと申し上げておきます。
そもそも解雇は労働者に対する「死刑判決」と言われることもありますが、文字通り慎重な判断に基づいて実行されねばなりません。解雇が有効であるとして裁判所で認められる事例は、このまま雇用を継続することは本当に会社がかわいそうだと判断できるような限定的な事例に限られると考えてくださって間違いはありません。
 
2 そもそも個人的な理由による解雇が、何故、集団的な労使紛争に発展するのか不思議に思われますか。
 
  何の不思議でもないのです。
労働組合は「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織された団体」を言うのですから(労組法2条)、個人的な労働条件に関与することも当然のことなのです。特に日本のような企業別組合を中心にして組織され、現在のように組合の組織率の低下を目の前にすると、個人的な解雇に関しても決然として団体交渉の申し入れをして組合員の共感を得なければ組合の生き残る道はありません。
ある学園の校長先生を解雇した事案がありました。管理職の人を中心にして組合員として加入させ、労使紛争を引き受けられている組合に駆け込まれ、泥沼化した状態になって依頼を受けました。私が代理人になった時には、入学式の日にデモが行われ、入学式ができない状況にありました。当然組合員は解雇された校長先生一人ですから、経営者からは、一人のために何故こんなデモが起き、ピケをはられて新入生と親に対するビラ配りをされ、入学式を潰されてしまうのだと大変お怒りを受けました。
弁護士からは、お怒りになるより冷静に対応しましょうと説明せざるをえません。しかし、その場になってみると実際は上記経営者のような対応を示され、冷静に対応されるほうが少ないのです。
 
3 労働基準監督署の介入があるともっと怖い。
 
解雇から労使紛争が泥沼状態になり、経営者が会社を閉鎖するロックアウト(会社側による事業所閉鎖)をした事件を経験しました。経営者からは、ロックアウトしても従業員が会社に出入りしているので一緒に説得に行ってくれませんかと依頼を受けました。工場正門に着き正門に近寄ったところ、正門の近くに停まっていた車からわらわらと背広姿の男3名が走り寄ってきて経営者に手帳を示して何か質問をしてきました。私はとっさに労働基準監督官達だと判断して私が間に入って対応したという事件もありました。
この事件は従業員が残業等法律に基づいた処理が行われていないことまでも含めて訴え、逆に会社がロックアウトしていると労働基準監督署に直訴したものでした。これは大変重大な局面です。
労働基準監督官の権限を知っておられる方は殆どいないと言っていいでしょう。
 
4 労働基準監督官の権限
 
 労働基準法には「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の付属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる」(101条)と定め、「この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる」(104条の2)とし、「この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」(102条)と定めています。
  労働基準監督官は警察官と同じ職務権限をもっているのです。
当サイトのバナー「残業代請求は会社を潰す」にあります(3)「強大な権限をもった労働基準監督署が貴方の会社を強制捜査(調査)」の欄をお読みください。そして「労基署の捜査により支払わなければならなくなる金額のシミュレーション」をご覧いただければ、その危機意識を共有されることになるでしょう。
 
5 解雇から職場占拠
 
  解雇を契機にして従業員による職場占拠に至った事例も経験しております。この事件は奇妙な形で終わった案件ですので次回述べますが、個別的な労働条件を巡って種々違った展開をたどることは常で、私達であっても予断を許さないものです。しかも近時は労働審判という新しい解決手段も多用されるようになり、立川支部でも労働審判が行われるようになって1年ほどが経過しました。
つい3か月程前にも解雇を巡って立川支部で争ってきたばかりです。審判法廷にて、開口一番、裁判官が会社側にお金の支払いを求めるというお決まりの手順をたどりました。当方有利に解決しましたが、実態は会社側が圧倒的に大変な立場にたたされるということは間違いありません。
 
 

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1 労働紛争は会社経営にとって予想されるべきもの 

  事務所所長である私は、大学を卒業した当時、組合側として労働紛争に関与した経歴もあり、これまで労働組合との交渉等相当数の事件を依頼されてきました。
  労働組合との紛争は、通常民事事件のみを扱っている弁護士には到底無理なお願いです。訴訟になれば通常の弁護士でもある程度対応できるでしょうが、組合側も高い報酬を払って弁護士に委任していたのでは経済的にあいません。労働基準監督署、労働委員会或いは訴訟申立以前の交渉から始まる初期の対応こそが、最も大切な時期であることは経営者の皆様であれば当然理解されることでしょう。
初期の適切な対応によってこそ会社にとって不利にならない方策が検討でき訴訟等に備えられる、即ち逆説的に訴訟等になることも防止できるという理屈は、会社経営に対する見通しと全く同じなのです。
 
2 労働紛争は特殊
 
  労働紛争の何が特殊なのでしょうか?
  ここでの契約の対象は何でしょうか。つまり契約の目的物が生身の人間の労働力なのですから当然なのです。土地や物であればある程度代替性もあり、形式的に処理することも仕方がないことでしょう。
このような特殊性に配慮し、憲法28条では労働者の地位を確実なものにするため、団結権及び団体交渉権を定めました。労働組合法12項では、労働組合の正当な団体交渉を刑法にいう正当行為とする旨の定めをおき、さらに民事免責の規定までおいています。つまり法の理念に従い、労働者も経営者も互いに地位を認めあって会社を盛り上げていくことが前提なのです。互いが対等の立場にたって労働力に関する契約を交わし、労働力を提供するということは理屈を言えるほどやさしい訳がありません。
経営者であるあなたは、会社に労働組合がないのだから、ややこしい労使関係は生じないと考えていませんか?そうではありません。あなたの会社の社員(解雇された人も可)の一人でも所謂合同労組に加入するなら、あなたの会社は団体交渉の求めに応じる必要があるのです。拒否すれば不当労働行為として刑事罰に発展することもあります。
 
3 初期対応における当事務所の姿勢
 
労働訴訟は、通常の事件のように「白黒」容易に予想できるものではありません。「訴えられたら負け」という会社側労働法専門弁護士もいるほどです。しかし、今回お話ししておきたいのはその前段階である団体交渉等の初期対応です。
会社が労働組合と団体交渉をして、これでは相手側の要求されるままに終わってしまうと判断されて始めて、当事務所にお出でになる経営者が多い。既に会社の事務室等で(従って長時間交渉になるのは常識です)、且つ労働時間中に(交渉しているだけで給与がもらえる)団体交渉をして「まいった。もう、こんな交渉は嫌だ」という相談者には実は殆んど有効な手など打てません。しかしここまで困窮された経営者は「お金はお支払いします」と積極的に当方に受任依頼されることになり、弁護士が経営者側補助者として同席するのが通常です。
ここで当事務所の姿勢を強調しておきますが、私は補助者であったとしても安直に団体交渉に同席することには実は反対なのです。労使双方対等に、且つ真摯に話し合いをするということが紛争解決の基本であり、つまり解決した後の労使関係をも配慮に入れることが大切です。弁護士の登場により逆に経営者に対して不信を招かないようにしたいからです。もちろん当事務所で諸論点を検討し、見込みに従ってその対策を立てることは必要不可欠です。弁護士が何時団体交渉等の補助者或いは代理人として登場するかも重要な検討課題です。
幾度か経験してきたことですが、団体交渉の相手方が合同労組のベテランの場合などだと、経営者は小馬鹿にされて終わったという印象をもたれる方が本当に多い。私が経営者補助者として同席しただけで、ベテラン書記長に「武器(注;弁護士です)は対等であるべきだ」と主張され、当職の同席に異議を唱えられ、むしろ当職の存在意義を再認識していただいたという大変にありがたい経験もあります。
 
4 今回のまとめ
 
極限状態にある場合には確かに団体交渉から受任してきましたが、団体交渉に補助者として同席するだけで、着手金をいただくことになります。さらに継続的に労働組合と交渉することもありますので、当事務所と顧問契約をされることが万全です。会社の実態を長期的に見させていただき、経営方針についてもある程度理解し、相手方と話せる状況を作る必要があるからであり、労働組合もそうでないと納得しがたいでしょう。
当事務所は、お客様との信頼関係を構築することを念願して業務を行ってまいりましたが、それは会社で働かれる労働者の方にとっても同様です。会社総体として当事務所に対するある程度の信頼を得ないと、今後における労使関係の「円満な解決」にはならないと判断しております。
今回は労使紛争と弁護士の関係について、当事務所の姿勢を説明してみました。
次回は、これまで経験した労働紛争を中心にして話してみましょう。

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