新宿の顧問弁護士なら岡本政明法律事務所

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コラム - 所感カテゴリのエントリ

1.  私達弁護士の強制加入団体である日本弁護士連合会「8月号会報」を見て驚きました。
 今月(9月)2930日、旭川市で開催される第64回人権擁護大会において、決議される決議案の一つとして「アイヌ民族の権利の保障を求める決議案」が掲載されていたからです。
 私は、昔から北海道に旅行する都度、アイヌ民族の展示物を見て回っておりました。釧路や帯広に行った際には、何とか日高地方に行って、アイヌの博物館等(アイヌ文化伝承地)を見て回れないかと検討したほどです。2006年の釧路市で行われた人権擁護大会には妻と出席し、種々検討したのですが、予定が取れませんでした。

2.  アイヌ文化の保護に関する事例として、私にとって一番印象が深いものは、1997年の「二風谷ダム建設差し止め訴訟」判決です。
 この訴訟は、アイヌ民族の聖地とされる「二風谷(にぶたに)地区」にダムが建設されることになり、紛争が継続した結果、提起されたものです。アイヌの人々の生活の場が奪われることに対して、北海道開発局も補償金の支払等種々努力をしたのですが、結論として、土地収用法に基づく強制収用となりました。このことから、札幌地裁にダム建設差し止めの行政訴訟が提起されたのです。
 札幌地裁は、工事のための土地取得等は、アイヌ民族の文化保護などをなおざりにして収用を行ったことになり、土地収用法第203号の裁量権を逸脱しているとして違法性を認めました。しかしながら、土地収用裁決を取り消さなかったという珍しい判決なのです。
 認定と逆の結論になるとは、当時予想できませんでした。

3.  逆の結論を導き出せることになった行政事件訴訟法第31条第1項を見てみましょう。長いですが、本当に面白い条文なのです。
 「取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は採決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。」
 この判決の主文においても、行政側の処分又は裁決が違法であると認めておきながら(アイヌの方に旗をあげながら)、土地収用を是認するなど残念でなりません。

4.  では最初に戻り、今月末、第64回人権擁護大会において、提議される「アイヌ民族の権利の保障を求める決議案」の内容を見てみましょう。私の感想を抜きにして、そのまま引用させていただきます。長いですが、私見を述べるよりましでしょう。
 「アイヌ民族は、北海道などに住んできたアイヌ語を母語とする先住民族であり、自然の恵みを享有し、伝統的な宗教的儀式や祭事等を行うなど、独自の文化を育んでいました。
 しかし、明治政府による同化政策等を経て、自然環境を維持管理する権利を始め、アイヌ民族の人々が各地で伝統的に形成してきた自治的集団(アイヌコタン)としての権利や、アイヌ民族の人々が公の場でアイヌ語を使用する権利、アイヌ語教育を受ける権利等は、現在も保障されていません。
 日弁連は、国及び北海道に対し、仝罵の伝統の尊重及び文化的・精神的な権利を認め保証すること、▲▲ぅ霧豢軌蕕鮗ける権利等の保障、進学や就職状況の改善を始め社会的地位を向上させること、F本が既に批准した国際条約において先住民族の集団としての権利が認められていることを確認し、ILO169号条約の批准の検討及び国内法の整備を行うことを求めるとともに、アイヌ民族の権利の保障に力を尽くす決意です。」

5.  アイヌ関係の本や小説は、昔から、かなり読んできました。
 日弁連の会報を読む前、偶然、川越宗一氏著作の「熱源」を読んだところでした。会報の内容が具体的に盛り込まれた内容ですが、当然、同化政策に反抗する主人公の姿が印象的でした。
 最初はサハリンが舞台で、近時のプーチン大統領の政策を見ていると、ロシアの恐ろしさが実感されました。でも、小説の主人公は、最後、南極大陸の探検に「犬使い」として参加するという内容になっており、その展開に驚きました。
 

6.  今回のコラム作成に際して、もっとアイヌ関係の紹介本や小説を読みたいと思い、ネットを見て驚きました。アイヌ関係の小説がブームのようだと書かれているのです。川越宗一氏著作の「熱源」は直木賞受賞作ということもあるのでしょうか?
 ネット調査の結果、船戸与一氏著作の「蝦夷地別件」と池澤夏樹氏著作の「静かな大地」を買いたいと考え、紀伊国屋書店に行きました。何とないのです。売り切れなのかどうか・・。
 残念です。

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1.   前回のコラム掲載以前から高齢化する社会に関心をもっておりました。特に、近時、高齢者の財産が活用できなくなることをテーマにした報道が増加しております。
 高齢者の判断能力が低下すると、預貯金等の金融資産が凍結されるという状況や不動産の処分が困難になるという状況についても関心を持っておりました。
 昔の友達から
自分一人で住んでいる土地家屋について、どうしたらいいだろうか?子供たちは都会に出てしまい、将来、自分たちで使う予定はない。でも、老後資金の都合で売却も考えているという相談もありました。確かに、相当の広さの土地と立派な家屋でした。当時は信託法(施行平成19930日)が施行されたばかりでしたが、友達の年齢もそれほどではなく、判断能力も十分でした。私は、「もう少し様子を見て、信託するかどうか考えるのがいいと思うよ」と回答しました。

2.   でも近時の新聞等の報道をみておりますと、そろそろ友達も今後の方策を考えるべき時期に来ているように思います。
 先日の新聞で、三井住友信託銀行が公表した「認知症高齢者が保有する資産額」の数字を読んで驚きました。
 2020年時点で、認知症高齢者の金融資産が約175兆円、不動産(住宅と土地)が約80兆円で資産総額は約255兆円だそうですが、2040年には資産総額約349兆円になりそうだというのです。これらの資産所有者は、認知症により判断能力がないとみなされるのですから、当然、凍結され、処分できないことになります。
 私は、これまで高齢者に不動産の処分ができない理由の「調査及びその判断基準」について不思議に思っておりました。今回、この初歩的な疑問も解決したように思います。
 これらの判断能力の有無に関する発見の端緒は、認知症であると診断されることの他に、高齢者の金融機関(銀行)での対応にあるのですね。キャッシュカードの紛失や訳の分からない要求等をきっかけとして、金融機関の担当者により、当該高齢者の判断能力が低下していると考えられると金融資産の処理は「凍結」されるようです。そして、金融機関での取引が「凍結」されることによって、当然不動産取引も判断能力が劣化しているとして停止されることになるのですね。
 金融機関によって、「凍結」の判断が分かれる例もあるとの指摘があり、驚きました。

3.   不動産に関心があるものですから、高齢者の判断能力の低下によって、自宅の売却が困難になるという数字に関係した新聞報道についてもご紹介します。
 昨年8月の新聞報道ですが、以下、引用させていただきます。
 第一生命経済研究所が、住宅・土地統計調査や世帯数将来推計、年齢別などの認知症有病率から試算したものだそうです。認知症の人が所有する住宅は2018年時点で210万戸、2021年時点で221万個、何と2040年には280万個に増えるようです。
 絶望的な数字ですね。老人の経済状況の心配だけでなく、日本経済そのものが心配になります。
 やはり認知症に対する対策を事前に立てておくべきなのです。
 高齢者に認知症等を予測した対策を立てていただくようにお願いすることが第一です。新聞報道でも結論は同じようです。特に、自宅は、最後まで住み続けるだけでなく施設に入所する費用の捻出等にも関係します。高齢者の生前処分ですから、死んでから効力を発揮する遺言書ではまかないきれないのです。
 私的には、昔から受け継いできた山林や農地の処分にも、同時に関心をもっていただきたいと考えております。

4.   では、遺言書以外にどのような処理が適当なのかについて考えましょう。遺言書は本人が亡くなられてからの取り決めですから、今回のように認知症になっても頑張って生きている人には向きません。
 先ず成年後見人制度ですが、法定後見と任意後見との二つを考える必要があります。
 法定後見人制度は、従来より民法に規定があり、私も何度も関係させていただきました。でも先ず後見開始の審判を受け、その後、別の裁判体である家庭裁判所によって、後見人が選任されるという面倒な手続きが必要です。しかも選任された後見人に関して不服申し立てもできないのです。
 次に、任意後見人制度についてみてみましょう。平成12年施行「任意後見契約に関する法律」です。
 第2条「一 任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約・・」とされています。利用者が種々の方策を検討できることが素晴らしいですね。
 

5.   平成19930日施行の「信託法」も見逃せません。
 この法律は家族信託とも言われ、前回のコラムで、ネット等を点検すると、家族信託に関係した宣伝が相当数挙がっている状況も説明しました。
 高齢者の方の事情もありますが、家族信託の方法も有意義な選択だと信じます。是非、専門家に相談されるのが良いでしょう。

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1.   明日の日本が高齢化社会になることは常識のようなことです。
でも「高齢化する我が国の明日」を書くことは、論点が多すぎます。読まれる方も何が書いてあるんだろうと不審に思われますよね。やはり弁護士として相談される内容に絞って書きましょう。
 私の友人達も私と一緒に年をとってきました。友人からの相談は、典型的には、やはり老人としての財産保全或いは遺言の相談が多いですね。今流行りの信託、「家族信託」などの質問も増えてきました。でも友人ですから、弁護士として質問されているのか、友人として質問されているのか分からないような内容のものも多々あります。投資や株の話をされると、さすがに「弁護士としては答えられない」と限定付けして会話をしております。

2.   感心した質問から紹介しましょう
 その一つは、アパート経営をする友達からの相談でした。
「老人に賃貸する場合に気を付けるべきこと」について聞かれたのです。このようなことは、間に立つ不動産屋さんに聞くべきことで、弁護士に聞く内容ではないとも思いましたが、でも感心しました。
 友人に「老人に貸すなんて偉いね」と、先ず驚いた事実を告げました。友人は「俺も老人になったからね。老人に貸さないアパート経営者が多いらしいが、困ったものだと思ってきたのだ」と自分の気持ちを率直にあかしてくれました。
 私からのアドバイスは、契約書の内容について詳細に規定するべき事項等に及びましたが、寧ろ、面倒を見てくれる人の存在や不動産屋や友人から定期連絡ができるのか等の質問をしました。そして何よりも重要なことは、地域社会の老人見廻り等の在り方についての質問になってしまいました。地域社会の高齢者に対する接し方が何より重要だとアドバイスしたことを記憶しております。

3.   私は、かつて「放棄できない不動産制度」を紹介して、その法制度の在り方を問題にしてきた弁護士です。当コラムでも何度も書いたテーマですので、皆様ご存じでしょう。
 このような経緯から、私は、相談される方の所有される不動産が山林など、価値のないものかどうかについて、すぐに心配してしまうのです。私の友人達には、先祖代々の不動産を持っている方も当然いますが、これまで具体的な相談は避けてきました。
 ところで、当コラムで問題にして以降、不動産の国庫帰属の方策が検討されてきたのです。
 その結果、「相続土地国庫帰属法」が、昨年成立しました(施行は令和5年です)。でも成立したばかりの「相続土地国庫帰属法」も随分条件が厳しいのです。しかも費用もかかるのですね。なかなか、山林などの相続財産を持て余している友人に対して喜ばれる回答はできないでしょう。でも友人には、この法律についての説明の電話はしてあげるつもりです。

4.   地方都市の農村で生活する叔母さんの相続について相談を受けたこともあります。
 相続財産の調査から話が始まりましたが、相談者は、叔母が生活されている自宅の写真を持ってきておられました。写真を見て驚きました。本当に立派な邸宅だったのです。しかし、相談者は一文にもならない家だとおっしゃるのです。
 私は、近くの町の不動産屋さんに行って査定をとるようにお願いしました。躊躇されていたので、私は「叔母の土地を売りたいけど値段が付くの」と聞くだけでもいいですよとアドバイスしました。近傍の不動産屋さんなら、不動産の査定がすぐできると経験上知っているからです。
 その他の財産調査は登記簿謄本等の資料だけでなく、借金等の調査が必要です。預金はないと仰っておりましたが、やはり調査をお願いしました。
 その結果、ある程度の財産があることが判明し、叔母さんに後見人を付けるのか、遺言書を作るのかという議論に進展しました。
 

5.   最近のネットを見てみますと、家族信託に関係した宣伝が相当数挙がってきます。
 平成19年施行された「信託法」により、高齢者の新たな財産管理方式ができたのです。相談される方も、遺言だけでなく、財産管理の方法(後見制度や信託制度)を理解されるために相談をされる人が増えたように感じます。確かに、制度の関係と自分の希望される状況に関して、どの制度を採用するのがいいのか疑問を持たれるのは当然だと思われます。
 これまでは禁治産制度は別にしましても、財産管理の方式として後見制度を理解されていればよかったのですが、財産信託の方法も増えて混乱されるのでしょうね。
 老人になり、自らの財産管理もこなし、遺言書の通りに人生を終えたいという方の相談は増えております。

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1.   「探偵業の業務の適正化に関する法律」の内容を読んで、今まで不思議に思っていたことがスッキリしました。この法律は平成18年に施行されていますが、これまで内容を読んでいなかったのです。
 実は、私は、小説をよく読んでおります。探偵に関する小説も大量に読んできました。しかも弁護士を辞めざるを得なくなって、探偵稼業に転身したという小説もありました。二つの稼業が絡み合う場面は面白いですね。
 ところで、弁護士は、逆に探偵業に関係するような行動をすることもあると、当コラムでも書いてきました。でも、弁護士業務ができなくなるということは、弁護士会内部での懲戒処分や刑法上の刑罰を科されることがあったためです。弁護士業務ができなくなったため、止む無く転身したというのが常識的な判断です。つまり、弁護士業には社会的な評価がありますから、その社会的な地位を放棄して、探偵稼業に簡単に転身する理由がないからです。
 小説の進行具合に不思議に思ったこともありましたが、今回、探偵業には「探偵業の業務の適正化に関する法律」で拘束されていると勉強して色々と分かってきました。本当に厳しい法律です。でも、小説は小説として楽しめばいいのです。

2.   早速、「探偵業の業務の適正化に関する法律」の内容を見てまいりましょう。
「探偵業務」の定義があるのでびっくりしました。
2条で「探偵業務」とは、「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう」とされています。
 探偵業務が、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行うことであるとする直接的な定義に驚きました。離婚事件で裁判の行われた直後、本人や探偵等の尾行に注意して弁護士業務を行ってきたことも当コラムでも書きましたが、正しい行動だったのですね。尾行がはっきりしている事件では、裁判官にお願いして、依頼者とともに裁判官通路(法廷の裏側にあります)を使わせていただいたのは賢明な判断だったのです。
 小説では、探偵業務というものには才能が必要であるとしていますが、少しがっかりしました。資料の収集等弁護士の秘密業務と比較し、単純に肉体的な調査であることに少し興ざめしたのです。
 でも欠格事由という第三条を読んで、探偵業の厳しさに驚きました。
 破産者や罰金刑を受けた者など欠格事由に該当し、非常に厳格に規定しています。暴力団の欠格事由もあり、驚きました
 書面による契約方式、名簿の備え付け、届け出書面の掲示等珍しい規定が一杯あります。取締機関が公安委員会であるのも驚きました。本規定の罰則も厳しいですね。

3.   小説では、届け出をしない探偵業者の話も頻繁に登場します。或る小説では、届け出しない探偵業者との争いを面白く展開する話もありました。実は、私は、届け出しない臨時の探偵業者や、臨時雇いの探偵業者の話もよく聞いておりました。
 随分前になりますが、優秀な会社員であった社員が会社を退職して探偵になる(なった?)という話を聞いたことがあります。彼の友人に会う都度、探偵業の届け出をしたのかと聞いておりましたが、届け出をしていなかったのでしょうね。
 今回、法律を勉強して、このような法律違反の探偵を探偵などと言ってはいけないことが分かりました。
 小説ではこのような探偵が出てくる背景を深堀りしたものもありました。或いは、探偵になるための学校を作った探偵業者の話もありました。

4.   離婚事件や相続事件では、探偵業者に依頼せざるを得ない事件も受任します。浮気の事実や別居後の住所(子供の所在)を知りたいと判断されることも多々あるのです。或いは、過去の暴力事件が、現在の紛争に有利に使える可能性のある事件も存在します。どちらにしましても、当事者に抜き差しならぬ紛争が現存し、当事者同士が現実に会うと危険な状況になるという事件はかなりあります。
 離婚事件であるなら、読者の皆様も探偵を付けて浮気の現場を押さえようとしているなと想像されるでしょうが、相続事件でも、刑事事件でも調査が必要な事件は多々あります。
 近隣紛争ですが、私の現地調査に関係して、後追い調査をされたこともありました。事務所を出るところから後を付けられ、会う人の調査をされたため、後日、依頼者から苦情を言われたこともありました。
 でも後を付けられても、気付く人は少ないでしょうね。今回、小説を読んでおりまして、追尾する人の前に出る追跡調査方法や、複数の者による追跡調査方法も勉強しました。住んでいる家に面した借り家で、ベランダに定点カメラを設置して何日も調査する方式の小説も読みましたが、本当に調査方法にはきりがないですね。

5.   以上のような事件のために、自分自身が注意深くなるだけでなく、事務所の戸締りや、面会申し込みに対して、事務所の全員が意識して注意するようにしたこともあります。
 今後とも、以上を肝に銘じて邁進します。

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  1.       前回のコラム「SDGs」について書いた後、いろんなところで「SDGs」の語を目にし、聞くようになりました。「SDGs」については、小学校の授業でも教えることがあると聞いて自分の勉強不足を反省しております。しかし、そもそも「持続可能な開発目標」という日本語の説明もあまりいいとは思いませんが・・。
     先日、日本経済新聞で、3面も使って奈良の鹿達との交流について「SDGs」の側面から説明しているのに驚きました。
     10年以上前になりましょうか?私も奈良の鹿を見たくて、妻とともに泊りがけで奈良に行ったことがあります。鹿との付き合い方を勉強して、春日大社と公園を歩き、鹿と遊んだことがあります。この春日大社とともに鹿が神聖視されるようになったと聞いておりますので、人と鹿との交流は1200年以上の付き合いということなりますね。
     新聞記事によりますと、奈良の町の民家が鹿を守るために「ならまち格子」という独特の風情のある太い格子を使っていると写真入りで説明がありました。奈良に行ったのに、風流な町家だなと思うだけで、その理由まで詮索しませんでした。残念なことです。
  2.    奈良の町の何が「SDGs」なのか?新聞記事で紹介されている奈良教育大学准教授中沢静男氏の論を紹介しておきます。
     「奈良公園の芝はいつもきれいに刈られ、鹿の糞もいつの間にかなくなる。これは公園では鹿が芝を食べるので芝刈りをする必要がなく、糞はさまざまな種類の糞虫が分解し、それを肥料に芝がまた育つからだ。持続可能な循環があるからだ。」
     「奈良は鹿の立場で制度やシステムを作ってきたからこそ、共生が可能になった。」
     昨年夏から、体験型ツアー“奈良「SDGs」学ぶ旅”を始められたそうです。
     以上のような分析を読んでいて気付きました。私が農業に思い入れを持ち、農業に関係するコラムを、何回も書いてきました。これらの有機農業や工夫された農業も「SDGs」としての持続可能な開発から論じられるように思います。
     「SDGs」、すなわち持続可能な開発目標は、私たちの身近にあるのではないかと思うようになりました。
  3.    前回のコラムで「SDGsアクションプラン」の内容を紹介しましたが、私が自分のこととして非常に衝撃を受けたことからお話ししましょう。それは△痢崘齢や性別、人権、民族、出自、宗教或いは経済的地位等で差別しない社会を作る」という項目で、性別で差別してはならないというものに該当します。
     私が、司法試験に合格後、司法研修所というところで2年間修業した時期のことです。当時の司法試験の女性合格者は1割程度でありました。この将来の法曹界を荷われる女性合格者の一人が、既に結婚はしているが名字を変更することに反発され、戸籍入籍はしていないということに衝撃を受けました。私もすでに結婚していて、彼女の疑問に素直に答えられる精神状態ではありませんでした。このような制度や慣習に何の疑問も抱かなかったというのが正直なところでした。
     この方は、今も事実婚のままで夫婦共に大活躍されています。
     コラムにも書いておりますが、この当時の司法修習生の間で、「女性差別を論じるという集まり」が作られておりました。男性仲間達に懇願され一回だけその議論に参加しました(上記の事実婚については、この議論の後、その方と面識を得てから知ることになるのですが)。当時の議論は、民法第772条の「嫡出子推定規定」や同733条の「再婚禁止期間」等も話題となっていたと記憶しております(民法772条では、前夫の子と推定されるため、これを拒絶して無戸籍となる)。
     今回やっとこれらの民法規定が見直されようとしておりますが、これらの民法規定は明治時代から続く因習のような決まり事です。私たちの意識の変革も求められていると考えております。
  4.    当時、問題になったことの一つとして、無戸籍者の問題もありました。
     4年前、20181126日及び1225日掲載の当コラム(「この1年間で出された濱義之さんの本 その1」及び「同 その2」)において、無戸籍者の問題について書いております。当時は、民法772条関係だけに及ばず、外国人と言われるが日本人と同様に暮らす人々にも関心がありました。このことが題材になっている濱さんの出版された小説「爆裂通貨」、「最恐組織」を紹介したいという思いもあったのでしょう(今読んでも面白いですよ)。
     ただ一つ注意するべきことがあります。
     今回の民法改正に際して報道されている無戸籍者の人数が大きく違っているのです。私が4年前のコラムでは無戸籍者1万人程と書いているのですが、今回の民法772条改正関連では僅か825人となっているのです(法務省発表数字とのこと)。
     法務省は、海外の人たちで日本人と同様に生活する人々は統計に取っていないのでしょうね。当時は、このような方々の日本における取り扱いが焦点になっていた側面もありました。当時のコラムでは、私が他国の戸籍について裁判をした事例も掲載しております。
  5.    今回は、いろいろと目にされるであろう「SDGs」活動について、再度書かせていただきました。
     できれば、私が希望を託す農業に関係した「SDGs」活動も目にしたいと念願しております。

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  1.   近時、時折り目にします「SDGs」とは何でしょうか?日本語では「持続可能な開発目標」というのですが、これがまた分かりにくいですね。
     要約しますと、
    2015年の国連サミットにおいて、世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題というような様々な課題に関して、世界中で、2030年までに解決しようと、加盟国で合意されたものです。
     日本も国連加盟国ですから、その取り組み体制として、
    20165月、内閣総理大臣を本部長として「SDGs推進本部」を設置し、毎年「SDGsアクションプラン」を策定するなどし、種々の対応をしております。近年は、優れたSDGsの取り組みを提案する企業・団体などを表彰したりしています。
     私も、当初は何のことか良く分かりませんでした。そこで「
    SDGsアクションプラン」の内容を簡単に言ってしまいましょう。
    ”郎い悩い辰討い訖佑鬚覆すべく、例えば発展途上国への支援、
    年齢や性別、人権、民族、出自、宗教或いは経済的地位等で差別
    しない社会を作る。
    4超を大切にするため、地球環境・自然環境に配慮した国や企業を
    支援するというようなことが内容となります。
  2.  ,筬△亡愀犬垢觧件に関し、「SDGs」が語られるようになって初めて、私たち弁護士は、大げさな意味でなく、昔から、しかも普通に「SDGs」活動そのものをしていたことに思い当たります。そうなのです。弁護士の多くの方は、通常の弁護士活動が「SDGs」活動に該当することがよくあるのですが、皆さん、そのような意識もなく、頑張ってこられたのではないかと思います。
    私は、弁護士になりたての頃、人権擁護委員会に属しておりました。
    種々の人権救済事件を扱いました。更に、外国人部会という特別部会に所属し、日本で人権を無視されるような状態にある外国人の人権救済事件を多数扱いました。
    出稼ぎのための不法入国者や、違法入国して入国管理局に拘留されている外国人の救済に幾度も駆り出されております。
    弁護士ですから、救済できる法律がなければ、差し入れをして慰めるだけの事件もありました。裁判審理中、突然法廷の前の裁判官入り口に突進する人もいて、予想のつかない行動に直面したこともあります。英語など通用しない国の方々ですから、アメリカで弁護士をしておられた先生も困惑されていたことが昨日のように思い出されます。
  3.  私が弁護士になった頃は、日本がバブルにはじける前の時代でした。法律相談の費用も出せないという方々も多数おられました。無料法律相談の工夫もしましたが、国の援助と提携して法律相談をするなどの仕組みづくりの提言も業務の一つになったときもありました。これこそ「SDGs」の柱の一つに該当する活動になります。
    私は、法律相談運営委員会の委員長も経験しましたので、霞ヶ関の弁護士会館だけでなく各地に法律相談所を設け、霞ヶ関に通えない方の便宜を図るなどの工夫もしました。
    でも時代の変遷は怖いですね。日本の経済が安定したこともあるのでしょうね。相談者の減少に伴い、多くの出先の法律相談所は解散の憂き目をみることになりました。あっという間という感じです。現在東京における外部相談所は弁護士事務所兼用を除くと数えるほどしかありません。閉鎖に伴い、そこで働かれる事務職の方々の将来を思うと暗澹とした気分になりました。これは最近の経験ですが、自慢できないこともあるのです。
     当時は、女性に関係する差別に対する活動が殆どなかったことは、現在の認識からは考え難いことですね。
  4.  「SDGs」活動で、これは難しいなと思うことがあります。
    前にあげた「4超を大切にするため、地球環境・自然環境に配慮した国や企業を支援する」というものです。
    企業を支援すると言いましても、企業が会社収益を度外視して、地球温暖化活動に邁進することは許されないようにも考えるからです。私も複数の会社役員会に出席しておりますが、どのように発言するべきか現在悩んでおります。
     そこで、この分野で活動される弁護士の先生の発言や活動状況を紹介しておきましょう。
    弁護士会報で発言されているのですが、第一東京弁護士会で設けられている環境保全対策委員会で活躍されているようです。この委員会には、「地域創生SDGs部会」、「再生可能エネルギー部会」、「ESG部会」、「環境法令検討部会」などの部会があり、各部会がSDGsについて活発に研究活動されているようです。
    発言されている先生は、内閣府が設けている「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の窓口も担当され、再生可能エネルギーが気候変動対策で注目されていることから、再生可能エネルギー部会を中心にして、「再生可能エネルギー法務」の本も改訂・出版される予定のようです。
    企業の社会的な役割を中心にして、企業にその役割を求めて活動されているようですが、弁護士ですから、この分野の活動は難しい側面もあるでしょうね。
    でも現在、大きな変化が生じていることは事実ですから、当事務所も頑張ります。

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  1.   本年も年末を迎え、新聞報道も将来の「見通し」記事が多く掲載されるようになりました。報道を見なくとも、どんどんIT化する将来の制度変更は十分認識できます。しかも裁判制度も例外ではなく、我々弁護士もそれに対応しなければなりません。例えば、1216日付日経新聞の朝刊を見てみますと、3面に渡って、次のとおりの記事が掲載されています。
        4面見出し「全規制をデジタル前提に」、「対面・書面、原則認めず」
                 「政府が計画案」
        46面社会面「倒産手続き、IT化へ」、「政府計画案、23年度にも試行
                   離婚裁判なども検討」
        7Opinion面には、「バイデン『画面外交』の真贋」として、前大統領トランプと比較し、外交交渉でもオンラインを上手く使ったバイデンを持ち上げ、今後の外交交渉の難しさをコメントしています。
      コロナが蔓延し始めた1年以上前のことですが、コロナの影響で、裁判所の準備手続きが大変遅れたことがあります。私達弁護士は廊下で待っておりましたが、担当の裁判官が走り回っておられました。準備手続きに入って裁判官と対面した際、裁判官から、遅れた旨の謝罪がありました。当時、当事者の対面を避ける仕組みづくりのために打ち合わせをしておられたようです。その後、準備手続きが電話会議になるなど、相手の弁護士との対面も随分減少しました。
  2.   裁判関係でのIT化は、コロナが原因だと思っておられませんか?でもそれは「きっかけ」でしかなく、根本的には、裁判手続のIT化は、200411月、民事訴訟法の改正として宣言されているのです。
      当時は、それほど驚きませんでした。我が国のデジタル化が先進国のなかでも遅れていると聞いて、「そんなことはないよね」と考えておりました。私は、丁度20年ほど前、先進的と言われる国の裁判制度の視察のため、かなりの数の国を回っておりました。IT先進国と言われる国も回りましたが、それ程我が国の裁判制度が遅れているようには見えませんでした。差が出たとするなら、最近の僅か10年弱のことで、世界の「IT化」が、急激に進んだのでしょう。
      皆様、あまり必要のない民事訴訟法の条文など、目を通されないでしょうから、条文を紹介しましょう。
         第7章 「電子情報処理組織による申し立て等」

         第132条の10 第1項(読みやすく手を入れます)
       「民事訴訟に関する手続における申立てその他申述のうち、当該申立て等に関するこの法律、その他の法令の規定により書面等をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするものについては、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織を用いてすることができる。」
      電子情報処理組織とは、電子計算機を意味しているらしく、電気通信回線で接続した電子情報処理組織を言うと、かっこ書きで規定されております。
     ところで、「残念」というのでしょうか?
      電子情報処理組織に関する最高裁判所規則がまだ定められていないのです。10数年間の放置状態ですから、裁判所のIT化は、いまだ実現されないまま放置されているのです。
  3.   今回のコロナ騒動で、裁判所のIT化は、一挙に進展するのでしょうね。進行状況に関する情報については、次の通りのようです。
      つまり、20233月を目途にして、非公開手続きでの「主張書面や書証の写しの提出をオンラインでやり取りする」。20243月を目途に、上記の手続きを公開法廷で運用開始する。
      20263月を目途に、主張書面や書証の写しの提出を含め、裁判関係文書をオンラインで随時確認できるようにする。そして同時期に、訴訟記録や事件情報を電子的に管理し、訴訟当事者や代理人等がオンラインでやり取りする。
      ここまで電子化が進みますと、私の事務所も大変です。
      先ず、事件記録の保存方法が変わります。現在事件記録は、数年間現物保存することにし、その後、段ボール箱に詰めて貸倉庫等を含め合計約10年弱、保存することにしております。
      ところが、今回の改革は、有形物の保存が中心ではなく、電子記録の保存が中心になります。昔の記録が必要の場合、閲覧は電子記録になりますから、数年保存も容易で(場所をとりません)簡単に保存できます。でも電子記録の保存方法など決めることは多数あります。秘密保持もあり、取り出し方法等も決めねばなりません。
      事務所の在り様も大変革にもなりますが、裁判所の記録管理の様式も大変革になります。記録の閲覧を幾度もした私には、裁判所の裏方の苦労も分かります。
      当事務所は、裁判所の記録管理の方式等も参考にさせていただき、当事務所の記録保存の在り方を検討することになります。
  4.   昨年は、私が役員をしている会社でも、役員会がウエブ会議によって行われました。役員各人の顔も見られるのですが、何か物足りませんでした。しかも株主総会までウエブで行われると・・(違和感が強かったですね)。
      でもIT化は、時代の要求になっているのでしょうね。何処からでも参加できますし、余計な時間や経費もかかりません。
      いいことも一杯あるのです。

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1.  前々回掲載したコラム「入居者の自殺―アパートの事故物件」では、考えさせられることが本当に数多くありました。特に、「高齢者の事故物件」に関しては、現在の課題そのものなのです。
 新聞報道された国土交通省の「事故物件」について、そもそも、国土交通省が懸念するものとして、「入居中の死亡を貸主が不安視するあまり、単身高齢者入居に否定的な家主が多い」と指摘する報道もありました(朝日新聞)。
 日本の人口構成がどんどん高齢化している事実は、誰でも知っていることです。しかも、独居高齢者の生活満足度のほうが同居高齢者の満足度より高いというデータを紹介する医師の調査もあるそうです(辻川覚志著『老後はひとり暮らしが幸せ』)。
しかし高齢化社会における問題点は、これからの課題であると言っていいでしょう。

2.  思い起こしてみますと、高齢者に対する論点が、弁護士の世界で強く認識され始めたのは、相当昔のことです。
 私が東京にある三つの弁護士会の法律相談を統一化して、相談者の皆様の便宜に答えなければならないと問題提起していた頃の話ですから20年以上前でしょうか。当時、成年後見人等の制度が、弁護士の世界で話題になる時代でした。弁護士会で、後見人や保佐人になる方に貢献できることはないかと話題にしたこともあります。
 驚いたことは、友人の弁護士が、私を自分の車で送ってくださったことがあるのですが、その車が身障者の椅子型運転車を乗せられる介護使用になっていたことです。驚いて「何故、このような介護用の車に乗っているのですか」と質問したところ、友人は、後見人として必要だと思ったからだとおっしゃるのです。相当高額な車になったでしょうから本当に驚き、且つ、友人の配慮に感心しました。でも、この話には落ちがあるのです。
 後見人や保佐人には、司法書士の先生がなられることが大変多く、当時、司法書士の先生方の専門領域のような感じをもったことすらあります。私は裁判所からこのような先生方の監督人に任じられたこともありました。
 私は、司法書士の先生に、「私の友人の弁護士が介護の車を買って、老人の後見業務をされている。感心した。」と話をしたところ、その先生は「それは、やりすぎかもしれません」とおっしゃるのです。吃驚して、その理由を聞いたところ、その先生は次のように答えられました。「近所の方にも配慮した普通の車で訪問するべきです。高齢者等の方々は、近所を大変気にされていて、知られることを恐れておられる方が多いのです。そもそも、身の回りの直接的なお世話は、我々の業務ではないのですから。」と教えられました。自分の感覚は、ずれているのかなと不安を覚えました。高齢者や認知症の方、そして彼らをお世話する家族の方々との認識の差に驚いたのでしょうね。
 20年以上前のことですが、このような状況に変化があったでしょうか?現在、高齢者の一人住まいがどんどん増加しているとの統計も出ております。上記のような心配が、不要な時代になっているのか案じております。

3.  最近では、「独居老人の孤独死」という言葉よりも在宅死のおすすめを内容とする本がたくさん出ています。
 例を挙げてみましょう。「最高の死に方」(近藤誠著)、「極上のおひとり死」(松原惇子著)、「在宅医療の真実」(小豆畑丈夫著)等、多数出ているので驚きました。私は早速「在宅ひとり死のススメ」(上野千鶴子著)という本を購入しました。この本は、統計上の数字が根拠として多数引用されているので、購入しました。
 余談ですが、購入直後の915日付朝日新聞朝刊に「老老介護の夫婦 凍えた末」と題され、89歳と80歳のご夫婦が「SOSなく 異変気づかれず」亡くなられ、これからは「孤独死」ではなく「二人の孤独死」であると題して報じているのを読みました。話がどんどん先を行き過ぎる気がしないでもありません。
 でも、前々回掲載のコラムでは、高齢者の孤独死が不動産価値の下落にならないかと心配して、次の論争点を提起しようと考えていた程度の私の認識は相当遅れているのかなとも思いました。

4.  話がそれましたが、「在宅ひとり死のススメ」では、医療機関や高齢者施設等の介護施設で人生の最後を迎えるより、「最後は、自宅でひっそり死ぬ方がいいよ」という内容がテーマです。統計上の数字として、「おひとりさま寂しさ率」、「おひとりさま不安率」、「寂しさ満足率」等種々の統計上の数字が出てきます。
 私は、これまで、「行き着くところ、在宅でのサービスが満足に受けられるかどうかにある」と判断しておりました。上記の本でも結論は同じでした。そして「介護保険が危ない」として30頁ほど論じてあります。高齢者の在宅死から、以上のような論点になること自体、いまだ在宅死が望ましいと言えるのか疑問に感じざるを得ません。
 当該書籍の「在宅ひとり死のススメ」では、訪問介護、訪問看護、訪問医療等が論じられ、介護サービスの詳細がテーマとして挙げられ、これまでの経緯から「介護保険が危ない」と続きます。
 介護保険を解決するべきテーマとする政治家が是非とも登場してほしいなと思いました。

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  1.   当事務所が、「不動産放棄」に関係する論点に関し、草分け的な存在であることは事実ですが、今回は、下記情報誌よりインタビューを受けました。
      情報誌は、「
    IBまちづくり」と冠された書籍で、経営者向けの建設・不動産専門情報誌(株式会社データ・マックス発行、vol36、令和3年5月31日発行)です。当該情報誌の編集の方から、「不動産放棄」に関係する論点に関してインタビューの申し込みがあり、当事務所所属の田中宏明弁護士が対応致しました。
      当該情報誌では、具体的にどのような法律が制定・改正されるのか、どのような内容になるのかについて詳細に紹介されています。法律の制定や改正等がなされることについては、これまで当コラムでも紹介してきました(例えば、
    2018628日掲載「不動産は放棄できないの法整備」では、今回の改正に関する方向性を記載しています)。しかし、その具体的な内容等については、当時、議論されている時期であり、当然、報告できておりませんでした。
      当該情報誌では、具体的な法律の施行内容、及びその施行日等まで記載され、本当に有意義な報告書となっております。是非とも、当該情報誌の内容等について紹介せねばなりません。
  2. 最大の眼目は、「相続した土地の放棄」、つまり相続した土地の国庫帰属の手続きが新設されたことです。
      201515日、当コラムでは「空き家問題と不動産放棄」と題して、当時週刊エコノミストに掲載された当事務所作成の記事に対する問題意識を書いております。突き詰めれば、自由に不動産放棄を認めるなら、民法2392項「所有者のない不動産は国庫に帰属する」に基づき、国の責任(経済的な負担以外も含む)となってしまいます。
    経済的な負担を含め、それでいいのか?という問題提起です。結論としては、「自己責任のネグレクトになる」という警告が、当該週刊エコノミストでは十分に論じきれなかったという反省です。
      今回の法改正では、10年分の土地管理費相当額の負担金及び審査手数料を支払うことを条件にして相続した土地を国庫に帰属させられるようになります(20234月までに施行予定)。
      確かに、相当多額な金額になる場合もあるでしょう。問題提起される方も当然いらっしゃるでしょうが、自己責任を考えますと、相応の対応であるとも評価できます。次に述べる「放棄の対象となる不動産の範囲」を含めて、今後検証されるべき論点となるでしょう。上記国庫帰属制度は、施行から5年後、運用状況を検証して見直しの予定だそうです。
      対象とされる不動産は、次の通りです。
      建物がない更地、土壌汚染や埋設物のない更地、崖のない土地、権利関係に争いのない土地、抵当権などの設定がない土地、境界が明白な土地で、結論として、管理や売却に多額の費用や労力の要しないことを要件としています。
  3.  次に、不動産登記制度の改定、所有者不明土地に対する行政や裁判所等の対応についても種々手当がなされています。
      今回は、冒頭にて紹介しました書籍「IBまちづくり」に掲載された表「改正のポイント」と題された項目(既に論じました「国庫帰属制度」のみ省きます)を引用させていただきます。
      不動産登記制度
        土地・建物の相続登記の申請義務化―相続による土地・建物取得の日から
        3年以内(10万円以下の過料の罰則あり)
        土地・建物所有者の住所及び氏名の変更登記の申請義務化―変更から2
        以内(5万円以下の過料の罰則あり)
      所有者不明土地の利用
        法定相続人が、自らが法定相続人であることが分かる戸籍を取得し単独で
        申告できる「相続人申告」登記制度を新設する
      相続開始から10年を過ぎると、法定相続分で遺産分割を行う仕組みを創設
        する
      相続した共有地は、所在不明の共有者持分の金額支払いで持分集約を可能
        になるようにする
      所有者不明土地の管理人制度を新設する
  4.  書籍「IBまちづくり」に掲載された当事務所所属田中宏明弁護士のインタビュー記事が写真入りで掲載されています。その一部を紹介します。
     「今回の法改正により、相続登記の放置がすぐにゼロになることはないと思われる。また、過料の金額が10万円以下と低く、国としてはどれくらい登記されるか「様子見」という面もあるのではないか。登記が増えなければ、制裁を厳しくしたり、制度新設や法改正が行われたりする可能性もある。
      都市部の土地についていえば、基本的には価値があると考えられる。そのため、国庫帰属制度を利用したいという希望が出てくるとすれば、境界が分からない土地や、工場跡地で土壌汚染がある土地など、そもそも利用や売却に問題がある土地ではないか。
     その場合、国庫帰属制度の要件を満たすため、境界確定訴訟により境界を確定させたり、土壌汚染の除去工事を行ったりするのは、費用面のハードルが高いと思われる。従って、相続後の「放置」が解決しない場合も多いだろう。」

 

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  1.   つい先日の新聞報道で、国土交通省が、「過去に人の死亡が発生した物件に関し、賃貸や売買時において、当該死亡に関する事実の告知義務」についてのガイドラインを纏めたことを知りました。この指針案は、不動産業者及びその関係者が、入居予定者や購入者に伝えるべきであると判断される従来からの問題点をテーマにしております。
      今回、広く意見を募って、今年の夏の終わりまでに正式決定を目指すそうです。
      私が弁護士になった頃、賃貸物件の事故管理に関する相談が度々ありました。アパートを管理する管理会社が、賃借人と連絡が取れなくなったので、強制的に賃貸物件の部屋に入りたいという相談から始まります。更には、連絡が取れなくなってから、相当時間が経ってしまったが、嫌な匂いがしてくると隣の居住者から苦情が出されているという相談までありました。管理会社ですから、入り口の鍵はあるのですが、他人の家に無断で入る訳にはいきません。私は、死亡等の事件性が考えられる場合でなくとも、警察官立ち合いにて入室しました。

      管理会社の社員といっても、当時は慣れていない方々ばかりでしたから、警察官が入るより先に、どんどん室内に入ってしまう方もおりました。私は、彼らに「物を触らないように」、「手袋をしなさい」、「ゴミ箱の中の日付のあるものをチェックしなさい」と種々注意をした記憶があります。
      その調査の結果、所有者やご近所、更に、新たな賃借人や購入者等の関係者に対し、どの程度お知らせするのか等についても、相談を受けました。
      最近は、上記事故物件の扱いもマニュアル化され、私たち弁護士の出番も無くなってきたように思います。有難いことです。
  2.   国土交通省の指針を見てみましょう。
      新聞の見出しには「事故物件 病死は告知不要」と大きく題が付けられています。その新聞によって内容を紹介します。
      指針案の対象は「住居用」で、オフィスは対象外になっております。
      指針案によりますと、「告知が必要ない事案」には、病死、老衰などの自然死、転倒など日常生活に伴う不慮の事故死が盛り込まれています。一方、「告知すべき事案」には、他殺、自殺、事故死(不慮の事故以外)、事故死か自然死か不明な場合、長期間放置され、臭いや虫が発生するなどした場合を含みます。
      ただし、上記他殺や自殺、事故死については、賃貸物件と売買物件とでは条件が異なっています。賃貸物件の場合、死亡から「おおむね3年間」の間は告知が必要で、それ以上の年月が経過した物件は告知する必要がありません。ところが、売買物件では、死亡からの期間にかかわらず告知が必要というものです。
      これまでの経験から考えますと、基準が決められるということはすごいことだと判断できます。期待しております。
  3.   では判例はどうでしょうか?
      ビックリするくらい様々です。買主及び仲介業者の主張を認める判断をした  判例の要旨を紹介します(東京地裁八王子支部平成12831)
      農山村地域における殺人事件で、凄惨なものだったようです。“当該事件から約50年、経過しているとしても、当該事件は、近隣住民の記憶に残っていると考えられる。買主が、同場所に居住し、近隣住民と付き合いを続けていることを考えれば、通常保有すべき性質を欠いている”として隠れたる瑕疵に該当すると判断しました。「農山村地域」が八王子というのですから、驚きました。でも確かに「いわくつき物件」、「訳あり物件」を購入する方々には壁があるのでしょうね。
      賃借物件での入居者自殺事件は何度か経験しておりますが、その保証人或いはその相続人の方々との交渉は辛いですね。例えば、息子が自殺し、悲嘆にくれる保証人(ご両親が保証人になられる場合が多い)に対して、今後、減額せざるをえない賃料との差額や、或いは賃借人が付かない場合の損害賠償を請求する立場を想像していただければ納得いただけるでしょう。発見が遅れ、しみついた臭い等の原状回復費用、或いは隣室の退去による損害も考えらます。
     相当高額な紛争に発展する可能性があるのです。
  4.   特に印象的な事件で、よく思い出すものもあります。
      弁護士になった頃、友達の弁護士から依頼され、相続事件を共同で受任させていただいたことがあります。友人の弁護士は、足の具合の悪い依頼者と本当に真摯に付き合っておられました。依頼者は、兄弟と深刻な相続紛争を抱えておられ、その事件を我々に依頼されたのです。
      結果として、我々の必死の頑張りで、依頼者の希望する○○万円を獲得しました。依頼者が現金○○万円の入った紙袋(本当に重い)を、足を庇いながら帰られるのを、お見送りした記憶が鮮明です。ところが、この依頼者の方が、友人の弁護士と連絡が取れなくなったそうなのです。友人の弁護士の凄いところは、直ぐに依頼者の家を訪ねたところなのですが、依頼者は布団の上で亡くなっているのを発見されたそうです。私も駆けつけましたが、到着するまでに時間が経っており、依頼者の方は解剖に廻されておりました。事情聴取が終わり、呆然とされている友人の弁護士を誘って、湖の見えるベンチに座りました。長時間、何も話さないで、どんどん暗くなる湖面を見つめていたことが鮮明に記憶されております。その後、相続人から、「売るに売れない」との苦情があったかどうかについては知りません。

 

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