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コラム - 強制執行カテゴリのエントリ

 

一 当コラム掲載の「強制執行費用」
 
1   最初に示しましたコラム「執行費用に関し、実際の事例に即した計算書をご覧ください」という2事例は、私の事務所と懇意な業者の方にお願いし、当方から条件をつけて見積もってもらったものであることは、既に説明しました。
説明する段取りとしては、一回目の明渡催告の執行と二回目の明渡断行の執行の二つに分けるのが通常でしょう。しかし、最もお知りになりたいはずの上記計算書から説明するのも面白いと思います。 
この計算書では、執行前に納付が必要な執行予納金(民事執行法141)も記載しております。一方、執行補助者については、執行手続に関与されることにより発生する別途の費用です。事例によってまちまちで、イメージしていただくだけで十分です。
 
    計算書第一の事例
      典型的なワンルームマンションの居住用借家です。
      家賃7万円で、二回分の執行費用は相当な金額になります。本計算書は懇意の業者
   さん作成ですから、割引きされているのですね。
      面白い費用として、ペット業者費用という項目がありますね。
      ペットかどうか疑問ですが、番犬として秋田犬を飼っていた事例では、役所で「野良犬」
    を捕まえる業務についていた方が執行補助者としてスタンバイしていました。猛烈に吠
    えていた恐ろしい秋田犬も一瞬でからめ捕られ、柱に繋がれました。
ピアノがあった断行執行事例では、ピアノ調教師の方が動員されており、そこまでしないといけないのかと驚きました。
 
3 計算書第二の事例
よくある事例として営業店舗の明渡事例に関し、全体として見積もってもらいました。
魚屋さんで、20坪程度のもので神棚があるという設定にしました。かつて地方の執行で、子供地蔵を祭るお社があったのですが、執行官は、神主を呼んでお祓いをしないといけないと強く主張されました。やむなく神主を呼んでお祓いをしたことがあったことから、このような設定にしてみました。
この設定では、現場に残された魚等の生鮮食品、ショーケース等の備品に注目してください。これらは執行申立した債権者が買い受けてしまうのが手っ取り早いのです。後日に改めて競売をすることもあるのですが、それでは保管費用等で債権者の持ち出し分が増えます。
補注に示された「神棚の相当期間の任意保管」と「しかるべき場所への移転」という記載。これには困りますね。保管とあれば、倉庫代が発生するのです。
 
二 強制執行の手順
 
1 一回目の明渡執行
一回目については既に説明しておりますが、明渡催告と言って占有状態の調査を兼ねて執行するものです。後に述べますが、出て行ってくれるように催告するのです。
計算書に「催告日」と記載されている費用と「断行日」のものとを区別して見てください。これまで見てきましたとおり、断行執行までするとなると多大な費用がかかることが分かります。20坪の営業用店舗で経験的に判断して数十万円を優に超えるはずです。
一回目の執行がかなり重要だという認識のない弁護士には、何とか任意に退去してくれる工夫をお願いしてみてください。つまり一回目の明渡執行は、相手方に任意に退出していただく一番急所になるものだと考えられます。実際に、この一回目でけりがつくこともあります。
例えば、その筋の方は、暴力を生業にされているのですから、実力で追い出されることは、その方のメンツが立ちません。その筋の方は二回目の断行執行予定日の23日前に出て行ってくれることが多いのです。でも話し合いが必要です。その話し合いも大変です。私たちが床に座らされ、債務者は椅子に座るという上から目線の話し合いを強制されたこともあります。これは実際に体験するとかなり辛いです。
ところで、一回目の催告執行は予告しません。不在の場合も考慮して鍵屋も連れて行きます。不在の場合が多いのですが、執行官は明渡猶予期間を設けて催告してくれます。つまり“突然あなたの不在中に鍵を開けて入りました”ということが分かる文書(公示書)を見える所に貼ってくれるのです。債務者に連絡をとる機会にもなりますね。
 
2 二回目の断行執行
計算書の「断行日」の欄を見てください。
断行は2時間を目途にして行われます。したがって作業員が10名、トラックが3台も用意されております。一回目の催告で割合正確な見積もりができますので、断行は驚くほどスピーディに終わります。
執行日、債権者は決断することが多いので、弁護士が執行現場に臨席するべきです。
 
三   強制執行
強制執行のコラムは7回にも及びました。しかし、これでも十分に強制執行の体験談を述べたことにはなりません。
単なる法律講義のつもりはなく、体験談を中心に書きたいと思いましたので、法律書を漁って説明することはしておりません。
占有移転禁止の仮処分についても、前回の法改正で弁護士にやりやすくなっております。これらについて触れても「面白いな」というコラムになりませんので、詳細は解説書に譲ります。

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一 執行官
 
  異色の公務員
昭和バブル経済絶頂期の朝、法廷に出るため午前一番の裁判に行くとき、東京地方裁判所の玄関前である桜田通りには黒塗りのハイヤーがずらりと列をなして停車しておりました。これだけ多くのハイヤーを誰が利用しているのか不思議に思って聞いたところ、執行官の専用車だというではありませんか。
当時は本当に儲かったようです。因みに執行官は執行官法に規定される公務員です。しかし、あまりにも儲けている執行官からの反対にあって(これは漏れ聞いた話です)、俸給性に切り替えることができず、いまだに手数料収入で生活される「異色の公務員」と言われていることは、殆どの方が知りません。
 
2 執行官の業務
我々には自力救済は禁止されておりますが、執行官は、我々に替わって実力を行使してくれます。
執行官の業務は民事執行法や執行官規則で定められておりますが、意外と多くの職務を負担しております。特殊な規定がありますので見ておきましょう。民事執行法61項です。「執行官は職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる」とされております。
     国家権力を担って行う執行現場の総責任者なのですから、危険とも隣り合わせの業務です。私自身、執行官が室内犬にお尻をがぶりと咬まれた現場に立ち会いましたし、暴力をふるう債務者に毅然と対抗された執行官を幾度も目撃しております。
 
3 具体的な経験
    多くの占有移転禁止の仮処分もしましたが、その際、かつて「占有屋」と言われた方にも随分お会いしました。まるで宮部みゆきの小説の世界であります。
居住者不在の場合、執行官は、執行補助者である鍵屋を使って、室内に入ります。電気メーターやふろ場等の調査もしますが、置いてある手紙を見るため、手ではなく鉛筆を使ってひっくり返したり(ビニール手袋を使う執行官も見ました)、ゴミ箱の食物包装紙の日付を見て、居住の実態を調べる執行官もおられました。
ある執行現場で、大量のカレンダーが事務机の上に置いてあるのを見て、他の占有者の存在を明らかにしようとする職業意識の高さに感心したこともあります。この占有調査では、当該事務所を他の会社も利用していることが判明し、本案訴訟の相手方に加えました。
 
4 執行官になりたいという相談
整理回収機構(いわゆるRCC)時代、私の統括する不動産部からも、公募制を利用して執行官になりたいという話をされた方がおられました。執行官の地位や評価について熟知していた私は、それは素晴らしいと勧めた経験があります。
その方は今も執行官として活躍していらっしゃると思いますが、反面、国家権力を担って行う危険な執行現場の総責任者なのですから、大変であろうと案じております。
 
二 執行補助者
 
1 執行補助者
執行官以外にも、執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う職業があります。通常「執行屋」と呼ばれる方々について紹介したいのですが、執行の際に、執行が適正に行われたどうかについて証人となる「立会人」とも異なる職業です。立会人は民事執行法7条に規定されておりますが、執行屋、即ち執行補助者は執行官法1014号に「労務者」と規定されているにすぎません。ですから、執行補助者は労務補助者と言うこともあります。
強制執行の申立をされる債権者の方は、通常、執行官にこれまで述べた関係者一切の選任を任せられます。しかし、私の事務所のように、手馴れた業者と懇意になっているような場合には、その方を指名して執行官と共同作業をこなしていただくことになります。執行官が数名臨場されるという巨大執行事件などを担当しますと、優秀な執行補助者なくして執行業務は困難だと分かります。
因みに、最初に示しましたコラム「執行費用に関し、実際の事例に即した計算書をご覧ください」という2事例は、その業者の方にお願いし、当方からよくある事例として限定をつけて見積もってもらったものを載せたにすぎません。
 
2 執行補助者は我々の味方
    執行補助者の方こそ我々の味方です。
       執行をしておりますと、PCB等産業廃棄物の処理や第三者との権利の調整も出てまいります。自動販売機や第三者の自動車等あげればきりがありません。これらの調整にも種々知恵を出してくれます。
暴力を売り物にされる職業の方にも、幾度か執行をかけておりますが、驚いたことは、その筋の方を執行補助者として要請されていたことが二度ありました。暴力を売り物にされる債務者と同様の方々が執行補助者に参加されているのですから、現場は緊張感一杯です。
若い弁護士の先生方、信頼のおける執行補助者を探し、良き関係を作って下さい。
次回は、コラムの「執行費用に関し、実際の事例に即した計算書をご覧ください」という2事例を見て執行費用を考えましょう。

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一 「強制執行費用」と当コラム
 
1 昨年末、毎日新聞記者の訪問を受けて、「不動産の放棄」に関する私のコラムが多くの人に読まれていることを始めて知りました。この経緯については、今年の初め15日にコラムとして掲載しております。
その際、コラム欄のアーカイブ一覧(私のコラムの記録保管場所)を見たところ、三年前に書いたコラム「執行費用に関し、実際の事例に即した計算書をご覧ください」という欄が2万回をはるかに超えて読まれていることを知りました。しかも「執行費用」でネット検索しますと、私の上記コラムがヤフーの1ページ目に出てくるのも驚きです。
「不動産の放棄」と違って、「執行費用」は知識の断片にすぎません。皆さんの関心は何なのか?自信がなくなりますね。私がコラムを書こうと思ったきっかけは、私の体験談を書いて、少しでも面白いと思っていただきたいというものでした。
確かに若い弁護士の先生方から「執行費用のコラム、読ませてもらいました」というお礼の言葉は幾度かいただきましたが、それほど人気があるとは想像もしておりませんでした。
強制執行の費用に関する説明は細々としており、しかも単なる実務の説明でしかなく、私の当コラムに対する思い入れに反します。しかしこのような実務を何処まで面白く書けるのか、挑戦してみましょう。
 
  強制執行にかかる費用は様々
強制執行での必要費用を考えますと、大きく区分して、裁判所関係の費用、弁護士の費用と言うようになります。
弁護士費用については、もはや種々いろいろです。強制執行専門を宣伝される法律事務所のコラムなど何の面白味もありませんが、しかし、この弁護士費用は意外と高額なのです。執行を専門にされる法律事務所は、細かく種々の場合に区分され、受任される内容を段階別に分類して、その都度請求できるようにしていらっしゃいます。しかし最後の執行まで見越しますと本当に高いですね。
賃料で生活されている方にとって、賃料の何十倍という高額の費用がかかる明渡強制執行に躊躇されるのは当然のことなのです。
 
二 裁判所で必要な強制執行費用
 
1 強制執行費用
  弁護士費用は別にして、裁判所関係の費用について見ましょう。
強制執行には種々のものがあります。担保に取っている不動産を競売することもありますし、金銭債権を債務名義として強制執行することもあります。そもそも預金や動産等押さえるべき対象物によっても、強制執行の方法は変わります。
思い切って、土地明渡や家屋明渡のように、一般的に皆様がお考えになる明渡強制執行費用に絞って検討しましょう。皆様は不動産執行に関係する「執行補助者の費用」について多大の関心をお持ちだと想像できます。コラムも同様ですが、「執行費用」をご覧になる理由は、相当高額になる執行補助者の費用に行きつくと思われるからです。
 
2 裁判所の費用
裁判所関係の費用と言っても、申立費用が必要なことは前提です。
そもそも「強制執行の申立は書面で行う」と民事執行規則(第1条)にも定められておりますから、申立費用は当然かかります。しかし、皆様の関心を呼ぶほど高額ではありません。
今回は、確実な執行を行うために、強制執行の前提となる明渡に関する債務名義、即ち勝訴判決を取るところから説明します。そもそも土地の明渡や家屋明渡を内容とする判決が必要ですが、債務者が他に転貸したりしている場合、債務者だけの判決では強制執行できません。相手方が異なっている判決では強制執行できないのです。訴訟前、占有者の調査から始める場合もあるとご記憶ください。
確かに私のコラムで判決なくして強制執行をした事例も紹介しております。しかし、このような事例はよほどのことが無い限り困難です。判決なくして行う強制執行を「満足的仮処分・断行の仮処分」と言いますが、よほどの運(?)とそれに見合う弁護士の実力()がないとできることではありません。当然執行費用もかかります。私が行った満足的仮処分では執行費用だけで1000万円、担保としてもそれに近い金額を要しました。
 
3 占有移転禁止の仮処分(民事保全法621項)
通常、訴訟前に行う占有移転禁止の仮処分は、裁判の相手方を誰にするかについて調査することも兼ねております。この仮処分で占有者を特定し、その後、転貸などで占有者が変わったとしても最終執行できるようにする必要があります(当事者恒定効といいます)。
この手続きには、担保と言う保証金が必要になります。通常の居住用マンションなどでは、賃料の3か月分から6か月分、事業用の店舗などですと6か月以上となりますから、この費用を惜しまれる方も多いのです。でも、この手続きを通じて債務者と直接交渉できる余地も生まれます。任意の明渡を促す効果もあるのです。寧ろこのような事前の手続きにより債権者の決意を示し、任意の明渡が可能となる機会作りを検討しましょう。
裁判所関係の費用ということで、担保と言う費用を説明する必要があると思い書いてみましたが、この仮処分でも皆様ご期待の執行官や執行補助者にお世話になります。故に、次回は、執行官や執行補助者について、次々回は執行補助者の費用等、具体的に見てみましょう。

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一 財産開示手続の必要性
 
1 苦労の末、勝訴判決を得ても相手方が一円も払わない事例は多い。日本弁護士連合会が過去調査した報告によると、最近3年間に確定判決による債務名義を取得しながらも、債権回収できなかった事例に接した弁護士は79%にもなるとのことです。
これでは「絵に描いた餅」と言わざるを得ません。
前のコラムで自力救済について書きましたが、自力救済をしては駄目です。話し合いすら拒否する債務者に対しては、法的手続である強制執行をして債権回収するしか方法はないのです。
 
 では何に強制執行をすればいいのでしょうか?
信頼関係のない債務者は、貴方からの強制執行を恐れて、預金は別の銀行に移したり、不動産には多額の担保権を偽装するなどして財産隠しをする事例まであります。
でも、そもそも貴方が債務者と人間関係がない場合には、債務者の財産状況など全く分からないですよね。自力救済を否定し、債務者の財産を裁判手続のなかで明らかにできないとすると、強制執行制度は意味のないものになります。
 
3 言葉を変えて言いましょう。
法律で、裁判手続に則って債権を回収しなさいという法治主義を唱えるなら、判決結果を実現する手段をも法は保証しなければなりません。実効性のある執行制度を実現しないと、自力救済の蔓延、力の強い者の勝ちとなります。(自力救済のコラムが生きてきますよね)。
上記事情に配慮して、財産開示の制度が立法され、平成1641日に施行されました。評判通り、使いにくい半端な制度です。しかし、顧問業務を中心に受任しております当事務所では、法制定時より、財産開示制度を利用して依頼者の要望に応えられるよう努力してきました。もちろん費用倒れになる場合には依頼者に説明して行いません。
 
  財産開示制度とは?
 
  私のコラムは若い弁護士の方が多く読まれています。
このように考えますと、民事執行法第19711号と2号の要件の違い、限定説乃至非限定説、そして通常行う2号に基づく探索必要説乃至探索不用説、或いは二重基準論等解説したい論点は多々あります。しかし深入りしても「つまらない解説書」にしかなりません。
故に、当事務所で通常行ってきました同条2号が中心になります。実際にも、財産開示手続は年間1,000件前後にとどまり、その殆んどが同条2号による申立てであるとされています。
 
2  同条1号は「強制執行又は担保権の実行における配当等の手続」が前提とされております。預金の差押えをして、仮に少額の預金があったとしても、配当手続を受ける時間的なロス等を考えますと、当初より意識的に同条2号「知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があったとき」として申し立てる方が実益に叶うのです。そもそも裁判官は財産の探索を厳しく要求することが多く(探索必要説)、同条2号の要件を満たすことで随分労力や費用を要します。従って、当事務所では最初から強制執行を意識して事件を進行させます。具体的には当初より預金差押のための情報収集を積極的に行うのです。預金差押の失敗事例を裁判所に示し、2号要件を満たすことに注意しております。
 
3 財産開示手続は、裁判所が財産を見つけ出してくれるというような制度になっておりません。しかも裁判官の運用も厳しく、これでは国が裁判を受ける権利を保障し、反面、自力救済を禁じる趣旨に反します。財産開示の制度が憲法的価値を有するという学者もいますが、かかる運用には憲法違反を主張する実務家はいるのでしょうか。
   当事務所では財産開示手続をうまく使って、債務者に和解を納得していただくなど、中途半端な制度を逆利用、つまり裁判所と言う舞台を上手に利用することで、その効果を期待しております。
 
三 どの様に財産開示手続を利用するのか?
 
1 財産開示手続では、事前に当方より質問事項書を提出しますが、これに基づいて裁判官が債務者に対して質問してくれます。この質問事項書の質問事項を工夫しましょう。個人と法人に分けて考察します。
 
2 個人は給料債権が中心でした。就職先、給料の振込先、退職金の有無等聞くことは多いのですが、無職と答える債務者もいます。それを真に受けてはいけません。保険関係の質問で就職していることを明らかにしたこともあります。保証人でない父の財産を聞いて、裁判官に止められ、意識的に裁判官に抵抗しました。しかし、これを契機に債務者は、父を保証人とする和解に納得してくれました。
そもそも債務者は財産目録の提出をしなければなりません。しかし郵貯銀行の預貯金が意外と漏れております。生命保険関係や最初の就職先である旧第一勧銀の給与振込銀行支店を聞くこともコツですね。
 
3 法人に聞くコツもたくさんあります。このような債務者法人は、通常、事務所は賃貸です。質問事項書には保証金、敷金と記載して裁判官或いは貴方が質問する場合に裁判官の理解を得なければなりません。従来の取引銀行は事前に差押えしておりますので、現在の給料、取引先の利用銀行も聞きましょう。この質問の際、債務者会社の対応に頭にきて、債権者は「債権者破産の申立をしたいと言っているが、それでもよいか」と質問をしたら、裁判官に止められました。後日、債権者破産の申立を検討しておりますと連絡したところ、和解になった事例があります。財産開示手続は、法律論の話しにならないのです。

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一 請求権実現の方法は強制執行
 
1 請求権には種々のものがあります。今回はお金を請求する事件、金銭債権に限定してどのような方法で回収するのかについて考えてみましょう。実際には任意に払ってもらうために話し合いをするのでしょうね。そもそも任意に支払ってもらえないことが予想される場合には、契約時に、強制執行認諾文言付きの公正証書を作ったり、何か価値のある物を担保に取ることもします。しかし事前にどのような方法を講じようとも、相手が任意に支払ってくれない限り、強制執行をするしか方法がありません。強制執行とは、国家機関の関与によって、相手方、つまり債務者の意思に反して、債務者に義務を履行させることをいいます。
故に、強制執行できる「お墨付き」をどのように取得するかが事件解決のコツになります。「お墨付き」のことを債務名義と言いますが、確定判決、仮執行宣言付判決と挙げればきりがありません。先に述べました公正証書もそうです。でも強制執行認諾文言付きの公正証書と言いましても建物明渡請求事件のような特定物の給付を目的とする場合には債務名義になりません。注意が必要です。
 
2 確定判決をとるには相当な時間がかかります。その間に相手が無一文にならないとも限りません。従って債務名義をとる前に、仮に執行するという保全処分も検討しないといけないのです。
不動産については、時間のかかる裁判をしている間に、相手方が意図的に譲渡したり、新たに担保をつけたりする場合、巨額の損失が発生します。このように相手方の対応をにらんで、仮差押えである保全処分を検討することになります。
では銀行預金に対する保全処分はどうでしょうか。
銀行預金が確実にあると分かっていればいいのですが、預金の所在もその額も分からないのが普通です。ここで注意が必要です。銀行預金に仮差押えをする場合、債務名義がないのですから相当な担保をたてる必要があります。銀行が「預金はありません」という回答をした場合でも、相手方の損害が考えられ、担保の簡易な取戻手続ができないのです。担保は仮差押えされた債務者の損害を補填するためのものですから、相手方の同意か、担保取消決定をもらうという面倒な手続が残ります。従って預金は確定判決を得て執行するのが通常です。
 
  強制執行のエピソード
 
  多くの事件は、相手方がどの銀行に預けているのか、或いはどの銀行に多額の預金があるのか分からないことが普通です。でも当事務所は諦めません。銀行預金の所在調査がポイントになります。こじれる案件は、相手方も差押えを予想して取引銀行を隠しております。そこで先ず、過去当方に振込みをしてきた銀行の支店、次に会社ですとネットに載っているかどうかの調査、支店等についても調査をします。帝国ホテルの内装業者との紛争事件のとき、会社支店先である立川支店でヒットしたことがあります。ちょうど給料日前に差押えしました。巨大法律事務所の弁護士が大金の回収の噂を誰から聞いたのか、銀行名を教えてほしいと厚かましく電話をしてきたこともあります。
個人の場合には、自宅から駅に出るまでの銀行数か所を差押えしてヒットしたこともあります。昔は、給料が第一勧業銀行に振り込まれることが多かったため、相手の勤め人になった当時の勤務先に近い第一勧銀支店を差押えの対象としたこともあります。数か所の差押えで、僅かな金額のヒットはよくあることですが、その粘りに負けて和解を申し出られたこともあります。
若い弁護士の先生方には勉強になる話だと思いますが・・。
 
2 顧問会社の裁判で面倒な方と争った時、相手方の社長が超高級車で裁判所裏口に出てきました。偶然、鉢合わせをしたのですが、顧問会社社員は無謀にも走る高級車の前面に立ちはだかり「この車を押さえてください」と絶叫しました。
ここまでされたら押さえない訳にはいきません。このエピソードは10年以上前のことですが、その場で判明した車の番号から直ちに陸運局に行って調査をし、社長の車か会社の車か割り出し仮差押えの準備を始めました。この案件は、この社員の無謀な行動に驚いたのか、すぐに相手方が分割支払のお願いに来て和解になりました。ところで副所長から、近時、陸運局では個人情報保護法の関係で調査に応じてくれない、弁護士照会で調査をするのだと聞いて驚いております。
 
三 江戸時代の裁判
 
1 前のコラムで紹介した経済小説家高任和夫さんは、最近「江戸時代もの」を書いておられるということをネットで知りました。早速「星雲の梯(老中と狂歌師)」(講談社)と「貨幣の鬼(勘定奉行萩原重秀)」(講談社文庫)を買ってきました。今、私は経済小説ではなく江戸時代の裁判官であった川路聖謨(「かわじとしあきら」と読みます)の膨大な本を読んでおりますので、余計高任さんに親近感を抱いたのかもしれません。
和解を「内済」というなど勉強しておりますが、当初は執行をどのようにしていたのかについて関心があり、あれこれ読んでおります。
 
2 江戸時代に関係する本を読む楽しみを考え、「大江戸今昔マップ」まで買いました。江戸時代の街並み(江戸切絵図)と現代マップが重ね地図になっていて、現在楽しんでおります。
余計なことも書きたくなりますが、強制執行のコラムはまだ続きます。次回のテーマは「財産開示手続」にします。

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一 高任和夫さんの経済小説
 
1 前回紹介した高任さんは、三井物産退職後、作家としてデビューした際の処女作として「商社審査部25時」を出されたそうです。当初は、?商事法務出版のNBLという法律雑誌に連載物として書かれたとのことです。法律専門家を相手にする本なのですから、こんな難しい案件が複数、てんこ盛り状態になっているのも当然なのでしょう。私が本書に関心をもったのも、こんな状態で受任し続けたら、誰でもパンクするぞと思い、実体験に基づく迫力もあって強く印象に残ったのでしょうね。
 
2 本書の前半部分は、商社マンである課長が、モーターを販売した取引先の破綻を聞きつけ、売掛金の回収のために奮闘する様子を展開しております。
     特筆すべきは、破綻先にあるモーターの動産売買先取特権を法律論として展開せず、更に破綻先から転売された先にあるモーターに対する動産売買先取特権を論じるところに味噌があるのです。この場合、破綻先が有する先取特権を物上代位して行使するという難しい法律構成が必要になってきます。
実務においては、転売先に当該モーターが存在すること、そして破綻先の有する先取特権の存在を証明しなければ法律構成ができません。誰が想像しても、金を払わない転売先が協力しないだろうと分かります。当然、破綻先も協力をしないでしょうから、裁判所の納得の得られる証拠集めができないということになります。
 
3 本書の後半は、破綻先が破産ではなく会社更生法を利用する方針とされたことにより、会社更生の仕組みと資金回収の兼ね合いに揺れる駆け引き、そして別途船舶に関する紛争をテーマとし、その双方の糸が繋がっていくという多少強引な話に展開していきます。
感心したところは、会社更生法の再生計画案の作成に関して、主人公は、抵抗する裁判官に対し、第191条を示して新会社の設立による清算型事業譲渡を主張し徹底的にねじ伏せるのです。本書出版後、第191条は改正され、小説の内容が第185条となりました。裁判官に対する小説の指摘事項が、その儘、不明点を明らかにするという条文変更となって実現したのです。出版されて10年後に読んだ私は「法律オタク」そのものなのですから、震えない訳がありません。
 
  動産売買先取特権の物上代位
 
  私が経験した「動産売買先取特権物上代位」の事例は、「商社審査部25時」と同じような状況下でなされました。前項で説明しましたとおり、証拠集めに壁のある事例ですから、同様の場面でしか利用できないのかもしれません。このような趣旨でも、上記小説は半端な経済小説でないことが分かります。
以前、当欄において「昔の破産事件は乱暴だった」という題をつけて「整理屋」介入事件のコラムを書きました。今回紹介する事案も、当時の整理屋に怒った上場企業の破産申立によって破産管財人の私が直面することになった事案です。前回は鞄屋さんでしたが、今回はワイシャツ屋さんであります。
 
2 有名な繊維メーカーは、長年月、ワイシャツ屋さんに生地を卸し取引してきました。ところがワイシャツ屋さんが不景気のため高金利の街金からお金を借りました。街金は整理屋としてワイシャツ屋さんに乗り込み、製品であるワイシャツの叩き売り、生地の横流しを始めたのです。繊維メーカーとしては売掛金の回収ができないだけでなく、せっかく育て上げたワイシャツ屋さんが食いつぶされていく状況を目の当たりにすることになりました。
結論として、繊維メーカーは、弁護士に相談をして債権者破産の申立てをしました。さらに私が破産管財人に任命されるとすぐ、生地の転売先であるワイシャツ屋さんの協力企業に対する売掛金についても、動産売買先取特権の物上代位権を行使し、当該生地に対しては先取特権があると言ってきたのです。
 
3 私は怒りました。裁判所に援助を頼んだにもかかわらず、破産管財人の上前をはねることに頭にきたのです。そもそも全てを破産管財人に任せると決めたのならその全てを私に任せるべきではないでしょうか。繊維メーカーは、違法は許さないという姿勢に徹するべきです。
私は、繊維メーカーが担保に取っていた不動産の別除権について破産債権から担保物未回収金つまり予定不足額が証明されていないとして、債権者集会における議決権行使を認めない旨、宣告しました。
   結局、繊維メーカーは自ら申立てた破産事件で債権者集会の責任もあり、協力企業に対する売掛金は私が回収することになりました。
 
三 当事件の後始末
 
1 当時の債権者集会はよく荒れました。
この債権者集会も荒れ、裁判所の警備員の出動を得ました。債権者集会当日、大量の資料を運ぶ必要もあり、事務局が付き添ってくれましたが、反対側の法廷で開廷されていた当時の有名事件「オウム真理教殺人事件」の法廷に警備がつかないのに、何故こちらにつくのかと不思議そうに感想を述べられたことが印象的でした。
 
2 在庫として残っていたワイシャツの販売も大変でした。売りに出してもばかばかしいほど安い値段しかつかなかったため、自分で大量に購入し、知り合いに配ったりしました。実は、このコラムを書こうと思い、当時購入せざるを得なかった「モダンなワイシャツ」を着て、出勤しました。首回りのきつさに、その年月が感じられます。

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一 強制執行は専門的すぎる
 
1 強制執行を当コラムで取り上げることにしたきっかけを説明します。
      この二か月強、次のコラムのテーマ探しのため、時間を削って経済小説といわれるものを30冊程度読みました。
ひどい小説もありました。割合有名な小説なのに「破産の申立てを法務局にする」などと書かれると、いくら迫力のある文体であっても呆れて読めなくなります。内容が良いだけに残念です。
経済小説を読みまくって分かったことがあります。題材になりやすい強制執行に関係する部分については、実は弱いのです。執行実務をぼかしたり、ネグレクトした結果、迫力がなくなったものが多いのです。つまり執行の世界は、執行官の経験だけでは背景等根本的な事実については把握できず、逆に生半可な弁護士経験では執行の専門性、細かい事実関係が書けないのです。
その点、高任和夫の初期の作品「商社審査部25時」(講談社文庫古くてごめん、2005年発刊です)は、複雑な動産売買先取特権が実務に即して見事に描かれています。
次回に紹介し、私の経験と比較しましょう。
 
2 先月末、強制執行について書いた原稿をある出版社に出しました。
法律専門の出版社ですが、数時間も経たないうちに編集長から「玉稿を拝受しました」とのメールをいただき褒めまくられました。思わず広辞苑を引っ張り出して「玉稿」について引きました。言葉として存在するのですね。意味として「他人の草稿の尊敬語」とあるではありませんか。角川類語新辞典では「立派な原稿の意」と書かれております。編集長からは、直接お褒めの言葉もいただきました。気分が乗ったついでです。同じことは書きせんが、コラムは強制執行で決まりです。
 
  担保法改正に際して民事局に呼ばれたこと
 
 当コラムでは、既に私が整理回収機構不動産部の統括顧問であったことは紹介済みです。同機構は別名「RCC」と言われ、破綻した金融機関の整理のために政府により設立されました。破綻金融機関には処理のできない大量の不動産が滞留しておりました。その滞留不動産を正面から処理したのですから、当時言われた「占有屋」の方々からは、私たち不動産部は相当恨まれたと思います。
毎日、強制執行の連続でした。当時日本で行われる強制執行の2割は同機構において実行されていると聞かされ、「えっ、全国と言っても、そんなに執行少ないの」と逆に驚いたものです。
 
2 私は、平成15年担保法制改正に関し具体案が出そろった頃、法務省民事局から意見を求められ、法務省に出向いたことがあります。最後の諮問だと言われて質問されました。質問の内容は、担保法に関係する民法の部分ではなく、執行関係の細部についての質問でした。今にして思いますと、法改正に直接関与された出向裁判官が、執行の細部に関する実態を理解されたかったのだと思います。
 
3 今回は、法改正の部分について大まかに触れておきますが、次回からは具体的な経験談を書こうかと思っております。
   担保法改正の背景事情であった「占有屋の跋扈」等お知りになりたいのかもしれませんが、それでは経済小説を書いたほうがましです。当コラムでは遠慮させてください。現実に起きた細々とした体験をお知りになりたいだろうと、勝手に想像して書きます。
 
三 平成15年公布の法改正の内容
 
1 改正の視点としては、民法の抵当権部分の改正と、執行制度の改正の二つの場面を区別すると良いと思います。今回の調査で上記解説書が少ないことについては驚いております。つまりこの改正は、あまりにも“専門バカ的な改正”なのでしょうね。しかし強制執行を業とされる方には重要です。
ましてや経済小説を書かれる方には必読になるはずです。
 
2 民法に規定される抵当権の改正からみます。
これまで「占有屋」と言われ、「不動産担保金融業者」と言われる方々が担保権に対する脱法行為として利用した「短期賃貸借」(民法602条に定めた短期賃貸借は抵当権設定登記後に設定登記されたものであっても抵当権者に対抗できる)及び「滌除」(改正前民法378条の規定で、抵当権付不動産を取得した者が、一定の金銭を抵当権者に提供して一方的に抵当権を消滅させるもの)の制度がなくなりました。不動産バブルの崩壊からは遅すぎる改正でした。
民事局に呼ばれて質問された一つに明渡し猶予制度がありました。この制度は短期賃貸借制度の廃止と引き換えにできたもので、正常な賃借人は代金納付後6ヶ月間明渡しを猶予されるというものです。出向裁判官はこの制度の実効性を聞きたかったのだと思われます。借主の実態について種々質問されたことが印象的でした。
こうして挙げていくときりがありません。後に当コラムで触れようと思うものだけをあげておきます。
 
   執行手続関係として当コラムで書こうと思うもののうち、今回の改正点で関係すると推測されるものは、保全処分の要件の緩和、動産競売、財産開示の裁判等でしょうか。
しかしながら裁判所での細かい認定基準等については改正に触れざるを得ない場合もありますのでご容赦ください。
   次回は、早速動産売買先取特権から入ります。


 

 

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