HOME  > コラム  > 顧問弁護士の選び方  > 弁護士業務は「寄り添い」にあり(会社犯罪と社員個人責任)
アーカイブ一覧はこちら

弁護士業務は「寄り添い」にあり(会社犯罪と社員個人責任)

カテゴリ : 
顧問弁護士の選び方
1. 大林組の会社犯罪が毎日のように報道されております。私の叔父が、戦前、日本大学建築学科卒業後、大林組で働いていたこともあって関心をもって見ております。大林組は、10年以上の昔、談合事件との決別宣言まで出したのに不思議だなと、その経緯を見ております。
今回の事件は、リニア中央新幹線関連工事を巡る偽計入札妨害事件とのことです。この犯罪は、談合罪と同じ内容をもつものですが、発注者がJR東海という東海旅客鉄道株式会社という一部上場企業であり、公的団体でないことから、刑法第96条の3にいう「競売等妨害事件」として立件しているのであろうと推測されます。
私も昔、ゼネコンの談合事件を受任したことがあります。スーパーゼネコンを含む100社に及ぶ談合事件で、審判事件は、公正取引委員会が入るビルの最上階の大講堂で行われました。何回も続く審判手続き中、きちんとした発言及び書面が評価されたのか、我々は後ろの席から、どんどん前の席に移動を命じられ、スーパーゼネコンと並ぶ席に移された後、最後は審判長の面前の席に移動させられました。また、審判の山場では、大手弁護士事務所を差し置き、盟友比佐守男弁護士と私が、新聞記者から追っかけをされるほどになりました。でも活躍したなどという気持ちは全くありません。依頼者の気持ちに寄り添ったのみです。
上記事件も、今回の大林組の事件も、会社犯罪の典型例であります。 
別に珍しいことではありませんが、当事務所も新しい弁護士を迎えました。せっかくなら、弁護士業務とは何なのか、弁護士道とは何なのかを考えるきっかけになればいいと思いました。従って、今回から暫くの間、相手方としてではなく、そもそも依頼者内部で対立せざるをえない事件を紹介してみたいと思います。
つまり、弁護士は、依頼者が誰であろうと、依頼者の内部で全く逆の立場にたって物事を考える必要が生じる事件を紹介し、弁護士業務とは何なのかを問いかけしてみたいと考えました。「依頼を受けた人に寄り添うとは何か・・」が考えられるようなコラムに挑戦します。

2.  実は、上記事件の直後、スーパーゼネコンで、高い地位(○○支店長)にある友人から、有名な談合事件の相談を受けました。その友人は既に他界しているため、このコラムを書けるのですが、当時の超有名事件における私の弁護士業務を評価して相談に来てくれたと思っていたら、実は、会社における自分の身の保全でした。依頼者には、会社利益に相反する助言しかできないことがすぐに分かりました。
     その友人には、談合をした部下から事情を聞き取り、友人に不利益が及ぶかどうか確認させました。報告書など公的な書面は当然として、パソコン、電話受信記録等の一切を調査しました。その結果、会社の体質も含め、会社が友人を犠牲者にして処理する可能性が非常に高いと判断されました。友人は、会社責任者として、会社に対する被害を最小限に抑えたいという気持ちと、自分が犯罪者にされるであろうという会社の在り方に対する批判的な認識との間で揺れておりました。刑事罰も怖いですが、談合罪の課徴金も高いのです。課徴金は、売上金の10%から数%ですから(今回の大林組の契約額は約90億円ですから、課徴金は数億になる可能性がある)大変な額になります(この具体的な金額を書いたら、私なら、すぐに何の事件か推測できます)。
     そもそも前項にて紹介した私の事件では、地方公共団体の職員が一人自殺をし、何人かが逮捕されているのです(超巨大事件では、自殺者が出ることは珍しくありません。故に事件名は 推測できないはずです)。私は、無料にて、何回も彼と相談しました。会社が依頼している大手の法律事務所は信じるな。大手事務所弁護士は「平然と君を裏切るぞ」と具体例を教えました。最後に、私と打合をせした以外のことはしないと約束させました。結果、友人が危機を乗り切ったことは言うまでもありません。今になって思うことは、大学時代の共通の友人である奥さんにこの話をしてもよかったということです。
 
3. 受任に至らなかったとはいえ、事件の詳細を本コラムで書くことができない事件も経験しております。
     自殺した社員の家族の方から、談合事件で悩んでいた子供が自殺してしまったという相談を受けたことがあります。事案を詳細に聞き取り、当人の日記帳やメモを精査しました。私の法的な結論は、パワーハラスメント事件と認定されると申し上げました。当然、私は家族に寄り添いますから、談合事件での責任を彼一人にしわ寄せする会社は許せないという結論をもって、今後の進行スケジュールをお教えしました。
       つまり内容証明による会社に対する責任追求、同時に報道に対しての公表及び記者会見、そして労働基準監督署及び刑事の告訴、損害賠償請求訴訟等です。私の意見が会社社長に伝わり、社長から家族に、直に謝罪がありました。家族は、会社を思う息子の日記帳を全員で何回も読まれたそうです。会社の対応が真摯なものに改まったこともあり、このまま終わりにされることに落ち着きました。直後、家族の方々がお礼に見えられ、私の家族に寄り添う気持ちが、こんな意外な結論になったと申されました。私には「こんな意外な結論」という言葉が報酬になりました。
 
4. 今後のコラムの流れを、次のように考えております。次回は、やはり会社犯罪「粉飾事件」を紹介します。その後は相続財産管理人申立の破産管財事件です。裁判所が依頼者ですが、真の依頼者は誰なのでしょうか。そして、離婚事件の際、弁護士が年金分割の申立てを行わず2年が経過してしまったという事件です。内部の敵に弁護士が登場するという順番で、本コラムを書きたいと考えております。

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (2467)