HOME  > コラム  > 最新エントリー
アーカイブ一覧はこちら

コラム - 最新エントリー

  以前「正当事由と立退き料の事例紹介」というコラムを掲載致しましたが、その際皆様から大きい反響を頂きました。今回は、最近の裁判例がどのような判断を下しているのかについて一部を追加して紹介しておこうと思います。皆様が直面している案件について、高額な立ち退き料になるのか低額な立ち退き料になるのか判断する際の参考にしてください(借地借家の秘訣(時系列に沿った事例紹介)」も併せてご覧ください。)

 
 
 ところで、下品な言葉で言うなら、当事務所は業者の皆様からいわゆる「地上げ」の段取りや相談を継続的に行ってまいりました。しかし、先日当事務所のホームページを見て来所されたお客様に、当事務所で是非とも立ち退き料を獲得してほしいと懇願され、やむなく賃料の約200ヶ月分を取得した事例が発生致しました。
  この事例につきましては今後当コラムにて掲載するかどうか検討しておりますが、いずれにしましても紙数に限りがございますので、今回は最近の裁判例を紹介させて頂くことにしたいと思います。
 
  具体的な事案でどれくらいの立ち退き料になる可能性があるのかご相談されたい方は当事務所までご連絡ください。
 

 

立ち退き料
(平成23年
1月17日判決)
6000万円
本件建物は朽腐しているとまではいえず緊急な耐震工事は必要ないが、遠からず建て替えか大規模修繕が必要になる。そのため、銀座6丁目という立地からすれば、本件建物の機能的、経済的な耐用年数はほぼ満了していた。他方、借主は66歳で、唯一の収入源としてとんかつ屋を営業していた。借主が代替物件を確保できないとまではいえないことなども総合考慮して、立退き料の支払いにより正当事由を補完すると判断した。
立ち退き料
(平成23年
1月18日判決)
4億2800万円
貸主は投資運用業を営む特定目的会社であり、投資物件として本件ビルを購入したが、耐震性に問題がある等の診断が出たため、建て替えが必要だった。また、本件ビルは相当程度老朽化していた。他方で、借主はスポーツ用品の輸入販売を営む会社で、原宿竹下通り沿いで32年にわたり営業を続けていた。借主の年間売り上げは約3億5000万円だったこと、本件ビルの立地が好条件だったことは認められるものの、本件ビルでなければならない事情はないこと等を総合考慮の上、立退き料の支払いによって正当事由を補完すると判断した。
立ち退き料
(平成23年
2月2日判決)
6850万円
貸主は資産管理等を目的とする特定目的会社で、借主は占い業を営んでいる。借主にとって原宿竹下通りという商業用ビルの立地が好条件であるものの、移転しても占い業が廃業するとまでは認められない。本件ビルは築後約32年を経過していること、本件ビルの他の賃借人の明け渡しが相当程度進んでいること等を総合考慮の上、立退き料の支払いによって正当事由を補完すると判断した。
立ち退き料
(平成23年
2月22日判決)
2200万円
本件テナントビルは築後約30年経過していること、テナントの状況、不動産事情の厳しさ、周辺地域からの事情からするとテナントが借主だけしか残っていない本件建物について建替えを行う一定の必要性はある。他方、借主は歯科医院を営んでいるが、本件貸室の借家権鑑定評価額である2200万円の申し入れなどを理由に正当事由を具備していると判断した。
立ち退き料
(平成23年
3月10日判決)
2億5000万円
借主は、東京駅八重洲中央口徒歩5分の本物件で10年以上にわたりサウナ浴場を営んでいた。数10名の従業員もおり、借主が本件建物を使用する必要性は相当高い。また、本件ビルの耐震強度に問題があること、借主の利用方法に形式的な違反があることは確かであるが、本物件を利用する必要性は借主の方が格段に高い。そのため、正当事由が不足しており、補完事由としての立退料の提供が必要であると判断した。
立ち退き料
(平成23年
1月25日判決)
400万円
貸主が再開発を行う必要性は認められるが、最終計画までは策定されておらず、他の建物利用者の退去も完了していない。被告は婦人用洋服店を営業して生計を立てていたため、貸主の建物利用の必要性は若干弱い。他方、貸主は著しく低額の賃料に甘んじていたこと、築後約50年が経過しており耐震性が低く倒壊の可能性が高いこと等を考慮して、立退き料の支払いによって正当事由を補完すると判断した。(なお、借主は収入に関する証拠の提出を拒んだため、適正賃料との差額1年分を営業上の損失の填補と認定している。)
立ち退き料
(平成23年
4月14日判決)
372万円
貸主の資金繰りが苦しく本件建物等を売却して借入金を返済することが急務であると顧問税理士が述べていること、金融機関からも本件建物等の売却を求められていることからすると貸主が本件建物の明け渡しを受ける必要性は高い。他方、中古自動車販売業を営む借主の業態及び土地使用状況からすると、借主が本件建物を使用する必要性はそれほど大きくない。立退料が提供されるのであれば、正当事由を補完すると判断した。
立ち退き料
(平成23年
6月23日判決)
 
150万円
本件建物は築39年の木造アパートで老朽化していることに加え再開発計画があるため貸主には本件建物を利用する必要性がある。他方、借主は足腰が悪く2階以上に住めないこと、満67歳で生活保護を受給していることなどからすると、貸主が利用する必要性はやや弱い。しかし、2年半以上かけて引っ越し先を多数紹介するなど誠実な対応をしたこと、他の入居者が全員退去していること、賃料30カ月分の立退料を申し出ていること等からすると、正当事由があると認められると判断した。
正当事由なし
(平成23年
1月28日判決)
 
貸主は3060万円の立退料を申し入れたが、建物の使用を必要とする事情を主張しなかった。他方、借主は本件建物を転貸して差額賃料を収益とする事業を行っていた。貸主は賃料が低額であると主張するが、賃料が低額の部分については賃料増額請求権を行使すれば良いことなどから、立退き料の申し入れによって正当事由が具備されることにはならないと判断した。(サブリース事案)
正当事由なし
(平成23年
2月24日判決)
 
貸主は本件マンションに関して再開発の目的を有していた。本件マンションは築後約30年経過しているものの、耐用年数は10年程度残っており、長期間にわたり居住の用に耐えうる。借主の妻は不眠症及び相当重い心臓病を患っており、住み慣れた本件マンションから転居するストレスによって病気が悪化する可能性も否定できない。貸主は借家権価格を大幅に超える200万円の立退き料を申し入れたと主張するが、正当事由を具備したことにはならないと判断した。
正当事由なし
(平成23年
3月11日判決)
 
貸主及び妻は75歳と高齢で、貸主は脳梗塞後遺症により歩行困難などの既往症がある。そのような理由で長男との同居を望んでいることからすれば、貸主にとって本件土地利用の必要性がないわけではない。しかし、貸主には他にも不動産があり本件土地に住むことが唯一無二の選択ではない。他方、借主は統合失調症により近所の病院で治療を受けており、無職で障害年金を受給中で、転居等は病状に悪影響を及ぼす可能性が高い。借主が本件土地を利用する必要性は極めて高く、立退き料の提供があったとしても正当事由はないと判断した。
正当事由なし
(平成23年
6月9日判決)
 
貸主は本件建物について自己使用の必要性があると主張するが、貸主はテナントを管理しているにすぎず、自己使用とは評価できない。他方、借主は本件建物の5階部分を自ら使用するとともに、1階から4階部分をサブリース業者としてテナントに賃貸することで会社運営している。借主が本件建物を使用する必要性は相当大きく、正当事由があるとは認められない。(サブリース事案)

 

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (109897)

 

1 「秘密管理性」が争われた場合、約7割が負けてしまう? 
(1)前回“退職した元従業員に営業秘密(企業秘密)を持ち出されたら?”というコラムを書きました。今回は主に顧客情報(顧客名簿、顧客カード、顧客データ等)が持ち出された場合(情報漏洩の場合)を例に、訴訟でポイントとなる部分を前回よりも詳しく書きたいと思います。
   元従業員に顧客情報等の営業秘密を持ち出された場合、経営者の方の多くが激怒されているであろうことは容易に想像できるところです。既に顧客を奪い取られたとなれば絶対に許すわけにはいかないと感じるでしょう。社内秩序に影響するばかりか、持ち出された顧客情報を利用して更なる顧客奪取行為が行われる可能性もあるのですから当然のことです。
   そのため、経営者の方は早く勝訴したいと望むはずです。「顧客情報を持ち出されたのは明らかなのだから、早く訴訟提起を行えば勝訴は確実」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
 (2)しかし、前回も申し上げた通り、“顧客情報等の持ち出し行為が不正競争に該当しない”と判断されてしまった事例は枚挙に暇がありません。
   特に、顧客情報等が「秘密管理」されておらず、不正競争防止法上の営業秘密に該当しないと判断されている例が多いようです。
   経済産業省が作成している「営業秘密管理指針(改訂版)」によれば、平成221月末時点までの間に「秘密管理」されているかどうかが争点となった81件の裁判例のうち、「秘密管理」されていると認定されたものは、たったの23件しかないそうです。
   即ち、元従業員に顧客情報等を持ち出されたから訴訟提起したにもかかわらず、「秘密管理性」が否定されてしまった裁判例は約7割強にも及ぶということです。
   「秘密管理性」が否定されれば、営業秘密としても認められないことになります。そのため、「秘密管理性」が争われた場合、約7割強は営業秘密に関する論点で負けてしまうことになります(実際はその他の論点も争っているでしょうし、工夫して争うことは可能ですから全面的に敗訴したかどうかまでは不明です)。
 
2 「秘密管理性」とは何か?
 (1)それでは、「秘密管理性」とはどのようなものなのでしょうか。
   「営業秘密管理指針(改訂版)」では、裁判例において、「情報の秘密保持のために必要な管理をしていること(アクセス制限の存在)、「アクセスした者にそれが秘密であることが認識できるようにされていること(客観的認識可能性の存在)」が重視されていると指摘されています。
   分かりやすく言い換えますと、‐霾鵑縫▲セスできる従業員が制限されており、秘密情報であることを従業員が認識できるようなシステムになっているかどうかがポイントになります。
   「営業秘密管理指針」では、それ以外にも「営業秘密の管理のために実施することが望ましい秘密管理方法」を具体的に列挙しています。
   経済産業省では、「営業秘密管理チェックシート」も公開していますので、御社の営業秘密管理体制がどれくらいしっかりしたものになっているのかについて是非チェックして頂きたいと思います。
(2)営業秘密管理体制を構築するための制度として、「ISMS適合性評価制度」或いは個人情報に関する「プライバシーマーク制度」があります。これらの制度はコンプライアンス体制の整備という意味でも重要なので一考の価値はありますが、経済面でも時間面でもコストが高くなります。
   そのため、あらゆる企業が利用するというわけにはいかないでしょう。コストを低く抑えたい場合、まずは「営業秘密管理指針」や「営業秘密管理チェックシート」に従って営業秘密管理体制を構築する準備が必要です。
 
3 勝訴するための戦略を立てる必要があります 
訴訟において「秘密管理性」が争われた場合、約7割が負けてしまっているというデータを重視して頂きたいと思います。
元従業員に顧客情報等を持ち出されたにもかかわらず負けてしまうなどということは法律の専門家でない経営者の方々には到底理解できないかもしれません。しかし、実際に負けてからでは“あとの祭り”です。
もっとも、「営業秘密管理指針」に挙げられている項目の全てを満たしている会社ばかりではありません。むしろこれらの項目を満たしていない会社の方が圧倒的に多いでしょう。これらの項目を全て満たしていないから勝訴できないというのでは、殆どの会社が営業秘密を持ち逃げされてしまうということになりかねません。
そうならないために重要なのは、普段から着実に営業秘密管理体制を構築し、訴訟提起する場合には的確な証拠を提出して裁判所に理解してもらう戦略を立てることです。
怒りにまかせて拙速な訴訟提起をしてしまうようなことがないよう、しっかりと分析して戦略を立てることが必要です。
営業秘密や情報漏洩に関する訴訟を提起したいと考えていらっしゃる経営者の皆様、訴訟を提起する前に是非一度、当事務所にご相談にいらっしゃってください。
 
       (今回の記事は岡本直也弁護士が担当しております。)

 

 

 

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (47201)

 

1 当事務所が勝訴を得た裁判例 
  今回は“退職した会社の営業秘密を利用して不正競争を行った元従業員に対して損害賠償請求した”事案について紹介したいと思います。
  本件は既に第1審判決(平成23年11月8日東京地判)及び控訴審判決(平成24年7月4日地財高判)が言い渡されており、いずれも当事務所が勝訴を得ております。控訴審では、当事務所の行った附帯控訴によって、第1審判決よりも高額の認容額となりました。
  第1審判決は従前の裁判例でなされていなかった重要な判断を下しており、裁判所のホームページにも掲載されております(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111212185454.pdf)。
(なお、脱稿後、控訴審判決も裁判所のホームページ及び知財高裁のホームページに掲載されました。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120713165008.pdf
当事務所のホームページと合わせて裁判所のホームページもご覧頂ければ幸いです。
 
2 営業秘密を持ち出された場合の対処法 
  企業が管理している技術・ノウハウ・情報の中には、外部には決して見せることのできない門外不出のものも少なくありません。これら営業秘密は、各企業が長年にわたり築き上げた財産であるとともに、企業活動を行う前提となっており、ライバル企業や新参企業にとっては喉から手が出るほど欲しいものです。
  そのため、元従業員が退職する際に持ちだした営業秘密を使って新しい会社を設立したり、営業秘密を“手土産”にライバル企業に転職したりすることさえあるようです。
  そのような場合、営業秘密を持ち出された企業が最初に検討するべきは刑事告訴の可否でしょう。営業秘密を持ち出した態様によっては10年以下の懲役に処せられる可能性もあります。
  また、当然のことながら、損害賠償請求訴訟を提起することもできます。販売の差止請求や謝罪広告の掲載を求めることもできます。
  もっとも、裁判において営業秘密と認められる範囲はそれほど広くありません。企業が営業秘密と考えているものであっても、“詭管理性⇒用性H鷂知性の各要件が認められなければ営業秘密として認められず、不正競争防止法上保護の対象にすらなり得ません。
  単純に訴えれば勝てるというようなものではありません。
 
3 営業秘密と認定されるための証拠収集・整理 
  本件訴訟においては、“業務で知り合った顧客の情報は会社と従業員のどちらに帰属するか”“顧客情報は秘密に管理されているか”“元従業員が顧客に対して虚偽事実を告知したか”など多様な論点が争点になりました。
  訴訟の初期段階において、会社担当者の方が、“当社はしっかり秘密として管理しているのだから営業秘密として認められて当然”と仰っていたのが印象的です。しかし、会社の方からすれば「当然」のことであっても、裁判所から見て「当然」というわけではありません。訴訟において重視されるポイントごとに的確な証拠を提出しなければ、勝訴することはできません。
  私は直接会社に行き、本件に関係がありそうなあらゆる書類を倉庫の中から出してきてもらいました。段ボール箱何箱あったかまでは覚えていませんが、あまりに大量の資料であったため、会社の打ち合わせ室を一部屋借りて膨大な時間をかけて整理しました。法律専門家ではない会社担当者の方では、どれが訴訟で必要とされる資料なのか区別するのは難しかっただろうと思います。
  本件では資料を的確に整理して証拠として提出することができたため、“従業員が自己の所有する携帯電話や記憶に残したものも含めて顧客情報は会社に帰属する”と判断されるなど当方の主張がほぼ全て認容されました。
 
4 小結 
  従業員が営業秘密を持ち出す情報漏洩行為は企業の根幹を揺るがしかねない問題であり到底許されるべきではありません。しかし、証拠を的確に使用しなければ、勝訴できるものも勝訴できなくなってしまいます。
  資料があるのに有効な使用方法が分からないということであれば、専門家によるアドバイスを受ける必要があるでしょう。
  また、“資料が残っていないため営業秘密としてすら認められなかった”ということがないように平常時より記録を残しておく必要もあります。
  当事務所では、平常時の営業秘密管理を始めとして、刑事告訴や訴訟提起を行う場合の的確な法的支援を行っております。
  この機会に御社の「営業秘密管理システム」について、法的側面から見直されることをお勧め致します。
(今回の記事は岡本直也弁護士が担当しております。
   記事の中でもご紹介したとおり、私自ら会社に出向き会社の倉庫に保管されていた膨大な資料を整理しました。法的側面より「営業秘密管理システム」の構築に向けた支援を行っておりますので、ご相談がございましたら、ご一報ください。)
    

 

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (52376)

執行費用に関し、実際の事例に即した計算書をご覧ください。

  1. 執行補助者のご厚意により下記実例について、各々の執行費用を見積もってもらいました。もちろん弁護士費用は入っておりません。
  2. 以下の見積もりは皆様に予想していただくためにお願いしたものであり、実際にはこの通りでない場合もあります。
  3. 執行費用として、事前に裁判所に予納金の支払が必要ですが、下記表には基本金額として記載されております。それ以下にて記載の費用は、執行補助者費用、運搬費用、倉庫保管費用等で支払先が異なるものです。

ワンルームマンションの事例

居住用借家で広さは20平方メートル

家賃は月7万円、2年契約

入居者は25歳会社員で室内犬1匹がいる場合です。

項目 数量 単位 単価 金額
申立日 動産執行予納金       3万5000円
申立日 明渡執行予納金       6万5000円
申立日 申立印紙代、予納郵券       別途
催告日 執行補助者費用 1 2万円 2万円
催告日 解錠技術者費用 1 2万5000円 2万5000円
断行日 執行補助者費用 2 2万5000円 5万円
断行日 解錠技術者費用 1 2万5000円 2万5000円
断行日 鍵交換費用 1 箇所 1万円 1万円
断行日 執行作業員費用 5 2万円 10万円
断行日 執行準備・養生・材料費等諸経費 1 4万円 4万円
断行日 搬送用車両(2トン) 1 3万5000円 3万5000円
断行日 遺留物件の保管費用(1カ月) 1 4万5000円 4万5000円
断行日 ペット業者費用※ 1 3万円 3万円
合計 消費税       1万9000円
税込み合計       49万9000円

室内犬は、執行日に現場売却します。1週間くらい保管が必要と予想されます。

廃棄処分費用は別途かかります。

営業用店舗の事例

広さ60平方メートルのマンション1階部分で魚屋を営業する店舗。

賃料は月20万円で保証金6カ月 契約期間は3年の場合。

借主は50歳の男性とします。

特別に注意するべき事項として、室内に神棚、ショーケースがあるものとして見積をお願いしました。

項目 数量 単位 単価 金額
申立日 動産執行予納金       3万5000円
申立日 明渡執行予納金       6万5000円
申立日 申立印紙代、予納郵券       別途
催告日 執行補助者費用 1 2万円 2万円
催告日 解錠技術者費用 1 2万5000円 2万5000円
断行日 執行補助者費用 2 2万5000円 5万円
断行日 解錠技術者費用 1 2万5000円 2万5000円
断行日 鍵交換費用 1 箇所 1万円 1万円
断行日 執行作業員費用 10 2万円 20万円
断行日 執行準備・養生・材料費等諸経費 1 7万円 7万円
断行日 搬送用車両(2トン) 3 3万5000円 10万5000円
断行日 遺留物件の保管費用 1 13万5000円 13万5000円
  消費税       3万2000円
  税込合計       77万2000円

魚等の生鮮食品については、執行当日、現場売却となります。代理人の買受が通常です。

神棚は、相当期間は任意保管して、しかるべき場所へ移転します。

ショーケース等の移動できない物は現場保管となり現場での売却が通常です。

廃棄処分費用に関しては、別途かかります。

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (56074)

賃貸借契約の期間満了時、更新せずに契約を終了させたいと希望される方。

賃貸に出していたが自分で使いたいという事情のある方。

「正当事由」の裁判例を見てどのように判断されるのか勉強しましょう。

事例を紹介します。

その前に復習です(ホームページ「借地借家の秘訣(時系列に沿った事例紹介)」もあわせてご覧ください)。

「正当事由」とは、旧借地法、借家法上においても「自ら使用することを必要とする場合その他正当の事由ある場合」と規定があり、新借地借家法でも双方の事情を比較考量するほか、「財産上の給付」も評価の対象としております。土地所有者の事情ばかりでなく、借主の事情として投下資本の回収、借主の積極損失(移転費用、営業損失等)或いは公益、社会上の諸般の事情をも含めて総合判断するのです。

最高裁判例も従来より「立退料の提供は正当事由の有力な事情」とし、その判断要素としておりますから裁判事例をあたってみることは必要です。

1 自己使用に関する裁判例

立退き料 0 マンションに住む貸主が、家族と住むには手狭になった。借主側は、借地上の居宅を既に使用していなかった。更に借主は明け渡しの約束を何度かしていた。立退き料なしで認定した(借地)。
立退き料 200万 貸主が賃貸から10数年後転勤から戻ってアパート暮らし。

借主には転居する経済的能力あり。借主の移転先を探す仲介料や敷金、引っ越し代などの立退料で正当事由が補完されると認定した(借家)。

立退き料 750万 マンションに住む貸主は家族と住むには手狭になった。借主側は借地上の居宅を既に使用していなかった。(借地)
正当事由なし   貸主には別に居住の場あり。貸地の返還を受けて長女夫婦と同居するための新居を建てる必要ありと主張。借主は家族とともに同居していたことや店舗を営んで生計を立てていたことから正当事由はないと認定された(借地)。
正当事由なし   貸主は身体障害者の子の居宅を建築する必要があるとして立退き料300万を提供する旨申し出たが、借主は多数の家族の居住場所にしていたため正当事由を認めず(借地)。

2 自己使用が「営業目的」に関する裁判例

立退き料 6450万 新聞販売店を営んでいた貸主は、従業員宿舎のビルを建築する必要があるとして賃借人に土地の返還を申し出た。

立退料6450万円で正当事由ありと認定された(借地)。

立退き料 8億 貸主は本社社屋の建築に必要と主張。借主は20年以上パチンコ店を経営しており、明渡せば廃業となる。裁判所は、借地権価格、借主の営業利益、権利金なし等を総合考慮して立退き料の提供により正当事由を認めた(借地)。
正当事由なし   貸主は隣接地に居住。本件土地に養子を居住させて老後の面倒をみさせるため借地権買取価格での立退き料2504万円を提供する旨申し出たが、賃借人は倉庫、資材置き場として使用する必要があるとして異議申出する。正当事由の補完を認めないと認定した、(借地)。

3 居住と営業がセットになっている裁判例

立退き料等 650万 貸主は、自己の子が居住し自動車整備事業を経営するため本件土地が必要であるとし、借主に対して使用継続に異議を述べ、立退き料及び利害調整金として計650万円の提供により、明け渡しが認められた(借地)。
正当事由なし   貸主は隣接地で理髪業を経営。理髪業及び居住に手狭として明渡し要求。借主は商品の保管場所に必要として争う。

貸主は信頼関係の破壊も合わせて主張したが認められず(借地)。

4 再開発事業・有効利用・高度利用に関する裁判例

立退き料 6500万 貸主は、都市の再開発事業を手掛ける不動産業者。再開発事業を効率的に進めるため立ち退き交渉を行い、立退料の提供により、正当事由が具備されると認定された(借家)。
正当事由なし   ホームページ「借地借家の秘訣」に掲載した事例をあわせてご覧ください。

5 建物の老朽化に関する裁判例

立退き料 8億 建物が老朽化して耐震性で危険。補強にも高額の費用が要する状況にあるが、場所が銀座で、土地の高度利用、有効活用が望ましいとして高額の立退き料を補完事由として正当事由を認めた(借家)
正当事由なし   賃貸人は、現行家賃の4年以上の家賃に相当する金額の立退き料を支払うと申し出たが、老朽化については貸主のせいであるとして正当事由は認められないと認定した(借家)。

判決が面白いので説明を加える。

判決;「賃貸人は老朽化に至るまでに恒常的な修繕」などをしていない。故に、建築後30年以上を経過しているものの、建物が老朽化したとはいえず、今後数年の使用に耐えうるものと認定した。

老朽化による裁判例には、建物の建て替えが必要であるとして、隣接ビルとの併合の事例、修繕に過大費用がかかることを理由とする事例など、立退料の提供を補完事由として正当事由が認められた事例は多数あります。

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (163669)

1 当事務所が勝訴を得た裁判例

  今回は、当事務所が病院側の代理人として勝ち取った画期的な裁判例について話をしたいと思います(平成24年3月30日さいたま地裁秩父支部判決。)本件は、法律系出版社にも関心を示して頂いており、依頼者の了承を得て、同社が運営する判例データベース等にも掲載される予定です。

  さて、この事件は、院長職にあった産婦人科医(原告)が病院(被告)に対して時間外手当(残業代)及び深夜手当等(約1億4000万円)を請求した事案です。

主たる争点は?原告主張どおりの時間外労働が行われたか?原告が管理監督者であったか否かの2点でした。

裁判所は、?原告主張どおりの時間外労働が行われたかという論点について、原告が当直時間中に居酒屋等で飲食をしていたことなどを理由に「原告が当直(待機)をしていた、即ち被告の指揮命令下に置かれていたと認めることはできない」などと判示して、原告主張どおりの時間外労働を認めませんでした。

また、?原告が管理監督者であったか否かという論点について、「原告の職務内容、責任、権限、勤務態様及び賃金等の待遇を総合考慮すると、原告は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあった」と判示しました。

その結果として、原告の請求は棄却され、被告は時間外手当及び深夜手当を1円も支払わないで判決が確定しました。

院長職とはいえ、勤務医の管理監督者性を認めた判決は全国で初めてではないかと思います。

 

 

2 管理監督者とは何か

  労働基準法上、「管理監督者」に対しては、時間外手当に関する割増賃金を支払う必要がありません。

  しかし、コラム「残業代請求は会社を潰す!?」でも書いた通り、社内において「管理職」という肩書を付けたからといって労働基準法上「管理監督者」と認められるわけではありません。

「名ばかり管理職」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。マクドナルドの店長が「管理監督者」として認められなかった事件は有名です。

「管理監督者」として認められるためには、?重要な経営事項に関与して経営者と一体的な立場にあること、?労働時間に関する規制がなじまない勤務態様で出退勤等に関して厳格な制限を受けていないこと、?広い権限と責任を有しており高待遇を受けていることなど様々な要件を満たす必要があります。

そのため、「管理監督者」として認められた裁判例は数えるほどしかありません。

そればかりか、やっとの思いで裁判所に「管理監督者」と認めてもらったとしても、労働基準法上、深夜手当は支払わなければならないことになっています。

時間外手当及び深夜手当について裁判で“1円も支払わなくて良い”という結果を得るのは容易いことではないのです。

 

 

3 勝訴判決を得た理由は何か                                        

(1)産婦人科医不足は深刻です。

  平成21年には、皇族が出産したことでも有名な愛育病院が、労働基準監督署から指導・是正勧告を受けました。宿直による時間外手当が未払いであることなどの労働基準法違反が理由でした。

  しかし、指導・是正勧告どおりに医療を行っていたのでは宿直維持が困難になってしまいます。愛育病院が“総合周産期母子医療センターの認定を自ら東京都に返上する”と発表したために、「出産難民がますます増えるのではないか」と騒ぎになったのを覚えてらっしゃる方もいらっしゃるのではないかと思います。

  産婦人科医師の勤務環境は言葉に表せない程に過酷です。他方で、病院の経済力にも限界があります。病院と産婦人科医師は、妊婦と胎児の生命を守るため、自らの家族や看護師等スタッフを養っていくために、協力し合って日本の医療を支えているのです。

  医療が抱える現実の前では、法律が余りに脆弱すぎるのかもしれません

 

 

(2)本件の被告(病院)も、産婦人科の置かれた厳しい現状の中、産婦人科医不足に苦しみつつ、良好な産婦人科医療を提供するために試行錯誤を続けておりました。

   もちろん、裁判所が判決文の中において、このような背景を被告勝訴の直接の理由にしているわけではありません。裁判所は、?原告の地位が高いこと、?被告経営に積極的な関与をしたこと、?原告に与えられたクリニック運営権限が大きかったこと、?原告が当直に従事することは不可避な態勢であった一方、原告は当直時間中に居酒屋等で飲食することが認められていたこと、?原告の年俸が理事長の給与に匹敵すること、?パート医師に比べて特別の待遇を受けていたことなどを理由に被告勝訴の結論を導き出しました。

   しかし、日本の産婦人科医療が抱える矛盾とも言い得る背景を無視して、このような画期的な判決を得ることはできなかったと考えております。

 

 

(3)本件は、病院の事務局長らの協力を仰ぎながら、病院と当事務所が一丸となって戦い、勝ち取った判決です。

  当事務所では、紛争の根本までさかのぼり、依頼者が何を求めているのかについて寝る間も惜しんで懸命に考えながら、最良の結論を導き出すようにしております。

  お気軽にご連絡いただければ幸いです。

(今回の記事は岡本直也弁護士が担当しております。)

 

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (48341)

 

(なお、上記コラムの目次は最新掲載のもの5本しか掲載されません。コラムに掲載されている全ての目次は右上にある「アーカイブ一覧」及び左上の欄にある「過去ログの検索」で見ることができます。是非クリックしてご覧ください) 

 

 

1 びっくりした事例

  私は、東京地方裁判所から個人再生委員を申しつかっておりますが、3カ月に2件程度の割合で個人再生委員を受任しております。

  先日、個人再生債務者つまり個人再生を申立てした方が、私の事務所に面接にいらっしゃいました。私は東京地方裁判所の補助者として、個人再生を申し立てられた方の財産および収入の状況を調査するよう命じられております。

その方は、最近転職をされておりましたので転職前の会社について質問したところ、その会社は為替デリバティブ取引をしていて先がないので辞めましたという話でした。驚いたことにその会社社長は2年ほど前、当事務所においでになって為替デリバティブ取引について相談を受けておられたのです。その会社は直接貿易をされている会社でしたから、為替に対してのリスクヘッジができる会社でした。違法な勧誘がなかったかどうか或いは十分に為替デリバティブ取引を理解していたかどうかなどお聞きしましたが、直ぐに受任するということにはなりませんでした。銀行の勧誘の仕方が典型的な「必ず儲かる」という詐欺的説明や断定的説明があった訳でもない事案でした。

しかしこの2年の間に、従業員にまで見放される会社になったかと思うと心配でなりません。

とにかく私が受任して、次の何らかの手を一緒に検討するべきであったと後悔しきりです。

 

 為替デリバティブ取引での相談は多種多様

為替デリバティブ取引の救済策は必ずしも銀行を訴えるということだけではありません。この取引を中途解約する場合でも、弁護士が必要です。解約金の支払いをめぐって、ある程度引き延ばしというような形になったとしても、今後の対応についてじっくり検討することが可能なのです。とにかく解約金の試算は銀行の支店レベルでは出来ないのですから具体的な金額など聞かされていません。試算された解約金の額を知って驚かれる経営者の何と多いことでしょうか。

当事務所では、為替デリバティブ取引の相談を受けた場合には、その取引を始められた経緯について疑問のあることがあれば、この疑問点を徹底的に検討することにしております。しかし、このような検討だけでは十分ではありません。今後の会社の進むべき道或いは債務整理が必要であっても、破産や任意整理或いは民事再生の検討も必要なのです。事業譲渡という形も取りえない訳ではありません。

法的整理手続である破産や民事再生の方法は債権者である銀行にも大きなプレッシャーになります。また任意整理という手法も可能なのですが、この手続には種々の条件が必要ですので、必ず弁護士に相談しないと駄目です。

 

3 裁判所からの信頼

始めに書きました個人再生手続ですが、破産という手続よりも日本人の意識に合致するようです。意外と利用されることの多い手続なのです。特に自宅だけは保持したいという勤め人には便利な手続です。

個人再生手続の制度ができた平成13年直後、私は弁護士会の法律相談運営委員会委員長、東京法律相談連絡協議会の議長でしたから、長い間、本制度の定着に関与してきたことになります。計算してみますと、これまで受任した事件の総数は100件に近いことになります。個人再生事件から破産に移行する案件も多く、そのような場合には私が破産管財人になる訳ですから嫌でも破産関係の諸事件に熟達せざるをえないことになりました。

一時期、個人再生委員を勤める弁護士の多くの先生がいい加減な処理をされることから、裁判所から種々のご指導をいただきました。そのような中で現在でも個人再生委員として事件をいただいているということは、もっと誇りにしていいと考えています。当事務所は東京地方裁判所より調査委員、保全管理人或いは民事再生監督委員を仰せつかり、時には大型の破産管財業務もお引き受けしております。

為替デリバティブ取引の検討においてもこのような経験が生かされないと依頼者の根本的な解決にはならないと判断しております。

事務所一同、これからも東京地方裁判所の更なる信頼確保のために一層奮起する決意をしております。

 

4 解約料の告知があったか?

本年2月、解約料の告知が不十分であったとする興味ある大阪地裁の判決が出ました。大阪産業大学が野村証券を訴えた事案であります。「勧誘の際、為替レートなどによっては解約料が10億円を上回る可能性があると説明していれば、大学側は契約しなかった」と指摘し、「説明は極めて不十分だった」として、野村証券の説明義務違反を認定し、25000万円の支払いを命じたものです。

為替デリバティブ取引の解約料はとにかく複雑な計算が必要であります。しかも解約料が膨大な額に膨らむということについては説明を受けていない事例が殆どです。そもそも勧誘に携わっている銀行担当者には解約金の計算ができず、本店の専門部署で計算されるものですから、取引の際に具体的に説明できないのは当然なのです。

ところで為替デリバティブ取引は、銀行の損失リスクについては特約により限定されていますが、会社側のあなたにはノックアウト条件が付いていないのです。円高になると日々損が拡大します。損失リスクのヘッジがあなた側にはないという、こんな不公平な取引が許されるのでしょうか?

 

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (38859)

 

 (なお、上記コラムの目次は最新掲載のもの5本しか掲載できません。コラムに
  掲載されている全ての目次は右上にある「アーカイブ一覧」及び左上にある「過去
  ログの検索」でみられます。是非クリックしてご覧ください。)
 
1 近時急増した法律相談は巨大銀行の恥
 
  当事務所は上場企業の顧問先もありますが、中心の顧問先は中小企業の皆様であります。当事務所の弁護士は、会社の皆様と共に夢を語り合いながら、一緒懸命に頑張ってまいりました。
ところが、近時、超有名銀行の一方的な勧誘によって開始したデリバティブ取引によって、説明もなかった多額の損失を蒙り、苦しめられている顧問先或いは為替デリバティブ取引によって破産寸前まで追い詰められた会社の相談を多数受けることになったのです。
呆れました。これらの銀行は我が国有数のメガバンクそのものであり、為替デリバティブはメガバンクが勧誘した取引なのですから。
所長である私が20数年前在籍した法律事務所での経験ですが、顧問先であった巨大銀行の一つ(当然現在の三大メガバンクが継承)である銀行の専務から招待を受け、都心中央部に所在するひっそりとした、しかしながら車回しまでがある日本料亭で、業務上の心構えについて次のように諭されました。専務の話は本当に印象的でありましたし、その後の弁護士人生に一つの信念をもって臨むことができたと思っております。
専務のお話の要旨です。
「私ども銀行は国に準じる組織であると自負しております。このことを肝に銘じていただき、自信をもって、しかしながら誰に対しても恥ずかしくない弁護士業務を行ってください。」
弁護士になって間もない頃のことですが、本当に貴重な経験でした。
私は、整理回収機構の不動産部の創設にもその意識をもって臨んだつもりであります。整理回収機構は預金保険機構の子会社であり、専務のお話しのとおり文字通り国に準じる会社でありましたから。
 
2 為替デリバティブ(通貨オプション)とは何か?
 
一昨年から相談を受けるようになりました為替デリバティブ取引は、通常、予め設定された為替レートで外貨を買う権利(コールオプションと言います)を購入するものであると認識下さい。これに対して銀行は同じ為替レートで外貨を売る権利(プットオプションと言います)を買うのですが、銀行の損は一定の限度であるにも拘らず、購入した相談者は現在の円高のなかで限りのない損失を受ける仕組みになっております。
多くの相談者は、出入りしている銀行員に毎日のように「儲かります」と言われ続け勧誘を受けております。資金の融通を受けているメーンバンクの言うことであるし、しかも毎日のように顔を合わせている担当者の推薦だから嘘はあるまいと安易に考えて為替デリバティブ取引を始めた事例が本当に多い。そもそも本件為替デリバティブ取引は為替の変動リスクを回避するためのものであります。円高、円安に対してのリスク管理として考案された商品の一種ですから、輸入業務をメーンとしている会社が対象のはずでした。しかし貿易に全く無関係の且つ国内を市場とする業者ですら為替デリバティブ取引をさせられておりました。為替の変動リスクに無関係のこれらの会社は間違いなく博打をさせられていたことになります。
円高が進み1ドル76円程度となった現在、いずれの企業も申し合わせたように億前後の損害が出ております。
現在では為替デリバティブ商品が詐欺商品の類であり、メガバンクによって完全に賭博の世界に引きずり込まれたことは誰しも知るようになりました。契約をお願いした銀行の担当者ですらデリバティブ商品の内容をきちんと説明できなかった事案も続出しております。「必ず儲かる、必ず儲かる」と連呼することのみが営業手法であった事例すら出ております。
 
3 ADRという紛争解決機関
 
    先日は遂に全国銀行協会によるADRという調停制度を利用する事例も経験しました。
ADRは調停の一種で、全国銀行協会にて組織された裁判所ではない紛争解決機関です。当事務所では、私的紛争解決機関として当初はあまり信頼しておりませんでしたが、調停委員の方の真摯な姿勢や解決までのスピードを考えると、それなりに意味のあるものという印象をもちました。もちろん、当事務所での案件は、事案を十分に検討して調停委員の方に対し、万全の準備で説得に成功しましたから、記録尽くめの解決となりました。
しかしADRは結果がそのまま公表されることはありません。苦しむ企業の方の先導となるようにするには、為替デリバティブ取引の結果が公表され基準となる裁判所の司法判断を受けることも厭わない覚悟で本件事案に当たらねばならないと覚悟を決めております。
 
4 メガバンクの責任
 
  為替デリバティブ取引はメガバンクがやはり金儲けに直結する株式会社であることの一端を垣間見せました。私は前述した専務の言葉を大事にしてきた者として、本当に銀行の皆様に反省してほしい。
  こんな感想を述べる私は被害者の企業からは何を甘ったるいことを言っているんだとお叱りを受けるでしょう。当然だと思います。
  銀行の無責任な利益追求姿勢に反省を求めるためにも、徹底して銀行の責任を追及することが大切です。それがこれまでの銀行を変える結果にもなります。
  当事務所では上記信念に基づき徹底して争う覚悟です。

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (37912)

 

  (なお、上記コラムの目次は最新掲載のもの5本しか掲載できません。コラムに
  掲載されている全ての目次は右上にある「アーカイブ一覧」及び左上にある「過去
  ログの検索」でみられます。是非クリックしてご覧ください。)
 
1 過去の労使紛争
 
  新しい年を迎えたことでもあり、労使紛争を通して将来を考えてみましょう。
私は、労使紛争には社会の鏡の側面があると何時も考えています。
私が労働組合の労働者側の支援者として労使紛争に参加していた時代と、現在の労使関係は全く様相を異にしています。
私が経験した1960年の半ばから1970年代の前半は、まだまだ社会的に不安定な時代でした。その時代の労使紛争は、都心の一等地であっても、いわゆる暴力団の介入もあり、ピケ破りや集会破壊のための殴り込みも頻発し、労働者が自分の権利を守るためには実力が伴う時代でありました。
昔話をさせていただくなら、神田で行なわれた書籍販売会社の労働組合集会に対する暴力団の殴り込みを阻止するべく、文字通りボディガードのように体を張って守った経験や、或いは社長の自宅にデモを組織したこともあります。デモの時は機動隊に阻止され、雨の中での乱闘になり、この予想外の展開には驚き、警察の対応に怒りを覚えたものです。当時は体を張って労働者の立場にたつことに何の躊躇もありませんでした。つまりそのように明白な対立構造を示す時代だったのです。
 
2 現在の労使紛争
 
  現在は随分様相を異にしています。
労働者とはいえ、実力で自己の要求を伝えることにも合理的に制限があると認識されるようになり、それなりの法整備もなされてきました。これまで述べてきた労働法制や、或いは労働者の主張を経営者側で吸い上げる仕組み作りもなされ、法的に限界を超えると判断される実力行使が非民主主義的な行動として考えられ、しかもそれが受け入れられる時代になったと言えます。
昨年5月、生コンクリート製造会社の工場に押し掛けた労働組合の幹部ら12名が威力業務妨害容疑で逮捕されたという記事を記憶されている方もおられると思います。この事例は工場の出荷妨害になった行為が威力業務妨害にあたるというものであり、また会社や元社長の自宅に対する街頭宣伝活動そのものが差止めされた東京高等裁判所判決も存在します(平成17629日東京高等裁判所街頭宣伝活動禁止等請求控訴事件)。これらの事例が違和感のない時代になっているということは過去の労働組合活動からは想像もできないことです。
 
3 これからの労使紛争
 
世界は狭くなりました。
ギリシャの経済危機が欧州債務危機となって瞬時に我が国の経済に影響を及ぼす時代になりました。円高はまだ続くのでしょうか?
昨年は日本の負債が900兆円を超えていると幾度も報道されました。皆さん気づかれないでしょうが、格差社会が進行を始めたと考えられる兆候は我が事務所の事件からでも見通すことができます。
そもそも紛争解決手段として、昔経験した実力による労使紛争が物理的に合理的なものでないことは明白です。これらが、人を大切にする民主主義の理念に反することは争いようがありません。逮捕という上品な(?)結末以上に、怪我をすることくらい止むを得ないものとする当時の労働組合活動に何のメリットがあるのでしょうか。
精神的には勿論、物理的に人を犠牲にすることには何の合理性もありません。こんな不経済なシステムが最悪な社会であることは明らかであり、このような時代の再来は決して見たくありません。
私は危惧します。
我が国が金融恐慌になっても今までの民主主義のルールがこれまでどおりに通用するのであろうかと・・。格差社会がどんどん進行しても法による規制が民主主義の原理として認識され続けるのであろうかと・・。
若かりし私が経験した二つの立場が決定的に対立していた時代が再来することを危惧せざるをえません。当時の社会状況が再度到来しない保証はないからです。
 
4 本来の労使紛争
 
経営者と労働者という二つの立場は、現在の法律上当然に予期されるべき立場であり、どちらの立場においても守られるべき立場、即ち我々法律の職人からするなら、それぞれに守られるべき権利があるのです。それらの権利は当然に保障され、つまり我々弁護士の職業上の課題となるのです。労使紛争においても民主主義としての一つの形が示され、現在機能していると判断できるからです。
学問用語ではこれを法治主義と言いますが、私はこの言葉があまり好きではないと本コラムでも書きました。法治主義は、自由競争という市場経済主義により生じる人の欲望に対する後追い規制政策にすぎないからです。
 
5 課題
 
現在を生きる我々の課題は、この二つの立場が全く融通性なく、非妥協に、対立する時代が来るということだけは避けなければならず、その工夫が必要だということです。

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (20503)

 

(なお、上記コラムの目次は最新掲載のもの5本しか掲載できません。コラムに
 掲載されている全ての目次は右上にある「アーカイブ一覧」及び左上にある「過
去ログの検索」でみられます。是非クリックしてご覧ください。)
 
 
1 我が国の労働時間
前回コラムに書きましたが、「我が国の労働法制が社会主義化しているか」という問題提起に対して、そのような問題提起は愚問であることを説明しました。しかし上記問題提起に対しては、さらに違った側面から実態的に分かりやすく説明ができることをお教えしたいと思います。
  それは、現在の先進国間における労働時間と、我が国の労働時間を比較対照することです。わが国の労働時間は先進国での労働時間と比較して、とても自慢などできるものではありません。
日本は欧米に並ぶ先進国とされていますが、フランス、ドイツ、デンマーク、スウェーデン等の労働時間と比較すると、日本はなんと年間労働時間は300時間から400時間も長いのです。長時間労働をしている雇用者の比率は5倍にも上ると統計が示しているのですから驚きなのです。市場経済原理が導入されているアメリカは労働時間規制が弱く、長時間労働の比率が高いと問題視されています。それでも週に50時間以上労働している雇用者の比率は日本28.1に対し、アメリカは20でしかありません(「過働社会ニッポン」小倉一哉著 日経ビジネス文庫)。アジアでは先進国とされる韓国が、先進国の中では最も長時間労働だと判断されていますが、これも次のような視点から読み取ると大変興味深くみることができます。
 
2 労働時間と労働力の関係
それは、労働力がその国のシステムのなかで経済的にどのような意味を持っているのかということであります。私は、その国の世界の中での位置づけは、原則として労働者の商品価格、その国の労働者に要する経費(給与等)で容易に推測できると考えております。
後進国を含めて考えて見ましょう。
そこで質問ですが、ある国で、その国の有する資源とは何を意味するのでしょうか?質問されている当該国が石油やウラン或いはレアメタル等の資源、或いは先進国のように他国に対して売ることのできる技術力等の商品を持っている場合は別個の評価を加えて判断されますが、上記に示す例外的な場合を除いて、その国の経済力は、商品としての労働者の市場価格、即ち当該国の賃金の高さ、低さで評価や推測ができるのです。
労働力の商品価格の決定については、後進国では識字力等の文化的な側面もあるでしょうが、先進国では、その国の経済力の反映として価格付けされていると考えて間違いありません。我が国でも、中国その他のアジア諸国の、労働力の安い国に工場を進出させる企業を見るなら容易に分かることです。即ち、労働力の価格はその国の経済的な位置付けにより決定されており、人という資源によって他国の企業が、労働力の安さという一点において海外進出するのです。企業はグローバルな構図の中で流動しています。
 
3 労働力の価格と労働時間
結論からいいますが、先進国の中での労働力の価格の決定基準は、単純には労働時間で考えていただければ、意外と単純化してみることができます。労働力に対する規制も諸外国で種々の形態があるとはいうものの、労働者は人間そのものですから、売却できる労働力の中身が検討された後には、その中身に差がなければ、労働時間の長短でその価格が変わるのは当然のことであります。長時間労働させれば時間当たりの価格・経費は低下するのです。
そもそも労働に関する法令は労働時間に関する規制が中心であります。労働規制のないアジア諸国の労働時間は大変に長時間労働です。先進国と称される韓国が長時間労働であることも既に説明しましたが、妙に納得できるのではありませんか。
また我が国の労働法制を中国と比較するなど無知以外の何ものでもないこともお分かりいただけたでしょうか?
もっとも、労働法では労働力を商品として論じることに強く嫌悪感を示す学者もありますが、実用的に物事をみていくべきです。つまり、グローバルな視野において労働時間を考察する必要があります。
あなたは、労働時間が短縮されれば、余暇が増えるので若者が子作りにいそしみ、人口減少化に歯止めがかかり、ひいては経済力が増すし、消費も増大するという主張を聞いたことがあるでしょうね?「そんな簡単な訳がない」という通俗的な反論は遠慮して下さい。フランスで減少していた出生率が増えたのは35時間労働制にしたためと、その因果関係を主張する人もいます。
では、次項で、日本の労働法制は先進国の中でも進んでいると考えているあなたの常識を覆してみましょう。
 
4 再度労働法制について
日本の労働時間が先進国の中で決して短くないことは既に論証しました。それでも「国民性」を持ち出して反論されるあなたに、日本特有のサービス残業はどう評価されているのかお聞きします。
「サービス」残業なのですから正確な数字を把握することはできません。サービス残業をしましたか?という形での聞取り統計しかありませんが、日本は本当にサービス残業が多い。先進国の中でも異常なのです。しかも非正規労働者ですら残業をしています。これも先進国並みではありません。そもそも非正規労働者(遂に労働者の39%を占めるまでになっていることは前回説明しましたね)の中の「パート労働者」の定義を、EUの殆どの先進国では週30時間以下の労働者であって、残業はないという意味にて説明しておりますが、日本では、これにも絶対に当てはまりません。日本のパート労働者は残業もしております。パート労働者の労働実態によってですが(労基法39条)、パート労働者にも年次有給休暇が与えられるという常識的なことからもお分かりいただけるでしょう。
日本と大違いのフランスでは、労働時間に関する35時間法が見直し議論されているくらいですが、公務員の団結権も認めております。先日、ネットを見ていて、フランスの警察官が集団で団結権を行使しているのを見て、その異様さにびっくりしたとの記載がありました。日本の労働法制が社会主義国のようになっているなどと誤った印象を持たないようにしていただきたいと願います。
 
5 労働時間の長さは「日本の国民性」だけで説明がつくのか?
私は、労働時間の長さを考えると、日本は本当に先進国なのかと時々疑問にも思います。しかし争いごとの嫌いな、真面目な国民性を考えると、争いごとの最先端にいる我々弁護士の業務に影響することはあっても、やはり自慢できると思います。東北大震災での争いごとを好まない国民性が、国際的に評価されたことを誇りに思う気持ちは、既に弁護士として失格なのでしょうか?
以上、国民性を含めて現在の日本の状況を考察しますが、やはり日本は先進国なのですから、「国民性」に甘えている訳にはいかないでしょう。それだけの代償を払うのが先進国であり、「国民性」云々よりも労働力に見合った技術或いは革新性が日本にはあるはずです。ヨーロッパの先進国並みの時間労働であっても、十分に先進国に張り合える国民であると私は思います。
これらから結論付けるとすると、法規制の典型である労働時間は、将来もっと短縮される方向で法立法がなされるのではないでしょうか。
今後、労働時間を巡る紛争、弁護士の出番が減ることはないというのが結論でしょう。
 
6 まとめ
今回は、労働に関する法的な側面からの考察ではなく、世界の資本の流れのなかで、その国の労働法制が決定され、しかもその国の経済力に影響されて法規制として定められ、その過程の中で労働力の価格が決まることを話してみました。
逆説的には、労働法制がその国の経済力まで決定してしまうという側面から労働法制を考えてみましたが、真実は論理が逆で、その国の経済力によって労働法制が定まる、つまり給与が決定されるというのが私の話したい、悲しい結論です。
しかし、給与が高ければ国民の購入意欲が高まり経済力が増すという意見もありますから、本当に難しい問題なのですね。
  これから日本はどうなるのでしょうか。
 
 

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (29546)