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コラム - システム開発カテゴリのエントリ

 

一 システム開発事件
 
1 20年以上前の事件
(1)  コンピューターが開発の一環を支えるようになり始めたすさまじい経済成長時代を紹介します。お話ししようとする事件は、ITと工場一体型というような大規模開発システムが問題となった紛争であります。
取扱い事件の紹介は極力控えてきましたし、紹介する場合にも特定できない形で紹介しております。しかしこれらの会社は既に存在しない会社です。一つは世界を席巻するアメリカの上場企業に吸収され、もはや誰も関心をもたない遠い昔の事件になりました。
 
(2)  第一の事例紹介は、最先端の医療機器を取り扱う会社と紹介しておきます。この会社は輸出入する医療機器の在庫管理と搬出入に資するシステムを作ろうとしました。医療機器には保存期間があり、しかも緊急手術のため、迅速且つ自動での搬出が必要です。何億円もかけて日本各地にある倉庫の一括管理を目指したのですが、そのシステムがうまく機能しませんでした。開発会社は誰でも知っている世界有数の開発専門会社でしたが、厳しい交渉に難儀しました。当時はシステム開発初期の時代だったため、開発に関する指針もなく参考文献もなく、どう証明するのか悩みました。相手方から提出される証拠を見ていると、一方的に開発会社有利のもので、依頼者は、システムについて理解困難な状況のまま契約しておりました。でも裁判官には、役にたたないものはしょうがないという理解を得てやっと解決させました。
 
(3)  次に紹介する案件も大型工場にて生産される機具(詳細は言えませんが、人力では取り出せず、分解に馴染まない機具)の製造、搬出、保管に関するシステム開発です。これらの機具は、パソコンにより自動的に加工され、組立てられます。その後、自動運搬装置で積込み、保管されます。当然全てパソコンの指示によって自動的になされるのですが、この装置も故障が多くて使い物になりませんでした。
当職への依頼会社は、何億円もの支払いをストップしたためすぐに訴訟事件になり当職が受任しました。開発会社からは、契約書のみならず、当初からの打合せ書、提案書、仕様書や議事録等、システム開発に関係する膨大な資料が証拠提出されました。当時は、そのような場合の事例も一般的になっておらず、資料の読み込みにも大変苦戦したため、直ちに理工学部出身の弁護士に参加してもらい、相手の主張を精査したことが懐かしく思い出されます。この案件では差押えを受け、その差押解除金だけで何億円もの金銭を入れておりましたので、早期解決に尽力しました。この時の報酬額は高額でしたが、何人もの弁護士で分け合ったので、総指揮をとる私自身は不満一杯でした。
 
(4)  近時のソフト開発は社会の隅々に行き渡り、社会のあらゆる分野において当たり前のものになりました。開発ソフトもそれほど金額がかさばらない事案も多くなり、システム開発が一般の経営陣にとって経営改革の当然の前提概念になっております。パソコンは我らの生活、企業活動に深く浸透しているのです。現在我が事務所で取り扱っているソフト開発関係事件を見ておりますと、昔のように特殊領域という概念は露ほども出てきません。
 
2 これらの事案の解決ポイント
(1)  前回、副所長が担当してくれた「情報システム・ソフトウェア関連取引で紛争になった場合の対処法」の解説にありますが、東京地裁の判断基準が指針になる場合が殆どです。でも裁判所が言う「不具合・障害が軽微かどうか」という判断は実際には大変に難しいのです。
 
(2)  そもそも裁判所自身が判断の難しさを述べています。つまり、東京地裁では調停部という部が作られているのですが、システム事件は、通常訴訟の部(特許等は関係がないので、システム開発は通常訴訟です)から付調停という決定がなされて調停部に回付される案件が多いのです。通常部の裁判官から難しいという折り紙がついているのです。また裁判所には専門委員の制度もありますが、この説得も大変です。
パソコンの中身を吟味することがこれほど難しいということは、これらの事件を大量に処理されていない皆様方には理解してもらえないと思います。それほど専門的な分野なのですが・・。パソコンの内部は覗けません。このことについては数学者も問題にしています。
 
二 人工知能の進歩と数学者の世界
 
 1   サイモン・シンの書いた「フェルマーの最終定理」(新潮文庫)を読んでいて驚きました。数学者は、いわゆる遺伝アルゴリズムという考え方を用いて、コンピューター自身が決定を下す新たな仕組みを作ったというのです。現在は、おおまかな構造は数学者が設定していますが、細かい部分はコンピューター自身が決定を下して計算等を行うようになったそうです。プログラムの一部がちょうど生物のDNAに含まれる遺伝子のように変化し、進化していくのだそうです。
 
2    これは数学者の恐ろしい程の精魂つめた努力の必要がなくなり、数学者の楽しみを奪うものであるという感想もありますが、実は、この本では、数学者はコンピューターが正しいと言うだけで証明できたことになるのかどうかと批判しています。この話は人工知能が人間を支配するという映画マトリックスの世界を彷彿とさせます。
早速、パソコンで「人工知能」と検索してみました。「2045年問題、コンピューターが人類を超える」と題して、このままの速度でITが進歩すれば2045年には知性をもったコンピューターが誕生するとありました。私は、その時既にいないでしょうが、驚きの時代がすぐにも訪れようとしているのです。

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一   近時、各企業から当事務所に対して、情報システムやソフトウェア関連のご相談が非常に増えているという印象です。
      現在社会では、どのような商売を行うにせよ情報システムが不可欠になってきておりますので、それに伴って多くの紛争が生じることも当然のことなのかもしれません。
      しかし、情報システム関連の紛争に関しては極めて専門的な事項も多く、法律論についても全ての弁護士が詳しいという状況ではないようです。
 
二   情報システム関連の紛争の法律相談で一番多いものはシステム開発に関する紛争です。
     システム開発に関しては経済産業省がモデル契約書を公表しており、既に多くの議論がなされているところです。
    そのため、経済産業省が出しているモデル契約書やトラブル事例集を良く読んで取引をすれば紛争を予防できる場合はかなり多いと考えられるのですが、実際のところは、見積書と発注書程度の簡易な書面で契約が進んでしまっている場合が多いようです。
 
三    しかし、システムは、必ずと言って良いほど不具合が生じます。
      このような時に、最初の契約の際に事後のことまでしっかり決めておかないと、当事者間における考え方のズレが表面化し、紛争になってしまいます。
      このような紛争になった際、裁判所がどのように判断するのかについて理解しないまま協議をしていても、依頼人側は「こんなに不具合が多いシステムに金を払うのはおかしい」という主張になり、システム開発側では「過剰な要求ばかりされている」という主張になるため、いつまで経っても解決しないのです。
 
四   裁判例は多く存在するので、一つだけ取り上げておきますと、平成25年5月28日東京地裁判決は「一般に、コンピュータソフトのプログラムには不具合・障害があり得るもので、完成、納入後に不具合・障害が一定程度発生した場合でも、その指摘を受けた後遅滞なく補修ができるならば、瑕疵とはいえない。しかし、その不具合・障害が軽微とは言い難いものがある上に、その数が多く、しかも順次発現してシステムの稼働に支障が生ずるような場合には、システムに欠陥(瑕疵)があるといわなければならない。」と判示しています。
     このような裁判例が存在することを知っているだけでも、紛争になった際の対処法は大きく変わってくるはずです。
 
五  システム開発に関する紛争が訴訟になった場合、普通の訴訟に比べてかなり長時間かかることが多いです。
     訴えるにせよ訴えられるにせよ非常に大きなコストがかかりますので、事前に予防しておくことが不可欠です。
     システム開発に関する重要な契約を行う場合には必ず弁護士に相談して契約書を作成して頂きたいですし、仮に紛争になってしまった場合であっても弁護士の意見を聞きながら対処した方が会社にとって圧倒的に合理的です。
     当事務所にはコンピュータやシステムに非常に詳しい弁護士が所属しているため、場合によっては会社まで出張して調査をしておりますし、多くの案件を扱っておりますので、御社にとって有利な解決を導き出せるものと自負しております。
                                                

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