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新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

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コラム - 最新エントリー

 

一 以前紹介した経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック 〜企業価値向上に向けて」というハンドブックのうち、今回は従業員に向けた具体的な情報漏洩対策を紹介したいと思います。
 
二 従業員に向けた具体的な対策として一般的によく挙げられるのが、秘密情報を閲覧・利用することができるアクセス権者の範囲を適切に設定し、アクセス制限を行うことです。
   このことは、不正競争防止法上の「営業秘密」に該当するかどうかを判断する際の基準としてもよく挙げられる基準であり、非常に重要と考えられています。
   具体的には、書類等については施錠された書庫等に分離して保存した上で入退室を管理することが重要ですし、電子データについてはアクセス権を有する者のIDのみからアクセスできるようにすることが重要です。
   経済産業省のハンドブックでは、小規模企業でも行える施策としてペーパーレス化や電子化された秘密情報のうち、印刷できるデータの内容を限定すること等も挙げられています。
 
三 秘密情報の持ち出しを困難にさせる施策も重要とされています。
具体的には、秘密情報が記載された会議資料等に通し番号を付けて出席者と関連付けして把握した上で会議が終了した際に全て回収して管理すること、従業員の私物USBメモリなどの持ち込みを禁止すること等です。
   また、実際に当事務所が扱っている事件においては、刑事告訴した際に、警察などから「社内のパソコンについてUSBメモリ等の外部記録媒体への書き込みができない設定にしているか」という点を問題にされることも少なくありません。
   そこまでの対応は大企業でなければ難しい場合が少なくないと思いますが、せめて電子データを暗号化するなど可能な限り従業員が秘密情報を持ち出せないようにする施策を講じる工夫が必要です。
 
四 仮に秘密情報の漏洩を行ったとしてもすぐに見つかってしまう状況になっているということを従業員に認識させることも重要とされています。心理的効果によって、故意による秘密情報の漏洩を防止できるからです。
具体的には、秘密情報が保管されている書庫や区域に「関係者以外立ち入り禁止」という掲示を行ったり防犯カメラを設置したりすること、情報システムにおけるログの記録や保存を行っていることを周知すること等です。
これらの対策は、実際に秘密情報の漏洩が発覚した後に証拠にもなり得ますので是非とも実施されることをお勧めします。
 
五 さらに、不正な行為を行った従業員に言い逃れをされないようにすることも重要です。
具体的には、可能な限り多くの従業員が参加している会議や朝礼などにおいて、何が秘密情報であり、どのようなルールになっているかを確認するなどして、従業員に秘密情報の取り扱いルールを周知したり、秘密保持誓約書等を締結したりすることが重要とされています。
   当事務所が扱っている案件においては、専門家による研修を行ったり、従業員の理解度を確認するためのテストを行ったりすることによって、言い逃れされないようにしている会社が見受けられます。
 
六 以上のような対策の他にも経済産業省のハンドブックには様々な対策が具体的に記載されていますし、従業員に向けた対策の他にも退職者、取引先、外部者に向けた対策を取ることも必要です。
   情報漏洩の具体的な対策を検討している方は気軽に当事務所にご相談いただければ幸いです。
 

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一 当事務所で秘密情報の漏洩に関する相談が増加しており、様々な案件に対応していることはこれまでも本コラムで記載してきたとおりですが、経済産業省は平成28年2月8日付けで「秘密情報の保護ハンドブック 〜企業価値向上に向けて」というハンドブックを公表しました。
   「大企業の約40%、企業全体の15%弱が、『自社の営業秘密の漏えいがあった若しくはそのおそれがあった』と回答」(平成26年経済産業省調査)しているにもかかわらず、「営業秘密の漏えい防止策について、企業全体の約35%、中小企業の約40%が『取り組んでいない』と回答」(平成26年帝国データバンク調査)しているとのことですから、このような現状を見るとまだまだ秘密情報の漏洩は続くものと判断せざるを得ません。
経済産業省としても上記ハンドブックを公表して秘密情報管理に関する啓蒙活動を行わずにはいられないということなのだろうと思われます。
 
二 秘密情報を管理することの重要性は改めてお伝えする必要がないかもしれませんが、一番大きいと思われるのは、競争力を失うことです。
   いうまでもなく、競合他社に対して秘密情報が漏洩すれば競争力を失い、競合他社に顧客を奪われてしまう可能性が強いでしょう。
   また、秘密情報を漏洩させてしまったという事実自体が、企業の社会的信用を低下させることにもつながりません。
   そればかりか、秘密情報が顧客情報の場合には、顧客情報を漏洩したことにより、顧客から訴えられる可能性も出てくるのです。
   このように、秘密情報の漏洩は企業にとって致命的な事態を及ぼしかねません。
 
三 経済産業省のハンドブックには、概ね、秘密情報を決定する際の考え方、情報漏洩対策の具体例、秘密情報管理にあたっての社内体制、紛争への備え、情報漏洩事案への対応方法などが事細かに記載されております。
   また、当該ハンドブックには、秘密情報管理に関する就業規則例、情報管理規程例、秘密保持誓約書例、秘密保持契約書例なども細かく記載されており、実務にも大変役立つ内容になっています。
   もっとも、当該ハンドブックは100ページを大幅に超える大作であり、法律的な裏付けに基づいて記載されておりますので、軽く読んですぐに全てを理解できるというものでもありません。
   そこで、本コラムでは、数回にわたり、当該ハンドブックの内容を簡潔に紹介したいと思っております。
 秘密情報の管理に向けて社内規程の整備を検討されていたり、情報漏洩事案への対応を検討されたりしている場合には、当事務所にご相談いただければ幸いです。
   

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一 夫契約の生命保険が離婚した先妻のものになるのかという質問
 
1 今回も前回と同様、20年ほど前、旧知の友人から受けた相談です。
彼とは大学時代、一緒に絵描きの仲間として付き合っておりました。彼は不思議なほど女性の方から相談を受けることが多いのです。私には羨ましい存在なのですが、彼はこのコラムの愛読者でもあります。彼は具体的な内容は話さず、しかし要点を外さない相談を持ち掛けるのが常です。このような対応を含めて不思議な魅力のある友人でありますが、その相談は次のようなものでした。
今回の相談相手も女性で、次のような内容でした。「主人が亡くなり、調べていたら、主人が生命保険に入っていたことが分かったそうだ。すぐ保険会社に連絡したが、保険会社から、あなたには払えないと言われたらしい。保険金受取人がずいぶん前に離婚している元妻の名義になっているからだという話しだ。でも元妻は再婚していて、主人の生命保険を貰う理由がない。こんなことが許されるのだろうか」というものであります。
友人は、保険会社も関連企業にもつ有名企業のエリートサラリーマンですが、自分でも保険会社の説明はおかしいと思うので相談の連絡を入れたというのです。
 
2  私は、昔この判例を読んでしっくりこなかったことを思い出しました。ついでだから、この判例を精査したいと思いました。
当時、会う楽しみを優先させた恩着せがましい提案をしました。つまり、彼は何時も、自分の勤める会社の顧問弁護士達より私のほうが圧倒的に優秀だと褒める反面、相談ばかりで金になる仕事を回してきたことはありません。そんなこともあって、この相談を私の楽しみに変えようと思いました。
そこで「保険が遺産でないことは君のようなエリートが知らない訳がないよね。受取人に「妻○○」という記載がそのままで、その後離婚していても、最高裁の判決は保険会社の言う通りなんだ。しかも元妻は再婚して姓も変わっているんだものね。君が納得できないという気持ちはよく分かる。自分も、昔勉強した時、一度この判決を精査したいと考えていた。俺が無能だからという訳ではない。君は、俺ができる弁護士だと何時も言ってくれているよね。だから時間を頂戴。事務所で相談しようぜ。あとは飲もうぜ。」と「調べる楽しみ」と、「飲む楽しみ」を確保しました。
ところで、今回このコラムを読む友人に、当時の私の気持ちを知ってもらえれば、20年ぶりの話題を肴に、再度美味しい酒が飲めるというものです。
 
二 最高裁判決に疑問を持つことは健全か?
 
1  早速友人が納得できる資料収集に邁進したのですが、私の感覚は当時から冴えていますね。私の違和感は最高裁上告理由書まで読んでやっと得心できました。
 
2  調べたい最高裁判決(昭和589月8日第一小法廷判決)ですが、先ず、私の自宅の書斎を埋め尽くしている何十冊もの一冊「最高裁判例解説 民事篇 昭和58年度」(法曹会出版)を読んでみました。この解説書は有名な注釈本を百倍にした程度ではありますが、私の感性に訴えてくるものがありません。そもそも上告理由書がないのです。
     でも驚きました。元妻は自らの不貞を理由に夫と離婚しているのです。しかもこの保険は団体定期保険だというではないですか。夫は医師で○○県医師会の団体保険に加入していたというのですから、私が弁護士会の団体保険に加入しているのと全く同じです。私だって弁護士会の団体保険がどうなっているのかなど関心がありません。受取人の名義変更を放置していた状態というのはよく分かります。
 
3   早速、弁護士会の図書館に行って保管されている最高裁判例を調査しました。昭和58年の判決ですから当時は最近の判例と言っても不思議ではないのですが、なんと裁判長はあの有名な団藤重光博士でありました。あの尊敬する団藤先生が事情の勘案もされず、私にとっては一方的と言えるほどの保険会社寄りの判決をお出しでした。そもそも上告理由書を読んで自分の大学時代を思い出したと言うのが正直なところです。私の学生時代、大学の閉鎖性や古い体質改善を求めて運動した学生が7名除籍され、その当時の学友を思い出しました。この調査当時、7名の除籍者のうち3人目の自殺者がお茶の水聖橋から投身自殺しております。
 
4  上告理由書の「はじめに」だけでも読んでください(原文のママ)
 「上告人が心から希うところは、万人の納得に値する判例の樹立である。我国における資本主義体制は、永年に亘る助長政策によって、遂に発展の極度にまで達し、今や、そのための必要悪とせられておった非道義性の修正をもって、緊急の課題とする時点に至った。同時に、その間逼迫を已むなくせられていた、我民族固有の道義感は、正に、甦生の時を得たといえるのである。この際に当たってなされた、原審判決の内容たるや、旧態依然たる大量契約保護主義の残滓以外の何ものも、これを認めることができないものであって、これを、現時代における公正なる社会通念として、よく黙視することは、到底あり得ないのである。本件は、正に、時代を画すべき試金石といえるであろう。くしくも、被上告人らの第一審における答弁書の付記は、このことを暗示する感が深いのである。」
  私は上記最高裁判決を形式的なものと思わざるを得ません。名義の書換えが放置された経緯をもっと検討するべきであったと思います。

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一 葬式費用、お墓はどうなるのかという質問
 
1 旧知の友人から、突然電話がかかってきて、葬式費用やお墓の相談を受けたことは数え切れません。
私の友人達は、ちょうどご両親が亡くなられる時期を迎えておりましたから、このような緊急の相談が多かったのは当然のことでしょうね。訃報を聞いてとりあえず集まった子供たちが相談するのは葬儀の費用負担であります。葬儀屋さんをお呼びして話しをしますと、ではお墓はどうなるのだろうという疑問が生じ、再度私に相談の電話が来るというワンパターンの経緯を辿ります。
 
2 最近は、一度に全てを教えてしまうようにしております。意外とみんな驚いてくれますが、これは通常お墓も相続財産だと考え、こう考えるのが近代民法だという刷り込みがあるからなのでしょうね。
  先ず、これに関係する民法をみましょう。民法第897条です。「祭祀に関する権利の承継」という条文です。条文を読めばある程度理解できます。つまり「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先祭祀を主宰すべきものが承継する」と規定され、前条の大原則第896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」の例外法理として慣習を持ち出すのです。でも私の友人の多くは「その慣習が分からない」と言いますので、本当に時代は変わりました。
 
3 また第897条には「葬式費用」が書いてないじゃないかと疑問を提起する友人もおります。その際には私から「誰が香典を貰うの?」と質問することにしております。香典は「主宰者」が貰うはずです。ところで漢字に注意してください。「主催者」ではありませんよね。つまり最近は相続人が主催者にならない「お別れ会」方式のものも流行しておりますので、短時間で説明するときには、「普通の葬儀だよね」と念押ししないと危険です。もちろん“葬祭費は、その儀式の実質的主宰者が負担するべきものである”という判例も出ております。
 
4 葬祭費を相続人で分担する例も増えておりますが、お墓はどうなるのでしょうかね。慣習が分からないのでお寺さんにその地方の風習を聞くようにアドバイスすることもあります。
でも「お骨を返せ」、或は「分骨させてください」という事件依頼には「慣習」とは違う解決を模索しないとならない場合もあります。
本来、お骨の所有権の帰属も前項の条文に従い主宰者のものとなりますが、相手に内容証明を送るまでして裁判になったことはありません。前項で示しました第8972項によりますと、「慣習が明らかでないときは・・家庭裁判所が定める」としております。しかし裁判までするということには疑問をもっております。やむを得ない場合を除いて、裁判を主張される弁護士が果たして有能な弁護士なのでしょうか?お骨の主人公が生きておられればお怒りになるでしょう。
私は、お骨と一体となって生活したいという依頼者の覚悟をお話しして、分骨をお願いしてはどうかと説得しております。既に納骨されておりますと分骨はお寺さんとの関係処理も出てきますので丁寧にお願いして結論を出すようにしております。これまで、こじれた例はありませんでしたから、私の依頼者は“きちんとした方”ばかりです。
 
二 日本の相続は、いまだ「家制度」が必要なのか?
 
1 「相続事件簿その5遺言と遺留分」を読んで、ある方から日本の家族に対する認識が従来と大分変遷しているのではないかという感想が寄せられました。私のコラムに対する真摯な感想が寄せられることはうれしいのですが、“日本の民法学者は古い”或は“新たな家族理念に基づく解釈乃至立法活動が必要”という批判と分かります。
確かにエマニュエル・トッドのいうように、日本はまだ直系相続の国なのでしょうか?今の我々は民主主義が十分に根づいている、否、家族の崩壊という理由により劣等国家のような状況は最早ない、と反論する読者が出てきても不思議ではない時代になりました。
 
2 民法第897条のコンメンタール解説書を見ると確かにそうです。
「本条は、系譜、祭具及び墳墓等の祭祀財産について特別の承継ルールを定める。戦前の旧規定では祭祀財産は『家督相続人の特権に属す』とされ、家督相続人が独占的に承継した。しかし、戦後家督相続が廃止され遺産相続に一本化された後も、なお一般の相続原則の例外とした趣旨は、従来の慣行や国民感情に配慮したことと、祭祀財産は分割相続になじまないことにある。しかし、祖先崇拝と結び付いて家制度を温存するとの批判も強い」とあります。
 
3 「相続事件簿その5」のコラムでは個人成育史まで書いたことにより、皆様の関心はいただきましたが、本当に難しい問題なのです。
家制度、特に直系相続などについて興味を持たれる方には、「日本の起源」という3年ほど前に出版された歴史本を紹介しましょう。「日本の起源」は、3年前かなり売れた本ですが、新進気鋭の歴史学者である東島誠氏と與那覇潤氏の対談本です。
この対談の趣旨は、日本の歴史が卑弥呼の時代から、つまり天皇制が始まる前から分析され、「家制度」がとられざるを得ない必然性を分析し、その必然性から歴史は反復してきたという内容を解説した快著で、家制度に対する幻想も吹き飛びます。
では「家制度」は、もはや現代文化からほど遠い「慣習」とも言えない文化状況になったのでしょうか。私自身の経験からしますと、次世代に期待したいという「ずるい結論」になるのですが・・。
皆様はどうお考えでしょうか?

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一 特別受益が問題になった事例
 
1  今回は特別受益が問題になり、その解決に大変苦労した事例を紹介し
ましょう。
前回と同様、バブル景気に湧いた当時の事例です。
問題の発生はバブル景気を遡り、失われた10年と称された不景気のど真ん中、昭和50年頃のことです。当時、相談者のお父さん(以下、父といいます)が、借地上に建物を建てて相談者のご長男家族と同居されていました。昭和50年頃は不動産価格もどん底で、当時、お困りになった地主さんから底地を買い取ってくれないかとお願いされたそうです。ご高齢の父には資力がなく、同居していた長男である相談者がその底地を買い取ることで話がつきました。相談者ご夫婦は、当時より、父母の介護を続けてこられましたが、ご両親が亡くなられたバブル景気の頃には、その土地の値段は驚くほど高騰していたのです。
 
2   相談者のご兄弟は、父の遺産分割を主張されました。
相談者は、父の遺産については、預金と僅かな株式、本件で問題となる価値のない建物しかないと反論していたところ、ご兄弟に弁護士がついて「被相続人には借地権という莫大な遺産がある。それを処分なりして法律に従って分配して下さい」と言ってきたというのです。
これは大変なことです。建物に価値などありませんが、借地権は土地そのものであり、しかも都心にある一等地なのです。
路線価により借地権割合7割とすると、億単位の話しになってしまい、相談者に支払える金額ではありません。しかも相談者は父のお願いによって底地を買われたのであり、その後何年もの間、父母の介護に努めてこられました。
 
二 多岐に渡る論点
 
1 論点整理
借地権は存続しているのか?消滅しているのか?借地権が存続しているなら、父の借地料等は何故支払われなかったのか?
借地権が消滅しているのなら、父の建物の利用権はどのように評価すればいいのか?
借地権が消滅している場合、底地を購入した相談者には借地権価格を除いた底地価格で購入したのであるから、借地権価格が贈与となり、特別受益にならないのか?
特別受益とすると、特別受益とされる借地権の評価は何時の時点で考えるのか?
特別受益とすると、黙示による持戻し免除の意思表示が検討される必要があるのではないか?
 
2  今回のような事例、或いはこの変形は、実は多いのです。
通常、相談者は、相続税に関する税法上の配慮もあり、借地権は消滅したと主張されることが多いようです。法理論としては民法179条による混同の法理ですね。「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は消滅する」と言う法理です。
上記主張をする場合には、更に底地相当の価格分に関する贈与を受けたとして、特別受益の認定がなされるでしょう。これは底地の評価額ですから莫大な金額を相続分として持戻しせねばなりません。
上記の場合には、次の理論による手当てが必要です。即ち、父が「黙示で特別受益としない」、つまり相続分として持戻ししなくてよいという「持戻し免除の意思表示」があったと主張しないとなりません。ここまで裁判所に認定されないと勝負の意味がないのです。微妙です。
では、借地権が消滅しないとする主張も考えてみましょう。
消滅しないなら、父は建物を所有しているのですから借地料等を支払わねばならないはずです。父は上記事実に頓着せず、当然に賃料等の費用に関する支出はありません。上記の状況で借地権が存在すると言っていいのでしょうか?当事者の誰も借地権が存続すると考えていなかったというのが本件の素直な解釈で、黙示の合意とも言えます。
以上のように考察し、これを使用貸借に変じたとされる学者或いは判例も当然に出てきます。親族間の建物所有に関し、土地の使用貸借は、例え借主が死亡しても当然には契約終了にならないとし、民法599(使用貸借の終了)の適用を否定する考え方です。事案に素直ですね。
本件においては、父の相続人は父の使用貸借という法的立場を相続し、相続人間で相続法理に基づいて決着するという流れになります。
しかしながら、使用貸借として評価される金額は、借地権と比較し大幅に低額です。
 
三 本件の解決
   何が解決の急所になるのか、「生もの」の事案は不思議ですが、本件は相談者ご夫婦が、長年父母の介護を続けてこられたことが解決のポイントになりました。ご兄弟も相談者ご夫婦の長年の労苦を知っておられましたので、最後まで無理を言われる対応をされませんでした。
   ご兄弟の弁護士は、最終的に土地の使用貸借相当分の評価額でよいという姿勢を示されたのです。古い非堅固建物であることからして、評価額は1割程度と認定するのが我々の常識です。
税法上の工夫も必要であり(税理士の先生との共同作業です)、総合的な評価・検討が不可欠です。当時は相談者の寄与分まで検討しました。
結論として、上記評価額及び預金等を各兄弟に分割してお支払いするという内容で和解しました。でもバブル期の高騰した相続時を基準にした評価額ですから、支払いはそれなりの金額になりました。
その後のバブル崩壊まで考慮されないのが残念ですね。

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一 相続法理と寄与分
1 前回のコラムでは、相続法理での説明が難しい遺留分の制度について紹介しましたが、今回は寄与分の制度について紹介しましょう。
寄与分の制度は、昭和55年の民法改正で設けられた制度であります。寄与分の制度を要約しますと、共同相続人間の実質的な平等を図ろうというものであります。
新たに設けられた民法第904条の2によりますと、相続人の中で、被相続人(父の場合が多い)の事業に関して労務を提供したり、財産上の給付(お金を出すのが一般的)をしたり、或は被相続人の療養看護をしたり、或はその他の方法で被相続人の財産を維持、増加させたりして特別の寄与をした者には寄与分を相続分に付加するというという制度であります。
家庭裁判所では、民法の改正前から、上記のような貢献を寄与分として認めるようになっておりました。
 
2 実例を見てみましょう。
私が弁護士になった頃、バブル景気を経験しました。土地の値上がりも凄まじく、相続される資産が爆発した時代でもありました。
寄与分に関する典型的な相談例の二つをみてみましょう。
その一つは、跡取り息子が、給与も満足に貰わないで父の事業を必死で支えてきたものの、父が死んだ今、その遺産が他の兄弟達に持っていかれてしまう。これでは事業の継続はできないというものです。もう一つは、夫の父や母を20年以上も介護してきたが、義理の父母が亡くなってみると、面倒を見なかった夫の兄弟3人が出てきて、自分たちにも相続権があるといって平等な分割を主張するため、自分の夫には4分の一しか残らない。私の死に物狂いの努力は何だったのでしょうか、というものです。
私は上記相談者に大変共感して、必死で寄与分の主張をしました。しかし、お二方のご苦労の割には、裁判所の認定は低く、自分自身失望したことをお伝えしなければなりません。しかし寄与分の算出方法等経験を積みますと、やむを得ない側面がよく認識できます。
では、次項で寄与分の制度を見ていきましょう。
 
二 寄与分の制度の内容
1 寄与行為の種類
通常、民法の条文「その他の方法」等も考慮し5種類を示します。
家事従事型 
この典型例は私が相談を受けた第一の家業継承の事例です。地方になると「事業」は農業が多いでしょう。田舎で農業に従事する長男を想像してくだされば見当がつきます。
金銭等出資型
お金を出す場合ですが、不動産の購入資金の援助や医療費や施設入所費の負担が典型例という裁判官の著作もあります。
療養看護型
私の事例二つ目で、病気療養中の療養介護です。被相続人の疾病が存在することが前提になっておりますのでご注意ください。
扶養型
扶養によって生活費等の支出を免れ、被相続人の財産が維持されたという場合です。
財産管理型
財産管理によって財産の維持形成に寄与したという場合です。
 
2 寄与と見做される要件とその寄与分とは
家事従事型 
裁判所が認定する要件は厳しい。特別の貢献、無償性、継続性、専従性等を検討します。さらにその算定方法としては、業務に従事した者が通常得られたであろう給付額から生活費を控除し、年月を加算します。賃金センサスを参考にする場合もあります。
想像以上に低くなることは明白ですが、農業従事の場合には、相続財産の形成に貢献したと判断できる比率を計算根拠とする場合もあります。
金銭等出資型
お金を出す場合なのですが、特別な貢献でなければなりません。また金銭ですから具体的な金額は明白ですが、種々の条件を検討し、裁量割合などとして金額を算出します。
療養看護型
この類型でも計算ばかりで驚かれるでしょう。認定要件としては、療養看護の必要性、特別の貢献、無償性、継続性、専従性などが検討されます。介護保険の介護報酬基準を使うなど合理的な計算根拠を求めて決められます。交通事故の損害賠償請求事件を連想してしまいます。
扶養型や?財産管理型も同じように検討できるのですが、本コラムでは長くなるので省きましょう。実際に相談にお出で下さい。
 
三 先に紹介した事例に関する補足
1 私が経験した家事従事型の事例においては、平成20年制定の中小企業経営承継円滑化法の利用をアドバイスしなければなりません。しかし、この制度を利用するには、事前に除外合意或いは固定合意をし、更に経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可等の手続が必要です。
 
2 同じく私の経験した夫の父を療養介護した妻の場合、相続人の夫が自己の寄与分として主張できるという判例があります。

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社会保険労務士法人酒井事務所 http://www.profit21.co.jp/sakai
と共同で
以下のセミナーを開催します。

当セミナーは、通常のセミナーのように壇上から講師が一方的に話すことは想定して
おりません。通常の打ち合わせ室でざっくばらんな質疑応答を随時行うことで交流を深めながら行っていきたいと考えております。

1.セミナー名:残業代請求に関する使用者側の対策と解決法
2.セミナー内容:
     第1部:労働基準監督署の調査実態と具体的防止策(社会保険労務士)
     第2部:残業代請求事件の具体的な解決方法(弁護士)
3.日時:?3月18日㈮ ?4月8日㈮ 
     各回共に18時〜19時30分
     第1部:18時〜18時40分
     第2部:18時50分〜19時30分
4.場所:岡本政明法律事務所(新宿御苑前徒歩1分)
5.定員:各回5名
6.費用:無料
7.参加者:弁護士:岡本直也
      特定社会保険労務士:酒井健介

ご興味がある方は「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。

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一 相続法理と遺留分
 
1 日本国民の政治思想を分析される学者の方は、相続法理と遺留分の制度がどのような実態にあり、それがどのように定着しているのか調査をされるのも面白いのではないでしょうか。今回のテーマは、日本の将来を心配される方には変わった視点からの題材を提供します。
遺留分制度の多少面倒な法理論が、我が国の民主主義の在り方にまで影響するということは驚きだからです。でも政治的な宣伝ではございませんので、安心してお読みください。
 
2 遺言により遺産を処分することは、資産所有者が有する最後の自由であります。つまり遺言書を書いて好きなように遺産を処分することは所有者の全能の権利であるはずです。既に本コラムでもそのように書きましたが、しかしこの自由は制約を受けてきました。中学生の社会の講義のようですが、遺留分規定もまさしくこの自由権の制約なのであります。
  そもそも遺留分の制度は、戸主処分権の制限として明治民法時代から定められており、その制度を現民法も引き継ぎました。つまり遺留分制度は古い家族共同体的な制度を連想させるのです。血の繋がる者には、かなりの割合において遺留分が認められます。しかし家という封建的な側面でなく近代的な法律構成が必要になります。私が司法試験を受験した頃の法律学全集には「遺留分法は、個人主義的処分自由に対する家族主義的家産擁護の防塞である」と明記されていました。
封建的な匂いがする本制度に対しては、論述をすすめるのも面倒で、学者の方からは敬遠されていたのだと思います。
 
3 早速、家族法が民主主義を左右するという学者の先生を紹介しましょう。
ソビエト連邦の崩壊について人口統計学の手法を用いて予想を的中させた「家族人類学者」エマニュエルトッドという先生です。日本でも講演をされましたが衝撃的でした。“相続法理が民主主義の成否を握る”という学説を私なりに要約してしまいます。
彼によりますと、差別意識は、子供の頃植え込まれた差別意識により発生し、その意識は将来も免れられない先験的なものとなって存続し、その後も表出されるというものです。そして、そのような国では、他者への差別意識が民主主義に対する阻害となって表出するというのです。そして、同氏はなんと日本を平等相続の国ではなく、「直系相続の国」だと言っております。
「直系相続」は平等相続ではありません。
 
二 日本の相続法理
 
1 日本は直系相続の国なのでしょうか?
そもそも、日本は、国の行く末というような重要事項については、皆様と一緒に決定に関与できる民主主義国家です。しかも民法では兄弟姉妹の相続分を平等としております。どこに「直系相続の国」などと言われる要素があるのでしょうか。これでは二流国家のようです。
しかし、事実はそう簡単ではないのです。
 
2 私の故郷は江戸時代より続く城下町にあります。家に対する認識は日本伝来のものがありました。両親は、家を継ぐ者が家業等一切を承継すると常に言っておりました。これは遺言と同様の価値があるものです。エマニュエルトッドに言わせると、上記認識は直系相続、つまり先験的な差別意識の萌芽なのですが・・。
思い出話にもう少しお付き合いください。
大学時代の私は「家族帝国主義」と言って家族主義を批判していた割には、父母の言うことには報いたいという気持ちが強く、辛い介護等を目の当たりにして遺留分制度に納得のいく側面も見出しました。遺留分制度が家産の維持でなく、遺族の保護、即ち遺言者の保護に通じるものであるという理屈です。法制度趣旨をこのように捉えるのは難しいかな・・?私は、学生時代、法律に関する専門授業に関し憲法以外一度も出たことはありません。受験生になって驚いたことは過激な労働法教科書の記載と、その逆の遺留分制度の記述です。
エマニュエルトッドに言わせると、「先験的な差別意識の萌芽」との間で揺れていた当時の思い出話です。
 
3 個人成育史、つまり相続法理が民主主義をも左右するという学説を紹介しましたが、最近はこの民主主義についても定義をきちんとしろとか、戦後民主主義と区分けして論じろとか言われる過渡期の時代のように思われます。しかし、民主主義にバイアスをつける必要はないはずです。人は皆「平等に」という基本概念、そして民法ならば、その相続法理に従って弁護士の業務を行えばいいはずです。それ以上の価値など、どのように民主主義概念をいじろうとも上記理念に敵うはずがありません。
 
三 今回の「纏め」と中小企業経営承継円滑化法
 
  我が日本民法の自由と平等を理念とした相続法理において、遺留分の規定は異色です。支配的学説は「近親者の扶養乃至生活保障」にあるとして近代法の理念に矛盾のない解釈をしております。しかし遺言の自由と言いながら、子供には2分の1もの遺留分があるのは生活保障としては多額でしょう。しかも生活の豊かな者にもこの権利は保障されるのです。そうであるなら、遺留分としては認めないイギリスのように、その都度、生活保障分を認定する制度のほうが余程分かりやすいのですが・・。
  平成20年制定された中小企業経営承継円滑化法は、まさしく遺言と遺留分を論点とし、遺留分を制限するものとして立法されました。

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 当事務所は使用者側の労働事件を多く解決しているため、豊富な知識と経験に基づき
創業25年以上にわたって社労士業務を行っている社会保険労務士法人酒井事務所
http://www.profit21.co.jp/sakai/gyoumu.html
と提携して業務を行っております。

そこで、人事労務に関する不安を抱えているお客様(使用者側)向けに当事務所の弁護士と
社会保険労務士法人酒井事務所の社会保険労務士が2人1組で相談会を行う機会を
設けたいと考えております。具体的には以下の通りです。

1.相談内容:人事労務・法務に関わるあらゆる問題
2.相談日時:土日祝日を除く午前10時〜午後20時のうち1時間弱
       (具体的な日時については適宜調整させて頂きます。)
3.相談場所:岡本政明法律事務所(丸ノ内線・新宿御苑前駅徒歩1分)
(ご事情によってはお客様の事務所等で行うことも可能な場合があります。)
4.料金:無料

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一 テレビ及び週刊誌の過熱報道
 
 1 「遺産は全て家政婦に渡す」という遺言書
(1) 朝の出勤前はテレビをつけっぱなしにしております。たまたま気づいたのですが“家政婦に遺産全額を遺贈したところ、実の娘たちと訴訟になり娘側が負けた”と報道しておりました。私の経験則では“遺言書が有効と見做されるのは通常のこと。裁判所はなかなか遺言書を無効になどできない。通常ありきたりの判決”と思い聞き流しておりました。ところが、知り合いの弁護士がコメントに出演しましたので、つい全部見てしまいました。
このコメントをしていた弁護士の舌足らずな解説に“こんなコメントだったら不要。専門家の名前が泣く。しかも、せっかく出るのなら遺留分についても説明するべきだ”などと苦情を言いたくなり、つい全部見てしまったことが不快でした。
誰しもが、この報道に疑問をもたれる内容の第一は、この娘たちは遺留分の主張をしなかったのかどうか?でしょう。この娘たちは遺留分として遺産の2分の1を主張できるのですから、それで十分ともいえるからです。
 
(2) 上記報道を聞いた後、2月4日号の週刊文春で「家政婦vs実の娘 遺産相続訴訟 高齢の母が残した遺言は有効」という記事を読み、また報道が過熱していることも知りました。
事案は単純です。
97歳で亡くなられた女性資産家が、50年以上親身に仕えてくれた家政婦に、遺言書で全財産を遺贈していたようです。親身に世話をしてくれた家政婦に比較して、娘たちは、「海外に移住するという名目で3000万円を援助させ」、無心を繰り返していた旨記載されています。
このような事件は、裁判になる場合の典型的な相続事件の一例でしかなく、どうして過熱報道になるのか、私には不思議です。
先ず、娘側の訴えは、遺言無効による遺産の返還及び家政婦が着服した約6000万円を支払えとするもので、家政婦側は、死去当日、娘が預金口座から3000万円を引出している現金等遺産全ての返還を要求しています。
判決文は見ておりませんが、上記記事の内容からすると、娘側は遺言書を無効と判断したのか遺留分の請求をしなかったようです。遺留分についてはどの報道も教えてくれません。
遺留分の請求権は、正確には減殺請求権と言い、その時効は1年という短期消滅時効にかかります。ここでは弁護士が受任した時期が問題になります。つまり問題になる1年以内に弁護士が受任しており、何らの事情もなく行使しなかったとするなら、この弁護士業務は手落ちであると批判されるでしょう。
仮に、遺言書が無効と判断されても、予備的に遺留分の請求をしておくのが常識です。内容証明郵便で証拠を残しておきましょう。
 
  今回の報道に対する疑問
 今回の報道による自筆証書遺言は、遺言能力がある限り老女の最終的な意思として当然に有効です。遺言は、所有する者の全能の権利と言っていいでしょう。今回と同じく、全ての財産を血の繋がらない者に対してした包括遺贈も「公序良俗に反しない」という古い判例(大審院当時)もあるくらいです。
従って、本件遺言書に関する争いは、この女性に遺言能力があるか否かが争点になりますが、報道された内容では、遺言書は8年も前に作成されたもののようです。
 
3 でもこの事案は、私が前回のコラム(相続事件簿3)で紹介した事件程劇的ではありません。
前回のコラムの老女は天涯孤独と称し、自らの相続人の存在すら信じておりませんでした。遺言書の無効を訴える相続人は、その姉の養子なのです。そもそも姉には遺留分もありません。遺留分の制度については次回ふれますが、遺留分がないということは「家という家族共同体に属しない」ことを意味するといえます。相続法理における調整は予定されていないのです。しかも、お世話した弁護士は、老女の自筆証書遺言に多少不安をもっていたのでしょうか、自ら公証人に関与させ秘密証書遺言にしております。
この相続紛争のほうがよほどミステリアスで展開も複雑です。
この案件の面白さにはかなわないはずなのに、やはり「家政婦は見た」的な論調に負けてしまうのでしょうね。
 
二 私の思い―次回のテーマは「遺言と遺留分」
     過熱報道に接し、民法の最も未解決と言われる遺留分について思いが及びます。「家族主義と民主主義」にも関係する私の従来からのテーマを書いてみましょう。
遺留分の制度は上記考察をするには、最も適した分野です。遺留分の制度に関し、ある 解説書では、次のように記載しております(基本法コンメンタール相続第五版213)。「(遺留分制度については)かなりの部分が今なお発展途上にある。遺留分制度論自体が今なおわが国では創成期にあるあるといってよい。」
次回は「遺言と遺留分」をテーマにし、相続法理に関係したコラムを書くことにします。

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