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コラム - 最新エントリー

1.    当事務所は数多くの立退き事件を取り扱って解決しています。
詳細は、様々なコラムを参考にして頂けると幸いですが、借地借家法が存在しているため、家賃滞納がなく、定期借家契約でもない場合、明渡しの条件として、立退料の支払いが必要になることが一般的です。
 もちろん、当事務所においては、不動産業者などの賃貸人から依頼された際には立退き料0円で解決していることもありますし、賃借人から依頼された際には立退き料として月額賃料の200ヶ月分で解決したこともありますので、一般論が全て当てはまるわけではありません。
 

2.    賃借人の立場に立って解決する場合であっても、不動産業者などの賃貸人の立場に立って解決する場合であっても、具体的に裁判例がどのように解決しているのかを知ることが最も重要です。
 借主からすれば、立退きを求められたとしても、しっかりと準備をすれば自らの利益を守ることができますし、貸主からすれば、しっかり準備をしないといつまでも明け渡してもらえないということになります。
 いずれにせよ、具体的な事案によりますので、早めに当事務所にご相談いただくことが肝要だと思います。

立退きが認められず

平成30年5月29日東京地裁判決

正当事由なし

 

 

貸主が主張する耐震診断では、補強計画は含まれておらず、耐震補強によって耐震性能を高められる可能性があることを否定することはできないこと、貸主は自らが居住するわけではなく、新たに賃貸マンションを建築して収益を上げる方法で有効活用を図ることを目的として、借主に対し本件建物の明渡しを求めていること、借主は、貸主らが本件建物を含む土地建物を購入する以前から、本件建物を賃借し、同所で土地家屋調査士業を営んでいたこと等から正当事由が無いと判断した。貸主らの経済的利益のみを優先して従前からの賃貸借契約関係を終了させる結果とすることはできないとも判断している。

立退き料

平成30年5月30日東京地裁判決

77万円

‥該敷地の借地権価格及び建物の価格に、一定の割合による借家権割合を乗じて求められる借家権価格と転居に伴う支払賃料の差額、一時金及び移転費用等から求められる損失補償額を調整する方法(,鉢△諒振冀佑鮖蚕弌砲砲茲蟷残蠅垢襪里相当として77万円を立退料とした。

立退きが認められず

平成30年7月20日東京地裁判決

正当事由なし

_板尊抗枴篏、移転費用、1超畔篏、て眩等の造作補償、ス告・宣伝費を全額補償する必要があると判断した上で、その合計額を1156万1000円と判断した。当該金額は、貸主の申出額の約5倍にも上る金額であるため、正当事由がないと判断された。

立退料

平成30年8月28日東京地裁判決

2億円

本件賃貸借契約の終了により喪失することになる借家権価格相当分と、本件建物部分の明渡しに伴い生ずる営業補償等の損失補償分とを合算して立退料を算定するとした上で、借家権価格(対価補償)、借家人補償(賃料差額補償)、店舗内部造作補償額(内装・設備工事費、設計管理料、消費税相当額)、工作物補償額(工作物移設等工事費、消費税相当額)、営業補償額(収益減の補償額、得意先喪失の補償額、固定的経費の補償額、従業員に対する休業手当補償額、店舗移転に伴うその他費用の補償)、その他の通常損失補償額(動産移転料、移転先選定に要する費用、その他雑費)を考慮して2億円を立退料と判断した。

立退料

平成30年9月7日東京地裁判決

9273万8000円

ホテル計画が実現すれば、貸主は、本件土地を極めて有効に利用することができるようになり本件土地から得られる利益も長期的に大きくなること、本件店舗が借主において重要な位置付けを占めていることは事実であり、その移転に伴う補償としては通損補償の額に一定の上積みをすることも必要といい得ること等から、本件店舗の立退料としては、本件鑑定により算定された通損補償の額に借家権価格の額を加算した9273万8000円が相当と判断した。

立退料

平成30年9月14日東京地裁判決

8300万円

本件のように賃貸人から建物の明渡しを求められ、借家人が不随意の立退きを強いられる場合には、その補償額が総額において現実的な費用面から検証した移転補償額としての試算価格を下回るべきではないこと、貸家控除法は飽くまで理論上の価格であり、控除差額の配分割合によって左右されがちなものであることなどが考慮された上、本件における立退料としては、移転補償額としての試算価格である8300万円を採用すると判断された。

立退きが認められず

平成30年9月28日東京地裁判決

正当事由なし

貸主は、自己が居住して使用する必要性ではなく、できるだけ高額で売却して現金化しておきたいという経済的な理由によるところが小さくないことからすると、借主が本件各建物を賃貸(転貸)して経済的利益を得ているにすぎないとしてもそのことを軽視すべきではない等として、正当事由が認められないと判断された。

立退きが認められず

平成31年1月21日東京地裁判決

正当事由なし

貸主らは、1600万円までであれば立退料として支払う余地があるとするが、営業損害が3000万円という水準の場合、貸主らの支払可能額を大きく超過すること等から、正当事由が認められないと判断された。

立退料

平成31年1月22日東京地裁判決

250万円

立退料に相当する金額は、近隣地区への転居に伴う引越費用、転居費用(仲介手数料、礼金等)及び近隣地区における同規模の賃貸住宅の賃料の相当期間分に加え、転居により借主本人に生じる上記負担を補うに足りる額であることが必要であるとして、立退料を250万円とした。

立退きが認められず

平成31年1月29日東京地裁判決

正当事由なし

 

賃借人の自己使用の必要性が極めて高いのに対し、賃貸人の自己使用の必要性がほとんどないこと、本件建物は、もともと店舗として賃借することが予定された収益物件であり、本件建物の利用状況もこれに合致するものであったのに対し、賃借人に背信行為と評価されるような行為があったとは認められないこと等を理由に正当事由が認められないと判断した。

立退きが認められず

平成31年1月31日東京地裁判決

正当事由なし

貸主らにおいて本件各建物を使用する必要性が高いとはいえないのに対して、借主にとって、明渡しは、本件理容室及び本件美容室の経営に深刻な事態をもたらす死活問題であることから、本件建物が一定程度老朽化していることを考慮しても、本件解約申入れに正当事由があるとは認め難いこと、少なくとも借主が本件理容室及び本件美容室を移転するために負担を余儀なくされる諸費用、代替店舗の確保に要する費用、移転に必要な期間の休業補償、移転先での営業が軌道に乗るまでの期間の減収分の填補等を考慮した立退料の金額でなければ、正当事由の補完としては十分とはいえないこと等を理由に正当事由が認められないと判断した。

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 当事務所は、子どもとアーティストが一緒になって絵画を制作する「Kids=Artists」プロジェクトに協力しています。当プロジェクトは、町おこしも目的としており、現在は池袋を中心に行われています。株式会社サンシャインシティ、西武池袋本店、豊島区、株式会社パルコ 池袋店などが協力として名前を連ねています。
直近でも11月5日㈯にはイベントが開催される予定ですので、興味のある方は下記ウェブサイトをご覧ください。

Kids = Artists|STUDIO201 (kids-artist.jp)

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「かっぱ寿司」と「はま寿司」の営業秘密漏洩事件で、元社長及びかっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイト社が起訴されました。

 
この件で、当事務所の岡本直也弁護士が日本経済新聞より取材を受け、2022年10月22日付け日本経済新聞朝刊の「狙われる『営業秘密』」という記事にコメントが掲載されています。
岡本直也弁護士は営業秘密に関する書籍を出版するなど、営業秘密管理に関する多くの知見を有しておりますので、御高覧下さい。
 
 
【日本経済新聞の記事】
 

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 当事務所の岡本直也弁護士が株式会社金融財務研究会主催のセミナーで講師を務めます。

「『営業秘密』に関して会社が行っておかなければならないこと
〜『かっぱ寿司事件』『ソフトバンク事件』にみる具体的な対応策〜」
 
というタイトルです。詳細は下記をご覧ください。
 
 
先日、「かっぱ寿司」を運営する会社の代表取締役と従業員1名が逮捕され、起訴されるという事件が起こりました(会社も書類送検、起訴されています)。「かっぱ寿司」の代表取締役は元々「かっぱ寿司」の競業である「はま寿司」の運営会社の元取締役であり、「はま寿司」から「営業秘密」を不正に入手していたと報道されています。本セミナーでは、「かっぱ寿司事件」や「ソフトバンク事件」を題材に、ー社の営業秘密を侵害されないようにするための対策、△海里茲Δ併件に巻き込まれないようにする対策、実際に営業秘密侵害行為が発覚した場合の対応方法を中心に具体的に解説してまいりますので、是非ご参加ください。
 

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かっぱ寿司の元社長が逮捕された営業秘密持ち出し事件で、当事務所の岡本直也弁護士が日本経済新聞から取材を受けました。

取材の内容については、2022年10月7日付け日本経済新聞の朝刊に掲載されていますが、岡本直也弁護士は営業秘密に関する書籍を出版するなど、営業秘密管理に関して様々な知見を有しております。
法的見解についてコメントしておりますので、ご高覧ください。

【日本経済新聞の記事】
  「かっぱ寿司」元社長、多数の営業情報持ち出しか 逮捕から1週間: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

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1.  私達弁護士の強制加入団体である日本弁護士連合会「8月号会報」を見て驚きました。
 今月(9月)2930日、旭川市で開催される第64回人権擁護大会において、決議される決議案の一つとして「アイヌ民族の権利の保障を求める決議案」が掲載されていたからです。
 私は、昔から北海道に旅行する都度、アイヌ民族の展示物を見て回っておりました。釧路や帯広に行った際には、何とか日高地方に行って、アイヌの博物館等(アイヌ文化伝承地)を見て回れないかと検討したほどです。2006年の釧路市で行われた人権擁護大会には妻と出席し、種々検討したのですが、予定が取れませんでした。

2.  アイヌ文化の保護に関する事例として、私にとって一番印象が深いものは、1997年の「二風谷ダム建設差し止め訴訟」判決です。
 この訴訟は、アイヌ民族の聖地とされる「二風谷(にぶたに)地区」にダムが建設されることになり、紛争が継続した結果、提起されたものです。アイヌの人々の生活の場が奪われることに対して、北海道開発局も補償金の支払等種々努力をしたのですが、結論として、土地収用法に基づく強制収用となりました。このことから、札幌地裁にダム建設差し止めの行政訴訟が提起されたのです。
 札幌地裁は、工事のための土地取得等は、アイヌ民族の文化保護などをなおざりにして収用を行ったことになり、土地収用法第203号の裁量権を逸脱しているとして違法性を認めました。しかしながら、土地収用裁決を取り消さなかったという珍しい判決なのです。
 認定と逆の結論になるとは、当時予想できませんでした。

3.  逆の結論を導き出せることになった行政事件訴訟法第31条第1項を見てみましょう。長いですが、本当に面白い条文なのです。
 「取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は採決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。」
 この判決の主文においても、行政側の処分又は裁決が違法であると認めておきながら(アイヌの方に旗をあげながら)、土地収用を是認するなど残念でなりません。

4.  では最初に戻り、今月末、第64回人権擁護大会において、提議される「アイヌ民族の権利の保障を求める決議案」の内容を見てみましょう。私の感想を抜きにして、そのまま引用させていただきます。長いですが、私見を述べるよりましでしょう。
 「アイヌ民族は、北海道などに住んできたアイヌ語を母語とする先住民族であり、自然の恵みを享有し、伝統的な宗教的儀式や祭事等を行うなど、独自の文化を育んでいました。
 しかし、明治政府による同化政策等を経て、自然環境を維持管理する権利を始め、アイヌ民族の人々が各地で伝統的に形成してきた自治的集団(アイヌコタン)としての権利や、アイヌ民族の人々が公の場でアイヌ語を使用する権利、アイヌ語教育を受ける権利等は、現在も保障されていません。
 日弁連は、国及び北海道に対し、仝罵の伝統の尊重及び文化的・精神的な権利を認め保証すること、▲▲ぅ霧豢軌蕕鮗ける権利等の保障、進学や就職状況の改善を始め社会的地位を向上させること、F本が既に批准した国際条約において先住民族の集団としての権利が認められていることを確認し、ILO169号条約の批准の検討及び国内法の整備を行うことを求めるとともに、アイヌ民族の権利の保障に力を尽くす決意です。」

5.  アイヌ関係の本や小説は、昔から、かなり読んできました。
 日弁連の会報を読む前、偶然、川越宗一氏著作の「熱源」を読んだところでした。会報の内容が具体的に盛り込まれた内容ですが、当然、同化政策に反抗する主人公の姿が印象的でした。
 最初はサハリンが舞台で、近時のプーチン大統領の政策を見ていると、ロシアの恐ろしさが実感されました。でも、小説の主人公は、最後、南極大陸の探検に「犬使い」として参加するという内容になっており、その展開に驚きました。
 

6.  今回のコラム作成に際して、もっとアイヌ関係の紹介本や小説を読みたいと思い、ネットを見て驚きました。アイヌ関係の小説がブームのようだと書かれているのです。川越宗一氏著作の「熱源」は直木賞受賞作ということもあるのでしょうか?
 ネット調査の結果、船戸与一氏著作の「蝦夷地別件」と池澤夏樹氏著作の「静かな大地」を買いたいと考え、紀伊国屋書店に行きました。何とないのです。売り切れなのかどうか・・。
 残念です。

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1.  私は、農山村の田畑に囲まれた古くからの集落で生まれ、そこで育ちました。木々の生育は凄まじく、隣地に入り込むなど当たり前のことでした。でも燐家の広大な庭に、季節により変化しつつ生育する木々を見たり、近くの山々を覆う山林を眺めて、心に安らぎを覚える生活であったことも確かです。
このような環境で育ったことから、古い友人や親族から「自分の土地に隣地の木々の枝(或いは幹が)が、越境してきて困っているんだよね」という相談は随分受けてきました。でも、よく考えてみますと、木々の越境に関する紛争は、経済的に高額の損失が発生するような事例は殆どないのです。
例えば、単純に竹林の枝が境界を越えて困っているというような事例を考えてみましょう。弁護士に依頼する場合、弁護士に支払う事件費用(着手金等)は、その紛争によって生じる経済的利益によって決まります。つまり、相談者は、「枝の伐採によって、どの程度得をするのでしょうか?」
これを経済的利益と言いますが、庭師等の業者に伐採依頼をしたとしても、それ程高額にはならないでしょう。(むしろ近隣との付き合い方に問題が生じることのほうが問題かもしれません。
弁護士も、このような相談ばかりでは報酬もいただけません。(もちろん、管財事件や財産管理人として、樹木そのものの撤去や処分するべき山林の境界整理等のために同種の事件は多数処理してきました。)

2.  昨年4月21日、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しが行われ、同月28日に公布されました。当時、当コラムでも紹介しておりますが、所有者不明土地の解消に関係する論点ばかりにとらわれ、越境する枝の切除に関する民法の改正に関する紹介が不十分であることに気付きました。でも当時の新法令紹介記事も殆ど同じです。弁護士向けの会報も種々出ておりますが、どれも民法の一部改正に関する法律には殆ど関心を寄せておりません。当事務所も、所有者不明土地の解消に向けて、本当に活躍した事務所ですから、やむを得ないと思います。
改正条文を読んでいただけるだけで、すぐに理解いただけるでしょう。もちろん改正の限界も分かります。

  民法第233条

1項     土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

2項     前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。

3項     第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。

 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
 急迫の事情があるとき

4項     隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

3.  限界はありますが、すごい前進ですね。
それに伴ない、第209条の隣地使用権も改正されています。長いので第一項だけ紹介しておきましょう。

1項  土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用す
ることができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなけれ 
ば、立ち入ることはできない。
 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
 境界標の調査又は境界に関する測量
 第233条第3項による枝の切取り

4.  電気、ガス又は水道水等の生活必需品に関係した設備の設置に関係する新たな規定も盛り込まれました。
民法213条の2ですが、この法律は、電気、ガス又は水道水等の設備の継続的給付を受けるため、設備が設置された近隣土地所有者との関係を調節した規定です。もちろんこれらの設備が設置された土地所有者との関係にも配慮し、利用に際しての土地の損害に対する補償も規定されております。
確かに、ガス管を設置するため、私道部分の土地掘り起し工事に際して、裁判所に仮処分申請をしたことがありますので、有意義な規定が置かれたと評価できます。
 

5.  これらの近隣との関係に配慮した規定は、所有者不明土地に関係して規定整備がなされたものです。
本論点は、これまでも当コラムでも紹介してきました。特に、民法239条2項では、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」と規定されています。しかし、今回、民法に不動産放棄の条項を置くことなく、相続土地国庫帰属法を設けたのです。解説書によると、民法では所有権放棄に関する新たな規定を置かず、相続土地国庫帰属法において、土地所有権を国に直接移転する制度を創設することになったものと解説されています。
「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法)は、本当に重要な法律になります。

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1.   前回のコラム掲載以前から高齢化する社会に関心をもっておりました。特に、近時、高齢者の財産が活用できなくなることをテーマにした報道が増加しております。
 高齢者の判断能力が低下すると、預貯金等の金融資産が凍結されるという状況や不動産の処分が困難になるという状況についても関心を持っておりました。
 昔の友達から
自分一人で住んでいる土地家屋について、どうしたらいいだろうか?子供たちは都会に出てしまい、将来、自分たちで使う予定はない。でも、老後資金の都合で売却も考えているという相談もありました。確かに、相当の広さの土地と立派な家屋でした。当時は信託法(施行平成19930日)が施行されたばかりでしたが、友達の年齢もそれほどではなく、判断能力も十分でした。私は、「もう少し様子を見て、信託するかどうか考えるのがいいと思うよ」と回答しました。

2.   でも近時の新聞等の報道をみておりますと、そろそろ友達も今後の方策を考えるべき時期に来ているように思います。
 先日の新聞で、三井住友信託銀行が公表した「認知症高齢者が保有する資産額」の数字を読んで驚きました。
 2020年時点で、認知症高齢者の金融資産が約175兆円、不動産(住宅と土地)が約80兆円で資産総額は約255兆円だそうですが、2040年には資産総額約349兆円になりそうだというのです。これらの資産所有者は、認知症により判断能力がないとみなされるのですから、当然、凍結され、処分できないことになります。
 私は、これまで高齢者に不動産の処分ができない理由の「調査及びその判断基準」について不思議に思っておりました。今回、この初歩的な疑問も解決したように思います。
 これらの判断能力の有無に関する発見の端緒は、認知症であると診断されることの他に、高齢者の金融機関(銀行)での対応にあるのですね。キャッシュカードの紛失や訳の分からない要求等をきっかけとして、金融機関の担当者により、当該高齢者の判断能力が低下していると考えられると金融資産の処理は「凍結」されるようです。そして、金融機関での取引が「凍結」されることによって、当然不動産取引も判断能力が劣化しているとして停止されることになるのですね。
 金融機関によって、「凍結」の判断が分かれる例もあるとの指摘があり、驚きました。

3.   不動産に関心があるものですから、高齢者の判断能力の低下によって、自宅の売却が困難になるという数字に関係した新聞報道についてもご紹介します。
 昨年8月の新聞報道ですが、以下、引用させていただきます。
 第一生命経済研究所が、住宅・土地統計調査や世帯数将来推計、年齢別などの認知症有病率から試算したものだそうです。認知症の人が所有する住宅は2018年時点で210万戸、2021年時点で221万個、何と2040年には280万個に増えるようです。
 絶望的な数字ですね。老人の経済状況の心配だけでなく、日本経済そのものが心配になります。
 やはり認知症に対する対策を事前に立てておくべきなのです。
 高齢者に認知症等を予測した対策を立てていただくようにお願いすることが第一です。新聞報道でも結論は同じようです。特に、自宅は、最後まで住み続けるだけでなく施設に入所する費用の捻出等にも関係します。高齢者の生前処分ですから、死んでから効力を発揮する遺言書ではまかないきれないのです。
 私的には、昔から受け継いできた山林や農地の処分にも、同時に関心をもっていただきたいと考えております。

4.   では、遺言書以外にどのような処理が適当なのかについて考えましょう。遺言書は本人が亡くなられてからの取り決めですから、今回のように認知症になっても頑張って生きている人には向きません。
 先ず成年後見人制度ですが、法定後見と任意後見との二つを考える必要があります。
 法定後見人制度は、従来より民法に規定があり、私も何度も関係させていただきました。でも先ず後見開始の審判を受け、その後、別の裁判体である家庭裁判所によって、後見人が選任されるという面倒な手続きが必要です。しかも選任された後見人に関して不服申し立てもできないのです。
 次に、任意後見人制度についてみてみましょう。平成12年施行「任意後見契約に関する法律」です。
 第2条「一 任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約・・」とされています。利用者が種々の方策を検討できることが素晴らしいですね。
 

5.   平成19930日施行の「信託法」も見逃せません。
 この法律は家族信託とも言われ、前回のコラムで、ネット等を点検すると、家族信託に関係した宣伝が相当数挙がっている状況も説明しました。
 高齢者の方の事情もありますが、家族信託の方法も有意義な選択だと信じます。是非、専門家に相談されるのが良いでしょう。

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1.   明日の日本が高齢化社会になることは常識のようなことです。
でも「高齢化する我が国の明日」を書くことは、論点が多すぎます。読まれる方も何が書いてあるんだろうと不審に思われますよね。やはり弁護士として相談される内容に絞って書きましょう。
 私の友人達も私と一緒に年をとってきました。友人からの相談は、典型的には、やはり老人としての財産保全或いは遺言の相談が多いですね。今流行りの信託、「家族信託」などの質問も増えてきました。でも友人ですから、弁護士として質問されているのか、友人として質問されているのか分からないような内容のものも多々あります。投資や株の話をされると、さすがに「弁護士としては答えられない」と限定付けして会話をしております。

2.   感心した質問から紹介しましょう
 その一つは、アパート経営をする友達からの相談でした。
「老人に賃貸する場合に気を付けるべきこと」について聞かれたのです。このようなことは、間に立つ不動産屋さんに聞くべきことで、弁護士に聞く内容ではないとも思いましたが、でも感心しました。
 友人に「老人に貸すなんて偉いね」と、先ず驚いた事実を告げました。友人は「俺も老人になったからね。老人に貸さないアパート経営者が多いらしいが、困ったものだと思ってきたのだ」と自分の気持ちを率直にあかしてくれました。
 私からのアドバイスは、契約書の内容について詳細に規定するべき事項等に及びましたが、寧ろ、面倒を見てくれる人の存在や不動産屋や友人から定期連絡ができるのか等の質問をしました。そして何よりも重要なことは、地域社会の老人見廻り等の在り方についての質問になってしまいました。地域社会の高齢者に対する接し方が何より重要だとアドバイスしたことを記憶しております。

3.   私は、かつて「放棄できない不動産制度」を紹介して、その法制度の在り方を問題にしてきた弁護士です。当コラムでも何度も書いたテーマですので、皆様ご存じでしょう。
 このような経緯から、私は、相談される方の所有される不動産が山林など、価値のないものかどうかについて、すぐに心配してしまうのです。私の友人達には、先祖代々の不動産を持っている方も当然いますが、これまで具体的な相談は避けてきました。
 ところで、当コラムで問題にして以降、不動産の国庫帰属の方策が検討されてきたのです。
 その結果、「相続土地国庫帰属法」が、昨年成立しました(施行は令和5年です)。でも成立したばかりの「相続土地国庫帰属法」も随分条件が厳しいのです。しかも費用もかかるのですね。なかなか、山林などの相続財産を持て余している友人に対して喜ばれる回答はできないでしょう。でも友人には、この法律についての説明の電話はしてあげるつもりです。

4.   地方都市の農村で生活する叔母さんの相続について相談を受けたこともあります。
 相続財産の調査から話が始まりましたが、相談者は、叔母が生活されている自宅の写真を持ってきておられました。写真を見て驚きました。本当に立派な邸宅だったのです。しかし、相談者は一文にもならない家だとおっしゃるのです。
 私は、近くの町の不動産屋さんに行って査定をとるようにお願いしました。躊躇されていたので、私は「叔母の土地を売りたいけど値段が付くの」と聞くだけでもいいですよとアドバイスしました。近傍の不動産屋さんなら、不動産の査定がすぐできると経験上知っているからです。
 その他の財産調査は登記簿謄本等の資料だけでなく、借金等の調査が必要です。預金はないと仰っておりましたが、やはり調査をお願いしました。
 その結果、ある程度の財産があることが判明し、叔母さんに後見人を付けるのか、遺言書を作るのかという議論に進展しました。
 

5.   最近のネットを見てみますと、家族信託に関係した宣伝が相当数挙がってきます。
 平成19年施行された「信託法」により、高齢者の新たな財産管理方式ができたのです。相談される方も、遺言だけでなく、財産管理の方法(後見制度や信託制度)を理解されるために相談をされる人が増えたように感じます。確かに、制度の関係と自分の希望される状況に関して、どの制度を採用するのがいいのか疑問を持たれるのは当然だと思われます。
 これまでは禁治産制度は別にしましても、財産管理の方式として後見制度を理解されていればよかったのですが、財産信託の方法も増えて混乱されるのでしょうね。
 老人になり、自らの財産管理もこなし、遺言書の通りに人生を終えたいという方の相談は増えております。

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1.   「探偵業の業務の適正化に関する法律」の内容を読んで、今まで不思議に思っていたことがスッキリしました。この法律は平成18年に施行されていますが、これまで内容を読んでいなかったのです。
 実は、私は、小説をよく読んでおります。探偵に関する小説も大量に読んできました。しかも弁護士を辞めざるを得なくなって、探偵稼業に転身したという小説もありました。二つの稼業が絡み合う場面は面白いですね。
 ところで、弁護士は、逆に探偵業に関係するような行動をすることもあると、当コラムでも書いてきました。でも、弁護士業務ができなくなるということは、弁護士会内部での懲戒処分や刑法上の刑罰を科されることがあったためです。弁護士業務ができなくなったため、止む無く転身したというのが常識的な判断です。つまり、弁護士業には社会的な評価がありますから、その社会的な地位を放棄して、探偵稼業に簡単に転身する理由がないからです。
 小説の進行具合に不思議に思ったこともありましたが、今回、探偵業には「探偵業の業務の適正化に関する法律」で拘束されていると勉強して色々と分かってきました。本当に厳しい法律です。でも、小説は小説として楽しめばいいのです。

2.   早速、「探偵業の業務の適正化に関する法律」の内容を見てまいりましょう。
「探偵業務」の定義があるのでびっくりしました。
2条で「探偵業務」とは、「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう」とされています。
 探偵業務が、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行うことであるとする直接的な定義に驚きました。離婚事件で裁判の行われた直後、本人や探偵等の尾行に注意して弁護士業務を行ってきたことも当コラムでも書きましたが、正しい行動だったのですね。尾行がはっきりしている事件では、裁判官にお願いして、依頼者とともに裁判官通路(法廷の裏側にあります)を使わせていただいたのは賢明な判断だったのです。
 小説では、探偵業務というものには才能が必要であるとしていますが、少しがっかりしました。資料の収集等弁護士の秘密業務と比較し、単純に肉体的な調査であることに少し興ざめしたのです。
 でも欠格事由という第三条を読んで、探偵業の厳しさに驚きました。
 破産者や罰金刑を受けた者など欠格事由に該当し、非常に厳格に規定しています。暴力団の欠格事由もあり、驚きました
 書面による契約方式、名簿の備え付け、届け出書面の掲示等珍しい規定が一杯あります。取締機関が公安委員会であるのも驚きました。本規定の罰則も厳しいですね。

3.   小説では、届け出をしない探偵業者の話も頻繁に登場します。或る小説では、届け出しない探偵業者との争いを面白く展開する話もありました。実は、私は、届け出しない臨時の探偵業者や、臨時雇いの探偵業者の話もよく聞いておりました。
 随分前になりますが、優秀な会社員であった社員が会社を退職して探偵になる(なった?)という話を聞いたことがあります。彼の友人に会う都度、探偵業の届け出をしたのかと聞いておりましたが、届け出をしていなかったのでしょうね。
 今回、法律を勉強して、このような法律違反の探偵を探偵などと言ってはいけないことが分かりました。
 小説ではこのような探偵が出てくる背景を深堀りしたものもありました。或いは、探偵になるための学校を作った探偵業者の話もありました。

4.   離婚事件や相続事件では、探偵業者に依頼せざるを得ない事件も受任します。浮気の事実や別居後の住所(子供の所在)を知りたいと判断されることも多々あるのです。或いは、過去の暴力事件が、現在の紛争に有利に使える可能性のある事件も存在します。どちらにしましても、当事者に抜き差しならぬ紛争が現存し、当事者同士が現実に会うと危険な状況になるという事件はかなりあります。
 離婚事件であるなら、読者の皆様も探偵を付けて浮気の現場を押さえようとしているなと想像されるでしょうが、相続事件でも、刑事事件でも調査が必要な事件は多々あります。
 近隣紛争ですが、私の現地調査に関係して、後追い調査をされたこともありました。事務所を出るところから後を付けられ、会う人の調査をされたため、後日、依頼者から苦情を言われたこともありました。
 でも後を付けられても、気付く人は少ないでしょうね。今回、小説を読んでおりまして、追尾する人の前に出る追跡調査方法や、複数の者による追跡調査方法も勉強しました。住んでいる家に面した借り家で、ベランダに定点カメラを設置して何日も調査する方式の小説も読みましたが、本当に調査方法にはきりがないですね。

5.   以上のような事件のために、自分自身が注意深くなるだけでなく、事務所の戸締りや、面会申し込みに対して、事務所の全員が意識して注意するようにしたこともあります。
 今後とも、以上を肝に銘じて邁進します。

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