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コラム - 最新エントリー

 当事務所は、このたび、一般社団法人PiiS Flyの協賛パートナーになりました。

https://piis-fly.jp/

一般社団法人Piis Flyは、Jリーガーである畑尾大翔選手が、社会貢献活動の一環として運営している団体です。

畑尾選手は、早稲田大学で主将を務めた後、ヴァンフォーレ甲府、名古屋グランパス、大宮アルディージャを経て、現在はザスパクサツ群馬に所属しています。

畑尾選手は、大学自体に自身が闘病生活を送った経験を活かし、子どもたちに対してスポーツを通じて夢や目標を持つことの素晴らしさを伝えるために、”賊 特別支援学校、児童養護施設への訪問、講演、8縮Jリーガーとのオンライン交流会などの活動を行っています。

このような活動が広がり、スポーツを通じて夢や目標を持つ子供たちが一人でも多く増えてほしいと思っています。

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  1.   前回のコラムで、次回は「食の自給率」から「農業に関する思い」を書きたいと述べて終わりました。「食の自給率」というテーマについては、本年初め1月号、日本弁護士連合会が発行する出版物「自由と正義」の巻頭にある「ひと筆」に刺激を受けました。私は「農業に関する思い」が強いのですが、「食の自給率」に関する議論は、農業の在り方に行き着く前提のようになっております。
     「ひと筆」を紹介しなくても、我が国の「食の自給率」が、カロリーベースで
    38%であるという事実は、皆さま、とっくにご存知ですね。報道でも氾濫しています。
     食料を輸出している農業生産国が、理由は何であれ、日本への輸出をストップしますと、日本の食料が不足するのは当然です。日本では、我々が食する食料の
    3分の1強しか生産していないのですから・・。私達は、飢えてしまうのです。「ひと筆」を書かれた先生は、日本の農業や食の安全を守る運動をされていて、「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」の埼玉県の会長をされているそうです。江戸時代の食料自給率100%から始まり、その低下する現在に至るまでの状況と原因をも分析されています。これまでの近代化路線は、農業に対する配慮を疎かにしてきましたからね・・・。
  2.  次の論点に移る前に、最近吃驚した報道を紹介しましょう。中国の食糧自給率に関する報道です。「どういうこと?」と驚かれる方が、多分、相当数いらっしゃると判断されます。報道内容ですが、中国の食糧自給率、つまりカロリーベースでの食糧自給率は(中国政府の発表に反し)、76%程度ではないかというのです。
     これまで中国政府は、情報を正確に公表しないことから、推測で計算するしかないそうなのですが、周国家主席は「食べ残し断固阻止」なる指示を出し、食料不足の防止に必死のようだというのです。
     巨大な国土を抱える中国が食糧不足というと嘘のようです。しかし、上記の記事によると「農業の担い手の減少や農地の土壌の劣化」が進んだことが原因だろうとされています。農地の劣化については、中国政府も認めているようです。農地に限ると、19%が、カドミウム、水銀、ヒ素などで汚染されているそうです。農業生産量を自慢にする農業地域でも、化学肥料の使い過ぎで、傷んだ農地が広がっていると、写真まで付けて報道されているのです。
     上記の記事には驚き以外ありません。現在の日本の中国に対する食糧依存度は、相当なものがあります。そうであるのに、中国の農業が、私が小さかった頃の私の故郷の農業に近い話をされるとは驚きです。私の故郷は農業で成り立っている地域ですが、私も祖父と一緒に畑を耕し、祖父が誇らしげに大きなスイカを抱える姿を思い出します。しかし
    当時は有機農業の言葉もありませんでした。肥料として人糞を使用するのは当たり前で、その後に化学肥料となります。中国の現実は、私が体験してきた一昔前のことだと想像してしまうからです。
  3.  ところで、私は、裁判所より破産管財人に選任されることが多く、破産者が所有される農地の売買にも携わってきました。
     大変ですよ。農地の売却には、農業委員会の許可が必要なことは皆さまご存知でしょうが、農業委員会だけでなく地方自治体の関与も予想され、時間もかかるのです。そのために、背景にある農地法の立法趣旨をご理解いただくことが必要でしょうね。
     我が国は、農地の保護政策が徹底しております。農地法第1条を読むだけで我が国の基本方針が直ちに理解できるほどの詳細な規定です。たった1条でも長いのですが、皆さま、こんな機会がなければ、お知りになることはないでしょう。以下、引用してみましょう。
     「第1条(目的) この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。」 ・・・凄い条文でしょう。
  4.  有機農業という言葉は、皆さまご存知のはずですね。でも有機農業の経験ツアーは、どうでしょうか?観光と同じように、農業体験を旅行とセットにして売り出す農園も増えております。私がサラリーマンだった頃、今ほど有機農業という言葉も流行しておらず、農業体験ツアーも売り出されておりませんでした。しかし、当時、農業を職業にするというだけでなく、有機農業に結び付け、将来の日本の食糧事情について語る若者も出始めておりました。その発想に驚いたものです。有機農業とは、化学肥料や農薬を使用しない方法による農業と言っていいでしょう。遺伝子組換え技術も利用しません。有機農産物として消費者に販売するためにはJAS法という法律に基づき、その認定を受ける必要があります。JAS法による規格を満たしますと、農産物に有機JASマークを付けることができるのです。前回のGIマークと同じような制度なのです。農産物は、海外からの輸入に頼らず、やはり日本で収穫するべきです。
     そうでないと食品として安全かどうかなどと考え、不安になってしまいませんか?

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  1.   農作物や水産物が知的財産権の対象になると言いますと、「どういうこと?」と驚かれる方が、多分、相当数いらっしゃると判断されます。実は、昔の私自身がその一人だったのですから。
     本年41日、農林水産省は、農産物の優良品種が、海外に流出しないようにする目的で「種苗法」を改正しました。同月9日、海外持ち出し禁止の種苗1900種を公表しました。このうちの主な品種を見るだけで、皆様、農産物も知的財産権だねと納得されるでしょう。
    新聞に出ている例をあげましょう。「イチゴのあまおう、ブドウのシャインマスカット、稲のゆめぴりか、リンゴの紅いわて、イチゴのスカイベリー、トウガラシの京都万願寺一号」などです。皆様、「どれもうまいよね」、「これらが日本の特産品であるのは当然だ、何とか保護してもらいたいよね」と納得されるでしょう。そうなのです。我が国独自に開発された懐かしい農水産物も、知的財産権の対象として保護される必要があるのです。
    今回改正された「種苗法」は、特許や著作権と同様、農水産物の品種開発に関し知的財産として評価し、その保護を目的とするものです。我が国固有の農水産物の違法な持ち出しを禁じる法改正なのですが、遅すぎたのではという感想を持つのは私だけでしょうか?
  2.  我が国にて育成された農林水産物に関して「地理的表示制度」が設けられていることについては如何でしょうか。
    「地理的表示法」と言われる法律ですが、平成266月に成立した法律で(本当にごく最近なのです)、正確には「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」と言います。地方(或はその地域)で、長年培われた農林水産物を、表示にて保護する制度です。確かに、農林水産物には、特殊の生産方法を工夫したりすることによって(気候・風土・土壌などの生産地の特性を生かした工夫等)、高い品質や評価を獲得するに至ったものが多々存在します。これらの農林水産物に関し、その地域と結びついた名称を知的財産として保護することを目的とした法制度なのです。この地理的表示保護制度に関し、それを表す英語を略して「GI保護制度」とも言われております。
  3.  私が、農水産物の知的財産としての保護制度、「GI保護制度」による「GIマーク」を知ったきっかけを話さなければなりません。
     2019年発刊の「農林水産関係 知財の法律相談」という本に、我が事務所の副所長が「GI保護制度」について、論文を書いております。私はこの本のお陰で農水産物の知的財産制度に目覚めました。この本は、2019年に発刊されました。上・下巻があり、双方合わせると1000頁に近く、弁護士向けの教科書的な本ですが、この本によって、私も初めて「GIマーク」の存在について知ったのです。
    以下、「GIマーク」に関して、副所長の文章を引用します。

    GIマークは、その産品が日本の地理的表示保護制度の登録を受けているこ  とを示すマークです。マークが日本の地理的表示保護制度のものであることをわかりやすくするため、大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフに、日本国旗の日輪の色である赤や、伝統・格式を感じる金色を使用し、日本らしさを強調したデザインを採用しています。需要者は、このGIマークを確認することで、登録された真正な産品とそれ以外の産品を区別することができます。」

  4.  もっと驚くことがありました。
    なんとGIマークに関して、2番目に登録されたのは「但馬牛」だというではありませんか。
    私は但馬の生まれです。但馬牛と一緒に育ったようなものです。私の生まれ故郷の実家の裏が川になっておりました。そこで、私の小学生の友人が飼育されている牛の体を川の水で洗ってやっているのを見て育ちました。牛に話しかける友人の声も聞こえてきました。
    春になって、牛の売買のための「牛セリ市場」のマイクの声が聞こえてくると悲しくなったものです。
    本コラムで何回か紹介している濱嘉之さんの近刊「紅旗の陰謀」(2021110日発刊)では、神戸牛、但馬牛、壱岐牛の密輸が題材になっております。八重山諸島から牛を積み替えて外国に持ち出す方法も紹介されています。出版された本書の裏側にある紹介文には「国家ぐるみの食の簒奪が明らかになった」と書かれおり、「壱岐牛の精子」の密輸も題材になっております。濱さんの本から引用しましょう。

    「壱岐牛の精子」の密輸は、「家畜伝染病予防法と家畜遺伝資源不正競争防止法、さらに家畜改良増殖法違反です。後の二つはいわゆる和牛の精子の密輸に関するもので、詐欺や窃盗など悪質性の高いやり方で和牛の遺伝資源を取得した場合、個人は最高で十年の懲役、一千万円以下の罰金(法人は三億円)を科すことになっています。厳罰で海外流出を牽制する目的でそれぞれ新設、改正されたんです」

    本コラムでは、牛の財産的価値、即ち、知的財産権として把握する側面から法律論にまで及ぶことを念頭に置いておりました。しかし、濱さんの小説では、牛の精子の密輸まで、鮮やかに法的に結論付けされているのです。
  5.  私の関心事について書かせていただきました。でも、近時の日本における「食の自給率」まで考えますと、今後の農林水産業の行く末に関心を持たざるを得ません。
    次回は、日本の食の自給率等、農業に関係する思いを書いてみたいと考えております。

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 営業秘密官民フォーラムに当事務所弁護士岡本直也のコラム「顧客名簿などの『顧客情報』が営業秘密に該当するかどうかが争われた場合、裁判例ではどのように考えられているか」が掲載されました。

 https://iplaw-net.com/tradesecret-mailmagazine-column/tradesecret_vol_58.html

営業秘密官民フォーラムは、2015年夏に経済産業省が立ち上げたもので、官民で営業秘密の漏えい等の対策や手口等に関する情報交換を行うためのものです。

日本経済団体連合会、商工会議所、内閣官房、警察庁、法務省、日本サイバー犯罪対策センターなどが参加しているフォーラムですので、ご覧ください。

 

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  1.  東日本大震災は、2011311日、午後2時46分に発生しました。当時、私は、事務所で準備書面を作成しておりましたが、何度も起きる余震と、その揺れの激しさに、たまらず事務所全員で新宿御苑に避難しました。既に、かなりの人が避難してきておりました。余震が続き、新宿御苑を囲むビル群が大きく揺れました。相互のビルが接触するのではないかと恐怖したことを昨日のように記憶しております。
     丁度、本年の213日、深夜になろうという午後11時過ぎ、大きな揺れが起こりました。この地震が、東日本大震災の余震と聞いて、10年も経っているのにと驚きました。
    丁度
    10年前の大震災直後、被害者の方々に向けた法律相談の実施に際して、被災地や避難場所を視察したことがあります。その被害の甚大さには本当に驚きました。津波からの避難場所になった小高い丘から津波の惨状に唖然としました。かなり高いこの山に必死で駆け登った経験をお聞きしながら、津波のため家屋が押し流され、むしろ広々とした大空間を見下ろした経験を思い出します。破壊しつくされた小学校は、校舎の外壁だけが残り、津波の威力をまざまざと見せつけるようでした。
  2.  1995年の阪神淡路大震災の当時、私は、所属する第一東京弁護士会法律相談運営委員会の中心的なメンバーとして種々の工夫に参加しておりました。
    そのような流れの中で、東京の弁護士であっても、神戸の皆様に弁護士として何かできることがあるのではないかと思うようになりました。
    阪神淡路大震災の被害の大きさに驚き、また日々の深刻な報道によって、現地を直接見る必要を感じ、神戸の弁護士会に直接訪問する気持ちが強くなりました。2週間程して、一人で大阪に宿をとり、何とか神戸に辿り着きました。しかし、神戸弁護士会の入る建物の廊下には、多数の避難者が寝ておられ、弁護士会に辿り着けません。やっと辿り着いても、弁護士会に先生方がおられず、打ち合わせは困難であると思い知りました。被災地を見て回り、高速道路の崩壊と、燃え尽くされた住宅街地域に、特に、ショックを受けました。第二次大戦の東京空爆も、このような状態であったろうと思ったものです。
  3.  当時、東京の三つの弁護士会が集まって、新しい弁護士会館に入館しました。私は、第一東京弁護士会の法律相談運営委員会委員長になりましたが、その思いの一つとして、阪神淡路大震災の教訓を生かすよう全力を尽くしました。東京には、三つの弁護士会があるのですが、互いが反目するところがあり、一緒に法律相談を行うことにも種々のしがらみを突破する必要がありました。具体的なしがらみの話は、差し障りがありますので止めておきましょう。でも東京三弁護士会の法律相談が一緒に活動できるようになったのは、私が委員長の時であります。
    当時、東京都も新宿区も、阪神淡路大震災を教訓にし、将来の災害に備えて種々の対策を考えておられました。同時に、弁護士であっても協力できることがあるのではないかと思うようになり、
    「災害復興まちづくり支援機構」を立ち上げたのもこの頃です。私も二代目の代表委員を勤めております。
    行政の中心的な役割を担われる東京都や新宿区とも何度も打ち合わせをし、その一環として復興に不可欠の多くの資格保有団体(例えば、建築士、測量士、税理士、司法書士等の先生方11業種)に声掛けをし、東京都庁の大会議室でも何回も打ち合わせをしました。
    このような経緯で見せていただいた地下大放水路は、皆様ご覧になれば本当に驚かれますよ。
  4.  「災害復興まちづくり支援機構」の先生方と行動を共にし、感激したことがあります。それは、20041023日におきた新潟中越大地震の際です。多くの家屋が壊れましたが、危険かどうかは弁護士の私には分かりません。同行していただいた建築士の先生が、行政と一体になって行動され、壊れそうだという建築物には「危険だから入らないように」という紙を張っておられるのを見て感心しました。そういえば、当時研修に来ていた司法修習生もバスに乗って同行していました。新潟に向かう電車は、まだ動いておりませんでした。彼からは、「貴重な体験でした」と言ってもらえ、お連れして良かったのでしょうが、余震を考えると疑問です。現在、反省しております。
  5.  東日本大震災当時の話に戻しましょう。
     一刻も早く法律相談を実施し、被災者の法律的な悩みをお聞きし、相談に乗らなければなりません。そのためには、被災者の多くが避難をされ、法律相談ができる場所を確保しなければなりません。驚いたことに、海岸から遠く離れた内陸の郡山市の中学校だったと思いますが、学校の体育館が法律相談会場に決まりました。新幹線の運行開始初日に合わせて行われた法律相談会でした。
    若い先生が「法律相談を実施します」というプラカードをもって避難場所を歩かれたところ100人近くの人が一緒に着いてこられたことには大変感動しました。しかし、何と法律相談中に余震が発生し、体育館の天井からバラバラ破片が落ちてきたのです。私たちは机の下に逃げ込みながら、余震後に再度法律相談を続けました。この当時の法律相談は、家が流され書類も無くなっておりましたから、預金通帳の紛失などという想像しやすい相談ではなく、契約書や申込書等がないので、何処に問い合わせをしたらよいかも分からないという相談が多くて驚きました。遺言書の紛失という相談までありました。

 

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  1.  当事務所が数多くの立退案件を取り扱っていることは、これまで様々なコラムでお話ししています。
     借地借家法が存在しているため、家賃滞納がない普通借家契約の場合、明渡しの条件として、立退料の支払いが必要になることが一般的です。
     もちろん、当事務所においては、賃貸人から依頼された際には
    立退き料0円で解決していることもありますし、賃借人から依頼された際には立退き料として月額賃料の数百ヶ月分を受領して解決したこともありますので、一般論が全て当てはまるわけではありません。
  2. 今回も近時の裁判例を紹介しておきますが、貸主とすれば、しっかり準備をしないといつまでも明け渡してもらえないということになりますし、借主からすれば、立ち退きを求められたとしても、しっかりと準備をすれば自らの利益を守り、立退料を請求することができます。
     いずれにせよ、早めに当事務所にご相談いただくことが肝要だと思います。

立退料

平成29年7月18日東京地裁判決

972万5636円

 

建物について地震により倒壊する危険性があり、建替後の建物の一部については原告代表者の家族又はその親族が自己使用する理由があること、借主が本件理髪店として自己使用する必要性が高いこと等を理由とした上で、固定資産税評価額を基準に、借家権価格を647万2892円と算定した。また、平均利益の3年分の利益相当額である325万2744円を営業補償額とした。そして、それらの合計額を立退料とした。なお、設備及び什器備品等については、減価償却を終了しているので、立退料に含めなかった。

立退きが認められず

平成29年10月19日東京地裁判決

正当事由なし

賃借人は、本件建物において約15年間にわたって洋服のリフォーム店を経営して収入を得ていること、一定数の固定客を有し、周辺住民等に店の存在が認知されていることが推認できること、年齢や経営規模を考えると、移転により経営上相当の負担を負うこと、駅に近く、国道に面しているという本件建物の立地が、洋服のリフォーム店という業態にとっても客を呼び込む上で有益であること等を理由に、明渡し請求を認めなかった。

立退料

平成29年12月25日東京地裁判決

601万7000円

 

本件店舗の移転補償等の額を積算した移転補償額と、本件店舗の借家権価格をそれぞれ算定し、これらを比較検討して適正な立退料額を決定した。
移転補償額の算定に当たっては、公共事業の損失補償基準(用対連基準)を援用して、本件店舗の契約形態に即して動産移転費用、内装・設備の工作物補償、比準賃料との差額賃料の2年分相当額、敷金等の移転一時金、移転雑費、移転に伴う2か月分の営業休止補償をそれぞれ算定して積算し、移転補償額を498万8000円と査定した。
借家権価格の算定に当たっては、敷地価格に建物価格を加算した積算価格に借家権割合を乗じた額により算定する割合法と、上記積算価格から収益価格を控除して算定する自建貸家差額法の2方式により本件店舗の借家権価格を試算し、各算定手法の特性等を検討した結果、割合法を重視して借家権価格を601万7000円とした。

立退料

平成30年1月26日東京地裁判決

50万円

建築後40年以上が経過していること、本件共同住宅の耐震性その他の状況から、新規の賃借人を募集することができないでいること、そのまま放置すると、貸主の損害が拡大する可能性があり、損害の拡大を防ぐために、本件共同住宅を取り壊すことを計画していること、借主は、サービス付き高齢者向け住宅に実質的な生活の本拠を移しており、本件建物を居住として使用していないこと、本件共同住宅の近隣において、本件建物と同程度の賃料、床面積、設備(トイレ付き)の建物は、他にも存在することが認められること等から、立退料を50万円と判断した。

立退きが認められず

平成30年2月14日東京地裁判決

正当事由なし

賃借人である自己使用の必要性が極めて高いのに対し、賃貸人の自己使用の必要性がほとんどないこと、相応の経年劣化が見られるとしても、建て替えの必要性が生ずるに至っているということはできず、せいぜい近隣に位置する建物と同程度であるか、仮にそれより劣るところがあっても、その原因は建物の保守管理を十分に行ってこなかった賃貸人側にある以上、これを賃借人側に不利益な要素として過大評価するのは相当ではないこと等を理由に、明渡し請求を認めなかった。

立退きが認められず

平成30年2月21日東京地裁判決

正当事由なし

本件コーポはもともと共同住宅として賃借することが予定された収益物件であったのに対し、賃借人による本件建物の使用上、契約上の賃借条件(居住用限定、居住専用)と異なる使用(事務所としての使用)を一部含むものの、その使用実態は、コーポの他の居室の居住目的による使用収益を損なうようなものではなく、当時の賃貸人の承諾も得ていたのであるから、本件賃貸借契約上の用法違反があったと評価することはできず、本件建物の明渡請求の正当事由とすることはできない(貸主の請求は認められない)と判断した。

立退料

平成30年2月22日東京地裁判決

802万1000円

以下 銑イ旅膩彝曚鯲退料とした。

 _板尊抗枴篏67万1000円
 近隣の賃貸事例をもとに試算した代替建物の賃料12万2000円の1年分と本件賃貸借契約の賃料10万3000円の1年分との差額である22万8000円に複利年金減価率2.9410を乗じたもの
◆^貉金補償46万円
 代替建物の賃貸借契約締結時の敷金として賃料12万2000円の5か月分から現在の敷金15万円を差し引いたもの
 移転費用補償405万円
 設計・監理料、新規内装工事費用、新規什器等購入費用、引越費用等を合算したもの。
設計・監理料については1崚たり1万円と、新規内装工事費用については1崚たり4万円とした上で、被告賃借部分の面積33屬鮠茲犬道蚕个靴燭發痢⊃卦什器等購入費用については、同業種の新規開業に関する資料をもとに算出したもの、引越費用は業者からの見積り等をもとに算出したもの
ぁ―経費の補償57万2000円
 仲介手数料、弁護士費用、登記費用、移転通知費用及び各種届出費用等の概算額
ァ ̄超畔篏(移転に係る営業損失)226万8   000円
過去3年の理容店の差引金額378万円に営業損失として20%を乗じた上でその3年分として算出したもの

立退料

平成30年3月7日東京地裁判決

1556万4000円

借家権の取引について、一般的とはいいがたいといった事情も踏まえると、本件の立退料の算定に当たり、借家権価格を加えることは相当といえないとした上で、収益減補償299万円、得意先損失補償703万7000円、固定経費補償2万4000円、従業員の休業補償49万5000円、移転費用等の補償費501万8000円の合計額を立退料とした。

立退き

平成30年5月18日東京地裁判決

1730万円

借家権価格1200万円と移転費用等の雑費530万円(内訳:‘飴紺榲称繊憤越費用)26万8500円、内部造作等の移転料300万円、0榲渉銘痢Π榲称紅馘の補償額150万円、ぐ榲樟菫定に要する費用22万3290円、ニ[畩紊亮蠡海僕廚垢詒駘傳庫2245円、Π榲召鉾爾就業不能による損失補償額20万2400円、Ь暖饑播相当額2万4220円)合計額を立退料とした。

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以 上

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  1.   これまでも複数のコラムの中でお話ししている通り、当事務所は、元従業員や元役員から競業行為をされた場合に訴訟や刑事告訴などを行い、多数の成果を挙げています。
    経済産業省が作成している営業秘密管理指針にも、当事務所が勝訴した判決が「参考裁判例」として掲載されています。
  2. 元従業員や元役員(取締役・監査役)の転職などが一般的になりつつある中、情報漏洩、競業行為、信用毀損行為に関し、当事務所にご相談いただいている案件数も増えております。
    会社側有利な裁判例も増えておりますので、気軽に当事務所にご相談ください。

損害賠償請求事件

平成30年3月5日東京地裁判決

。械隠庫6491円

■隠沓緩円

46万円

ぃ毅暇円

誓約書に基づく競業義務違反行為(自らの担当顧客であった顧客のうち、元使用者の薬箱が配置されている者に対して、薬箱を配置し、又は医薬品を販売する行為)について、競業1件当たり3万円の違約金の定めは、競業避止義務違反行為による損害額の予定であると解される等として、損害賠償額を算定した。

営業差止請求事件

平成22年10月27日東京地裁判決

宣伝、勧誘等の営業行為をしてはならない

原告と競合関係に立つものであって、本件競業避止合意に反すること、被告は今後も同教室を運営する意思を有していること、話すためのヴォイストレーニングを行うための授業方法、授業内容等についての原告のノウハウを保護するためには、被告がホームページ及びブログ等を作成してウェブ上に公開することによって同教室の宣伝、勧誘等の営業行為をすることを差し止める必要性が高いこと等を理由として、営業差止めを認めた。

損害請求等事件

平成14年8月30日東京地裁判決(ダイオーズサービシーズ事件)

120万円

少なくとも顧客情報を利用して、退職時2年以内に在職時に担当したことのある営業地域であるさいたま市にて同業の事業を起して、原告の顧客に対し営業活動を行ったものというほかないこと等から違法であると判断した上で、原告は顧客奪取による損害を被ったのであるから、その損害額は、奪取された当該顧客との取引で得ていた利益を基本とすべきであると判断した。

損害賠償請求

平成29年9月13日知財高裁判決

600万円

被控訴人が控訴人の機密情報である本件開発データを複製し、これを控訴人の事務所から持ち出したことは、故意に、控訴人の法律上保護される利益を侵害する違法な行為であるとした上で、実態把握のための調査費用100万円と弁護士費用20万円を損害として認めた。また、債務不履行の損害として、逸失利益の額である1573万8406円のうちのうち2割程度の300万円を損害として認める等した。

損害賠償請求事件

平成29年9月20日東京地裁判決

295万8300円

被告が被告ブログや○○サイトにおいて、自らの精神障害の原因について、周囲の無理解や原告在職中の上司の罵倒・パワハラがあったこと、原告から勧奨退職の名目で自らが解雇され、他にもそのような従業員がいたこと、損益の改善のために人員削減がされ、離職率が高いことなどを記事として掲載していることについて、信用毀損の損害50万円を認めた。他に、架空の売上げの計上という善管注意義務違反をしたことについても、損害賠償を認めている。

損害賠償請求等事件

平成24年

1月17日東京地裁判決

業務等の差止め

700万円

「個人情報及び営業ノウハウなどの会社情報を活用しての商行為(特定非営利活動も含む。)に関与した者は、損害賠償として700万円の罰金を科す」という就業規則について、被告が7年以上取締役を務めていたこと、被告の窮迫、無知、軽率に乗じて、被告に本件規定による制約を負わせたという事情は認められないこと、被告は、原告を退職後わずか2か月で原告と競合するa社を設立し、原告と競合するb社及びc協会の役員に就任して、2年以上、競業避止義務違反を継続していることから、本件において、被告に適用する限り、それが不合理なものであるともいえないと判断した。

損害賠償請求事件

平成19年4月24日東京地裁判決(ヤマダ電機事件)

143万2755円

競業避止条項に違反する状態が生ずることを認識しながら本件誓約書を作成し、退職の翌日に派遣社員という形を装ってc社の関連会社で働き始めたこと等を理由として、違反行為が軽微ではないとした上で、「損害賠償他違約金として、退職金を半額に減額するとともに直近の給与6ヶ月分に対し」という規定をもとに、損害賠償額を算出した。具体的には、給与は現実に稼働したことの対価として支給されるものであること等から、1か月分しか違約金として認めなかったものの、退職金の半額相当分を請求することについては認めた。

損害賠償等請求事件

平成27年3月12日大阪地裁判決

営業差止め

992万3145円

原告に在職中及び退職直後から、塾生に対する勧誘活動又はそれに類する活動をしていたこと、仮処分の前後を通じ本件学習塾への実質的関与を継続し塾生の復帰を妨げていること、現時点においても、塾生数は約3分の1程度までしか回復していないこと等から、退塾者に関する年度末(平成26年2月)までの特別授業を含む授業料相当額及び退塾者の進級後の数に退塾率を乗じた人数についての新年度の夏期講習より前の分(平成26年3月から7月まで分)の特別授業を含む授業料相当額について、相当因果関係のある損害と認めた。(経費中の固定費の比率は高いものと考えられ、塾生数の変化による経費の変動はさほど大きくないと推認されると判断し、3割の経費控除をした。)

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  1. 当事務所が数多くの立退案件を取り扱っていることは、これまで様々なコラムお話ししています。
     借地借家法が存在しているため、家賃滞納がない普通借家契約の場合、明渡しの条件として、立退料の支払いが必要になることが一般的です。
     もちろん、当事務所においては、賃貸人から依頼された際には立退き料0円で解決していることもありますし、賃借人から依頼された際には立退き料として月額賃料の数百ヶ月分を受領して解決したこともありますので、一般論が全て当てはまるわけではありません。

  2.  もっとも、裁判例を良く知っていただいた上で、法的にどのように判断されるかを知っておくことは非常に重要なことです。
     貸主とすれば、しっかり準備をしないといつまでも明け渡してもらえないということになりますし、借主からすれば、立ち退きを求められたとしても、しっかりと準備をすれば自らの利益を守ることができます。
     いずれにせよ、早めに当事務所にご相談いただくことが肝要だと思います。
     

立退料

平成28年9月6日東京地裁判決

0円

 

 

築50年以上で外観も「おんぼろ」、階段の壁もガタガタでアパートの老朽化は著しく、取り壊し・建て替え等の必要性が高いこと、正当な交渉にも応じず、不合理な行為を繰り返していること等を理由として、立退き料0円で明渡しを認めた。

立退きが認められず

平成28年12月8日東京地裁判決

正当事由なし

賃借人は、本件建物を唯一の活動拠点としてテナント料(転借料)による収入を収益として事業活動を行っており、本件賃貸借契約が終了した場合には、その唯一の収入源が断たれること等を理由として、立退料9727万9920円の提供を申し出ていることを考慮しても、明渡し請求を認めなかった。

立退きが認められず

平成28年12月20日東京地裁判決

正当事由なし

大地震時に倒壊する可能性が高いほか、老朽化が進み、断熱機能を失い、建物が傾斜するなどしていること等からすると、建物全体としての経済的効用が相当程度失われており、建替えの必要性が高いものの、借主はピアノを指導することで生計を維持してきたこと、ピアノの指導により生計を維持するとの前提で転居先を探すことが困難であること、立退料が170万円にとどまること等を理由に、明渡し請求を認めなかった。

立退料

平成28年12月22日東京地裁判決

350万円

築後約43年が経過しているが、現在における耐震基準や耐火基準を満たしていないこと、土地の建蔽率及び容積率、並びに、本件土地上に8階建ての相当規模のマンションを建築することが可能であると見込まれていること等を理由に、引越料その他の移転実費、転居後の賃料と現賃料の差額の2年分程度を基準に立退料を算出した。

立退料

平成29年1月17日東京地裁判決

200万円

建築後44年余りが経過していること、アパートの収益からすると相当多額の修繕費が必要となっていること等を理由にした上で、借主及びその配偶者がうつ病に罹患しており、転居に際しては相当な負担となること、本件建物よりも相当程度多額な賃料を要する建物に転居する必要がある可能性が高いこと等を理由に、立退料を200万円と判断した。

立退きが認められず

平成29年3月28日東京地裁判決

正当事由なし

本件建物の建替えの場合(費用1億円)よりも容易かつ安価に本件建物の耐震性能の向上を図ることが可能であること、補強案であっても本件建物の効用を害することはないこと等から、本件建物の耐震性能が不十分であることをもって、本件建物の明渡請求の正当事由とすることはできない(貸主の請求は認められない)と判断した。

立退料

平成29年5月11日東京地裁判決

900万円

建替えの必要性は認められるものの、借主は、本件店舗の営業による収益以外に収入がなく同収益で生計を立てており、本件建物を使用して営業する必要性が高いこと、焼肉店という業種に鑑みても、煙、油や臭いが発生するとの理由で本件店舗の代替店舗の確保は容易でないこと等を理由とした上で、差額賃料の2年分240万円、移転契約費用として2か月分の賃料60万円、引越費用30万円、現状の本件店舗の内外装を移転する費用600万円の合計額から若干の減額をした900万円を立退料と判断した。

立退きが認められず

平成29年5月16日東京地裁判決

正当事由なし

築60年近く経過していること、耐震性にも相当の疑問があるものの、明渡しを求めるほどの必要性は無いこと、借主は30年近くにわたり本件貸室において生活をしており、その生活の基盤も同所において形成してきたこと等を理由として、明け渡しをさせる正当事由が認められない(貸主の請求は認められない)と判断された。

立退きが認められず

平成29年5月29日東京地裁判決

正当事由なし

シロアリによって一定程度、腐食、劣化していることが認められるものの、築20年未満であること、上記腐食等の程度が、本件契約について解約をして修繕をしなければならないほどの程度に達していると認めるに足りる証拠はないこと、立退料186万円程度では足りないこと等を理由として、明渡しをさせる正当事由が認められない(貸主の請求は認められない)と判断された。

立退料

平成29年6月23日東京地裁判決

6180万9800円

 

貸室1について差額方式に基づく価格が1070万円、控除方式に基づく価格が4500万円、割合方式に基づく価格が4360万円とした上で、これらの価格を平均した3310万円を借家権価格とし(貸室2についても同様に算定し借家権価格を1040万円とした)、営業補償額としては、借主が調剤薬局を19店舗展開しており、新規出店の立地調査や出店後の経営ノウハウ等について相応の蓄積があるというのが相当であるので、本件貸室1の24か月の賃料である894万2000円と認めるのが相当であるとした上で、内装費、移転費用、仲介手数料を加算して、立退料を算定した。
なお、賃料差額については、借家権価格に含められると判断している。

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一 先日、ソフトバンクから次世代通信規格「5G」の営業秘密情報(ネットワーク技術情報で、無線基地局の効率的な整備に関するもの等が含まれていたようです)が元従業員に持ち出されたということで、元従業員が逮捕された事件が起きました。報道によりますと、元従業員は、転職直前に約30回にわたり、社外から自身のパソコンでソフトバンクの管理サーバーに接続し、営業秘密が入ったファイルを自分自身にメールで送信し、転職先である楽天モバイルの業務で活用した可能性があるようです(楽天モバイルは否定しているようですので真偽は不明です)。
 ソフトバンクは、営業秘密の利用停止と廃棄等を目的とした民事訴訟を提起する予定であると報道されています。

二 これまでも複数のコラムの中でお話ししている通り、当事務所は、営業秘密や機密情報を持ち出されたり、顧客を奪われたりする等の競業行為をされた場合に訴訟や刑事告訴などを行い、多数の成果を挙げています。
 平成31(2019)年1月23日、経済産業省が営業秘密管理指針を改定した際には、当事務所が勝訴した判決が「参考裁判例」として掲載されています。
 このことからも、いかに当事務所が、営業秘密の持ち出しや情報漏洩・情報流出、競業行為などの不正競争に関し、豊富な経験があり、得意としているかを分かっていただけると思います。

三 終身雇用制が限界を迎え、雇用が流動化し、従業員や役員(取締役・監査役)の転職などが一般的になりつつある中、情報漏洩、競業行為、信用毀損行為に関し、当事務所にご相談いただいている案件数も増えております。
 近時の裁判例をご紹介しますが、会社側有利な裁判例も増えておりますので、退職した元従業員や取締役等への対応の参考にして頂き、気軽に当事務所にご相談ください。

損害賠償請求事件

平成30年4月26日東京地裁判決

1億4044万6980円

被告会社において原告の商品である婦人服の形態を模倣して婦人服を販売等した行為を違法と判断した。
被告会社の代表取締役として、かかる不正競争行為に積極的に関わったものである者の個人責任も認めた。

刑事事件

平成30年5月11日名古屋地裁豊橋支部判決

懲役2年及び罰金50万円

4年間執行猶予

ハードディスク1台没収

被害企業の従業員であった被告人が、同社が取り扱う製品の図面データ(営業秘密)等141件を不正に領得した行為について違法と判断した。
被告人が領得した情報は、被害企業の主力製品の工作図データ等であり、競合他社に利益をもたらし得るものである。被告人は、その重要性を認識しながら、将来自らが事業を行う際、あるいは同業の元同僚から情報提供の依頼があった際などに役立てたいと考え、アクセスを許可されていたデータベースから収集してパソコン内に保存してあったデータを、情を知らない同僚のパソコンを操作するなどして私物のハードディスクに複製し、領得したので、悪質な犯行と判断された。

損害請求等事件

平成30年5月11日大阪高裁判決

500万円

使用・開示差止請求

廃棄請求

 

アクセス制限があったこと等から秘密管理性を認めた。秘密管理性が認められることから、有用性や非公知性が推認されると判断した。
秘密情報管理規定及び秘密情報保持に関する誓約書を閲覧し、面談の際にも、弁護士からの本件誓約書の条文の有効性についての説明に対しても、特に質問をすることなく、理解している旨述べていることから、本件電子データが営業秘密に該当することは十分に認識していたと判断し、違法性を認めた。

損害賠償請求事件

平成30年9月7日東京地裁判決

(在職中の行為)

1841万4364円

 

(退職後の行為)

298万4580円

原告在職中、原告ドメインのメールアドレスを用い、原告の従業員であることを示して、関係先に取引の勧誘を行うなどしながら、原告の事業と同業であるCG制作等を個人として受注し、勤務時間中及び勤務時間外に原告リソースをも使用してそれら個人受注案件を処理し、報酬を得ていた行為を不法行為と判断した。
また、損害の立証が不十分であるとしつつも、民事訴訟法248条に基づき、個人受注案件による総売上額(税抜き)の5割と認めるのが相当であるなどと判断した。
さらに、退職後に、被告Y1がリモートアクセス等により原告の設備等を原告に無断で使用し、被告Y2がこれを手助けするなどした行為についても共同不法行為と判断した。

刑事事件

平成30年12月3日最高裁判決

懲役1年

執行猶予3年

勤務先を退職し同業他社へ転職する直前に、勤務先の営業秘密である前記1の各データファイルを私物のハードディスクに複製しているところ、当該複製は勤務先の業務遂行の目的によるものではなく、その他の正当な目的の存在をうかがわせる事情もないなどから、不正競争防止法21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があったと判断した。

損害賠償請求等事件

平成31年

1月31日大阪地裁判決

ウェブサイトの表示差止請求

相手方の製品が自身の製品の「コピー」であると表現することができるのは、外観、構造等が同一、あるいは区別し得ない程度に類似しているような場合か、少なくとも、相手方の製品が、自身の有する特許発明の技術的範囲に属し、特許権侵害が肯定されるような場合に限られる。それにもかかわらず「コピー」という表現を用いたことは違法であると判断した。
もっとも、本件では実際の損害が生じていないので、損害賠償は認めなかった。

損害賠償請求事件

平成31年2月21日大阪地裁判決

10万円

6万2000円

 

ヘルパーの人員確保ができなくなったことと、経営の不手際があったため、充分なサービスの提供が難しくなったことを説明した上で、運営している事業所の全サービスを休止するという書面を送付した行為について営業上の信用を毀損する違法行為であると判断した

損害賠償請求

平成31年3月1日東京地裁判決

55万円

顧客らに納入した(被告の著作物である)デザインを無断で改変するなどの違法行為を行い、顧客に生じた被害についても伝えないなど無責任な対応をする会社であるとの印象を与えるファックスを送った行為について競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知した違法行為であると判断した。

損害賠償請求事件

平成31年3月19日東京地裁判決

138万6000円

元従業員らが、原告を順次退職し、被告会社に転職したことを総合すると、キーマシン等は、本件元従業員らのうちの誰かが、原告内に置かれていたものを持ち出したか、又は、仕事等のために持ち出し、そのまま返却せずに被告会社に移して、業務に使用したものであるとして、不法行為を認めた。

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1 調査委員会の活躍の場は、会社関係に限る訳ではありません。学校内の不祥事などで調査委員会が設けられることは、皆様、既にご存知ですね。しかし、調査委員会のその殆どが、会社 の不祥事に際して、その原因調査や、今後の適正な業務環境の構築のために立ち上げられるこ とが通常です。
 当事務所でも毎年の如く調査委員の業務を受任しております。その都度、猛烈な調査活動を し、不祥事の実態と原因の調査、そして当該不祥事に対する再発防止策等まで検証して、依頼 主に数十ページ程度の調査報告書を作成、提出しております。
 ところで、今回、調査委員会に関係したコラムを書こうと思った理由から申し上げましょ  う。以下に述べます判例紹介が、皆様の関心を呼ぶであろうと思われること、しかも、会社の ために行う株主代表訴訟や、会社の訴訟参加(補助参加と言います)というような専門的な法 律制度の紹介にも適していると考えたからであります。

2 では判例紹介から入りましょう。
 近時発行された判例時報2442号に、2017年に発生した「地面師詐欺事件」に関係する判例 解説(大阪高裁令和元年7月3日、民事6部決定、抗告棄却確定)が載せられておりました。
 判例評論として付けられた題を、そのまま引用します。
「株式会社の社外役員で構成される調査委員会作成に係る調査報告書が『民事訴訟220条4号  二』にいう『自己利用文書』に該当しないとされた事例」と記載されています。
 判例時報では、会社の名前については慣例により伏せてありますが、理由中に大手ハウス  メーカーと記載され、事件発生時の年月日や所在地等、事案の内容等がそのまま記載されてい るのですから、あの有名な地面師詐欺事件の事例であることは直ちに判明します。

3 では、この文書提出命令の前提となる事件の紹介から入りましょう。つまり、上記命令の前提として、大手ハウスメーカーの株主が、地面師詐欺により生じた損害55億5900万円余を、 当時の代表取締役社長及び副社長に対して責任追及の訴訟を提起したことに端を発しておりま す。このように株主が、不祥事を起こした会社経営者らに対して責任追及する訴訟(損害賠償 請求訴訟)を株主代表訴訟と言います(会社法第847条)。この事件の大報道を契機に「地面 師」という用語も定着しました。
 上記株主代表訴訟に対し、会社は、被告らを補助するため当該訴訟に参加しました。会社法 第849条第1項により、会社は、訴訟参加をすることが可能です。このような制度を法律上「補 助参加」と言います(民事訴訟法第42条も参照)。
 訴えていた株主は、補助参加した会社に対し、当時の調査報告書の提出を求めました。不祥事の原因を追究して会社経営者に損害の補填を要求しているのですから、当時の調査報告書の提 出を求めることは当然の成り行きです。ところが、この調査報告書の提出について、会社は、 自己利用文書であることを理由に提出を拒否したのです。民事訴訟法第220条4号ニで「専ら文 書の所持者の利用するための文書」は、文書提出命令を拒むことができるとされているので  す。
 今回、紹介する大阪高裁の決定では、会社の主張する自己利用文書であることを否定し、当 該調査委員会作成の報告書の提出を命じました。何と、裁判所は、イン・カメラ手続きと言わ れる制度(民事訴訟法223条6項)を利用して、自ら当該調査報告書を読了した上での結論で  す。

4 そもそも、調査委員会の報告書は会社の不祥事が暴露されるものですから、不祥事を防御できなかった会社組織の弱さや矛盾、そして、それに潰されるサラリーマンの悲哀が読み取れる ものが少なくありません。
 私の好きな小説作家池井戸潤の企業小説の世界が展開されていると感じられる場合もあるの です。
 もっとも、調査委員会には、本件のように会社関係者で構成される社内調査委員会のような 場合もありますが、全く外部に委託する「第三者委員会」と呼ばれるものもあります。会社が 調査報告書をどのように利用しようと考えているかで、委員の構成の仕方が変わります。
 このように会社の考え方により調査委員の構成の仕方が変わりますから、企業べったりだと いう批判も絶えません。「第三者委員会の欺瞞」という本まで発行されておりますし、「第三 者委員会報告書格付け委員会」なる組織もあり、報告書の採点をしております。

5 ところで、このコラムを掲載したくなった理由は、もう一つあります。
 この地面師詐欺事件は、目黒川沿いにある古い旅館の土地購入を巡る事件でした。実は、昨 年、当事務所の顧問先が建てたマンション立ち上げに際して、目黒川沿いのマンション建築現 場に臨場させていただきました。当該マンションのベランダから見下ろす目黒川の風景は、本 当に絶景でした。春の桜並木に彩られる目黒川を想像すると、大手ハウスメーカーの当該社長 でなくとも、是非、当該マンションを購入したくなると思ってしまいました。
 この気持ちを当事務所の面々に話したところ、目黒川沿いの高級飲食店にまで、話が盛り上 がりました。

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