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コラム - 最新エントリー

一 個人情報保護法が改正され、平成29年5月30日から施行されます。これまでは取り扱う個人情報が5000人以下の事業者には関係ありませんでしたが、今回の改正後はこのような企業にも個人情報保護法が適用されることになります。
  履歴書一つを取ってもお分かりの通り、従業員を雇っている場合、必ずと言って良いほど個人情報を取り扱っていますので、今回の改正により、個人情報保護法を無視して良い会社は殆ど無くなったと言えると思います。

二 では、個人情報保護法が改正されたことにより会社は何をどのように対応すれば良いのでしょうか。
  まず、ホームページのトップページから1クリック程度の場所にしっかりとした内容のプライバシーポリシーを載せることです。
  個人情報保護法は、?個人情報を適正な方法で取得すること、?利用目的を特定し、?利用目的の範囲内で取り扱うこと、?利用目的をあらかじめ公表しておくこと等を求めております。
  そのため、会社がどのような目的で個人情報を利用するのかについてしっかりと検証した上で、中身のあるプライバシーポリシーを掲載する必要があります。

三 次に、従業員や委託先をしっかり監督するなどして個人データ(個人情報がデータベース化されたもの等を個人データといいます)を厳格に管理する必要があります。
  個人情報保護委員会が公表している「個人情報保護の法律についてのガイドライン」によりますと、「従業者が、個人データの安全管理措置を定める規程等に従って業務を行っていることを確認しなかった結果、個人データが漏洩した場合」や「個人データの安全管理措置の状況を契約締結時及びそれ以後も適宜把握せず外部の事業者に委託した結果、委託先が個人データを漏えいした場合」等には、個人情報保護法違反になってしまいます。
  それ以外にも、個人データを委託するにあたり、必要な安全管理措置の内容を指示しなかったり、再委託の条件に関する指示を委託先に行わなかったりした場合には、違法になってしまう可能性があります。
  そのため、外部の業者と契約する場合には、個人情報の管理に関する規定を業務委託契約の内容にしっかりと盛り込む必要があります(逆に、個人情報を預かる側の会社も必要以上に不利にならないような契約内容にする必要性が今以上に高くなることになります)。

四 また、名簿業者等が個人データを第三者に提供する場合には、個人情報保護委員会に届け出るとともに、提供の年月日や受領者等の記録をしなければならなくなりました。
  名簿業者等から個人データを購入して営業をかけるという会社もあると思いますが、名簿業者から個人データを購入する側も、名簿業者が個人情報保護委員会に届け出ているかどうかを確認した上で、取得経緯等を確認、記録し、保存しなければならなくなりました。
  他の会社との間で個人データをやり取りする場合には、今まで以上に厳格な対応が必要になったわけです。

五 親子会社やグループ会社間で個人データをやり取りする場合にも、第三者に提供していることになってしまいますので、何の対応もしないまま行ってしまうと、個人情報保護法違反になってしまいます。
  そのため、個人情報保護法には「共同利用」という制度が設けられています。
  親子会社やグループ会社間で個人データを利用する場合で、「共同利用」として個人情報保護法違反にならないためには、「共同して利用される個人データの項目」や「共同して利用する者の範囲」などをプライバシーポリシー等にあらかじめ記載しておく必要があります。
  プライバシーポリシーに「共同利用」の項目がない場合には、できる限り早めに記載した方が良いと思います。

六 さらに、個人情報保護法改正に伴い、個人データの開示、訂正、利用停止等の請求が裁判上の権利として明記されました。
  そのため、一定の要件を満たした場合、保有個人データに関して訴訟を提起されるリスクも生じています。
  今まで個人データの開示、訂正、利用停止等を請求されたことのない企業であっても、今後は、裁判になる前に、どのように対応するのかを良く検討しておいた方が良いと思います。

七 今回の個人情報保護法の改正では、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報(匿名加工情報)に関するルールを明確化することにより、ビッグデータを活用したマーケティング業務等を行いやすくなったという一面もあります。
  しかし、そのように個人情報等の有用性が確保された反面、データベース提供罪(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、会社の代表者や役員も処罰される可能性があります)が新設されるなど個人情報の保護に関して厳格な規制もなされております。
  知らず知らずのうちに個人情報保護法違反になってしまわないように十分な法対応を行うとともに、仮に個人情報が漏洩してしまった場合にも適切な措置を取る必要があります。  
  当事務所では、個人情報保護法改正に伴う法対応に関するアドバイスを顧問会社に対して行っているほかに、「ウェブシステム会社に対して個人データを委託していたところ、個人情報が漏洩したという事案」でシステム会社との間の紛争を処理したりもしております。
  具体的にどのようにすれば良いのかが不安であるという方は是非当事務所にお問い合わせください。

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1 先日、私は、講談社と文芸春秋と共に「濱嘉之さん 文庫200万部突破を祝う会」の発起人として、上野精養軒にて行われた記念パーティーに出席しました。
大広間には驚くほどの人が集まりましたが、20年近く前、宇宙開発を目的として活躍した当時の会社役員とお会いし、昔のことを懐かしく思い出しました。当時の宇宙開発は、軍事目的(?)のロケット開発が中心でしたが、資金繰りに窮して会社に詐欺師が入り込んだため、濱さんと彼と私の三人は、大変苦労しました。特に、株主総会の運営は本当に厳しく、昨年9月、本コラムの「株主総会の運営(IR株主総会 その3)」においても、その一部を紹介しております。
当時の記念に、現在は公安警察小説家、第一人者と言われながらも、いまだ「危機管理が主たる業務」と宣言された濱さんを囲み、当事務所の副所長も含め、四人で記念写真を撮ってもらいました。

2 宇宙開発会社の業務も、人工衛星の利用により、実に多種・多様な業務に利用されるようになってきました。ネット通信や天候関係の業務には早くから利用されるようになっておりましたが、現在は画像の利用による交通や農業・漁業の収穫時期にまで利用できると言われております。日経ビジネスには、伊藤園が茶葉の摘み頃の判断に利用するという記事が掲載されておりました。
 でも生身の人間が宇宙を飛び回るというには時期尚早です。いまだ人類の月面着陸には疑惑があるとする説も唱えられる昨今、どうしても紹介したい本があります。
平成23年発行なので多少古いとも言えますが、人類にとって、宇宙の無重力での生活が如何に人間に馴染まないものであるかについて、詳細に取材した本を紹介したいのです。

3 それが「わたしを宇宙に連れてって」(メアリー・ローチ著 NHK出版)です。メアリー・ローチは、厚かましいおばさん(ごめんなさい)ジャーナリストですから、どこでも“もぐりこむ”という感じで取材します。例えば、日本の宇宙飛行士選抜試験にも実際に突撃取材するのです。型通りの日本で、こんな奇抜な試験をするのかと疑問ですが、“さもありなん”と思うから不思議です。
そもそも宇宙環境が如何に人間になじまないものであるかについて、若田光一さんが初めて宇宙に旅立つ際の記事(平成21年2月8日付日経新聞)が分かりやすいのです。この古い記事を読むと、宇宙に行きたくなくなりますが、その一部を紹介しましょう。つまり「宇宙から大量に降り注ぐ放射線や、方向感覚もまひさせる無重量環境」、しかも宇宙環境では「骨粗しょう症の患者に比べて十倍の速さで骨の量が減っていく」、あるいはストレスや睡眠不足など支障をきたす「自律神経」の問題など頭が痛くなります。現在、宇宙ビジネスの対象となっている数分の宇宙旅行など話の種にもなりません。

4 「わたしを宇宙に連れてって」では、無重力の世界では“ヒューズが飛ぶ”ことで障害を防ぐなどという重力現象の利用はできず、現代の科学技術の見直しという側面も描かれでおります。しかし何といっても極めつけは人間の体そのものに関する突撃取材でしょう。
 この本は、初めからズバリと本題です。「宇宙開発のエキスパートにとって、あなたは巨大な頭痛の種だ。彼らが扱う機械やシステムのなかで一番めんどうくさい相手、それがあなただ。気まぐれな代謝作用、貧弱なメモリー量、統一規格の存在しない形状にサイズ。あなたは予測不能だ。まるで安定していない。壊れるようなことがあれば、修理するのに何週間もかかる。宇宙で水や酸素や食料に困ったらどうするかという心配もしなくてはならない。あなたが小エビのカクテルや放射線たっぷりのビーフタコスを調理して食べるのに、どのくらい燃料を消費しそうか」。 長くなるので引用は止めます。
しかし無重力の世界で、人間の排せつ物の処理が一番工夫を要するという話、「14 別離の不安 無重力トイレの冒険は続く」で笑います。別離とは自分の排せつ物との別離です。
 皆さん、排せつ物が重力を利用して下に落ちていることを、ここで初めて勉強されると思います。重力がないと、液体は排せつ器官の周りで液体として漂うのです。物体も出てしまった空間に留まるのです。
宇宙開発のエキスパートがどのように苦労をしているのかを知るとおかしくも、せつなくなります。

5 今年の初め、宇宙法の説明について、アポロ11号の月面着陸に際して議論された題材をテーマにして紹介するつもりでいました。つまり月面にアメリカの国旗を立てるということは、宇宙条約に違反しているのではないかということです。北米旗章学協会に提出された論文を紹介して宇宙法の説明をしようと計画しておりました。でもメアリー・ローチの本により、旗がうなだれることは予想され(月の引力は地球の六分の一)、実際には横棒をつけたというエピソードの紹介で疑惑も解消するという腹積もりだったのです。でも宇宙法を概論するだけでもコラム一回分になります。そこで当事務所の秀才田中弁護士に宇宙法の概論を、今年夏過ぎ頃に、コラム形態で書いてほしいとお願いしました。
そもそも宇宙法の専門書は、私の所属する弁護士図書館でも2冊しかありませんでした。硬い表紙のほうの本を借りたのは、この14年間で私が二人目です。即ち、弁護士のコラムで宇宙法を宣伝にする弁護士は多いのですが、体系だった解説書は薄い表紙の本、学者先生方編著になる「宇宙法入門」程度しかないのです。
田中先生。宇宙をじっくり楽しんで、コラムはゆっくりやって下さい。

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1 前回コラム書評で、日本経済新聞、元日版「宇宙でごみ掃除。誰もやらないから面白い」と報道されていることを紹介しました。
この記事は、日本の民間会社社長が、将来、宇宙のゴミ拾いを民間ビジネスにするというもので、2017年にも自社開発の衛星を打ち上げ、衛星やロケットの残骸を片付けるというものでした。しかも女性社長の紹介記事なのです。
この記事を読んで、次回の書評は、宇宙のゴミ拾いを職業とする未来の若者たちを描いた漫画「プラネテス」しかないと思いました。

2 昔、宇宙開発会社の顧問をさせていただいていた当時、「思い出を宇宙に飛ばそう」という企画 に関し、私の友人弁護士から「宇宙にゴミを撒いて大丈夫なの」と質問されて以来、心の傷でした。でも、それから30年近く、宇宙開発事業は冬の時代であり、実際にその会社も整理になりました。しかるに近時の報道には多少呆れる思いです。
  昨年暮れから本年1月20日頃まで見ましても、宇宙の記事が掲載されまくりです。日本経済新聞でも、年末27日「欧州ロケット首位維持に総力」、同28日「中国、宇宙開発3強狙う」、今年になっても「宇宙システムに防衛指針」、「電柱サイズロケット公開」、「低コスト競争出遅れも」、「ミニロケット失敗」等と凄まじい勢いで宇宙ビジネス関連の報道です。他の新聞も同じだと思います。
新春の日経ビジネス「2017年宇宙商売ビックバン」も、表紙の題名のわりに新聞報道の枠を大きく出るものでもありません。でも纏まった状態にされた報道は全体を見るのに便利です。

3 これらの記事を書かれている記者の皆様は、40年以上前から宇宙開発に携わってきた民間企業の前人未到の開発、そして営業努力、しかもどれほどの苦難があったかを知っていらっしゃるのでしょうか。
笑ってしまう話ですが、弁護士の世界でも「宇宙弁護士」で売り出そうという企画があるそうです。でも宇宙関係の法律は、まだ「宇宙法」というほど充実していません。宇宙関係の会社も、従来の会社経営の法律相談が中心であり、宇宙関係の法律はその「付けたし」の段階です。宇宙旅行の契約書と言っても「専門性」を言うほどのものではありません。1月26日、TBSから報道された「人間観察モニタリング 宇宙旅行に当選したら?」をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。契約書も話題になっておりましたが、専門性を問われるほどのものではないのです。でもこの当選を知ったお父さんの喜びぶりは、「騙し」だけに本当に可哀想でした(面白かったですね!)。

4 漫画「プラネテス」幸村誠著 講談社(4巻)の紹介をしましょう。
 2001年発行のこの漫画はいろんな賞をとっていて有名です。宇宙のごみ掃除(ごみを「デブリ」と言います)を職業とする若者の青春群像を、宇宙という途方もない大きな世界に対比して「生きる意味」を問うという、いわば青春小説です。
描かれる世界は、現在の数十年後を舞台にしております。従って、現在とは大違いに宇宙法も発達しております。漫画の世界では、宇宙のごみ問題に関する取り決めもあり、或は「宇宙葬」も禁止された後の世界として描かれるのです。もちろん月には衛星都市が作られ、月面地下に都市が存在しております。

5 宇宙ごみを拾うという過酷な労働であっても、高賃金ということで衛星に乗り地球軌道を回って働く青年が、いろんな人と葛藤し、初の木星探査乗組員として成長していきます。父親も火星に何度か行った「船乗り」なのですが、同様に葛藤の対象です。確かに無重力で空気のない世界に行けば、人類つまり人間とは何か?神っているのか?といろいろ考えざるをえないのでしょうね。空気もないのですから。
主人公は悩みが多すぎるようにも思います。しかし経験のない世界に行くと当然このようになるのかなとも思います。いずれにしても宇宙と比較し、地球上の懐かしい風景がしっくりと馴染むのです。これこそ絵を主体とする漫画の醍醐味です。
本作品は「愛」がテーマなのですね。4巻目のラストで遂に木星に到着した主人公が人類へのメッセージに際して「愛し合うことだけが どうしてもやめられない」と話したのに対し、木星探査責任者が「気安く愛を口にするんじゃねエ」とつぶやくところなど、これは論評の枠を超えていますが、面白ければいいのです。

6 近時、「宇宙」或は「ロケット」と聞けばすぐに買って読んでしまう癖がつきました。例えば、昨年9月10日第一刷発行の「売国」真山仁著(文春文庫)も「ロケット」が題材と知って直ぐに読みました。
真山仁作品では「ハゲタカ」など好きな小説です。最近では原発のメルトダウンを題材にした「ベイジン」も読んでいましたので、期待して読みました。
でも今回紹介する漫画「プラネテス」のほうが断然面白かった。「売国」はロケット、つまり宇宙関係の取材が不足ではないのかと感じてしまう。特に、主人公の女性八反田遙は夾雑部のようで、特捜検事の世界と馴染まず、私には構成不足と感じました。

7 宇宙物の作品を紹介しておりますと、何か作り物めいた、偽の社会を紹介しているような違和感が残ります。
故に、次回は完全な取材ルポ作品である「わたしを宇宙に連れてって 無重力生活への挑戦」(メアリー・ローチ著)を紹介しましょう。著者は、実際の無重力空間が如何に人間になじまないものかについて、取材しまくって書いております。
  宇宙に関する法の紹介が遅れておりますね。

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「火星の人」アンディ・ウィアー著  その映画版「オデッセイ」(主演マットデイモン) 「絶対帰還」クリス・ジョーンズ著

1 新年元日の新聞には、宇宙に関係する記事が掲載されるということを皆さまご存知でしたか?
10年以上前になりますが、私は、上場企業新年会の来賓代表挨拶の際、当時関心の高かった宇宙の話をしました。話したかった題材は「人類が火星で暮らす日が近い」というものでした。当時、宇宙を仕事とする会社の法律業務をたくさん扱わせていただき、社長さんとお話しする機会が多く、誰かに話をしたいという誘惑がありました。でも、それ以降、宇宙の話題が下火になるにつれ気になっておりました。そのような経緯から、私が購読している元日の新聞には、宇宙に関係する記事が必ず掲載されるということに気付いたのです。
本年の朝日新聞は「月面へ国際レース」、日本経済新聞は「宇宙でごみ掃除。誰もやらないから面白い」を掲載しております。
朝日新聞は、月面での国際レースに日本からも参加を目指すチームがあるというものです。日本経済新聞は、宇宙の環境問題に取り組むベンチャー企業について紹介しております。

2 そうなのです。ずいぶん前とはいえ新年そうそう、数百名の方にお話ししたことからもお分かりのように火星に関するコラムを書きたくてうずうずしておりました。
弁護士らしく宇宙に関係する法律から始めるのが常道でしょうが、次回にさせてください。でも概略だけ述べておきます。2008年、既に宇宙基本法が成立し、昨年11月、宇宙事業に対して民間参入を認める宇宙活動法が成立しました。今後、宇宙事業は一気に本格化するでしょう。つまり今年の新年こそが、火星についてコラムを書くラストチャンスと判断されるのです。
でも今回は冒頭の題にもありますとおり、三つの書評等を併せて紹介したいのです。長年蓄えてきた題材ですから、国連の宇宙条約等法律の側面と併せて、次回、宇宙SF漫画「プラネテス」(幸村誠著)の書評と一緒に書かせていただくことにします。

3 2015年12月、文庫本で発行された「火星の人」(アンディ・ウィアー著 上・下 早川文庫SF)は、宇宙オタクでなくても十分楽しめる本です。
  最初の84頁迄は、火星探検に派遣された乗組員の一人が、事故から火星に取り残されてしまい、やむなく火星で生き延びることのできる環境づくりをする作業から始まります。火星に着陸する次の火星降下機は4年後、それも3200キロも離れた地です。それまで生きるとすると食料も水も不足しております。ここら辺は早読みが難しい。
人間の生きることのできる空気や水の話ですから高校生時代に勉強した知識フル動員です。水は酸素と水素でできていますが、酸素と水素という分子から話が進むのですから大変です。環境づくりのための電力も同じように工夫が必要です。その中で、私が楽しんだのは基地内でのジャガイモ造りです。土壌とバクテリアという微生物の関係には、のめり込みました。私が映画「オデッセイ」を見たくて堪らなくなったのはこのジャガイモ畑の様子を見たかったからです。
ああ話が飛びました。映画「オデッセイ」の話になってしまいました。でもジャガイモ畑と赤茶けた火星の砂漠のイメージ。これをどうしても掴みたくて映画「オデッセイ」を見てしまったのです。でも、どちらかにしろと言われたら、私は映画より小説である「火星の人」を勧めます。迫力が違いすぎます。

4 宇宙を飛ぶロケットなどの本物の科学知識があれば、もっと面白いと思いませんか。
その材料として、私が昔読んだ「絶対帰還 宇宙ステーションに残された奇跡の救出作戦」(クリス・ジョーンズ著 光文社 2008年発刊)を紹介しましょう。
この本は、宇宙に関係する基礎知識の吸収に役立ちます。つまり、宇宙開発をめぐるさまざまな出来事をてんこ盛りにしたノンフイクション作品なのです。ノンフイクションですから宇宙の基礎知識を吸収するのに安心です。
このノンフイクションは、宇宙飛行士の本当に残酷な世界を教えてくれると同時に、組織の世界であるNASA(米国航空宇宙局)の実態も皮肉なまでに書かれています。
そもそも火星にはまだ誰も行っていません。小説や映画が正しいかどうかはまだ立証されていません。読んでいて「本当かな」と思う煩わしさはどうしても取り除いておきたい。だって1969年アポロ11号の月面着陸は、NASAの陰謀だなどという話はネットを見ればたくさん出てきます。

5 中国が宇宙開発の「3強」を狙うという記事が昨年12月28日、日本経済新聞に出ておりました。
小説「火星の人」でも、映画「オデッセイ」でも、中国が火星に取り残された主人公を救う手助けをするという話が出てきます。秘密の国なので誰も知らないロケットが飛ばせるという奇抜な筋立てに感心しました。でも日本経済新聞の報道によれば、中国は2020年には火星探査機を打ち上げるそうです。
現在、アメリカとロシアが中心になって開発していることは皆が知っておりますが、小説が本当のような話になります。
面白くなりそうですね。

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1 ある上場企業の役員会に出席した際、公認会計士の先生から、先月出版された「黒い巨塔」という本の書評を求められました。先生には、前回のコラム「サピエンス全史」の書評をご覧いただいたのでしょうか。書評を求められたのは初めての経験です。
今回のコラムの題材が決まりました。

2 瀬木氏の著作については、2014年7月、当コラム「裁判員裁判」の項目、2回目で「絶望の裁判所」(講談社現代新書)を紹介したことがあります。「黒い巨塔 最高裁判所」という題を見ただけで同じような内容が書かれていることはすぐに分かります。
弁護士をやっておりますと、最高裁判所が、どうしても行政寄りに判断することは直ぐに分かることです。高校時代、司法は、三権分立の一端を担い、行政や立法をチェックする機関と教わりました。しかし、社会状況の変動に及ぶような判断は避けたいに決まっています。もちろん、瀬木氏の著作は、そのような常識を更に逸脱した最高裁判所の実態について、紹介というよりも暴露です。その内容はあまりにも凄まじい。
行政や時の権力者におもねる裁判官、私たちの言葉でいう「ヒラメ裁判官」(瀬木氏からは「ヒラメではない。中途半端なことを言うな」と怒られるでしょうが)のいやらしさを驚くほどの事実を示して、苦悩する若い裁判官と対比させて書いておられます。
公認会計士のような畑違いの先生に、このような最高裁判所の側面を紹介できることは面白いことです。

3 でも瀬木氏は、少し気を使いすぎです。最初に「フイクション」だと断っているのに、あとがきで再度同じことを繰り返しておられます。「この作品は、私の一八年ぶりの創作である」と断られただけでなく、これを「異例のあとがき」だと付け加えておられます。
では小説、或はフイクションそのものと言えるのでしょうか?
「黒い巨塔」が小説だと主張されるなら、私は、お読みになる方に対して110頁迄の最初のほうは、辛い読書体験になるとお話しせざるを得ません。主人公の活躍もなく、最高裁長官や最高裁事務総局の面々を登場させて紹介のような形で、どうしようもない人物の話がえんえんと続きます。ここには物語性など全くなく、飽きてしまうのです。
この本を読まれる方には、読み方に工夫してくださいと申し上げざるを得ないのです。

4 後半は、瀬木氏と同じような苦労をされたと判断される主人公、つまり事務総局民事局に勤める主人公が、主人公の親友である裁判官と共に悩み、その妹との不思議な関係が続き、更にはトバモリーと名付けられた猫が登場します。
小説なら、前半との統一性を工夫されないと面白くありません。苦言めいた読書評になってしまいますが、もう一つ。
瀬木氏ではなく、編集者かもしれませんが、単語や横文字、更には専門用語の分かりやすい表現に工夫してほしいのです。例えば、瀬木氏はいろんなところで「韜晦」なる表現を使われますが、これは一般的に難解です。「フイクション」と言いながら、読者対象者を我々法律専門家に絞っておられると判断せざるを得ないのです。
でも我々法律専門家は、前回の「絶望の裁判所」以上でないと満足しません(これ以上書きませんが、専門家は厳しいですよ)。

5 瀬木氏は、我が事務所副所長が愛読する民事保全法(判例タイムズ社発行)の著者であることからも分かる通り、民事訴訟実務の大家であります。
この民事保全法の「著者略歴及び著者目録」(第三版776頁)を見ると、何と実名による著作と、関根牧彦という筆者名による著作を列挙されています。学術書にこのような著作集をあげられる実務家は珍しい。「映画館の妖精」なるフアンタジー小説も書いておられるのですね。これまで、私は幻想小説を読む暇がありませんでしたが、この読書評を書いたからには読まざるをえないでしょう。

6 この本を読んで、今、一番大事なことだと思うことがあります。
  瀬木氏は、最高裁長官による強烈な思想統制、それを最高裁事務総局主宰の裁判官協議会に始まり、裁判官に対する任地への配置転換という、今日言われる「ブラック企業」以上の凄まじさで後半を展開します。そしてその題材を原発訴訟に求めます。瀬木氏は原発推進派や反対派という立場でなく、裁判所の機能を「当該原発につきシビィアアクシデントの可能性がほぼありえず、ほぼ確実に安全であるといえるか否か」(ママ)にあるとします。裁判所は客観的な第三者として、原発の安全性を厳格に審査し、社会におけるフェイルセイフ(危険制御)の機能を果たすのが本来の司法の役割としております(156頁)。
  昔の仲間から、経産省前テント広場の原発反対闘争、座り込み運動に勧誘されても応じえなかった主要な理由は瀬木氏と変わりません。

7 ここで申し上げたいことがあります。今後の司法の行方を見てもらいたいのです。その材料として「逆襲弁護士河合弘之」大下英治著(祥伝社文庫)の第七章「身命を賭して徹底抗戦」だけでも読んでいただくと(その前の章の、自慢話は省きましょう)、現状認識に便利です。何と言いましても、河合氏は、原発反対訴訟の元締めです。今後の裁判所の行方ですが、潮目が少し変わってきたことを強調させてください。連戦連敗だった原発運転差し止め訴訟につき、裁判所が大飯原発及び高浜原発の運転差し止めを言い渡す事例が出てきたのです。
今後の裁判所の行方を見定めるためにも注視する必要があります。

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疑問に答える本書の面白さ
1 皆様と同様、私もいろんな疑問をもって生活してきました。でも「サピエンス全史」は思考の方向性を示してくれているように思います。
  これまで疑問に思っていたことで本書に関係するものとしては、次のものがあります。
第一は、何故、我々が、猛獣或いは他のサピエンスを排して現在の地球上に残れるようになったのか?その原因が「知力」にあるとするなら、何故「知力」が生まれたのか?「知力」の仕組みとは?
第二に、人間は「知力」という武器を持ったのに、何故こんなに不自由な共同体(国も家族も含む)を作り、それに属することでしか生きていけないような結末になってしまったのか?
第三に、私が学生時代、夢中になったマルクス・エンゲルスのいう共産主義的な思考はもはや宗教と同程度なのか?或いは又、経済的な側面においても採用困難な思考なのか?
2 第一および第二の疑問については何となく考えるべき方向性が分かってきたように思います。
この本では「知力」とは、我々が何も知らないという事実を知ることから始まり、不知であるが故に探求心が生まれ、科学等の学問に発展し、文明が爆発するという経緯も説得的です。
そして開花した「知力」がどのような終末を迎えるのか、あるいは幸せな将来になるのかについては、決して油断できないことも結論付けされています。前回のコラムで、我々の将来に必然はなく、期待できない結果を招来するかもしれない場合についても書きました。
3 前回触れなかった農業革命の詳細について、楽しみたいと希望される方には次の書籍を勧めます。
4年前、当時ランキング第一位と言われて売り出されたジャレド・ダイアモンド著「銃・病原菌・鉄」です。この本も有名で「サピエンス全史」と一体となる本です。この本は、地球上の併合される以前の文明を紹介しながら、消滅する必然性を銃・病原菌・鉄に理由を求めます。読んだ当時、やはり書評を書きたいと思ったほどでした。
この本の著者は「サピエンス全史」の著者と交流があります。本書末尾の謝辞でジャレド・ダイアモンドに「全体像をつかむことを教えてくれた」と感謝している程です。
「銃・病原菌・鉄」は、論点の掘り下げ型で書かれているところに特色があり、具体的な事実が展開されます。特に太平洋に浮かぶ島々の先住民の文化、例えばニューギニアやオーストラリアの先住民(マオリ族やモリオリ族など)の論評は本当に楽しめます。
ところで研磨加工をほどこし、刃先の長い石器を最初に作ったのは日本人だったということは皆さま知らないでしょう?これはヨーロッパで石器が研磨される1万5000年も前のことだそうです。
4 三番目の疑問は、私の若き日の感傷のようなものです。
「サピエンス全史」を読む直前、「マルクスの心を聴く旅 若者よ マルクスを読もう番外編」(かもがわ出版)を楽しみましたが、このような単純な宣伝文句につられちゃうのです・・。
 ところで、ある事情があって昔の蔵書を整理することになり、レーニンやロシア文化人の本が大量に出てきて嫌になりました。中国文化大革命における凄惨な家族及び自己体験記、ユン・チアン著「ワイルド・スワン」は複数あり、一つは出版直後の英語版(当時、日本で出版されていなかった)だったこともショックでした。つまり挫折して最後まで読めなかったのです。
本論に入ります。マルクス経済学に対する批判は、いまだ経済的な側面については十分になされていないと言い訳してきましたが、現状、労働者階級なる概念はもはや通用しないでしょう。労働者も一元的ではありません。会社に属していても投資等のクレジットに取り囲まれて生活しており、単純に労働価値や剰余価値などのみで分析できない時代に入っております。
体験的に考えればもっと単純です。つまり中国文化大革命が日本で起きるなら最初に抑圧されるのは単純な私でしょう。詰まらない予測は別にしても、これまでの歴史を見れば分かることです。
いやー、若き時代の熱を冷ますのは大変です。
5 怒りを一つ。
先に紹介した本、「マルクスの心を聴く旅」のなかで「過去の日本の左翼運動には身体性がなかった」という記述、そして「パートタイムの学生運動だった」という感想には腹がたちました。
“遊び半分の学生運動は東大生だけでしょう”と言いたい。マルクスを訪ねるドイツやイギリスの旅に「いいな」と思っていたところ、終わりの211頁で呆れました。こんなことを言う大学教授(名前は書きません)が“マルクスの心を聴けるのか”と文句をつけたい。そもそも東大生には選択の幅があり、恵まれた学生でした。学生運動にのめりこんでいても選択の幅がありました。それ以外の学生は、人生における強烈な分岐点に立っていたのです。
文句はこれくらいにしますが、不服なら何時でも受けます。
6 そろそろ終わりにしましょう。
  長いけど気持ちがいいので「サピエンス全史」の冒頭を紹介します。
「今からおよそ一三五億年前、いわゆる「ビッグバン」によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生した。私たちの宇宙の根本を成すこれらの要素の物語を「物理学」という。
物質とエネルギーは、この世に現れてから三〇万年ほど後に融合し始め、原子と呼ばれる複雑な構造体を成し、やがてその原子が結合して分子ができた。原子と分子のそれらの相互作用の物語を「化学」という。
およそ三八億年前、地球と呼ばれる惑星の上で特定の分子が結合し、格別大きく入り組んだ構造体、すなわち有機体(生物)を形作った。有機体の物語を「生物学」という。
そしておよそ七万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、なおさら精巧な構造体、すなわち文化を形成し始めた。そうした人間文化のその後の発展を「歴史」という。
歴史の道筋は、三つの重要な革命が決めた。約七万年前に歴史を始動させた認知革命、約一万二〇〇〇年前に歴史の流れを加速させた農業革命、そして僅か五〇〇年前に始まった科学革命だ。」

凄いテンポではありませんか。

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一 近時、電通事件の影響などから益々労務リスクが高まっているように思います。本当にブラック企業なのであれば当然の報いでしょうが、ブラック企業ではないにもかかわらずインターネット上でブラック企業認定などされてしまえば取り返しのつかないことになる可能性もあります(そのような状況になれば良い人材が取りにくくなり顧客も離れていくことは直ぐに想像できる事柄です。)
 労働基準監督署も、長時間労働に対しては刑事処分も含め厳しく対処するようになっていますので、会社としても十分に準備することが必要です。

二 会社によっては、弁護士は紛争が生じたときだけに必要と考え、労務コンサルタントや社会保険労務士だけと契約して労務管理を行おうとしている方もいらっしゃると思います。
 確かに、中には優秀な方もいらっしゃいますが、社会保険労務士の労基署対応がまずかったせいで、ブラック企業からは程遠い会社が多大な損害を被った事例については、以前のコラムでもご紹介した通りです。
 本コラムでは、現在、様々な制度を導入していらっしゃる会社であっても、弁護士のチェックを通していない場合、労基署が入ったり裁判になったりした場合には通用しない可能性が高いということについてお話ししたいと思います。

三 残業代請求リスクを減らすための制度として、管理監督者や割増賃金に対応する手当(固定残業代、定額残業代など)の支給があることは一般的に良く知られていますが、これらの論点については今までも何度もご説明差し上げていますので、本コラムでは省略します。
 本コラムでは、(1)事業場外労働のみなし労働時間制、(2)専門業務型裁量労働制、(3)企画業務型裁量労働制、という少々専門的な制度の導入を例にしてみたいと思います。

四 まず、事業場外労働のみなし労働時間制とは、外回り営業社員などの場合、使用者の指揮命令が及ばず、労働時間の把握が困難となることが多いことから、所定労働時間分働いたものとみなされる制度です。
 就業規則を見ていると、営業部員はみなし労働時間制を採用すると簡潔に規定されていることもあり、比較的利用されていることがある制度の一つではないかと思います。
 しかし、裁判所は、極めて厳しい判断をする傾向にあります。
 例えば、旅行会社の主催する募集型企画旅行の添乗業務について、第1審の東京地方裁判所はみなし労働時間制を認めておりましたが、最高裁判決(平成26年1月24日)では判断が逆転し、適用が否定されています。
 平成26年1月24日の判決ですから、それより前から制度を導入している企業の大多数が、裁判になった場合には敗訴すると推測できます。

五 次に、専門業務型裁量労働制とは、厚生労働省令などによって定められた業務を対象として、予め労使間で定められた時間分働いたものとみなす制度のことを言います。
 対象業務としては、新商品若しくは新技術の研究開発、システムコンサルタント、記者、編集者、インテリアコーディネーター、コピーライター、大学の講師などが含まれます。
 この制度についても、出版社など業種によっては利用されていることがあるようですが、(1)対象業務を遂行する手段及び時間配分の決定等に関して具体的な指示をしないこと、(2)健康・福祉を確保するための措置、(3)労働者からの苦情処理のための措置を定めなければなりません。また、(4)就業規則においても、適切な定めをして労基署長に届け出るなど要件が厳しく規定されていますので、弁護士の関与なしに制度が導入されている場合、無残な結果に終わることが多いと言わざるを得ません。

六 さらに、企画業務型裁量労働制とは、企業の中枢部門で企画・立案・調査・分析の業務に従事するホワイトカラーに関するみなし労働時間制のことを言います。
 これについても、「財務・経理を担当する部署における業務のうち、財務状態等について調査及び分析を行い、財務に関する計画を策定する業務」など対象となる業務が多そうに見えることから、導入されていることがあるようです。
 もっとも、厚生労働省の指針に違反する制度は、労基法違反となります。
 要するに、厚生労働省の指針に基づいて制度を運用することが必要なわけですが、(1)労使委員会の設置や決議、(2)労基署への届け出などが必要になり、(3)運営規程などを作成しないといけませんので、弁護士の関与なしで導入することは非常に困難であり、適切な制度になっていないことが大多数であると思います。

七 以上の通り、弁護士のチェックなしに労務リスクに対応することは困難な時代になってきております。
 これから制度を構築する場合には勿論ですし、既に制度を導入している場合であっても再検証し、問題がある制度については変えていく必要があると思います。
 残業代請求を受けてしまった場合、制度の導入・見直しをしたい場合には是非当事務所にご連絡頂きたいと思っております。
 

  なお、本コラムについては、下記ページもご参考にして頂けると更にお役に立てるのではないかと思っております。

https://www.okamoto-law-office.com/modules/pico/index.php?content_id=16

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近時、電通事件等を始めとして労働基準監督署の動きがメディアを賑わせることも多くなってきました。
労基署から連絡が来るのは所謂ブラック企業だけではありません。
実際に労基署から連絡が来た場合、或いは労基署から連絡が来る前であっても、十分な対応を取ることが必要です。

当事務所はこれまでも多くの労基署が入った事件を処理しておりますので、無料相談会の機会を設けさせていただくことにしました。
ご要望があれば、当事務所が提携している社会保険労務士法人酒井事務所と2人1組で行うことも可能ですので、気軽にお申し付けください。

1.相談日時:日祝日を除く午前10時〜午後20時のうち1時間弱
       (具体的な日時については適宜調整させて頂きます。)
2.相談場所:岡本政明法律事務所(丸ノ内線・新宿御苑前駅徒歩1分)
3.料金:無料

ご興味のある方がいらっしゃいましたら、お問合せフォームより気軽にお問い合わせください。どうぞ宜しくお願い致します。

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書評を書きたくなった動機
1 「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ著 河出書房新社 上・下)は凄い本です。
この本を読むと宗教も哲学も不要になったという実感です。歴史学がこのような形で講義されるようになり、種々の学問の集大成として歴史学が語られる時代になったのです。
ところで、この本は結論で“人類は果たして幸福になったのか”という疑問を提起しています。つまり最終章の紹介になってしまいますが次のよう述べています。
「今日、ホモ・サピエンスは、神になる寸前で、永遠の若さばかりか、創造と破壊の神聖な能力さえも手に入れかけている」。
そして“我々はバイオニック生命体等で生物の生命に直接関与可能となり、しかも我々は永遠の生命を手に入れるかもしれない”とまで表現しています。日本経済新聞によって「人間の寿命は125歳が限界」とする米アルバート・アインシュタイン医科大学研究グループの報道(2016.10.6)があったばかりですが、これは別の話として本書の歴史学に魅了されてしまうのです。
しかも我々が神になったとしても、実際に「どこへ向かうのかは誰にもわからない」し、「自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?」と結んでいます。
この結論は嫌です。近時の世界情勢をみるまでもなく理解できる話だから更に困るのです。
2 この本の中核は、上巻直ぐに始まる「第一部 認知革命」の著述でしょうね。読み始めた当初は、認知心理学で出てくるような用語に拒否反応がありました。
著者によると「認知革命」とは新しい思考と意思疎通の方法とされております。そしてサピエンスという我々の先祖に起こった認知能力を革命と表現しております。
具体的には「噂話」や「陰口」のように現実には存在しないことも語ることができる能力、つまりチンパンジーや旧人類にない能力、これこそ現在我々が地球上に生き残ることができた根本的理由だとしております。すなわち「想像上の現実」は嘘とは異なり、誰もがその存在を信じているものであるなら、その存在に対して共有される「信頼」が生じ、それが存続するかぎり、その「想像上の現実」は社会の中で力を振るい続けるとしております。そして我々がゴリラやチンパンジー且つ他の25種のサピエンス(更科功著「爆発的進化論 1%の軌跡がヒトを作った」新潮新書)に打ち勝てたのは、多数の固体や家族、そして大きな集団に結び付いていくという、このような想像上の接着剤である「信頼」を基盤とするというように話が進みます。
貨幣の流通だけでなく国や会社組織というように「想像上の現実」が「信頼」に基づくとすると、益々筆者の思うつぼに嵌まっていきます。新たな制度は、将来への信頼であり、それが信用=クレジットというように発達を遂げ、貨幣だけでなく国や会社制度というような種々の仕組みに発展していくのです。読んでください。納得できるから困るのです。現在は仮想通貨の時代に突入していますから・・
3 上記論法は、私が学生時代を終わるころ、ちょうど50年程前、思想書と言われた吉本隆明著「共同幻想論」に重なります。
 古すぎて直ぐに出てこない本なので、ウイキぺディアを引用してしまいます。「当時の教条主義化したマルクス・レーニン主義に辟易し、そこからの脱却を求めていた全共闘世代に熱狂して読まれ、強い影響を与えた思想書である。」
これは当時の状況を知らない人が書いた論評ですね。私がもう一つ共鳴できなかったところ、つまり経済的側面に関する分析の欠如があったために「熱狂して読まれた」というのは言い過ぎだと思います。でも国の在り方や個人の関係が古事記等から解きほぐされ、共同幻想や対幻想で語られるこの書は、今回紹介する本の著者ハラリさんに是非とも読ませたい本です。
吉本隆明氏は、科学(化学)の進歩がまだまだであった50年前、既に共同幻想論を言っております。彼を尊敬する先輩がいたこともあり、私も吉本隆明氏にお会いしたこともありますが、歴史的分析というより多少文学的であり、私の感性には馴染みませんでした。しかし、母の法事で会った甥っ子が吉本隆明にはまっていると話したことには驚きました。
4 「サピエンス全史」だけでは理解困難な部分を詰めておきましょう。
昨年4月号の「文芸春秋」で読んだ立花隆「脳についてわかったすごいこと」です。「意識とは何か」として脳の構造が科学的に分析され紹介されていました。
「死の瞬間の脳細胞」、「夢を自由に操る化学物質」、「臨死体験」等が話題の中心をなすのですが、脳神経細胞とシナプスなどの関係、或は脳のどこかの遺伝子(最小のニューロン集団の存在)、脳科学における「ゲノム計画」などにより明らかにされる将来を思うと「我思う、ゆえに我あり」という哲学すらも超えてきたと思わざるをえません。
つまり「意識」が科学的に明らかにされようとしている現実に接すると、行動主義心理学からの批判も吹っ飛んでしまいます。
5 宗教についても同様の感想になりました。
 神は全能で、神こそ死後の世界の主宰者であり、森羅万象の全てを教えてくれる。これを前提にして宗教は成り立つものでしょう。あるいは仏教では、仏の存在を仮定しないと人類は謙虚に生きることができなかった。故に宗教が必要になると思います。しかし死の瞬間、脳に快楽物質(セロトニン)なるものが放出されるなどと聞くと興ざめしてしまいます。
死の世界が意識の側面から分析され始めてきますと、神も信じられなくなるのです。否、人間こそが神に仮定されてしまうとこの本は述べているのです。
次回も、本書の論評です。

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一 第三者委員会の報道は面白い

1 前回のコラムで、形式的或いは権威主義的な株主総会は嫌いだと書きましたが、まさしく「第三者委員会」はその象徴ですね。
  特に笑ってしまったのは、東京都前知事舛添さんが「第三者の弁護士に厳しい調査を依頼した」という直近の事例です。記者会見に登場された弁護士、特に通称「蝮の善三さん」の記者会見は傑作でした。形式的な返答に終始し、最後は開き直り。これで舛添さんの得になったのか疑問でした。最初は腹を抱えて笑い、そのうちに本当に困ったことだと頭を抱えることになってしまいました。
報道陣の質問も紋切り型でしたが、そもそも「第三者の弁護士」としか言っておらず、第三者委員会ではないのですね。2名の弁護士では日弁連のガイドライン3名以上の枠組みにも反します。
「蝮の善三さん」については、私の関係した会社の不祥事の際、第三者委員会委員として登場していただいたこともあるため、余計に関心が高くなるのです。

2 第三者委員会とは、日弁連のガイドラインの要約によりますと、企業や組織において犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等が発生した場合或いは発生が疑われる場合に、企業や組織から独立した委員のみで調査をし、原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言する委員会とされています。
私は、日弁連が第三者委員会ガイドラインを出す相当前、ある顧問会社から第三者委員会の体裁をとって、不祥事で紛糾する株主等のステークホルダー達を押さえてもらえないかという依頼を受けたことがあります。この会社は外国人が社長をされておられ、第三者委員会のような紛争解決策をよくご存知でした。
私は悩みました。
だって、第三者委員会といえば聞こえはいいのですが、徹底的に会社の不正を暴くことを希望されている訳ではありません。むしろ会社の実態の何処までを話せばステークホルダー達に納得してもらえるかの限界点、即ちその調和点を探すことが使命なのです。そもそも会社が第三者委員会委員に金を支払って、会社が潰されるようなことを期待する訳がありません。深く考えなくとも当然のことです。
最終的に私が顧問から外れることのデメリットを考えていただきました。結論として、今の会社体制で今後も経営できることを前提とし、不祥事については徹底して謝罪し、企業活動を害さない範囲で役員を変更し、その他情報開示を行うとういう方針にて解決しました。

二 「蝮の善三さん」という弁護士

1 「蝮の善三さん」は、多くの第三者委員会委員をされておりますが、上記の点に関する理解力は悪い意味で素晴らしいと判断できます。
第三者委員会の報告書に関して「格付け委員会」(私的な検討委員会)なる組織もありますが、そのホームページを見ますと各報告書について点数も付けられております。ここで厳しく批判されている報告書は、社長のような最終権威者を庇うような形での決着、或いは組織存続を図るため一番重要なことは調査から外すというような種々の工夫をごらんいただけます。
「蝮の善三さん」は上記のテクニックに長けておいでで、ネットでも“汚職の守り神”のように書かれております。

2 ここで「東芝 粉飾の原点」という本を紹介しましょう。
「東芝 粉飾の原点」は日経ビジネスの記者が東芝の不正会計の構図を暴いた本で、次々と粉飾が暴かれる呆れた本です(日経BP社発行)。本コラム作成時、東芝は特設注意市場銘柄から外れるかどうかという瀬戸際にあります。株式投資に興味を持たれている方の中には、東芝株は今が買い時かどうか悩んでおられる方もおいででしょう。
でも“買い”に入るべきでないことがこの本で分かりました。ウエスチングハウスに関する粉飾は、第三者委員会報告書提出後4カ月も経過して、やっと“パンドラの箱”が開いたのだそうです。5000億円を投じて買収した東芝子会社、アメリカの原子力機器大手ウエスチングハウスの赤字の実態について詳細を知ると“買い”ではないですね。しかも将来展望として、東芝が原子力発電所の受注規模を、発表毎に順次縮小しつつも、現在も連結で45機(15年間で)、ウエスチングハウス単体で64基(同)の受注というのは先ず無理だと思います。
おっと!違いました。この本では、第三者委員会がウエスチングハウスについては調査しないことになっていたという暴露に驚いてほしかったのです。投資の話ではありませんでした。立て続けの粉飾が、最後ウエスチングハウスというのでは本当にひどい話です。子会社は調査をしないと約束したうえでの第三者委員会の報告書だと言われては、東芝に関係する利害関係者、ステークホルダーは何を信じればいいのでしょうか。

三 形式的第三者委員会にならないための対策

1 形式化した第三者委員会報告書に対する対策として、その前提事項を確認する必要があります。先ず、私と同様の悩みを持たないような弁護士とはお付き合いいただかないことです。“誠意”という人間としてあるべき姿が見えません。
もちろん不祥事の発生原因に関する調査と言いましても、企業にとって紛争解決にならないのでは、お金を支払って第三者委員会に依頼する意味がありません。この矛盾に悩まない弁護士に、利害関係人にとって納得される報告書など書ける訳がない。
現在、日弁連が指導する第三者委員会も、私が煩悶した当時と同様、日弁連ガイドラインとして、会社から時間給の形で報酬をもらえることになっております。

2 そこで違う形での対策を提案してみようと思います。
一つとして、企業不祥事の際に備えて第三者委員会委員に対する保険による仕組み造りです。私は複数の外部取締役もしておりますが、会社代表訴訟等に備えた保険に入っております。それと同様の保険による仕組み造りはどうでしょうか?
次に、上場企業の場合には、証券取引等監視委員会などの公的な立場からの依頼という形にしてはどうでしょうか。対象会社からは課徴金プラス第三者委員会委員分の報酬を上乗せして追徴する制度を作るのです。このような制度の検討は、ひいては上記保険の仕組み造りにも進展していくのではないでしょうか。
第三者委員会委員報酬の仕組みを変えない限り、形式的第三者委員会で終わるのは無理のないことだと思います。
今はその過渡期ともいえます。

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