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コラム - 最新エントリー

近時、電通事件等を始めとして労働基準監督署の動きがメディアを賑わせることも多くなってきました。
労基署から連絡が来るのは所謂ブラック企業だけではありません。
実際に労基署から連絡が来た場合、或いは労基署から連絡が来る前であっても、十分な対応を取ることが必要です。

当事務所はこれまでも多くの労基署が入った事件を処理しておりますので、無料相談会の機会を設けさせていただくことにしました。
ご要望があれば、当事務所が提携している社会保険労務士法人酒井事務所と2人1組で行うことも可能ですので、気軽にお申し付けください。

1.相談日時:日祝日を除く午前10時〜午後20時のうち1時間弱
       (具体的な日時については適宜調整させて頂きます。)
2.相談場所:岡本政明法律事務所(丸ノ内線・新宿御苑前駅徒歩1分)
3.料金:無料

ご興味のある方がいらっしゃいましたら、お問合せフォームより気軽にお問い合わせください。どうぞ宜しくお願い致します。

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書評を書きたくなった動機
1 「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ著 河出書房新社 上・下)は凄い本です。
この本を読むと宗教も哲学も不要になったという実感です。歴史学がこのような形で講義されるようになり、種々の学問の集大成として歴史学が語られる時代になったのです。
ところで、この本は結論で“人類は果たして幸福になったのか”という疑問を提起しています。つまり最終章の紹介になってしまいますが次のよう述べています。
「今日、ホモ・サピエンスは、神になる寸前で、永遠の若さばかりか、創造と破壊の神聖な能力さえも手に入れかけている」。
そして“我々はバイオニック生命体等で生物の生命に直接関与可能となり、しかも我々は永遠の生命を手に入れるかもしれない”とまで表現しています。日本経済新聞によって「人間の寿命は125歳が限界」とする米アルバート・アインシュタイン医科大学研究グループの報道(2016.10.6)があったばかりですが、これは別の話として本書の歴史学に魅了されてしまうのです。
しかも我々が神になったとしても、実際に「どこへ向かうのかは誰にもわからない」し、「自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?」と結んでいます。
この結論は嫌です。近時の世界情勢をみるまでもなく理解できる話だから更に困るのです。
2 この本の中核は、上巻直ぐに始まる「第一部 認知革命」の著述でしょうね。読み始めた当初は、認知心理学で出てくるような用語に拒否反応がありました。
著者によると「認知革命」とは新しい思考と意思疎通の方法とされております。そしてサピエンスという我々の先祖に起こった認知能力を革命と表現しております。
具体的には「噂話」や「陰口」のように現実には存在しないことも語ることができる能力、つまりチンパンジーや旧人類にない能力、これこそ現在我々が地球上に生き残ることができた根本的理由だとしております。すなわち「想像上の現実」は嘘とは異なり、誰もがその存在を信じているものであるなら、その存在に対して共有される「信頼」が生じ、それが存続するかぎり、その「想像上の現実」は社会の中で力を振るい続けるとしております。そして我々がゴリラやチンパンジー且つ他の25種のサピエンス(更科功著「爆発的進化論 1%の軌跡がヒトを作った」新潮新書)に打ち勝てたのは、多数の固体や家族、そして大きな集団に結び付いていくという、このような想像上の接着剤である「信頼」を基盤とするというように話が進みます。
貨幣の流通だけでなく国や会社組織というように「想像上の現実」が「信頼」に基づくとすると、益々筆者の思うつぼに嵌まっていきます。新たな制度は、将来への信頼であり、それが信用=クレジットというように発達を遂げ、貨幣だけでなく国や会社制度というような種々の仕組みに発展していくのです。読んでください。納得できるから困るのです。現在は仮想通貨の時代に突入していますから・・
3 上記論法は、私が学生時代を終わるころ、ちょうど50年程前、思想書と言われた吉本隆明著「共同幻想論」に重なります。
 古すぎて直ぐに出てこない本なので、ウイキぺディアを引用してしまいます。「当時の教条主義化したマルクス・レーニン主義に辟易し、そこからの脱却を求めていた全共闘世代に熱狂して読まれ、強い影響を与えた思想書である。」
これは当時の状況を知らない人が書いた論評ですね。私がもう一つ共鳴できなかったところ、つまり経済的側面に関する分析の欠如があったために「熱狂して読まれた」というのは言い過ぎだと思います。でも国の在り方や個人の関係が古事記等から解きほぐされ、共同幻想や対幻想で語られるこの書は、今回紹介する本の著者ハラリさんに是非とも読ませたい本です。
吉本隆明氏は、科学(化学)の進歩がまだまだであった50年前、既に共同幻想論を言っております。彼を尊敬する先輩がいたこともあり、私も吉本隆明氏にお会いしたこともありますが、歴史的分析というより多少文学的であり、私の感性には馴染みませんでした。しかし、母の法事で会った甥っ子が吉本隆明にはまっていると話したことには驚きました。
4 「サピエンス全史」だけでは理解困難な部分を詰めておきましょう。
昨年4月号の「文芸春秋」で読んだ立花隆「脳についてわかったすごいこと」です。「意識とは何か」として脳の構造が科学的に分析され紹介されていました。
「死の瞬間の脳細胞」、「夢を自由に操る化学物質」、「臨死体験」等が話題の中心をなすのですが、脳神経細胞とシナプスなどの関係、或は脳のどこかの遺伝子(最小のニューロン集団の存在)、脳科学における「ゲノム計画」などにより明らかにされる将来を思うと「我思う、ゆえに我あり」という哲学すらも超えてきたと思わざるをえません。
つまり「意識」が科学的に明らかにされようとしている現実に接すると、行動主義心理学からの批判も吹っ飛んでしまいます。
5 宗教についても同様の感想になりました。
 神は全能で、神こそ死後の世界の主宰者であり、森羅万象の全てを教えてくれる。これを前提にして宗教は成り立つものでしょう。あるいは仏教では、仏の存在を仮定しないと人類は謙虚に生きることができなかった。故に宗教が必要になると思います。しかし死の瞬間、脳に快楽物質(セロトニン)なるものが放出されるなどと聞くと興ざめしてしまいます。
死の世界が意識の側面から分析され始めてきますと、神も信じられなくなるのです。否、人間こそが神に仮定されてしまうとこの本は述べているのです。
次回も、本書の論評です。

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一 第三者委員会の報道は面白い

1 前回のコラムで、形式的或いは権威主義的な株主総会は嫌いだと書きましたが、まさしく「第三者委員会」はその象徴ですね。
  特に笑ってしまったのは、東京都前知事舛添さんが「第三者の弁護士に厳しい調査を依頼した」という直近の事例です。記者会見に登場された弁護士、特に通称「蝮の善三さん」の記者会見は傑作でした。形式的な返答に終始し、最後は開き直り。これで舛添さんの得になったのか疑問でした。最初は腹を抱えて笑い、そのうちに本当に困ったことだと頭を抱えることになってしまいました。
報道陣の質問も紋切り型でしたが、そもそも「第三者の弁護士」としか言っておらず、第三者委員会ではないのですね。2名の弁護士では日弁連のガイドライン3名以上の枠組みにも反します。
「蝮の善三さん」については、私の関係した会社の不祥事の際、第三者委員会委員として登場していただいたこともあるため、余計に関心が高くなるのです。

2 第三者委員会とは、日弁連のガイドラインの要約によりますと、企業や組織において犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等が発生した場合或いは発生が疑われる場合に、企業や組織から独立した委員のみで調査をし、原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言する委員会とされています。
私は、日弁連が第三者委員会ガイドラインを出す相当前、ある顧問会社から第三者委員会の体裁をとって、不祥事で紛糾する株主等のステークホルダー達を押さえてもらえないかという依頼を受けたことがあります。この会社は外国人が社長をされておられ、第三者委員会のような紛争解決策をよくご存知でした。
私は悩みました。
だって、第三者委員会といえば聞こえはいいのですが、徹底的に会社の不正を暴くことを希望されている訳ではありません。むしろ会社の実態の何処までを話せばステークホルダー達に納得してもらえるかの限界点、即ちその調和点を探すことが使命なのです。そもそも会社が第三者委員会委員に金を支払って、会社が潰されるようなことを期待する訳がありません。深く考えなくとも当然のことです。
最終的に私が顧問から外れることのデメリットを考えていただきました。結論として、今の会社体制で今後も経営できることを前提とし、不祥事については徹底して謝罪し、企業活動を害さない範囲で役員を変更し、その他情報開示を行うとういう方針にて解決しました。

二 「蝮の善三さん」という弁護士

1 「蝮の善三さん」は、多くの第三者委員会委員をされておりますが、上記の点に関する理解力は悪い意味で素晴らしいと判断できます。
第三者委員会の報告書に関して「格付け委員会」(私的な検討委員会)なる組織もありますが、そのホームページを見ますと各報告書について点数も付けられております。ここで厳しく批判されている報告書は、社長のような最終権威者を庇うような形での決着、或いは組織存続を図るため一番重要なことは調査から外すというような種々の工夫をごらんいただけます。
「蝮の善三さん」は上記のテクニックに長けておいでで、ネットでも“汚職の守り神”のように書かれております。

2 ここで「東芝 粉飾の原点」という本を紹介しましょう。
「東芝 粉飾の原点」は日経ビジネスの記者が東芝の不正会計の構図を暴いた本で、次々と粉飾が暴かれる呆れた本です(日経BP社発行)。本コラム作成時、東芝は特設注意市場銘柄から外れるかどうかという瀬戸際にあります。株式投資に興味を持たれている方の中には、東芝株は今が買い時かどうか悩んでおられる方もおいででしょう。
でも“買い”に入るべきでないことがこの本で分かりました。ウエスチングハウスに関する粉飾は、第三者委員会報告書提出後4カ月も経過して、やっと“パンドラの箱”が開いたのだそうです。5000億円を投じて買収した東芝子会社、アメリカの原子力機器大手ウエスチングハウスの赤字の実態について詳細を知ると“買い”ではないですね。しかも将来展望として、東芝が原子力発電所の受注規模を、発表毎に順次縮小しつつも、現在も連結で45機(15年間で)、ウエスチングハウス単体で64基(同)の受注というのは先ず無理だと思います。
おっと!違いました。この本では、第三者委員会がウエスチングハウスについては調査しないことになっていたという暴露に驚いてほしかったのです。投資の話ではありませんでした。立て続けの粉飾が、最後ウエスチングハウスというのでは本当にひどい話です。子会社は調査をしないと約束したうえでの第三者委員会の報告書だと言われては、東芝に関係する利害関係者、ステークホルダーは何を信じればいいのでしょうか。

三 形式的第三者委員会にならないための対策

1 形式化した第三者委員会報告書に対する対策として、その前提事項を確認する必要があります。先ず、私と同様の悩みを持たないような弁護士とはお付き合いいただかないことです。“誠意”という人間としてあるべき姿が見えません。
もちろん不祥事の発生原因に関する調査と言いましても、企業にとって紛争解決にならないのでは、お金を支払って第三者委員会に依頼する意味がありません。この矛盾に悩まない弁護士に、利害関係人にとって納得される報告書など書ける訳がない。
現在、日弁連が指導する第三者委員会も、私が煩悶した当時と同様、日弁連ガイドラインとして、会社から時間給の形で報酬をもらえることになっております。

2 そこで違う形での対策を提案してみようと思います。
一つとして、企業不祥事の際に備えて第三者委員会委員に対する保険による仕組み造りです。私は複数の外部取締役もしておりますが、会社代表訴訟等に備えた保険に入っております。それと同様の保険による仕組み造りはどうでしょうか?
次に、上場企業の場合には、証券取引等監視委員会などの公的な立場からの依頼という形にしてはどうでしょうか。対象会社からは課徴金プラス第三者委員会委員分の報酬を上乗せして追徴する制度を作るのです。このような制度の検討は、ひいては上記保険の仕組み造りにも進展していくのではないでしょうか。
第三者委員会委員報酬の仕組みを変えない限り、形式的第三者委員会で終わるのは無理のないことだと思います。
今はその過渡期ともいえます。

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一 これまでの株主総会
 
1   前回のコラムでは、次回「ためにする不規則発言」とその対策等についてご紹介するとお話ししましたね。
近時「総会屋」なる用語は出なくなりましたが、昨年の総会シーズンでは、ある「特殊株主」について話題に出ることが多く、意外と緊張しました。新聞や週刊誌にも出たこの方からご紹介しましょう。
この方は76歳の男性で、元お医者さんです。ネット情報を要約させていただくと、2年前(平成26年度)には都内で179社の株主総会に出席され、124社で発言されたそうです。訳の分からない不規則発言や言動が多く、株主総会の進行を混乱させることもあって、我々株主総会担当者の間で評判になったのです。しかし何と昨年、株主総会真っ盛りの6月20日に逮捕されてしまいました。識者の見方としては、株主総会の円滑な進行を図るため、多分この時期に合わせて逮捕したのだと指摘されております。何故なら、すぐに出所しておりますから。
この男性は議長不信任動議を出しまくる方で、その動議が否決されても騒ぐため、やむなく退場命令を出されるような荒れた株主総会になってしまったこともありました。そもそも議長不信任動議を出す前の発言も要領をえず、これらの行為は明らかに業務妨害になります。もちろん刑事告訴した会社もあったと聞いております。
 
2  株主総会といえば作家濱嘉之氏
       毎年地獄のような株主総会が続く中で、「助っ人」として依頼した作家濱嘉之氏を紹介 
     しない訳にいきません。最近はテレビにもよく出ておられますね。濱氏は公安警察の世
  界を描かせると、この人の右に出る作家はいないと言われておりますが、平成の初め
  、警察を辞めて危機管理を業とされておられました。濱氏をネットで調べると本名は最
  後の方でしか出てきませんが、危機管理コンサルティング会社経営者と言う事実は、最
  初のほうで出てきます。危機管理を依頼していたのは、まだ作家になられる前でしたか
  ら、今から20年以上も前のことです。濱氏がいてくれると前に述べた異常な特殊株主さ
  んの心配もなく、準備した予定表・想定問答集に従って粛々と進行したものです。
濱氏は2007年に「警視庁情報官」(講談社)を出版され、作家としてデビューされました。当時、私は自ら幹事役を買って出て出版記念会の司会もさせていただきました。現役警察官が多く出席され、多少雰囲気が違って楽しかったです。
「警視庁情報官」は、私の好きな作家佐藤優氏が激賞したもので、公安捜査の紹介としては最初の本でしょう。ご一読ください。
 
二 株主総会指導書に書きにくい理念
 
1   「危ない株主総会」を多く経験しましたが、当然の突発事故も予定のうえです。どの株主総会も無事に終了しておりますが、その反動でしょうか?もっと株主の皆様にソフトな運営もできたという気持ちもあります。もちろん株主総会議長役の方の了解なくして勝手なことはできません。しかし、このような視点から、現在氾濫する株主総会指導書の一部には不満を持っております。今はやりの「IR」の意味を再度検証していただきたい。「IR」とはInvestor Relationsの略です。企業が株主や投資家に対し、投資判断に必要な企業情報を、適時、公平、継続して提供する活動のことをいうとされていますが、私は株主総会が形式的に、時には権威的に運営されることに疑問をもっております。「できるだけ開示」などと低次元のことを言っているのではありません。そもそも「IR株主総会」と言われる程度に、情報開示に努力した事前準備の想定問答集を作成してほしいのです。
確かに株主総会というものは出たとこ勝負の側面もあり、いくら事前に準備しても、突発事故の起きる可能性は排除しきれません。
私の経験でも、会社の製造物から被害を受けたとして、わざわざ株主になって株主総会で質問・謝罪を要求された事例や、会社役員個別に具体的な報酬額を明らかにするよう迫った質問で、異議まで出された経験もしております。ハンドマイクを持ち込もうとして受付で乱暴が行われた危ない事例から、笑ってしまうものとして、事業報告においては英単語を使わないで説明しろというようなこともありました。
 
2    会社法では、取締役説明義務の規定(314条)もありますし、同時に説明を拒絶できる事由についても規定しております(会社法施行規則71条)。説明義務を果たしたかどうかの判例も大量に出ております。
でも上から目線の対応は好きではないのです。このようなことを社長にどのように説明できるのかが私の近時の関心でもありました。
実は前回のコラムで、ソフトバンクでの副社長に支給してきた報酬取扱いのまずさを指摘しました。悪口のつもりで書いた訳ではありませんが、多少気分が良くないので、その後も孫正義社長の発言等を追っかけしておりました。
孫社長は、7月28日の決算説明会において次のような説明をしたそうです。「我々はリングに立つボクサーのようなもので、何発目に左を出すとは言わない。勝つことが大事で、勝つプロセスを説明することが大事ではない」。この説明は「IR株主総会」の説明義務の分岐点を示しております。つまり、株主に対する説明の範囲が明らかにされ、私も当事務所の依頼会社社長に、具体的に総会で説明するべき限度をお教えするのに使えます。権威主義が嫌いな私の考えに少し馴染まないところもありますが、このような議論をすることによって、少しずつ形式主義の壁が取り払われるのでしょうね。

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一 株主総会での予想しない事故
 
1   毎年6月は緊張します。6月は、顧問先或いは社外取締役を務める上場企業の株主総会が多数行われることが原因です。そのための模擬株主総会や、当日遅刻しないためのホテル宿泊もあって通常の月と違った緊張感があります。
2年前の6月には顧問先一部上場企業において発覚したある事件の関係で、長時間の株主総会を乗り切るため、成人男性用「おむつ」まで着用しました。議長である社長がトイレ休憩を上手にとってくださればよいのですが、紛糾した場合なかなか難しい。仮に上手に休憩を入れてくださったとしても、我々事務方は社長のトイレ休憩に併せてトイレに行くことができるとは限りません。
 
2    株主総会というものは出たとこ勝負の側面があります。いくら事前に準備しても、突発事故の起きる可能性を排除しきれるものではありません。皆様が、たいしたことではないとお考えになるはずの事例から紹介しましょう。
社長が株主総会に遅刻された、或は遅刻されそうになった経験も幾度かあります。いずれの社長も社内規定に通じておられ「定款の定めに従って、専務が開会宣言をし、その後も株主総会を運営して下さい」と自信満々に指示されました。これは事故といえるようなものではないかもしれませんが、専務のお顔を拝見するなら、私が青ざめるのも無理がないと思います。
 
3   でも皆様、事前準備もなくして専務が株主総会を仕切れると思われますか?株主を無視した形式的株主総会ならできるかもしれません。しかし議事運営においては、株主の疑問には“きちんとお答えする”という気持ちを込めた事前準備なくして、株主に満足な進行は困難だと思います。
 
二 突発事故は株主総会指導書にも書かれていない
 
1    ところで今期のソフトバンクグループの株主総会では、事前に取締役候補として株主に通知されていたインド人副社長ニケシュ・アローラ氏を株主総会では取締役に選任しなかったという話が報道されました。かって同様の経験をしたことがあったため、報道に注意を払っておりましたが、私が経験をした当時は、インターネットのWeb情報等の利用もなく、株主総会の在り様もずいぶん違いがありました。
私の事案は、株主総会の前日、それも夜遅くになって、取締役を入れ替えたいという相談がありました。株主総会担当者は悲壮でしたね。当時はこのような事態に関する解説書もありませんでした。
私が大事なこととして配慮したことは、株主の意思を尊重した総会運営にするというものでした。
結論としては、ソフトバンクグループの株主総会と同様、会社提出の議案を撤回することは同じですが、私の場合は、更に新たな取締役の選任が必要になります。そこで株主の自主性を尊重し、株主より、役員として適切な役員選任の緊急動議を出してもらいました。そして株主提案の議案を先に討議し、会社提案は後回しにして撤回の処理にしました。今回、ソフトバンクに関する種々の解説を見ましたが、私の処理は間違っていなかったと自慢できると思います。
 
2    でもソフトバンクグループの株主総会処理には後味の悪いものが残ります。例えば、当時の当該副社長の役員報酬は64億7800万だと報道されていますが、株主総会説明責任は果たされているのでしょうか?純利益は4741億ですから、こんな高額報酬は疑問だと主張される株主もいらっしゃるはずです。ところが驚くべきことは、ソフトバンクの株主総会では役員報酬全体の上限額を「年額8億円以内」と決議されているというのです。上記8億円は役員全体の金額ですよ。
何故こんな無茶なことができるのかと思い、調べてみました。何とソフトバンクグループからは9900万円しか払われておらず、残りは全て子会社から支払い、会社法の規制を事実上免れていたというのです(日経ビジネス2016.07.18「役員報酬、規律なき膨張」16頁)。
世界に誇る会社にしようとされているのですから、コーポレートガバナンスはどうなるのでしょうか?法に従い、堂々と処理され、株主に説明するべきだと私なら言います。
 
三 株主総会は会社理念検証の場
近時「開かれた株主総会」或いは「株主に対する説明責任」が株主総会運営理念に掲げられることが多くなりました。弁護士用の株主総会指導書も昔と様変わりしております。昔は“とにかく無事に乗り切れればいい”という、その場しのぎのものが殆どでした。株主を尊重しようという姿勢よりも、結論として形骸化した民主主義、即ち“株主さまが王様です”と持ち上げながら、実態は形式的な、その場凌ぎのものという印象でした。私はこのような傾向に嫌気がさし、ずいぶん前に“ソフトバンク”と同様の株主総会指導をしていたことになります。
私は幸せだと思います。私が関与させていただいている上場企業は株主を大切にされております。例えば、株主総会の直後に、株主総会と同様の形で会社説明会を長時間もたれている一部上場企業、あるいは別の日程を設けて、経営方針説明会を開催されている会社もあります。会社の将来について株主に真剣に説明される社長の気概は本当にうれしい。
ところが近時、「特殊株主」について議論されることが多くなりました。「ためにする不規則発言」対策等を考えると、総会運営担当者には“気の休まる6月”などというものは、当分やってこないのです。
次回は、このような体験と対策を書こうと思います。

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一 昔の株主総会はきつかった
 
1   平成初めの株主総会は、法律の整備も不十分なだけでなく、景気の悪さも手伝い大変厳しいものでした。
宇宙開発を業とする会社の株主総会は、毎年、特別に大変でした。日本に帰化された社長は、世界的な頭脳の持ち主でいらっしゃいましたが、二時間以上、受け答えされるとさすがに答弁が困難になりました。社長とは今でも親しくさせていただいておりますが、アジア最大の国の解放軍とのいざこざで、私が破産処理させていただきました。当時の株主の皆様には「毎年必死で議論し、真摯にお付き合いさせて頂きましたのに、大変申し訳ありませんでした」と申し上げます。
その後、上記の国の人工衛星打ち上げニュースを聞くたびに、今でも怒りが沸いてまいります。
 
2    もちろん、上記宇宙開発の会社も、定款で「株主の代理人は株主に限る」旨の制限規定を設けておりました。しかし、株主の代理人として、株主でない弁護士が来られましても株主総会に出席していただいておりました。弁護士の独占的紛争解決機能(弁護士法第3及び72条等)に敬意を払っていたからだと判断します。
当時既に、最高裁は、代理人資格を制限する各会社の定款規定について有効と認めてはおりましたが、神戸地裁尼崎支部の次のような判例が出る時代的な背景もありました。
「弁護士が代理人になった場合、株主総会を混乱させるおそれがあるとはいえない」として定款規定の解釈運用を誤ったものとする判例(神戸地裁尼崎支部平成12年3月28日)もありました。つまり代理人の制限をすると、上記判例に従い、株主総会決議が取消される可能性もあったのです。株主総会指導弁護士としては窮地に陥ります。
 
二 違和感のある株主総会指導書
 
1    ところで最近の株主総会指導解説書等を読みますと、株主に限るとの定款規定を一段と重視する傾向が強くなっております。
例えば、株主でない弁護士の株主総会代理出席を拒否した事例において、東京高等裁判所が、株主でない代理人に関して個別的に判断することは受付を混乱させるとして、形式的に限定することに関し一定の合理性を認めたことから(平成22年11月24日)、巷に氾濫する解説書は一気に強気になりました。
でも長年株主総会指導をしてきた私には非常に不思議です。受付の混乱回避を理由にする上記判例は穴だらけだからです。もちろん判例は事実に即しているだけですから、この判例に責任はありません。
 
2    つまり、受付が混乱しない方法で弁護士の代理出席の要請があったらどうするのですか?例えば、株主総会の通知発送直後に、株主より当日は代理人として弁護士を出席させると通知してきたらどうするのですか?
時間もたっぷりあります。十分に本人から真意を調査できますし、受付の始まる、はるか前ですから受付に混乱など生じえません。
 
3    株主総会の指導をされる信託会社等の専門家に聞きますと、弁護士の解説書のような回答はまず返ってきません。先ほどまで自信満々に厳しく社長指導をされていた方が、驚くほど言葉を濁されるのです。そして最後に「難しい問題ですね。結論として会社にご判断いただいております。」つまり訴訟リスクの回避を考えておられるのです。
 
三 総会屋対策の延長では納得できない
 
  1      私は、20代の終わり頃、総会屋の方から「総会屋にならないか」とリクルートされたことがあります。忘れもしない歌手加藤登紀子さんのお父さんが経営される新宿のロシア料理店でのことでした。
       その当時のように総会屋が問題視される時代なら、非株主弁護士の代理出席を認めないのも一理あるとは思います。でもそんな時代は過去のものと言っていいでしょう。もっと柔軟に考えない限り、訴訟リスクはついて回るのではないでしょうか?いやいや、そんなことよりも弁護士の紛争解決機能について、どう考えておられるのか聞いてみたいものです。株主総会は紛争とは無関係という回答は変です。株主代表訴訟もあるのですから。
 
2    上記疑問を持ち続けていた私は事務所の若い先生に次のようなお題を出してみました。お題は「粉飾決算に揺れる会社で、代理人は株主に限るとの定款規定はあるものの、非株主弁護士の株主総会代理人出席は一律拒否でいいのか?」というものです。ヒントはこれまでの記述で十分だと思いますが、次のような考え方は如何でしょうか?
事前に代理出席を申し出られた株主様には「事前に質問書を出していただきたい。事前に質問書を出していただけるなら、弁護士の代理出席も検討致します」という内容の文書を送るのです。事前の質問であれば、粉飾に揺れる会社でも十分整理して回答することができます。しかも会社にとって重要な説明責任も十分に果たせることになります。先に示しました神戸地裁尼崎支部の事例は、事前に弁護士代理出席の通知があった事例ですから裁判官の悩みが伝わってくるようです。
   驚くべき経験もあります。粉飾で揺れていた会社で、弁護士が代理出席されたのですが、非常識且つ繰り返しの質問に会場が紛糾していた際、理路整然とした弁護士の質問がその場の雰囲気を変えたのです。さすがは弁護士という経験ですね。
 
3   若い弁護士の先生方、現在の株主総会指導書に疑問をお持ちになりませんか?否!あなたの職域を狭めておりませんか?
これは弁護士の在り方を問う問題でもあります。

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 このたび、当事務所は、下記のアドレスにて、営業秘密に関するホームページを開設しました。

主に弁護士費用をご確認頂くことにご利用いただけると幸いです。

http://okamoto-law-office.net/

各企業にとって情報の価値が高まる中で法的サービスを提供すべき状況が増えていると思いますので、本ホームページとともによろしくお願いします。

 

 

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一 驚いた弁護士
 
1   本コラムの読者層ですが、若い弁護士の先生が多くて驚いたと本コラムに書いたことがあります。親しい先生方からも「読んだぞ」とお声がかかることもあります。私もかなり年季の入った弁護士になったのですから、皆様の関心の深い弁護士の実像についてお話しすることも面白いと思います。
つまり交渉や事件として接触していて驚いた経験をお話しすれば、直接弁護士の品格についてお話しすることになります。驚いた弁護士について書きましても、個人情報とは関係ないでしょうし、しかも微妙であれば抽象的に記載し、皆様が不快と思われないように配慮するつもりです。
考えてみますと、今まで弁護士の品格に関係する事件で、「ひどい弁護士だ。驚いた」と思った事例は相続事件が圧倒的であります。
 
2  弁護士の実像が出てくる事件は、やはり高額報酬事件が多いですね。高額報酬事件といえば、相続事件がその一つです。しかも30年前の土地バブルの時代、土地の高騰は「天井知らず」でした。おじいちゃん、おばあちゃんの住んでいるそれ程広くない土地を見るだけでも、呆れるほどの値段になりました。「土一升、金一升」と称される時代でしたから、それに関係する事件は当然高額報酬が期待できます。当時の世の中の常識・気風も今より荒れておりました。
家屋を明渡しさせるため、現実に商売をされている店に、直接トラックで突っ込むという神田の事件も報道されましたが、さもありなんという危険な匂いがする時代的な背景もありました。乱暴な稼業の方も頑張っておられ、交渉の相手方となることも日常的でした。
 
二 有利な遺言書を残すための工夫?
 
1    最も弁護士の品格が疑われる事件は、依頼者に有利な遺言書を書かせる或いは既に遺言書があるが、自分の依頼者に有利なものに書き換えさせるため、居住先からおじいちゃん、おばあちゃんを誘拐するというものです。
    不思議に思われるかもしれませんが、当時、誘拐に類する事件は本当に多かったのです。誘拐行為自体はしなくとも、このような非常識な事態を弁護士が黙認していたという事件も経験しております。
 
2   今になっても思い出す事件を紹介しますが、この事件は誘拐と言えるのか疑問でした。
認知症が進み、毎日の介護が必要なおじいちゃんが長女のお世話になっておりました。次女から自分の家に遊びに来ないかという誘いがあり、軽い気持ちで遊びに出したのですが帰ってこなくなりました。次女に聞いても理由が良く分からなかったらしいのです。ちょっとの間でも介護疲れが癒されるというような事情もあったのでしょう。
このおじいちゃんはかなりの財産家でしたが、1カ月以上経過して、やっと戻ってきました。どうも知り合いの弁護士が出てきて遺言書を書かされたようだというので、いろいろ聞いていると、公証役場のような話も出てきたようです。どうも遺言書を書いたようだという結論になりました。
驚いた理由はこれからです。帰ってすぐに、おじいちゃんの署名が必要になり名前を書かせたら、自分の名字が略字でしか書けなくなっていたというのです。従来、本人は略字を嫌っておりましたから、辛抱強くその訳を聞いたところ、妹の家で毎日略字を書く訓練をしていたと話したのです。それも公証役場に行って以降は正式な自分の名字が書けなくなっていると推測するしかないというのです。
字の訓練にまで弁護士が絡んでいるとなると、皆さん笑ってしまわれるでしょう。
 
3  相談の第一は、公正証書遺言の内容を調べてほしいというものでした。おじいちゃんは介護をしてくれていた長女に感謝して財産の全部を長女にあげるという遺言をしておりました。次女も納得されるような内容ではなかったので、今回の事件に発展したのでしょう。
でも今回登場する弁護士は、長女も面識のある方だったので、長女はすぐに問合せをしております。しかし、その弁護士からは、知っているかどうかを含めて一切お答えできないという返事であったため、遺言書は作成されているとの確信になりました。その弁護士は妹が本来の依頼者だったから、こんなことになったと言って相談にきたのです。
 
4   長女は、その弁護士の関与を知りたがっておりました。しかし現在行われている遺言検索システムは、本人以外の相続人は遺言者が亡くなっていないと検索できません。しかも本人は自分の名字も書けない訓練をされております。私もおじいちゃんにお会いして種々テストをしてみましたが、今日の曜日も答えられず、通常では、公証人に公正証書遺言を作成してもらえないと判断されました。
ここからが秘策です。おじいちゃんには毎日自分の名前を書く訓練や曜日の会話等をしてもらいました。そして、その弁護士の先生の近くの公証役場の幾つかにおじいちゃんと一緒に回ってもらいました。該当する公証役場は意外と早く割り出せました。
私はおじいちゃんと長女を同道して、当該公証役場にお伺いして遺言書の作成をお願いしたところ、何の聞取りもなく、おじいちゃんは認知症ではないかと聞かれたのです。しかし、これでごく最近、その公証役場で遺言書を作成したことが判明しました。おじいちゃんの意識はその当時と殆ど変化はありません。当時と何の変化もない状況を説明して、本人から、再度公正証書遺言作成を依頼してもらいました。

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一 以前紹介した経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック 〜企業価値向上に向けて」(平成28年2月8日公表)というハンドブックのうち、今回は有効な競業避止義務契約を締結するための基準を紹介したいと思います。
 
二 これまで本コラムでも紹介しております通り、従業員退職後の競業避止義務規定を定めることについては、職業選択の自由を侵害し得るため、判例上制限的に考えられております。
   具体的には、?守るべき企業の利益があるか、?従業員の地位について、?地域的な限定があるか、?競業避止義務の存続期間、?禁止される競業行為の範囲について必要な制限がかけられているか、?代償措置が講じられているか、が重要な基準になると考えられております。
   経済産業省のハンドブックにおいては、上記?〜?について裁判例がどのように判断しているかを詳細に検討しておりますので、ご紹介します。
 
三 まず、守るべき企業の利益について、経済産業省のハンドブックは、不正競争防止法上の「営業秘密」とまでいえなかったとしても、営業方法や指導方法等に係る独自のノウハウについては、企業側の利益があると判断されやすい傾向があるとされています。
   実際に当事務所が対応している案件において良くある反論として、あくまで従業員が個人的に人的関係を構築して営業活動を行っていたので会社の財産ではない、というものがあります。
もっとも、経済産業省のハンドブックは、「人的関係の構築が企業の信用や業務としてなされたものである場合には、企業側の利益があると判断されやすい」としていますし、実際に当事務所で対応している経験からしましても企業の業務の一環として構築された人的関係の場合には会社側の主張が認められ易いように感じております。
 
四 従業員の地位について、経済産業省のハンドブックは、合理的な理由なく全従業員を対象にした契約、特定の職位にある者全てを対象にしている契約は有効になりにくいとしています。
    言うまでもないことですが、使用者が守るべき利益との関係で当該従業員の具体的な業務内容が重要であるといえなければ、競業避止義務は有効になりにくいと言わざるを得ません。
 
五 地域的限定について、経済産業省のハンドブックは、「地域的限定について判断を行っている判例は少ない」とした上で、「地理的な制限がないことのみをもって競業避止義務契約の有効性が否定されている訳ではない」としています。
   もっとも、地域的制限ができるのであれば、制限をしておいた方が競業避止義務契約の有効性が認められ易くなることは言うまでもありません。
 
六 期間について、経済産業省のハンドブックは、「1年以内の期間については肯定的に捉えられている例が多い」とした上で「近年は、2年の競業避止義務期間について否定的に捉えられている判例がみられる」としています。
   当事務所が実際に相談を受けている印象としても、一般的に2年の競業避止義務を課している契約書や誓約書等が未だに多いと考えられますので、注意が必要だと考えています。
 
七 禁止行為の範囲について、経済産業省のハンドブックは、「禁止対象となる活動内容や職種を限定する場合においては、必ずしも個別具体的に禁止される業務内容や取り扱う情報を特定することまでは求められていないものと考えられる」としています。
    もっとも、一般的・抽象的にしか規定されていなければ有効性が認められない可能性が高いわけですので、実際に契約を締結する場合には注意が必要です。
 
八 代償措置について、経済産業省のハンドブックは、「代償措置と呼べるものが何も無い場合には、有効性を否定されることが多い」とした上で、「みなし代償措置」のようなものでも肯定的に判断されているとしています。
   実際に当事務所で相談を受けている事案を考えてみても、代償措置がなされていないケースが極めて多く、競業避止義務契約を締結する際には工夫が必要です。
 
九 以上の通り、有効な競業避止義務契約を締結するために必要な考え方を紹介しましたが、実際にどのような契約を行えば良いかどうかについては非常に微妙な判断が必要になりますので、是非一度ご相談ください。

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一 以前紹介した経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック 〜企業価値向上に向けて」というハンドブックのうち、今回は従業員に向けた具体的な情報漏洩対策を紹介したいと思います。
 
二 従業員に向けた具体的な対策として一般的によく挙げられるのが、秘密情報を閲覧・利用することができるアクセス権者の範囲を適切に設定し、アクセス制限を行うことです。
   このことは、不正競争防止法上の「営業秘密」に該当するかどうかを判断する際の基準としてもよく挙げられる基準であり、非常に重要と考えられています。
   具体的には、書類等については施錠された書庫等に分離して保存した上で入退室を管理することが重要ですし、電子データについてはアクセス権を有する者のIDのみからアクセスできるようにすることが重要です。
   経済産業省のハンドブックでは、小規模企業でも行える施策として?ペーパーレス化や?電子化された秘密情報のうち、印刷できるデータの内容を限定すること等も挙げられています。
 
三 秘密情報の持ち出しを困難にさせる施策も重要とされています。
具体的には、秘密情報が記載された会議資料等に通し番号を付けて出席者と関連付けして把握した上で会議が終了した際に全て回収して管理すること、従業員の私物USBメモリなどの持ち込みを禁止すること等です。
   また、実際に当事務所が扱っている事件においては、刑事告訴した際に、警察などから「社内のパソコンについてUSBメモリ等の外部記録媒体への書き込みができない設定にしているか」という点を問題にされることも少なくありません。
   そこまでの対応は大企業でなければ難しい場合が少なくないと思いますが、せめて電子データを暗号化するなど可能な限り従業員が秘密情報を持ち出せないようにする施策を講じる工夫が必要です。
 
四 仮に秘密情報の漏洩を行ったとしてもすぐに見つかってしまう状況になっているということを従業員に認識させることも重要とされています。心理的効果によって、故意による秘密情報の漏洩を防止できるからです。
具体的には、秘密情報が保管されている書庫や区域に「関係者以外立ち入り禁止」という掲示を行ったり防犯カメラを設置したりすること、情報システムにおけるログの記録や保存を行っていることを周知すること等です。
これらの対策は、実際に秘密情報の漏洩が発覚した後に証拠にもなり得ますので是非とも実施されることをお勧めします。
 
五 さらに、不正な行為を行った従業員に言い逃れをされないようにすることも重要です。
具体的には、可能な限り多くの従業員が参加している会議や朝礼などにおいて、何が秘密情報であり、どのようなルールになっているかを確認するなどして、従業員に秘密情報の取り扱いルールを周知したり、秘密保持誓約書等を締結したりすることが重要とされています。
   当事務所が扱っている案件においては、専門家による研修を行ったり、従業員の理解度を確認するためのテストを行ったりすることによって、言い逃れされないようにしている会社が見受けられます。
 
六 以上のような対策の他にも経済産業省のハンドブックには様々な対策が具体的に記載されていますし、従業員に向けた対策の他にも退職者、取引先、外部者に向けた対策を取ることも必要です。
   情報漏洩の具体的な対策を検討している方は気軽に当事務所にご相談いただければ幸いです。
 

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