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コラム - 最新エントリー

1 新型コロナウイルスの感染対策として、テレワーク(リモートワーク)の導入が推進されています。テレワークを実施した労働者が1人以上いる場合には、.謄譽錙璽用通信機器の導入・運用、⊇業規則・労使協定等の作成・変更等に対し、上限100万円(補助率2分の1)の助成金を受けられる制度も始まっています。

2 テレワークの形態には、概ね、〆濛雍侈魁↓▲汽謄薀ぅ肇フィス勤務、モバイル勤務があります。 まず、テレワークにも労働基準法が適用されますので、テレワークを導入する際には、雇用契約における就業場所としてテレワークを行う場所を明示しなければなりません。(モバイル勤務の場合は、就業場所についての許可基準を示した上で、「使用者が許可する場所」といった形で明示することも可能です。) テレワークの実施とあわせて、始業及び終業時刻の変更等を行うことを可能とする場合は、就業規則に記載するとともに、その旨を明示しなければなりません。

3 テレワークの場合も、使用者自ら、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を確認し、適正に記録することが原則です。例外として、労働者の自己申告制による場合であっても、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をする等の措置を講じなければなりません。

4 テレワークで生じやすい問題点として、「中抜け時間」がありますが、 労働者が労働から離れ、自由に利用することが保障されている場合には、休憩時間や時間単位の年次有給休暇として取り扱うことが可能です。一部の勤務時間だけでテレワークを行っている場合の移動時間については、使用者の指揮命令下に置かれている時間であるか否かにより、労働時間になるか、休憩時間になるかが変わります。テレワークを行う労働者についても、労使協定により、休憩時間の一斉付与の原則の適用除外とすることが可能です。

5 ‐霾鹹命機器を通じた使用者の指示に即応する義務がない状態で、⊃鏤使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていない場合(業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することは除く)には、労働基準法第38条の2で規定する事業場外労働のみなし労働時間制を適用することも可能です。

6 時間外労働については、事前申告し使用者の許可を得なければならず、かつ、その実績を事後報告しなければならないという就業規則等になっているにもかかわらず、労働者から事前申告がなかった場合又は事前申告内容が許可されなかった上に、労働者から事後報告がなかった場合で、一定の要件に該当する場合、当該労働者の時間外等の労働は、使用者のいかなる関与もなしに行われたものであると評価できるため、労働基準法上の労働時間に該当しません。もっとも、使用者が時間外等の労働を知り得なかったことや上限時間が設けられていないこと等が要件なので、注意が必要です。

7 長時間労働対策として、〇間外、休日又は深夜におけるメールを送付することの自粛を命ずること、外部のパソコン等から深夜・休日はアクセスできないよう設定すること、時間外・休日・深夜労働を原則禁止とすること又は使用者等による許可制とすること、つ校間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・深夜労働が生じた労働者に対して、労働時間の記録や、労務管理システムを活用して注意喚起を行うことなどの措置を図ることが必要です。

8 テレワークに要する通信費等の費用について、労使のどちらが負担するか、また、使用者が負担する場合の限度額等については、就業規則等において定めておくことが必要です。

9 以上の通り、新型コロナウイルスの感染対策として、テレワークを導入する方法と注意点を説明いたしました。新型コロナウイルス問題がいつまで続くか分からない中、テレワークの導入は非常に重要な選択肢の一つですが、テレワークに潜む法的な問題点が多数存在することも事実です。テレワークを導入する際には、就業規則等の変更が必要になると思いますので、当事務所にご相談頂いた方が良いと思います。紛争が生じてしまった後では遅い場合も多いので、早急にご相談いただいた方が良いと思います。                                         以 上

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1 新型コロナウイルスの影響で売り上げが大きく落ちており破産を考えているという事業者の方も多いと思います。
 もっとも、まずは、どうやってこの緊急事態を乗り越えるかを検討して頂きたいと考えておりますので、現時点で国から公表されている支援策を簡単にご説明したいと思います。

2 まず、新型コロナウイルス感染症により影響を受けている中小企業者への資金繰り支援措置として、セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証が発動されております。
 この措置により、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた中小企業者について、一般保証と別枠の保証が利用可能となりました。
 例えば、セーフティネット保証4号とは、1年間以上継続して事業を行っており、売上高が前年同月比20%以上減少等の場合、中小企業・小規模事業者の資金繰り支援措置として、一般保証とは別枠で融資額の100%を保証する制度です。
 また、創業1年未満の事業者等であって、新型コロナウイルス感染症の影響により、経営の安定に支障をきたしている創業者等も利用できるように、認定基準について運用の緩和がされています。
 例えば、危機関連保証とは、最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少等の場合、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度です。
 セーフティネット保証5号とは、3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少等の場合、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行う制度です。

3 また、新型コロナウイルス感染症特別貸付があります。
 これは、新型コロナウイルス感染症による影響を受け最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少等の場合、日本政策金融公庫等が、信用力や担保に依らず一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施する制度です。
 さらに、特別利子補給制度があります。
 これは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」により借入を行った中小企業者のうち、
 仝朕融業主(フリーランス含み、小規模に限る):要件なし
 ⊂規模事業者(法人事業者):売上高15%減少
 C羮企業者(上記´△鮟く事業者):売上高20%減少
 に対して、利子補給(利子に相当する金額を給付すること)を行う制度です。
 これらを併用することで、実質的に無利子・無担保の貸付けとなります。

4 上記でご紹介差し上げた支援策は、令和2年3月13日時点のものですが、今後も拡充する可能性がありますので、詳細は経済産業省のホームページをご覧ください。
 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
 重要なことは、コロナウイルスで売り上げが落ち込んだとしても、様々な観点から経営の立て直しを検討して頂くことだと思います。
 場合によっては、破産も含めて検討しなければならなくなる可能性もありますが、当事務所は、事業再生・破産ともに得意としておりますので、早めにご相談ください。
                                        以 上

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.    これまでも複数のコラムの中でお話ししている通り、当事務所は、営業秘密や機密情報を持ち出されたり、顧客を奪われたりする等の競業行為をされた場合に交渉、訴訟や刑事告訴などを行い、多数の成果を挙げています。
 また、平成31(2019)年1月23日、経済産業省が営業秘密管理指針を改定した際には、当事務所が勝訴した判決が「参考裁判例」として掲載されています。
 このことは、いかに当事務所が、営業秘密の持ち出しや情報漏洩・情報流出、競業行為などの不正競争に関し、豊富な経験があり、得意としているかを表していると言えます。
 当事務所は、依頼者のために手間を惜しみません。

.   終身雇用制が限界を迎え、雇用が流動化し、従業員や役員(取締役・監査役)の転職などが一般的になりつつある中、情報漏洩や競業行為に関し、当事務所にご相談いただいている案件数も増えております。
 近時の裁判例をご紹介しますので、退職した元従業員や取締役等への対応の参考にして頂き、当事務所にご相談ください。
 近時、社会的に営業秘密漏洩が問題視されていることから、情報が重要であり、元従業員が秘密として管理されていることを認識していた場合には、アクセス制限が不十分であること等の事実があったとしても、損害賠償請求が認められている裁判例が少なくありません。

損害賠償請求事件

平成29年9月20日東京地裁判決

295万8300円

専務取締役として書店システム部門を統括する立場にあったこと、月額賃金100万円とする雇用契約を締結していること等を理由に競業避止義務を定める就業規則を有効とした。

元従業員が、ブログやサイトで上司によるパワハラ、退職勧奨の名目での解雇、解雇予告手当や退職金の不支給があったことを記載したことが信用毀損と判断され、架空の売り上げを計上したことが善管注意義務違反と判断された。

損害賠償等請求

平成29年10月19日大阪地裁判決

500万円

使用・開示の差止め

複製物の廃棄

客観的にアクセス制限の措置が講じられていたこと、誓約書を提出させていたこと、秘匿の必要が高い情報であること、消去データの復元・解析が困難となるような方法で消去していること等から、営業秘密であると認めた。

パスワードが設定されておらず、複製・保存することが自由であったとしても、元従業員が当然に秘密として管理されていることを認識していれば足りると判断した。

損害請求等

平成29年10月27日東京地裁判決

2694万1631円

防犯カメラシステム事業の責任者であり、元請2社から下請業務を受注すべく、元請2社との打合せや下請業務の準備を行ってきていた以上、雇用者の営業上の利益に反する競業行為を差し控えるべき競業避止義務等を負っていた。

それにもかかわらず、元請2社と交渉を行い、元請2社と被告会社との下請契約を成立させたことが不法行為であると判断され、逸失利益が損害賠償請求として認められた。

差止請求等

平成30年1月19日東京地裁判決

販売行為、販売行為を行う法人に対する事業資金提供行為、支払保証行為及び取引先の紹介行為の差止め

営業秘密であるとは認められなかったものの、取締役として営業を中心的に担っており、取り扱う製品の商流や取引先等も熟知していたこと、本件交渉の過程においては、競合する会社の設立をしないことを申し出たこと、合意書に違反することを認識しながら競業をしたこと等を理由に、競業避止義務に関する合意書の有効性及び差止請求権を認めた。

損害賠償請求事件

平成30年3月5日大阪地裁判決

。械隠庫6491円

■隠沓緩円

46万円

ぃ毅暇円

本部において顧客情報を一元化してデータ管理しており、就業規則において顧客情報の開示等を禁止することに加え、退職従業員に対しても、顧客情報を漏えいしないことを誓約させるなど、規範的に管理していること、従業員らにとっても、それが秘密管理の対象とされるべきものであることは容易に理解し得ること、情報として重要であること、小規模の事業所なのでアクセス制限がなされていなかったとしても秘密でない扱いとは言えないこと等を理由に営業秘密として認め、被告の得た粗利益、違約金、弁護士費用等を損害として認めた。

損害賠償請求事件

平成30年

3月15日大阪地裁判決

。沓伊1250円

■横庫5050円

被告が元代表取締役であったこと、元代表取締役として、顧客情報が記録されたファイルにパスワードを設定する措置を自ら採っていたこと、業務受託者との契約書の中で、原告の企業秘密の漏洩を禁じていること、企業秘密の中には有用性と非公知性を有する顧客情報を含むことを想定していたと推認されること、誓約書を作成していること等から営業秘密として認めた。

損害賠償請求等事件

平成30年3月26日知財高裁判決

169万9467円

製造・販売の差止め

就業規則で秘密保持義務を課し、情報セキュリティ教育を実施し、本件情報をいずれも秘密と指定し、社内ファイルサーバ内のフォルダにアクセスできる従業員を限定してること等から営業秘密として認めた。

アクセス権限のない従業員がアクセス可能な従業員からデータをプリントアウトしてもらうといった運用が業務上の必要に応じて行われることがあったとしても、これをもって秘密管理措置が形骸化されたとはいえないと判断した。

損害賠償請求

平成30年3月28日東京地裁判決

5471万3160円

プロバイダー事業等を目的とする株式会社である原告が、原告の元取締役兼営業本部長である被告において、原告の営業秘密に当たる顧客情報を不正に入手して競合他社に売却したと主張して請求した事案である。

顧客から多数の解約申出を受ける状態にあったこと、当時、被告は未だ逮捕されておらず他の競合他社に重ねて顧客情報を売却することが可能な状態にあったこと、プロバイダー事業に致命的な悪影響を与えるおそれがあったこと、総務省から漏えいした可能性がある顧客全員に対応するよう口頭で指示されたこと等から、顧客対応費用等の損害賠償を認めた。

以上

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1 息子の配偶者は、息子の老父母の相続人ではありません。このような立場の配偶者が、老父母を長年介護してきた事例は、本当に多いのです。でも、かかる配偶者に、財産的メリットはないに等しかったのです。良く紹介される先例として、平成22年9月13日付東京高裁決定がありますが、それによりますと、上記配偶者の貢献を相続人である息子の寄与分、つまり息子の手足として構成し、評価したものはありました。つまり、相続人でない者の寄与に対する財産的な評価を、正面から認めたものではありませんでした。
 今回の民法改正では、上記のような場合に、介護をしてきた配偶者に対し、特別寄与分として「相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができる」として認め、改正を行ったのです。なんと民法最後の条文である「第十章 第1050条」に規定をおいたのです。従来の寄与分規定は、民法第904条の2で規定しておりましたが、本条文は、相続人にのみ適用される条項でした。
 でも私は、今回の改正に満足しておりません。私が扱ってきた事例を紹介しつつ、相続事件が如何に難しい案件であるのか、再度見直してみましょう。

2 寄与行為の類型についても、上記のような療養看護型以外に、家事従事型、金銭等出資型、扶養型、財産管理型など多様な類型を列挙する解説書もあります。
 平成の初め頃、特別寄与分の事件に関しては、多くの弁護士が避けていたように思います。家族の事件であることは明白であり、相続に直結しているのですが、相続事件に付随して発生する感情論争が強すぎ、嫌がられていたのでしょう。また法律構成も難しく、裁判所を納得させる法理論も“生煮え状態”であったため、嫌がられる先生もいらっしゃったのでしょう。
 実は、私は、新しい弁護士会館ができた頃、弁護士会が運営する法律相談業務の責任者の立場にありました。その関係で、この種類の事件に多く関与することができました。当時、他の弁護士会と相談しながら、現在の弁護士会における法律相談業務を構築しておりました。多くの弁護士が嫌がられる事件管理もしておりました。
 でもこの種類の事件に関与すると、逆に燃えるのです。依頼者の怒りが伝わってきて、何とかならないかと思うようになってくるのです。
 そのような頃、弁護士会の運営で、新宿三丁目に家庭法律相談を主とする相談業務を始めました。当時、法律相談運営委員会委員長であった私は、「追分団子の店」の上にあるこのビルを下見して、法律相談所に決めました。しかし、時代の流れの中で、お客様が減少し、費用を節約するため、今年の2月、新宿の歌舞伎町に引っ越ししました。「危ない場所」と噂される歌舞伎町に、相談者が安心して来ていただけるのか、心配です。

3 特別寄与分が問題になる事件の典型例ですが、相続人と結婚した配偶者による、20年にも近い間の、長年の老父母の介護事件がありました。老父母の死に涙にくれる相続人夫婦に対して、逆に、徹底して面倒を看ることを避けてきた兄弟から自宅の相続権を主張されました。現金・預金は介護で使い果たし、めぼしい相続財産は広めの自宅だけでした。昭和の時代ですから、介護施設も今ほどなく、自宅で死を迎える時代でした。近時、寿命が延びたとよく言われますが、同時に、介護期間も増大したのでしょう。介護の苦労を聞かされれば、皆さま、何とか報いてあげたいと思われて当然です。でも家庭裁判所の遺産分割調停は冷たかった。
 平成の時代になって、配偶者である相続人が生存している限り(先に息子が死んだらだめです)相続人の寄与と一体のものと構成するとか、相続人の履行補助者の行為として法律構成する裁判例がみられるようになりました。これは既に紹介しておりますが、実は、論理のすり替えです。しかも、その際に認められた金額を知ると絶望的になります。家庭裁判所は、業者の介護報酬基準を前提として計算式を作っているのです。つまり、介護や看護をする専門業者の金額に日数をかけて計算するのですが、裁量割合としてその業者の0.5から0.8の割合しか認められません。争いになっている相続事件と比較すると嫌になってくるような金額です。
 今回の改正でも、この基準で認定されますから、冒頭で、私は不満を申し上げました。

4 介護だけが寄与分でなく、種々の事例があることも触れましたね。
 山林をたくさん有しておられる被相続人で、相続人である娘さんのご主人の寄与分に関する相続事件も経験しました。娘さんのご主人が、無報酬に近い形で、最初はお父さんと一緒に、お父さんの体が弱ってからは10年以上、一人で毎日山に入って樹木の管理をされ、山林を維持されました。私は、それまで山の管理がどれだけ大変であるのか知りませんでした。昭和の時代の事件ですが、妻の夫の貢献によって山林の価値が維持され、莫大な相続財産が事件の対象になりました。しかし、今回の改正で、莫大な相続財産の維持がなされたことに関して、どの程度寄与分として評価できるのでしょうか?今回の法改正でも、介護の寄与分が驚くほど低いのですから、相続財産の維持にここまで貢献したとしても、残念な結果が予想されてしまうのです。
 質問です。上記対策は何でしょうか?(私のコラムを愛読されている方には簡単な質問かもしれません。)
 私は、遺言書の作成ではないかと考えております。

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 .  これまでもいくつかのコラムの中でお話ししている通り、当事務所は、営業秘密の持ち出しや情報漏洩・情報流出などの不正競争行為に関して交渉、訴訟や刑事告訴などを行い、多数の成果を挙げています。また、平成31(2019)年1月23日、経済産業省が営業秘密管理指針を改定した際には、当事務所が勝訴した判決が「参考裁判例」として掲載されています。
 このことは、いかに当事務所が、営業秘密の持ち出しや情報漏洩・情報流出、競業行為などの不正競争に関し、豊富な経験があり、得意としているかを表していると言えます。

  当事務所は、依頼者のために手間を惜しみません。

.    従業員や役員(取締役・監査役)の転職などが一般的になっている中、当事務所にご相談いただいている案件数も増えておりますが、裁判所がどのような事案でどのような判断を下しているのかを知り、有利になるように裁判例を使いこなすことこそが良い結論を導き出す要因の一つだと思いますので、近時の裁判例をご紹介します。
 刑事事件になっている事案が少なくないことも理解して頂けると思います。

刑事事件

平成29年3月21日東京高裁判決

懲役2年6月

300万円

顧客情報等が記録されたサーバコンピュータにアクセスし、営業秘密である顧客情報をダウンロードして、パーソナルコンピュータにUSBケーブルで接続した自己所有のスマートフォンの内蔵メモリ又はマイクロSDカードに複製させる方法により、顧客情報合計約2989万件を領得し、一部を名簿業者に開示したことを理由に有罪・実刑判決を下した。

差し止め請求

平成28年4月27日東京地裁判決

電子データの使用差止め

電子データを使用した図面の廃棄

 

データ利用の際には、所定の利用登録を受ける必要があったこと、サーバに蓄積されているデータを個別又は一括してダウンロードし、記録媒体に保存する権限を与えられているのは、技術部門の一部の従業員に限られていたことなどを理由に営業秘密として認めた。また、ほぼ全ての設計データをダウンロードした行為について、退職後に設立する予定であった新会社での設計業務に用いるために行ったものと認め、不正競争防止法に基づく差止めを認めた。

損害請求等

平成28年4月27日知財高裁判決

304万9890円など

ソースコードに関し、開発を担当するプログラマの使用するパソコンにはパスワードの設定がされ、完成したプログラムのソースコードを研究開発部のネットワーク共有フォルダに保管し、パスワード管理した上で,アクセス権者を限定するとともに、従業員に対し、上記管理体制を周知し、不正利用した場合にはフォルダへのアクセスの履歴(ログ)が残るので、どのパソコンからアクセスしたかを特定可能である旨注意喚起するなどしていたこと等を理由として、営業秘密であるソースコードを退職後も廃棄せずに保有して利用した元従業員の行為に関し、不正競争防止法に基づく損害賠償を認めた。

損害賠償請求等

平成28年6月23日大阪地裁判決

  。沓牽庫0466円

434万7000円

など

顧客別の売上情報及び顧客別の平均販売価率情報は、従業員しか閲覧することのできない社内ネットで管理されており、閲覧できる範囲についても従業員の所属部署、地位に応じて定められていて、従業員においてもそのような情報保護の規程があることを認識することができたこと、営業情報保護手順書が定められていたこと等を理由に営業秘密として認め、転職後、原告の顧客を主たる対象として営業活動をしていた行為について不正競争防止法違反を認めた。

刑事事件

平成28年7月19日名古屋地裁判決

懲役1年6月

罰金150万円

営業秘密である顧客情報の持ち出しを禁止する誓約書等があったにもかかわらず、住宅ローン借入申込書を複写するなどした上で、第三者に開示した行為について、有罪とし、実刑判決を下した。

刑事事件

平成30年12月3日最高裁決定

懲役1年

執行猶予3年

サーバーコンピュータに保存された営業秘密であるデータファイルへのアクセス権限を付与されていた従業員が、同社を退職して同業他社へ転職する直前に、同データファイルを私物のハードディスクに複製したことについて不正の利益を得る目的があったと認め、有罪とした。

損害賠償

平成29年1月26日東京地裁判決

420万円

 

不正競争防止法に基づく差し止めは認められなかったものの、プログラム開発に関する情報が営業秘密であるにもかかわらず、事務所外に持ち出したことについて不法行為に基づく損害賠償を認めた。従業員は、自宅で仕事を行うために情報を持ち帰ったと主張したものの、明示的な許可がなかったために退けられた。

損害賠償

平成29年1月26日東京地裁判決

498万2795円

658万2795円

598万2795円

元代表取締役でありながら、事業の継続に不可欠な場所及び物品を失わせたこと等を理由に任務懈怠(取締役責任)を認めた。

また、事業主体や顧客との取引関係が変更されたという書簡を顧客に出した行為について、虚偽の事実に基づき競業会社の営業上の信用を害する行為であるとして、不正競争防止法(15号)に基づく損害賠償が認められた。

損害賠償請求事件

平成29年5月29日京都地裁判決

1587万2000円

原告との間に競業禁止約束を含む退職合意書を作成し、同合意書の規定ないし義務を遵守することを条件として極めて好条件の早期退職割増金の支給を受けたにもかかわらず(十分な代償措置であると認めた)、競業会社に採用されたことを告知しなかった行為が不作為の詐欺であると認めた。

損害賠償

平成29年9月13日知財高裁判決

600万円

 

パチスロ等に係るソフトウェアの開発業務を開発責任者又はプログラマーとして行う立場の者が、担当業務に関する何らの引継ぎもしないまま突然失踪し、以後、業務を全く行わず、何らの連絡もしなかったことについて、債務不履行に基づく損害賠償を認めた。

また、営業秘密を取り扱う立場の者であることを前提に、基本契約期間中及びその終了後12か月程度の期間につき、本件機密保持契約上の義務に加え、被控訴人が控訴人と同種の業務を行うことを禁止する旨の約定をすることは、それが被控訴人の職業選択の自由又は営業の自由を制限するものであることを考慮しても十分合理性のあるものであるとして競業避止条項の有効性を認め、損害賠償請求を認めた。

以 上

 

 

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1 つい先日、大学時代の友人から電話がありました。
 「女房に、今住んでいる土地建物を遺贈しようと思うので相談したいんだけど」という電話でした。私は「いいよ。相続でもめそうなの?」と返答したところ「いや、相続税を軽減させておきたいんだ」という返答でした。友人は、東京都心に立派な家を建てており、悠々自適の生活をしていると思っておりましたので、私は「配偶者居住権の相談だね。でも、そんなに急いでいるの?」と質問したところ、「実は体調がおもわしくないので、早めに遺言書を書こうと思っている」と病状を含めて説明がありました。私は、元気な彼と今年の春、会ったばかりでしたから、子供たちとの折り合いに問題でもあるのかと通常の相続紛争を想像しており、最初は会話が噛み合いませんでした。
 彼の説明にびっくりして、私は「でも来年の4月1日以降の遺言書でないと、配偶者居住権の適用がないんだよ」と返答したところ、彼は「それまで生きている自信がないから電話しているんじゃないか」と怒り出しました。
 この友人の電話でも、今回の法改正に限界があることも分かりますが、しかし、配偶者居住権とそれに付随する相続税の節税に関心のある高齢者の方が多いことは以前から知っておりました。改正案発表直後は配偶者の立場の強化に論点があり、節税策として論じるには税務署の対応も不明で、節税策という論点に飛躍があるように思えたこと、しかも弁護士として節税を言うことに抵抗感がありました。でも私の友人のように、後期高齢者になってみると種々のしがらみに遭遇し、現実的な問題として節税に直面せざるを得ないのでしょうから、必要不可欠な論点とも言えますね。

2 確かに、配偶者居住権を設定した場合、税法上節税になるというのが今日この頃の通説的立場です。
 そもそも配偶者居住権制度は、配偶者に建物の所有権を遺贈するものではありません。配偶者居住権とは、「居住していた建物(以下『居住建物』という)の全部について無償で使用及び収益をする権利」(民法1028条1項)を意味します。単に、建物の使用収益権限が無償で与えられるのみで、所有権ならばあるはずの当該不動産の処分権限はないのです。財産評価においても、取得する不動産の価値がそのまま評価される訳ではありません。配偶者居住権は、使用収益権限しかないということから配偶者の相続財産が低額に抑えられ、その結果として、配偶者に他の相続財産の分配も受けられる可能性を増やすなどして、配偶者の財産上の保全を実現し、老後の安心を得やすくしようとして立法された制度です。
 ところで配偶者居住権や残された当該不動産の財産評価については、法制審議会の部会においても明確な指針は出されていなかったはずであり、今後の解釈及び実務運用に委ねられているというのが真相です。しかし、本コラムでの論点は、配偶者居住権により減額された相続財産が、当該配偶者の死亡などにより終結して配偶者居住権が消滅した際、当該配偶者居住権に相当する相続財産を取得することになった者に対する課税(当該減額分の課税です)がなされるか否かにあります。
 現在の多くの見解は、配偶者死亡による配偶者居住権価格に関して課税されるかどうかに関し、課税されないという結論が支持されていると判断できます。結論として、友人の言うとおり節税が実現できるという結論に至るのですが、税務署の対応は未定ともいえます。
 私は、当時、本コラムにおいて、節税ができる「抜け道」なるものを書こうかどうか随分迷い、“品がない”と思い止めました。
 でも近時、“配偶者居住権制度を利用すれば節税できます”と新聞や出版物で賑やかに発表されるようになりました。しかも当初に述べましたとおり、配偶者居住権の遺贈が、附則10条「施行日前にされた遺贈については、適用しない」という規定(令和2年4月1日施行)の制限があるのですから、友人のためにもコラムを書いておいたほうがよいと考えるようになりました。

3 配偶者居住権については、家庭裁判所の審判によっても認められる場合があります。条文(1029条)を見るのが早いでしょう。
 家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り配偶者が配偶者居住権を取得することができるとしております。その一つとして「共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき」、二つ目として「配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があるとき」をあげております。
 将来、このような判断事例が増えることによって、配偶者居住権は定着するのでしょうが、税法上の扱いは通説の言うとおりだろうと考えております(保証の限りではありません)。
 また配偶者短期居住権の制度も規定されておりますが(1037条以下)、この場合には節税効果はないでしょう。

4 ここまで配偶者居住権の節税効果について書いてきましたが、最後は節税効果の対象となる配偶者居住権の財産評価の方法が論点になるでしょう。これまで還元方式なるものや、簡易な算定方法など種々議論されておりますが、当初は税理士や不動産鑑定士の先生を含めて配偶者居住権の財産評価をせざるを得ないと判断しております。書き出すときりがありませんね。

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 当事務所弁護士である岡本直也のコメントが「東洋経済ONLINE」の「不動産会社vs.テナント、「立ち退き料」の経済学 大規模な再開発の陰で立ち退き訴訟が増加中」という記事に掲載されました。 

https://toyokeizai.net/articles/-/315440?page=3

ご覧頂けると幸いです。
 

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1 本年4月21日発行の判例時報(2397号)を読み始めたところ、掲載されている平成30年7月18日付東京高裁判決(平成30年(ネ)第878号)には驚きました。
 本判決評論を読んで驚いた内容の第一は、今回の民法改正に際し、「危急時遺言」に関しても、法改正として検討されるべき事項があると気づかせてくれたことです。本判決には、そのような指摘としてしか読めない個所もあり、随分、踏み込んだ判決だと感心しました。「危急時遺言」制度は、これまであまり利用されてこなかったものです。新版注釈民法(28巻)にも、昭和の時代で、年間200件を超えない程度と記されているくらいです(146頁)。でも、今後は利用者が激増するでしょうから、今回の民法改正で検討すべき事項でした。
 第二として、「危急時遺言」を利用しようとする場合、本判例が警告する内容をよく吟味し、注意が必要だということです。今後、増大する高齢者の方々が、医療の進歩、或いは“最後の時を自宅では迎えない”という不思議な実態から、病院で最終意思を表明される機会が増えるであろうと予想されます。今回紹介する「危急時遺言」を利用する場合には、十分に注意しないといけません。本判決の認定のとおり、せっかくの遺言が無効になってしまう場合があるという指摘です。
 第三に驚いたことは、本判決は、本件「危急時遺言」を取り扱われた弁護士に対する警告まがいの指摘がなされ、本件遺言が無効であると認定されているのです。本当に、弁護士として十分な心構えが必要だと認識しました。

2 早速、判決を通して事案を見てまいりましょう。
 本件も相続事件の通例として多数の訴訟が、双方より提起されております。多数の訴訟手続きが起きる事例として、その訴訟事件の内容を紹介しておきましょう。
 第一事件は、今回、紹介する遺言無効確認請求事件です。即ち、遺産の受取人でない方が、本件遺言について無効であると主張され、訴訟を提起されました。第二事件は、逆に、遺産の受取人から訴訟提起されたものです。遺言内容を実現するために、不動産の明け渡しを請求されておられます。第三事件は、遺言が有効とみなされた場合に備えて、遺言の無効を主張された方が、予備的に遺留分減殺請求をされております。遺留分減殺請求に関しては、今回の法改正により、物件的請求権でなく、金銭債権のみが発生するものとされております。故に、遺留分減殺請求については参考としてお読みください。
 私の経験からも、相続事件は幾種類もの訴訟が互いに提起され、通常、訴訟合戦になることが避けられません。しかし、本件では遺言の無効を争われた第一事件に絞ってみてまいりましょう。

3 第一事件の遺言は「緊急時遺言」として病院でなされました。
 「緊急時遺言」には、特殊なものとして「伝染病隔離者の遺言」(民法第977条)や、「在船者の遺言」(同第978条)、或は「船舶遭難者の遺言」(同979条)等、特殊なものがあります。しかし、本件は「疾病その他の事由によって死亡の緊急に迫った者が遺言をしようとするとき」(同976条)という場合の「死亡の緊急に迫った者の遺言(緊急時遺言)」として、病院にてなされた遺言です。
 このような事例が増えることについては、本件判例解説者も同様の意見を開陳されており、しかも、本件については、遺言が無効になった珍しい事案として紹介されております。

4 第一事件(本件遺言書が有効か無効か)の紹介に入ります。
 これまで述べてきましたが、遺言者は、証人3人(医師、弁護士、遠い縁者の3人)の立ち合いの上で、病院において緊急時遺言が行われた事案です。そして、民法976条4項の「遺言の日から20日以内に」家庭裁判所の確認を得ているのです。ここでの家庭裁判所の確認審判がどのような意味をもつのかが最大論点となります。本確認審判は、危急時遺言の効力発生要件ではあるものの、既判力がありません。そのように解されております。民法改正の是非にまで発展する理論的な可能性を楽しまれる方は、通常の「自筆証書の検認の制度」(民法1004条)と比較・検討してみてください。私は、新版注釈民法第28巻で楽しみました。
 もちろん、本判決でも「危急時遺言の確認の審判の制度(民法976条4項)は、そのような不正のリスクを排除する機能が不十分な制度であることに留意すべきである」と論述し、警告しております。本判例の評釈者も、遺言確認審判制度は不正排除リスクが不十分な制度であると警鐘を鳴らし「控訴審判決は、危急時遺言無効確認の本案訴訟においては、確認の審判があったことそれ自体を重視することは、適当でないと説示している。」と本判例を評釈しておられます。

5 そろそろ急所です。本件遺言が無効と認定された骨子です。
 本件遺言には、弁護士が関与しております。その証人となった弁護士が聞き取りしておりますが、詳細な判旨を読み取る限り、この聞き取りが不十分であることは明白です。もちろん、意識障害の程度を示すものとして「Japan Coma Scale」の評価が低かったことや、立会した証人になった医師の専門領域が循環器内科の医師で、意思能力の有無の鑑別に関する専門家でないこともポイントになります。しかし、緊急時遺言の指導をした弁護士は、本遺言により遺産を受け取る被告から相談を受けた弁護士であったこと、そして証人になった弁護士との人的な関係まで暴露して、本件遺言を無効と認定しているのです。
 小説のような判決ですね。

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1 不動産放棄に関する電話相談は本当に多いのです。本コラムをご覧になって、全国から電話がきます。
 私の生まれ故郷の近くに居住される方から電話がきたときは、ついつい、こちらから具体的な内容に踏み込んでしまいました。「その畑では、猪や鹿が山から降りてきて、彼らが生活しているような状況ではありませんか?」、私自身が何とかしたいと思い、「近くの畑や山の所有者と、工夫できないかどうか相談していますか?近隣や役所との相談が絶対に必要ですよ」という具合です。
 最近の電話相談は、私のコラムをよく勉強されている方々が多い。例えば、「もはや管理できない不動産があるので、相続放棄したい。でも相続放棄をすると、次に、この不動産を相続する遠い親戚に、どんな迷惑がかかるでしょうか?」、或いは「全く価値のない不動産だけ、相続が始まる前に処分しておきたいのですが?」というようなものが多いですね。このような一般的な質問であるなら、再度、本コラムを書く必要もありません。

2 次の電話相談には衝撃を受けました。
 相談者は、「売却も放棄もできないで困っている不動産があるのですが、100円で買ってくれるという業者に売却してもいいでしょうか?」というのです。びっくりした私は「それはありがたい。でも信じられないのですが、本当ですか」と返答しました。相談者は「ヤフーのページで閲覧できます」と言うのです。電話中でしたが、慌ててヤフーの検索欄に「不動産の放棄」と入れたところ、確かに“100円で買います”という趣旨の表示が見出し欄にありました。私は、詐欺かもしれない、或は外国人の買い付けかもしれないと考え、その欄をクリックしてホームページを読みました。その広告記事と思われる内容からは、コンサルタント料、登記費用、それに物件調査費用として合計80万円程度、支払いが必要なことが分かりました。でもこれで終わりになるのかどうかは分かりません。私は、「経費が値上がりする可能性もあります。話を聞いて十分検討してください。でも、近い将来、国が放棄できる法制度を作る可能性が高いと思うのですが、それまで待てませんか?」というようなアドバイスをしました。相談者には、注意深くやって下さるようお願いし、この相談自体は終わりになりました。

3 ところで、不動産放棄のコラムについて、私の思いを書かせていただきます。私自身は、不動産放棄のコラムは、数年前の連載で終了したものと考えておりました。ところが昨年、当該論点に関係する国の法制度見直しの準備状況について、お付き合いさせていただいている方から、勉強させていただき、国の姿勢に感心しておりました。その後、その内容が大きく新聞報道されました。直ぐに、この内容を本コラムに掲載し、本当にすっきり終わったと思っておりました。数年前は「不動産の放棄」を論じること自体が珍しく、当時は、講演に引っ張り出されたり、各種の報道機関から取材を受けたりして大忙しでした。でも本件論点について、相続放棄やその他、周辺制度と区別して認識していただく機会を作れたと喜んでおりました。つまり、今後、不動産放棄に関係したコラムを書くことはないと考えていたのです。
 しかし、前項記載のような電話相談を受けたことにより、数年前、数回に亘って連載した本コラムから、その後に変化した事実(特に、「相続財産管理人による不動産の放棄と国庫への帰属」は、一歩進んだと言っていいでしょう)は書いておいたほうがよいと思うようになりました。そもそも社会状況も変わっております。九州の面積より広い所有者不明の土地が、更に増大しているというように、やかましく言われる時代になり、私がコラムを書いた当時と全く違ってきました。前項のような「負動産」と言われる不動産の処分について、これに関与する業者等(司法書士や弁護士も含む)も多数出現し、その広告も多数目にする時代になっております。

4 相続放棄に関係して、相続財産管理人の相続人不存在による不動産の放棄が、一昨年、平成29年6月27付理財局国有財産業務課長事務連絡により変化し、国庫で引き取る方針に変わったのです。
 私も相続財産管理人の不動産放棄に際し、四苦八苦した経験があります。本コラムでも、詳細は触れませんでした。民法第959条があるのに引き取ってもらえないなど、弁護士としてあってはならない事象だと考え、影響の大きさにも配慮したからです。
 残り頁が少ないので「相続財産管理人、不在者財産管理人に関する実務」(著者正影秀明氏 288頁)から引用させていただきます。
 「財務省の方針が変わったこと自体は、あまり知られてはいない状態であるのが現実である。国庫が引き取る方針に変わったといっても、実際に引き渡すにはどうすればいいかが、噂のようにいろいろ飛び交っている。例えば、建物は解体しないといけない、境界が確定しないと引き取らないなど様々な噂が飛び交い、現実がどうなのかは、まだまだはっきりしない。」
 そうなのです。私の案件でも私道部分等の境界が判然とせず、当時、本当に困りました。

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