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コラム - 最新エントリー

一.    当事務所が数多くの立退案件を取り扱っていることは、これまで様々なコラムでお話しした通りです。

二.    そして、立退料に相場が無いということもお伝えしている通りです。

 このことは、当事務所において、不動産業者などの賃貸人から依頼された際には立退き料0円で解決していることもありますし、賃借人から依頼された際には立退き料として月額賃料の200ヶ月分で解決したこともあること等からご理解頂けると思います。

三.    不動産業者などの賃貸人の立場に立って解決する場合であっても、賃借人の立場に立って解決する場合であっても、具体的に近時の裁判例がどのように解決しているのかを知ることが最も重要です。

 裁判所がどのような事案でどのような結論を取っているのかを知り、依頼者にとって有利になるように裁判例を使いこなすことこそが、良い結論を導き出す要因の一つだと言えるからです。

そこで、本年も、近時の裁判例をご紹介することに致します。

立退き料

平成28年5月12日東京地裁判決

1億3313万円

 

 

本件ビルは老朽化しており、耐震強度も低いから、補強工事或いは建替えの対象と考えられ、耐震工事に2億円程度の費用と7か月程度の工期を要する。

しかしながら、本件ビルの建替えを等価交換方式で行い、敷地はディベロッパーに売却することを予定していることを考えると、上記の事由のみで正当事由があるとはいえない。

内装費2010万1000円、家賃増額分の補填分4276万8000円、営業補償1557万2496円、借家権価格5290万円とした上で、そのうち約9割を賃貸人が負担して立退き料を支払う必要があると判断した。

立退き料

平成28年3月18日東京地裁判決

3000万円

大地震時に崩壊する可能性が高く、非常に危険であること、補強工事を施しても、一時的な安全が保持されるに留まり、耐震性の問題が解決されないにもかかわらず、2億4000万円以上の費用を要すること等から、営業休止補償、工作物補償などを立退き料とした。

立退き料

平成28年5月23日東京地裁判決

2500万円

本件建物は地震の震動等に対して倒壊する危険性が高いところ、本件建物について耐震補強工事を実施することは経済的合理性を欠くと判断した。

工作物補償1562万円のほか、“移転後の店の売上げが現在の水準に回復するまでの間に発生する減収分に相当する金額”の営業補償を認めるべきであり、その金額は、店の1年間の営業利益の25%をもって相当とする等と判断した。

立退き料

平成28年1月12日東京地裁判決

1000万円

消防法違反行為が債務不履行解除に該当しないと判断した。

本件ビルは、平成25年の時点で建築後48年余りが経過し、鉄筋コンクリート造の建物であることを考慮しても残存する耐用年数はわずかであると認められると判断した。

不動産鑑定士が本件建物の老朽化に伴う立退料について、鑑定評価額を705万円としたこと、賃借人が本件建物以外の場所において本件店舗と同様の営業をする場合、相当額の営業上の損失及び移転費用を要することが見込まれること等の諸般の事情を考慮して、立退き料を1000万円とした。

立退き料

平成27年10月15日東京地裁判決

840万円

立ち退くにあたって必要となる費用のうち、帰責性の割合として7割に相当する部分について、賃貸人が立退料として提供することが必要であると判断した。引越に伴って生じる実費として950万円、移転に伴って生じる人件費として250万円と判断した。

立退き料

平成27年12月16日東京地裁判決

530万円

耐震上の危険性の高い建物であること等から、借家権価格を立退料として補償する必要があるとまではいえないと判断した。移転費用を276万4300円、移転に伴い就業できなくなると見込まれる日数は5日程度と認めるのが相当であるとした上で、就業不可に伴う損失補償33万9000円、収益減補償は36万円等を認めた。

立退き料

平成28年3月15日東京地裁判決

60万円

最も高い月額4万5000円の物件を基準とし、本件部屋の賃料月額3万3000円との差額の月額1万2000円を2年程度補填するものとし、新契約に要する敷金礼金を各1か月程度として積算した上、これに転居費用等を合わせ、立退料を60万円と判断した。

立退き料

平成27年11月4日東京地裁判決

正当事由なし

賃貸人は立退き料600万円を提示していたものの、賃貸人の孫の転居は、賃借人の退去が確定してから計画を具体化するものであり、喫緊の必要性があるとまでは認められないのに対し、賃借人は、3世代5人の家族とともに、現に本件土地を生活の本拠とし、他に不動産を所有していないこと等から、立退きを認めなかった(地代:月1万3988円)。

立退き料

平成28年1月28日東京地裁判決

正当事由なし

賃貸人は、立退き料8億円を提示したものの、耐震性の問題については、補強工事によって対応できること、再入居の提案がなされなかったこと、賃借人にとって、知名度を上げ、会社全体の営業規模を将来にわたって拡大する上で無くてはならない店舗であり、他では代替し難いものであること等を理由として、立退きを認めなかった。

請求棄却

平成27年9月25日東京地裁判決

正当事由なし

 

賃貸人が本件建物を使用する必要性(賃貸人自身が生まれ育った本件建物に戻り、離婚して生活の苦しい親族と同居するという事情)は、一応は認められるものの、それが緊急性を有する程度までに至っているとはいえない反面、賃借人が本件建物を使用する必要性は、賃借人における投下資本の内容(1300万円)や本件建物からの収益(月50万円)、本件建物の代替建物確保の不確実性等の事情に照らしても、強く保護されるべきであること等から、立退きを認めなかった。

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1 月初めから、濱さんの出版物のなかでも、どうしても紹介したいと考えておりました「爆裂通貨」(文春文庫)を読み直しておりました。ところが、なんと、今月10日、青山望シリーズの最終巻と銘打って「最恐組織」と言う本が出版されたのです。次々と出版されるエネルギーとその最新情報には驚きです。
 この本がシリーズの最終巻ですから、青山望以下4名のカルテットが、それぞれ次の人生に、どのように踏み出すのかも描いております。長い間、青山望シリーズを読んできた私には、彼ら主役4名が、次にどのような人生を選択するのかという展開に、大いなる興味をそそられました。読後感として感慨深いものがありました。
 もちろん「最恐組織」でも次々と起こる社会事象に対し、その視点の持ち方を示してくれております。特に、北朝鮮という国の在り方や、中国が関与するサイバーテロに対する見方については大変勉強になりました。驚きは、近時、中国関与のサイバーテロが公然と話題になってきたことです。今日この頃、この事件が毎日のように新聞で報道されるようになったのです。濱さんの最新情報には何時も驚きです。
 これで港湾埋め立て地や造船等に関係する利権を巡る犯罪でも起きれば(これも「最恐組織」のテーマです)、濱さんを「預言師」とお呼びしないといけません。

2 本年4月10日発刊、同シリーズの「爆裂通貨」に入りましょう。
 前回の書評で、日本人でありながら、戸籍のない人が一万人近く存在するという事実について、衝撃的だと申し上げました。
 私は、高校時代から社会の矛盾を追っかける変な癖がありました。半世紀以上前になりますが、「爆裂通貨」で紹介されていると同じような人たちが生活される区域を見に行ったことがあります。私が見た地域は本当にひどかった。同じ頃、河川敷で生活される方々の地域も訪問しております。こちらで生活される建物の壁は、段ボールが中心で、本当に寝起きするだけの空間でした。濱さんも、「爆裂通貨」の第4章で紹介されている地区を、今回、ご覧になったでしょう。当該地域で生活されている方々への配慮が伝わってくる押さえた描写に、濱さんの思いが感じられます。
 現在の状況は「爆裂通貨」で知るしかありませんが、でも、まだそんな地域があること自体が驚きです。

3 本論の無戸籍者に戻りましょう。
 自分のことで恐縮ですが、私は弁護士になると同時に人権擁護委員会に入り、すぐに人権救済部会の部会長となって、無戸籍者の方の事件も経験しました。でも、この殆どの方は、お母さんが、子供の出生届をしないというようなものが中心でした。その中でも、民法第772条の嫡出推定規定に反発され、前夫の子供と認定されたくないからという、意識的な事案もありました。嫡出推定に関する本規定は、再婚禁止規定(民法第733条)との期間が異なるなど、その問題点も指摘され、改正の議論もなされております(今回は触れる余裕がありません)。
 しかし成人になられ、通常の生活をされている方で、無戸籍者であることが中心の論点になる私の関与事件は、「○○の国」の国籍取得が最大の事件でした。この事案を多少述べても許されると思いますが、敢えて詳細は省きます。概略だけですが、人権救済部会の先生方と一緒に、訴えの相手方を日本国として、その方の「○○の国」の国籍を認めよという裁判を起こしました。裁判所も検事の方も本当に協力していただきました。無事、「○○の国」の国籍を認めるという判決をいただいたのですが、「○○の国」の裁判所は、日本の裁判は関係ないとして、これを認めてくれませんでした。○○領事館の方とも相談して行ったことでしたが、○○の日本に対する国際感情を肌で知る事件でした。国際感覚がなかったのですから、濱さんに笑われますね。

4 当時は、日本で生活される外国籍の方の相談や事件は、刑事事件も含めて多数ありました。韓国の方々も戦後の特殊性から、人権救済関係の相談も種々ありました。日本で生活される韓国の方々の、生活保護や年金など、その多くが議論され、結局裁判になった事例もありました。確かに国民の税金で処理される案件ですから、その是非を論じるべき過渡期は当然にあるものだと判断されます。
 私は、弁護士になって数年で、日弁連の人権擁護委員会の委員になっております。東京弁護士会の先生から数年でなるなんて生意気だと非難をされたこともあります。でもこのような活動を通じて、先ず相談をできる場の拡充が必要だと思うようになりました。あらゆる法律問題を相談できる場を設け、そこで吸い上げる必要があるという将来像を言うようになって、人権擁護委員会からの派遣と言う形で、第一東京弁護士会法律相談運営委員会委員になりました。その数年後には委員長になり、東京三弁護士会法律相談協議会の議長にもなりました。このような私事を述べさせていただくのは、人権擁護委員会も法律相談運営委員会も、その在り方が少しずつ変わってきたという現状と、その存続の厳しさを述べたかったのです。つまり、人権救済部会の案件は、刑務所等の拘禁施設における人権侵害事件が中心になり、昔のように種々の事件は少なくなりました。法律相談運営委員会も、無料相談やネット相談の増大で、相談センターの運営費も出ない状況のなかで揺れ動いております。昔のように、皆様の役に立っていると自慢できるのか少々不安です。しかし、これも時間の流れの中では仕方のないことなのでしょうね。次の展開を考えねばならない時期に来ているということだと思います。
 濱さんから勉強して、次を予測しましょう。

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1 先日、女房が「濱さんがテレビに出ているよ」と教えてくれました。駆けつけて見たテレビでは、濱さんが話題の中心になっていました。濱さんは、テレビ出演した最初の頃、テレビ局で準備された仕出し弁当には手を付けなかったという話です。濱さんは、公安刑事時代から、出された食事には手を付けないという信条の話しをしておられました。そういえば、濱さんをお呼びして、私の事務所の皆さんと食事した時にも、同じ話で盛り上がったものです。
 濱さんとの付き合いは、濱さんが警視庁を辞められて、危機管理の会社を立ち上げられた当時からのお付き合いです。このコラムでも何回も登場していただきました。1年ちょっと前のコラムでも、私が、200万部出版記念会の最初の挨拶をした話を書いております。そんな仲なのに、濱さん出版の本に対する書評がないことに突然気づきました。
 濱さんの小説は独特で、読ませていただく都度、随分勉強させていただいております。濱さんの本の紹介をしていないなんて、許されるはずがありません。

2 ところで、ネットや出版物では、濱さんの作家デビューは2007年「警視庁情報官」とされています。でも私は、2006年8月16日発刊の講談社出版「警視庁少年課事件ファイル」が最初の出版物だと考えております。だって、最初の処女作を書かれた時、私の事務所にある少年事件関係の資料や参考書を大分お貸ししました。この処女作出版記念会の司会は私が仰せつかっております。参加者には警察関係の方が多く、多分公安関係の方も多数参加されていたのか、雰囲気がちょっと違って大変面白い経験をさせていただきました。
 著者名は駒田史朗になっているため、デビュー作品とされていないのでしょうが、実に勿体ないと思います。
 この本では、少年事件の洗いざらいが書いてあります。少年事件の実情が手に取るように分かります。また、当時のネットの発達状況に、ついていけない刑事さんが登場したりして、今読み返しますと、思わず笑ってしまうのです。著者名等の関係で、訳がおありなのかもしれませんが、敢えて紹介させていただきました。

3 濱さんの出版物紹介に際して、最初にお話ししたい内容は、先ず、びっくりするような最新情報が書かれているということです。
ここ1年間でも、毎回勉強させていただいております。
先ず、紹介する1年間の出版物をあげておきましょう。
〆鯒2017年12月発刊、警視庁公安部青山望シリーズの「一網打尽」(文春文庫の出版)
この作品は、随分利用させていただきました。
本書では、地面師の詐欺事件について紹介し、このような手口を「背乗り(はいのり)」と言うそうです。拉致事件でも使われた手法らしく、北朝鮮スパイが良く使う手法と紹介されています。
∨槐4月10日発刊、同シリーズの「爆裂通貨」(文春文庫の出版)
北朝鮮のサイバーテロ、仮想通貨が題材ですが、衝撃は日本人でありながら、戸籍のない人が一万人近く存在するという事実です。弁護士として衝撃的でした。私は韓国の方の類似の事件を扱ったことがありましたので、本当に新鮮でした。
K槐7月19日発刊、院内刑事シリーズの「ブラック・メディスン」(講談社α文庫の出版)
この作品は、病院での危機管理が中心です。目新しいトピック作品で、「弁護士の活動領域も広がるのではないか」と新鮮な印象を受けました。

4 では「一網打尽」です。
 今年年頭、ある一部上場企業の新年会に呼ばれ、1000名程度が集まっている会場で新年会の祝辞を述べる役を仰せつかりました。私は、今後のビジネスで注意するべきことの一つとして、「成りすまし」事件について、この小説に書かれている内容を紹介しました。この時、「一網打尽」を掲げて実際に紹介しております。
 ところが驚きました。その直後、「成りすまし」による不動産詐欺事件が爆発したのです。そうです。積水ハウスが、東京五反田にある老舗旅館「海喜館」の土地売買に際して、おかみさんの「成りすまし」による詐欺にあったのです。その損害が63億円というのですから驚きです。近時、毎日のように主犯格逮捕というように報道されております。真相解明は、まだ先ですね。
 そもそも「一網打尽」が書かれた時期には、全くそのような話題はありませんでした。しかし、私は、「判例時報」という判例情報誌を愛読しております。同誌にて(「一網打尽」が出される直前です)、弁護士が「成りすまし」を見抜けず多額の損害を出したことに関する東京地方裁判所の判決が掲載されました。弁護士は、本人確認義務を怠ったとして損害賠償請求をされ、「1億6044万4218円を支払え」との判決が出されたのです。私はこの判決にショックを受けました。弁護士に損害賠償が認められるのは初めての事例で、これまでは司法書士等の先生方の判例ばかりでした。それらを読んで、「やっぱり弁護士でないとね」と当然のように思っていたことが裏切られたのです。

5 弁護士が、本人確認義務を懈怠した東京地方裁判所の判例について紹介したかったのですが、ページが無くなりました。でも当該弁護士の仕事ぶりには、同業者として腹立たしいものがあります。裁判所も、誠実に事件に向きあっているなら、本件の成りすましも見破れたと認定したのでしょう。

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  1.     毎日、AI(人工知能)に関する報道が絶えません。自動運転などを目指す次世代の車に関し、トヨタ自動車とソフトバンクが新会社を創設し、豊田社長と孫さんの握手する写真が新聞の一面を飾ったのは、つい5日前(30105日)のことでした。
     AI(人工知能)の将来については、話がどんどん広がっております。更に、加速度がついてきていると思いませんか。
    今回、紹介する上記の3出版物(朝日新聞GLOVEは新聞です。)は、AI(人工知能)の進展に伴い、近い将来でも食べられない職業が増え始め、更にその先は、AI(人工知能)が人間の仕事を肩代わりすることによって、人間不要の社会になってしまうというような、近時の話題となるものの総括的な紹介の意味も含んでいるとお考えください。

  2.  最初に紹介する「ホモ・デウス」は、副題にある通り、AI(人工知能)によるテクノロジーと人類の将来を正面から論じる本です。2年程前、本書を出版した著者の前作品「サピエンス全史 上・下」を、本コラムにて書評として書きましたところ、驚くほど多くの人が読んでくださいました(閲覧履歴で分かるのです。これもAIの初歩的な段階ですね)。その続き物である「ホモ・デウス」のコラムも書かねばならないという義務感のようなものを持っておりました。
      でも、現在の人類の築いた人間社会が喪失してしまうという最終段階まで発展する本書は、衝撃的ですが、愉快ではありません。著者は、人間至上主義がデータ至上主義に移行する結果、そのような結論になると述べております。AI(人工知能)の進展によって、人間が不要のものになるということですからね。しかも生き残ることができるのは、一部の大金持ちだけのようです。医療の大躍進により、保険がきかない医療によって、永続する生命を獲得する人類が出るというのです。現在の保険制度では受診できない治療があることに疑問のお持ちの方は、納得されるのでしょうか?もちろん、人類の複雑な脳の構造やデータ至上主義におけるAI(人工知能)の検証も十分になされている訳ではありません。AI(人工知能)を含めた科学と医療の進歩も将来のことですから、このような極端な結論は急ぎすぎのようにも思います。
      また、仕事をなくした人類についても、ベーシックインカム論の立場から異なる結論を引き出す可能性も残ります。最近、政治家でも主張する方が出てきましたが、ベーシックインカムとは、「政府が、全ての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する」というものです。私がお付き合いさせていただいている富豪の方が、ベーシックインカムしかないでしょうねと話されたのには驚きました。だって、その方の税金は、爆発的に増えるからです(最近読んだ本ですが、「AI時代の新・ベーシックインカム論」(井上智洋著)が分かり易いです)。
      本書にはこのような具体的な話はでてきません。知識なく読むと、嫌になるだけですから、それが本書を強く推薦しない理由です。
     
  3.   5年程前、「10年後に食える仕事、食えない仕事」(渡邉正祐著)を読んだ頃はそれ程感じなかったのですが、弁護士業界がAI(人工知能)に影響されるという事実は、当事務所でも既定の路線です。フォレンジックによる証拠検証についても、先々週、当事務所の田中先生とそれを話題にしました。でも近時の報道は、それどころではないですね。
      弁護士業は無くなるそうです。「あと20年でなくなる50の仕事」(水野燥著)という本によると、弁護士業もその一つに入るそうです。この種類の本は現在どんどん出てきております(読みたくありません)。

      過熱する報道の一つに、農業分野におけるAI(人工知能)の話もあります(英語のアグリカルチャーにかけて「アグリテック」と言われています)。知的労働がAI(人工知能)にとって代わられてしまうというのは分かります。農業も労働人口に著しい影響がでると聞かされると「そうだろうね」と一応納得しておりました。しかし、古来から連綿と続いてきた農業ですら、AIによるロボットによって人力が省力化されてしまうというのは信じられません。弁護士の将来など議論不要です。

  4.  朝日新聞GLOVEの「テクノロジーの世紀」は、これまで述べてきたことの総纏めとして、或いはデータ至上主義に至る前段階、即ち現在の社会状況(「民主主義」や「自由か格差か」)との関係についても論じてあります。次の8つのテーマが1頁毎に記載されているので、今までの議論の状況を急いで知るには最適と言えるでしょう。

    項目をあげておきます。

      フエイスブックは民主主義を壊すのか

      新時代のフリーランスがもたらすのは自由か格差か

      人はロボットを愛せるか

      中国はデータで世界を征するのか

      GAFA」の支配は続くのか

      不老不死は実現するか

      人工知能は人類を滅ぼすのか

      まとめ インタビュー「人間がデータ化される時代に」
     
      何と、もう頁がありません。詳細は何時か書くこともあるでしょう。 
     
  5.  最後の「オリジン」と言う本の紹介が十分にできません。
      でもこの本は、小説として楽しんでいただければ十分です。前項の「人はロボットを愛せるか」の裏返しとして「ロボットは人を愛せるか」をテーマとして、お読みください。斬新ですよ。

 

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一.  前回のコラムにおいて、会社がパワハラ問題にどのように対処すれば良いかという話を書きましたが、今回のコラムにおいてはセクハラ問題を書こうと思います。
いうまでもなく、セクハラ問題も、パワハラ問題に並んで大きく報道されている問題の一つです。
近年も、ハリウッドにおいて「#Me Too」運動が起こったという報道を始めとして、日本においても定期的に大きく報道されています。
セクハラ問題については、パワハラ問題に比べれば長い歴史がありますが、先進的なハリウッドにおいてもこのような問題が起きているわけですから、日本においてもいくらでも起きる可能性があります。
セクハラ問題についても、会社には職場環境に配慮する義務がありますので、会社自身が損害賠償義務を負う可能性がありますし、「炎上」リスクも大きいです。
会社としては、セクハラ問題を軽く考えることなく、しっかりと適切な対処をしていかないと足元をすくわれることになりかねません。
 
二.  では、セクハラとは何でしょうか。
これほど大きく報道されている割に正確に理解している人は極めて少ないように感じます。
セクハラについては、「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」と定義されることが多いようです。
ここで重要なことは、勤務時間外の宴会であっても職場の延長に当たるものであれば「職場」に当たりますし、女性から男性に対する行為や同性間における行為もセクハラに当たり得ます。
最近ではLINEなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で、手軽に(?)セクハラをしてしまう人も増えています。
 
三.  セクハラの中には、マタハラ(妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメント)も含まれます。
マタハラとは、主に「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」等の就業環境が害されることです。最近では、上司の男性から「俺は彼女が妊娠したら俺の稼ぎだけで食わせる」と言われた事件において、裁判所でマタハラであることが認定されたと報道された事件もありました(平成30年9月12日付け朝日新聞朝刊)。
平成29年1月1日に施行された法律及び「雇用管理上講ずべき措置についての指針」によれば、会社には、〜蠱漫紛貍陲魎泙燹砲鳳じ、適切に対応するために必要な体制の整備、▲魯薀好瓮鵐箸砲かる事後の迅速かつ適切な対応、ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置を取る必要があることとされていますので、注意が必要です。
もっとも、何でもかんでもマタハラに該当するというわけではありません。
業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものについては、マタハラには該当しません。
例えば、業務状況を考えて、上司が「次の妊婦健診はこの日は避けてほしいが調整できるか」と確認することはマタハラには該当しません。
マタハラで違法と言われるのは問題ですが、過剰に反応しすぎて会社の運営に支障をきたすことも良くありませんので、どういう場合にマタハラになるのかをしっかり確認し、マタハラにならないように会社としての方針を確立することが重要です。
 
四.  会社がセクハラやマタハラに対処しなかった場合のリスクが非常に高まっている以上、顧問弁護士と一緒にしっかりと対処法を確認していく必要があります。
また、会社にはセクハラやマタハラを防止するために策を講じる義務がありますから、弁護士にハラスメント研修の講師をしてもらい、従業員に正確な認識を持ってもらうということも重要です。
残念なことに既にセクハラの被害申告や苦情を受けてしまった場合には、当該行為が本当にセクハラなのかをしっかり調査した上で、適切な対応を行う必要があります。
セクハラを軽く考えてしまうと、会社が損害賠償義務を負うだけでなく、「炎上」してしまい、とんでもない目に遭ってしまいます。
 
五.  当事務所は、顧問会社の実態に合わせ、顧問会社に出向いてハラスメント研修の講師を行ったり、セクハラの被害申告を受けた場合にも本当にセクハラなのかをしっかり調査確認した上で様々な対応を行なったりしております。
会社においては、パワハラだけではなく、セクハラに関するリスクも非常に高まっていることを理解して頂き、一度当事務所に御相談頂けると幸いです。
                         以 上
 
 

 

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一.       今年ほどパワハラに関する報道が多い年もないのではないでしょうか。史上初のオリンピック4連覇を果たした伊調馨選手に対するパワハラにはじまり、ボクシング協会や体操協会においてもパワハラの問題が大きく報道されています。企業にとっても無視できるような社会情勢ではなく、パワハラを行っていたという報道がなされた企業が「炎上」してしまうこともしばしばです。
 「炎上」してしまえば、会社としての信用力を大きく失墜させ、良い人材が集まらなくなり、企業としての競争力も低下させてしまいます。
 法的にも、会社には職場環境に配慮する義務があり、損害賠償義務を負う可能性がありますが、それ以上にパワハラを甘く見ていると大変な目に遭う時代になってしまいました。

二.       ところで、そもそもパワハラとは何でしょうか。
 これほど大きく報道されている割に正確に理解している人は極めて少ないように感じます。
 平成24年1月に厚生労働省のワーキンググループは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為である」と定義しました。
 ここで重要なことは、キャリアや技能に差があり、実質的な影響力があれば、同僚の間や、部下から上司に対してであっても、パワハラが成立し得るということです。また、「職場」といっても、打ち合わせをする飲食店や宴会においてもパワハラが成立します。

三.       他方で、業務上必要な指導の場合、相当性を欠かない範囲であれば、相手がどのように感じたとしてもパワハラには当たらないということも非常に重要です。会社がパワハラ問題に対応しようとするときに、一番難しい問題がこの点です。
 仮に業務上必要な指導までパワハラであると言ってしまった場合、上司は何も指導ができないことになってしまいます。一生懸命指導してもパワハラだといわれるのであれば、リスクを避けるために指導をしたくない、なるべく見て見ないふりをするという上司が出てくるのは当然のことです。これではまともな人材は育たず、まともな会社になりません。
 要するに、会社とすれば、単に「パワハラはいけません」と言うだけではなく、具体的にどのような問題がパワハラとして問題になるのかを適切に把握し、どのような指導をするべきかをしっかりと認識していかなければならないわけです。

四.       厚生労働省は、パワハラを以下の6つの類型に分けています。

        身体的な攻撃(暴行・傷害)

        精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)

        人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

        過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

        個の侵害(私的なことに過度に立入ること)

        過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

の6つです。
 何となく問題がありそうな内容が並んでいますが、通常、これだけ聞いても具体的にどのような場合にパワハラになり、具体的にどのように指導していけば良いのかはわかりません。

五.       会社がパワハラに対処しなかった場合のリスクが非常に高まっている以上、具体的にどのような場合にパワハラになるのか、どのような指導をしていけばよいのか、ということは顧問弁護士にしっかりと確認していく必要があります。
 また、会社にはパワハラを防止するために策を講じる義務がありますから、弁護士にハラスメント研修の講師をしてもらい、管理職に正確な認識を持ってもらうということも重要です。
 残念なことに既にパワハラの被害申告を受けてしまった場合には、当該行為が本当にパワハラなのかをしっかり調査した上で、適切な対応を行う必要があります。
 冒頭でも述べましたが、パワハラを甘く見ると、会社が損害賠償義務を負うだけでなく、信用力も失墜し、とんでもない目に遭ってしまいます。

六.       当事務所は、顧問会社の実態に合わせ、顧問会社に出向いてハラスメント研修の講師を行ったり、パワハラの被害申告を受けた場合にも本当にパワハラなのかをしっかり調査確認した上で様々な対応を行なったりしております。
 会社においてパワハラに関するリスクが非常に高まっていることを理解して頂き、一度当事務所に御相談頂けると幸いです。

以 上

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1 今回の書評は、この本の面白さを宣伝するためのものではありません。著者の「あとがき」最後の2行に新鮮な驚きを感じた事を伝えたかったのです。徳田虎雄とは、徳洲会を率いて、医療の世界に巨大な変革をなしとげた人物ですが、この本は、その人物を巡る波乱の人生を描いたノンフィクションです。では著者による最後の2行を紹介しましょう。
 「徳田氏と、氏に伴走して旧態依然たる医療をあらため、無人の荒野に病院の砦を築いてきた人たちにとって、徳洲会とは・・・、かなり長めの「青春」そのものだった。」
 前回のコラムで、オウム事件を巡る朝日新聞の対応に疑問を呈しましたが、この本は、法律に抵触することなど厭わず、社会的な運動に身をかけた人たちについて「かなり長めの青春そのものだった」と言える著者の姿勢に驚いたからです。オウム事件との区別も、その線引きも必要ではないかと感じます。

2 先ず、この本を通じて知った徳田虎雄さんを紹介しましょう(まだご存命なので徳田さんと言います)。
 徳田さんは、選挙では公職選挙法違反になることなど全く意に介さず、周囲を巻き込んで、違法な「どぶ板選挙」に邁進し、マネー戦争でも、多分税法や特別背任罪などの法的考慮も一切されなかったのでしょう、徳洲会のため必要な金を獲得することだけを目的にして、あらゆる手段を行使されたのですね。
 でも金で買う一票は(一票などと言うレベルではないが・・)、民主主義の根幹に反します。私は許せません。また金儲けだけを考えて行われるマネーゲームも、読むに値するものでしょうか。
 そもそも私は弁護士ですから、法に抵触する方々ともお付き合いをすることが前提です。また弁護士と言う以前に、自分の若かりし頃を思い出し、どこまでの違法が「青春」と言う美名?の上で許容されるのか、常々考え続けてきました。
 つまり、どこまでの確信犯が、小説として読むに耐え、共感に値する範囲と言えるのでしょうか。

3 昔、私は、カンボジアの共産主義革命に絶望しました。でも常に関心を持っておりました。当時、カンボジアを描いた面白い本はなかったのですが、昨年夏、発刊された「ゲームの王国」上・下(著者小川哲 早川書房)というSF小説は、当時のカンボジアを題材としているため、直ぐに購入して読みました。
 やはり衝撃的でした。この本も紹介したくなります。でも下巻は、脳波でコントロールするゲームの開発と言うように、近未来のSF小説になってしまうのです(私は上巻だけで充分です)。故に、カンボジアの歴史としてその要約を紹介します。
 カンボジアの指導者となったポルポトは、毛沢東に憧れていることもあったのでしょうか、原始共産主義を目指したクメールルージュを組織しました。彼は、階級や格差のない原始共産時代の状態に戻すというスローガンの下に、邪魔になる富裕層や知識人を対象として100万人以上を殺害したとされています。共産主義であっても私有財産制度は廃止されないのですが、農本政治を行う限り、全ての私有財産が消滅してしまうのだということも、この本で十分に理解できます。マルクスの言う経済学はやはり理想論であって、特に農業を主産業とする発展途上国では学問的な理念など通用しないのですね。
 しかし、何を理想にしようと、革命のためだと言って、人を殺害することなど許される訳がありません。オウムも、坂本弁護士一家虐殺は、オウムの唱える理想国家創造のためだというでしょう。こんな単純で明らかな事実・犯罪を「オウム事件の闇」などと呼ばないでほしいのです。オウム事件が「みんなの責任」だとする朝日新聞の論調がおかしいと思う私の認識もこれに尽きます。如何なる説明をしようとも、人を殺めることが理想実現の手段として許される訳がありません。「みんなの責任」などである訳がない。
 朝日新聞の論調は、逆にオウム関係者を甘やかすことになりませんか?と言うのが私の結論なのです。

4 「神になりたかった男」は、聞取り風のルポルタージュになっておりますが、読み飽きません。そもそも医療は、私たちの生命に直結しています。徳田さんは「命は平等」を唱え、先ず休日・夜間の救急患者の受け入れから始めます。そして医療空白地域に病院の進出を図ります。当初は、病院建設費用等の金策、そして進出地域を管轄する旧態依然たる医師会との闘い、その後は、医療行政の是正など、拍手喝采を送りたくなります。病院通いが絶えない私自身の関心事なのですから、「命は平等」なるスローガンには泣けますね。
 この本を読んで、医療に対して違った側面から見られるようになったと思います。近時の新聞報道でも、不足する医師・看護師の実態、医療機関の休廃止・破綻の増加、或いは医薬分業制度や医療保険制度等枚挙にいとまがない程です。
 結論ですが、徳田さんやその周りにいる人たちにとって、徳田さんの戦いは、やはり「かなり長めの青春」なのでしょう。
 公職選挙法違反位で目くじらはたてられないか?
 皆さん、読んでご判断ください。

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1 オウム真理教に関係することを本コラムでご紹介しようとするなら、幾らでもご披露することができます。でもあまりにも生々しくて書きたい題材ではありませんでした。しかし、今回の死刑判決に関係して報道された記事を見ておりますと、猛烈に違和感があります。その最初は、7月6日付朝日新聞を読んでいて、その結論に何が言いたいの?と不満を感じました。その後に続く他の報道機関の対応も似たようなものが多数ありました。
 朝日新聞の署名入り記事の結論は、「集団の暴走を、なぜ私たちは許してしまっていたのか」というように私たちの責任論にしております。確かに私たちは坂本堤弁護士を救えませんでした。でも私たちの責任論にするなら、もっと人間のありように迫るべきです。

2 朝日新聞は、自分達が報道と言う社会的な意義を感じられる業務に埋没していることの自覚が全くありません。恵まれた職業に胡坐をかいていませんかと言いたいのです。そもそも社会のためにありたいという人間の根源的な願望は、人間社会がある限り無くなることなどない自明のことです。オウム真理教事件は、そのような根源的な人間の願望に根差している一面があることに無自覚すぎると私は感じます。
 我々の社会は、これからも常に不平等や不満が渦巻くはずです。そのような社会にあって、みんなのためにと、燃える若者は常に出てくるでしょう。そして皆が幸せになるためなら、その手段を選んでいる余裕はないという若者(否、年配者でもいい)が永遠に出続けるでしょう。その要望を満たすための種々の方法、或いはその手段論を検討するような視点を述べないで「みんなの責任」と言いぱっなしにするのは中途半端ではないでしょうか。
 結局は、民主主義の在り方や、社会のゆがみをどのように糺すのかという方法論にまでさかのぼるでしょう。報道が「みんなの責任」というのなら、先ず報道自身が、今現在有している「心地よい使命」を自らに問い直しして、自らを検証してほしいのです。
 オウム真理教事件を「みんなの責任」で締めくくるのなら、このような視点も示さない限り、今後も発生し続けるであろう似たような事件を終わりにすることなどできないと私は考えております。

3 いづれにしても、私は坂本堤弁護士とお付き合いしてきました。奥さんも一緒に東京クルーズの船でお話ししたことが昨日のように思い出されます。坂本堤弁護士一家虐殺が「みんなの責任」などと言われると本当に腹がたちます。無責任で中途半端な論調は許せません。
 坂本弁護士とは司法研修所の同期で、同じ班で勉強した仲間です。彼は、同期の中でも、社会の役に立ちたいという意欲が分かる珍しい修習生であり、修習後の進路も定まっておりました。そのことを隠そうともしませんでしたが、しかし、人付き合いもよく、バランスの取れた男で、班の人気者でした。
 弁護士になって3年目の冬の夜、飲みにいく道すがら、オウム真理教と信者やその家族との争いで、自分の身に危険が及ぶかもしれないと私に語り掛けてきました。びっくりした私は、心配になって色々聞こうとしましたが、彼は、深入りした話しを避けようとしていることが明白になりました。私も自重して、質問を止めましたが、それが彼と交わした最後の会話になりました。実は、私は、学生時代、社会のためには多少悪いことをしても許されるという思想にかぶれていましたから、どうしてしつこく聞かなかったのかと、当時、自分を責めたものです。

4 彼と彼の家族が行方不明になってから、私たち班の仲間は、彼の行方について何度か話し合いをしました。
 オウム真理教の何らかの行為によることは全員異論がなかったと思います。一人の友人が、彼は、上九一色村の監禁部屋で洗脳されている最中ではないかとの意見を述べたこともありました。私は、機会をとらえて日弁連の偉い先生に次のようなお願いをしました。つまり、弁護士を組織して、上九一色村に大挙して押しかけましょう、坂本弁護士に会わせろと抗議行動をしましょうと迫ったこともあります。でも私は、彼が社会的な意義に燃えてオウム真理教を攻撃しているのですから、自分たちの正義を信じるオウムが監禁して転向させようというような迂遠な方法はとらないとも思っていました。そのせいもあってか、弁護士による上九一色村への集団抗議の提案は立ち消えになりました。
 それよりも検察庁の偉い方に陳情に行こうという、元検察官であった同じ班の仲間の提案にのりました。私は、真実を明らかにするためにも、オウム真理教に対する強制捜査をするしか方法はないと思っておりました。彼と二人で、決定権を有しておられる検察官に会いに行きました。皇居を見下ろす本当に広々とした執務室で、同僚と一緒に上九一色村の強制捜査をお願いしました。でも坂本弁護士が所属する横浜の法律事務所が話題になり、しかも証拠があまりにも不足しているとのことで立ち消えになりました。
 あまりにも残念です。

5 実際に書いた私の原稿に対し、皆様から注意がありました。当コラムが炎上するなどの上品でない話は避けたほうが良いとの提案です。
 残念ですが訂正版を掲載いたします。

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1 これまで本コラムでも、“不動産が放棄できない”ことについて何度も書いてきました。ところで、近時の新聞報道では、今回、“不動産を放棄できるようにするための法整備”が、やっと、なされるところまできたと頻繁に報道されるようになりました。
 実は、昨年、親しくさせていただいている国交省の高官の方から、「役所でも、来年には(本年になります)、“不動産を放棄できるようにするための法整備”の準備を進めております」との内々のお知らせをいただいておりました。この高官の方とは、3年以上前の「不動産は放棄できない」ことを纏めた学術雑誌の掲載を縁に、本当に親しくお付き合いさせていただいております。当時、お会いした際には、これ以外の所用があったことから、お気持ちを頂いたのみで、それ以上の意見の交換までなしえませんでした。
 ところが週刊誌(経済関係)の元編集長で、現在有名新聞にて編集に携わっておられる方からお電話をいただき、事務所でお会いしたところ、“不動産を放棄できるようにするための法整備”について真剣に悩んでおられることが判明しました。
 この論点は本当に難しいのです。正解などないでしょう。
 新聞社という報道機関において、法立法の相当性や妥当性を論じられることは本当に難しい業務になります。編集者が私有財産制度の根源にまで遡り、真剣に悩んでおられるその姿勢に、長くお付き合いしてきた私は、本当に感じ入ってしまいました。でも同席させていただいた若い先生にはあまり面白くなかったと思います。私が、若い先生に「つまらなかったんだろ?」と聞いたところ「はい」という回答でした。不動産の放棄に通暁する私の事務所に所属していても面倒な論点なのです。
 そこで、国交省及び編集者の方の悩みを少しでも知っていただくために、このコラムを急いで書かねばならないと決意しました。

2 本年6月2日、日本経済新聞において、政府が“所有者不明土地の把握や抑制の仕組みづくりを急ぐ”として報じております。そして最も難解な問題は“土地所有権の放棄やみなし制度の導入”であるとして、やさしいものから順に、表入りで報じております。
 法整備の準備に関し、その全体像を知っていただくため、「実現のしやすさ」に関する項目を表に従って挙げておきましょう。先ず一番やさしいものは、‥亠官に変則型登記の所有者を特定する調査権限の付与、次に実現しやすいものは、国土調査法改正で地籍整備を加速すること、次にE效牢靄榾,硫正、ち蠡嚇亠の義務化、ゥ泪ぅ淵鵐弌爾覆匹播亠簿と戸籍の情報を連携させ、所有者情報を把握することとしております。最後に、“土地所有権の放棄やみなし制度の導入”になるのです。
 どうして最も難しいのですか?
 この疑問に答える前に、私は弁護士ですから、日本弁護士連合会の会報に不満を感じている点を申し上げておきましょう。前項で当事務所の若い先生を題材にしてしまったことも、同じ傾向を感じているからなのであり、決して傷つける意図などありません。
 日本弁護士連合会発行の本年5月1日付会報には「所有者不明土地問題に関するワーキンググループの設立経緯等」なる特集を組んで報じております。しかし、相続放棄或いは相続人不存在の論点が壁になっており、正面から「不動産の放棄」について論じるものではありません。相続財産管理人が国庫に帰属させる手続きの困難さ等、既に私のコラムでも書いておりますが、相続財産管理人や破産管財業務等に通じている者なら自明の話しです。現在、これらの論点に関係して法整備がなされようとしているのですから、一歩前進ではなく、最も難しい論点にも挑み、これからなされる法政策について論じてほしいのです。まさしく法政策に関与する意思を示すべきではないでしょうか?
 国交省の方や、取材に走り回っておられる編集者の方の悩みに通じる議論を、是非して頂きたいと思ってしまうのです。

3 “土地所有権の放棄やみなし制度の導入”の何が難しいのでしょうか。本コラムは、“論じる場”にしたくありません。そこで、編集者の方の疑問を私なりに、勝手に解釈して書いてみましょう。「不動産の放棄が自由に認められることはないでしょう。いらない土地をどんどん国に帰属させることができるとすると、やはり国庫が破綻する。そもそも個人の私有財産制度が他人に迷惑をかけるものであってはなりません。でも漏れ聞くところによると、不動産の放棄には一定の対価が必要との結論になりそうです。賦課金でも名称はどうでもいいのですが、そのような制度になれば、国の要求する対価より安い金額で、外国人に譲渡することになってしまう、そしてそのようなビジネスが新たに出てくるとまで考えてしまうのですが・・」(多分、編集者の方は、国家の存亡に関わると思っておられるのでは・・)。

4 最後に不動産の放棄に関する珍しい私の経験を話してみましょう。
 数年前のことですが、私は、ある財界の方に、不動産の放棄に関する個人責任に関し、常々持ち続けていた疑問を口にしました。その財界人は次のように話されました。「それなら、私は、所有者責任を果たすために、ホームレスの方に無償で譲渡しましょう。所有権移転に関する費用等は、所有者である私がすべて負担します。無償で取得されることになるホームレスの方は、縄文時代と同じく竪穴住居を作って生活されればいい」と言われてしまったのです。確かに費用は、今回放棄に付加される賦課金より安く、竪穴住居ですから、土地の掘り返しも、草屋根も人力で可能で、重機も不要です。発想に驚きました。
 落ちが笑い話みたいで失礼します。

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