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コラム - 202105のエントリ

  1.   前回のコラムで、次回は「食の自給率」から「農業に関する思い」を書きたいと述べて終わりました。「食の自給率」というテーマについては、本年初め1月号、日本弁護士連合会が発行する出版物「自由と正義」の巻頭にある「ひと筆」に刺激を受けました。私は「農業に関する思い」が強いのですが、「食の自給率」に関する議論は、農業の在り方に行き着く前提のようになっております。
     「ひと筆」を紹介しなくても、我が国の「食の自給率」が、カロリーベースで
    38%であるという事実は、皆さま、とっくにご存知ですね。報道でも氾濫しています。
     食料を輸出している農業生産国が、理由は何であれ、日本への輸出をストップしますと、日本の食料が不足するのは当然です。日本では、我々が食する食料の
    3分の1強しか生産していないのですから・・。私達は、飢えてしまうのです。「ひと筆」を書かれた先生は、日本の農業や食の安全を守る運動をされていて、「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」の埼玉県の会長をされているそうです。江戸時代の食料自給率100%から始まり、その低下する現在に至るまでの状況と原因をも分析されています。これまでの近代化路線は、農業に対する配慮を疎かにしてきましたからね・・・。
  2.  次の論点に移る前に、最近吃驚した報道を紹介しましょう。中国の食糧自給率に関する報道です。「どういうこと?」と驚かれる方が、多分、相当数いらっしゃると判断されます。報道内容ですが、中国の食糧自給率、つまりカロリーベースでの食糧自給率は(中国政府の発表に反し)、76%程度ではないかというのです。
     これまで中国政府は、情報を正確に公表しないことから、推測で計算するしかないそうなのですが、周国家主席は「食べ残し断固阻止」なる指示を出し、食料不足の防止に必死のようだというのです。
     巨大な国土を抱える中国が食糧不足というと嘘のようです。しかし、上記の記事によると「農業の担い手の減少や農地の土壌の劣化」が進んだことが原因だろうとされています。農地の劣化については、中国政府も認めているようです。農地に限ると、19%が、カドミウム、水銀、ヒ素などで汚染されているそうです。農業生産量を自慢にする農業地域でも、化学肥料の使い過ぎで、傷んだ農地が広がっていると、写真まで付けて報道されているのです。
     上記の記事には驚き以外ありません。現在の日本の中国に対する食糧依存度は、相当なものがあります。そうであるのに、中国の農業が、私が小さかった頃の私の故郷の農業に近い話をされるとは驚きです。私の故郷は農業で成り立っている地域ですが、私も祖父と一緒に畑を耕し、祖父が誇らしげに大きなスイカを抱える姿を思い出します。しかし
    当時は有機農業の言葉もありませんでした。肥料として人糞を使用するのは当たり前で、その後に化学肥料となります。中国の現実は、私が体験してきた一昔前のことだと想像してしまうからです。
  3.  ところで、私は、裁判所より破産管財人に選任されることが多く、破産者が所有される農地の売買にも携わってきました。
     大変ですよ。農地の売却には、農業委員会の許可が必要なことは皆さまご存知でしょうが、農業委員会だけでなく地方自治体の関与も予想され、時間もかかるのです。そのために、背景にある農地法の立法趣旨をご理解いただくことが必要でしょうね。
     我が国は、農地の保護政策が徹底しております。農地法第1条を読むだけで我が国の基本方針が直ちに理解できるほどの詳細な規定です。たった1条でも長いのですが、皆さま、こんな機会がなければ、お知りになることはないでしょう。以下、引用してみましょう。
     「第1条(目的) この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。」 ・・・凄い条文でしょう。
  4.  有機農業という言葉は、皆さまご存知のはずですね。でも有機農業の経験ツアーは、どうでしょうか?観光と同じように、農業体験を旅行とセットにして売り出す農園も増えております。私がサラリーマンだった頃、今ほど有機農業という言葉も流行しておらず、農業体験ツアーも売り出されておりませんでした。しかし、当時、農業を職業にするというだけでなく、有機農業に結び付け、将来の日本の食糧事情について語る若者も出始めておりました。その発想に驚いたものです。有機農業とは、化学肥料や農薬を使用しない方法による農業と言っていいでしょう。遺伝子組換え技術も利用しません。有機農産物として消費者に販売するためにはJAS法という法律に基づき、その認定を受ける必要があります。JAS法による規格を満たしますと、農産物に有機JASマークを付けることができるのです。前回のGIマークと同じような制度なのです。農産物は、海外からの輸入に頼らず、やはり日本で収穫するべきです。
     そうでないと食品として安全かどうかなどと考え、不安になってしまいませんか?

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