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内容証明は弁護士の能力を示す

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顧問弁護士の選び方
1 内容証明は弁護士の専売特許のようなものです。

  事件を受任しますと、通常、先ず相手方に対し、今回の紛争を受任した旨、内容証明郵便で 知らせます。まだ先行きが見えぬ段階であっても、相手方に当方の依頼者の意向或いは本件紛 争の根本を示す必要のある場合が多いのです。当然、相手方の反発も考慮せねばなりません。
  近時、内容証明を本人以外の関係者や勤務先に出したり、或いは侮辱的な言辞を記載したり して、懲戒処分される弁護士もいますが、本コラムはそんな馬鹿らしい警告をするつもりなど ありません。
  つまり、最初に出すことになる内容証明は、私が何時も言っております弁護士としての必須 能力「先読み」が試されていることを知ってほしいのです。「先読み」が内容証明の中身を決 めるのです。
  当事務所は10年以上、毎年、司法修習生をお預かりしてまいりました。将来の法曹人を育て る事務所となっておりますが、内容証明の意義について深い理解をもっておられる方は少ない のです。当然、若い弁護士の先生方にも、その自覚を持ってもらいたいということもありま  す。2、3日程度で起案しなければならない内容証明が、職業人としての弁護士にとって、如 何に難しい仕事かを知っていただくことが、弁護士として成長する一番の早道なのです。この コラムは弁護士の先生も読んでおられますが、しかし、私の意識は、一般読者にあります。
  一般読者の方々は、内容証明によって、弁護士の優劣を判断することが可能であるとお知ら せいたします。皆様のご意向が反映されない内容証明は最低なのです。そもそも事前打ち合わ せは十分でしたか?

2 誰もが知る内容証明郵便ですが、法律上の根拠から述べましょう。

  今回の郵政民営化によって郵便法等がどのように変わったのかについて触れてみましょう。 それまで公務員であった郵便局員は、通常の民間会社の社員になってしまったのです。
  郵政民営化によって、郵便局には郵便認証司が設けられました。郵便認証司は「認証事務に 関し必要な知識及び能力を有する者のうちから、総務大臣が任命する」者で(郵便法59条)、 認証事務を行います。認証とは「総務省令で定めるところにより、当該取扱いをする郵便物の 内容である文書の内容を証明するために必要な手続きが適正に行われたことを確認し、当該郵 便物の内容である文書に当該郵便が差し出された年月日を記載することをいう」(郵便法58  条)とされております。例えば、民法では、債権譲渡の通知・承諾は「確定日付のある証書」 でしなければならないと規定していますが(467条2項)、民法施行法第5条1項6号で、上記証 書に当たるものとして内容証明郵便を規定しております。ここまでは「先読み」とあまり関係 ないですね。

3 内容証明の使い方は多種多様です。

  昭和55年から始まり、30巻も発行され続けてきた「弁護始末記」(弁護実務研究会 大蔵省 印刷局発行)を紹介しましょう。昭和の終わり頃の若き弁護士の先生方に熱読されたシリーズ ものです。
  紹介するものは、第1巻の冒頭において掲載されました。主題は「内容証明郵便の利用」で す。紛争或いは事件の「とっかかり」として、30巻に及ぶ膨大な事例紹介の第一歩として適切 な題材だったのです。
  内容の項目を見ていただければ、内容証明の使われ方、つまり、その注意点が理解できる仕 掛けです。
 ?内容証明郵便は、最も親しみやすい法律手段の一つ
 ?内容証明郵便は、法律上意味のある手紙である
 ?内容証明郵便は、宣戦布告の手紙である
 ?内容証明郵便は、威儀を正した催告である
 ?内容証明郵便は、諸刃の剣である
 ?内容証明郵便は、ときには観測用の気球であることもある
 ?内容証明郵便に対する回答は可能な限り避けるべきである
 ?内容証明郵便は、必ず、配達証明付にすべきである
 著者がいう「内容証明のチェックポイント」も上げておきましょう。
 ?この文書は何を目的として書いたのか
 ?相手方を不当に傷つける不穏当な記載はないか
 ?この文書は撤回し難い最後通告だと何度も考えてみたか
 ?相手方に誘発されて書かされた文書ではないのか
 ?この文書が相手方の有力証拠になることはないか
 ?この文書の内容が所定の法律要件を備えているか(契約解除の場合など催告期間をおいたか  どうか等)
 ?この文書の効果がなかったとき次に打つべき手段を考えているか

4 私が弁護始末記を引用させていただきましたのは、事件解決屋としての弁護士にとって「先 読み」の能力が問われているという指摘が不足しているということに尽きます。もちろん弁護 始末記の指摘でも、先読みが必要であることは分かりますが、意識した取り組みが必要という ことなのです。例えば、相談当初、難しければ時系列表を作り、証拠表、要件整理表を作成  し、理解困難なところは他の弁護士や専門家に相談する姿勢を崩してはなりません。当然法律 書や判決等の先例分析も必須です。これらの準備をして、十分な先読みがなされねば満足な内 容証明は作成できないのです。依頼者が和解を希望される場合も多いですが、和解ができるか どうかの先読みに失敗して裁判になった場合、内容証明の内容について、裁判官がどう考える かも大切な先読みです。その際の提案金額が下敷きになるということですよ。
 弁護士でない皆様、内容証明が出される前に、相手方の対応にも配慮し、種々の視点から検証して弁護士の能力を試してください。

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