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納骨堂での“寛ぎ”

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所感

 

1.     今回の題名には本当に悩みました。納骨堂で“寛ぐ”など不謹慎だと言われても、それはそれで当然のことでしょう。最近、頻繁に不幸に接し、何度か納骨堂や火葬場に行くうち、そのロビーから見える広々とした近隣の景色に何故かホッとする気持ちを感じたのです。多少ではありますが、寛ぎの気持ちを感じた状況に自分でも不思議に思いました。

これらの施設では多少時間がかかることは当然ですから、その間、ロビーに座って、外に広がる周囲の景色を見ているしかありません。周りを取り囲んだ山や、その下の人家や田地や川を見ているうちに、落ち込んだ気持ちから、多少寛ぎの気持ちが湧いてくることに気づきました。本当に周囲の眺めがよく、その自然の中に人の生きている気配が漂ってくるのです。

2.     早速、納骨堂や火葬場に関する法律の調査を始め、「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)を読みました。規定は、たった26条しかないのですが、丁寧な規定の仕方に感心しました。

第一条「目的」の項は次のように規定されています。
「この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。」
第二条では「火葬」、「改葬」、「墳墓」、「墓地」、「納骨堂」、「火葬場」等の定義があり、国民の宗教感情等に配慮しながら、施設の設置には都道府県知事の許可を軸にしております。

3.     次に、納骨堂の経営の許可に関する最高裁判決(令和5年行ヒ150号 令和5年5月9日付第三小法廷判決)を見てみましょう。納骨堂や火葬場の多くが、市街地から多少離れて建築され、建物の周囲が開けた場所に設けられている理由が分かります。

事案の要旨は次のようなものです。
大阪市は「墓地、埋葬法等に関する法律」を受けて「大阪市墓地、埋葬等に関する法律施行細則」を定めております。その内容によりますと、市長は、上記墓埋法10条の規定による納骨堂の施設の変更等の許可申請があった場合、当該申請の墓地等の所在地が、学校、病院及び人家の敷地から概ね300メートル以内の場所にある時は、当該許可を行わないものと規定しています。しかしながら、但書きで、市長が、当該墓地等の付近での生活環境を著しく損なう恐れがないと認めるときは、この限りではないと規定しているのです。
上記解釈を前提にして、本件納骨堂から100メートル以内に居住する住民から、本件の大阪市長の許可の取り消しを求める訴訟提起がなされた事案です。
上記最高裁判決は、周辺住民の原告適格は認めましたが、大阪市長の許可については是認した判決となりました。
取り消しを求める原告適格が争われた事案でしたが、納骨堂や火葬場等の場所決定について大変勉強になりました。良いタイミングで最高裁の判決に遭遇したことになります。
でも現場に行って周辺環境を勉強もしないで判例を紹介することには忸怩たる思いがあります。問題となっている納骨堂で「寛ぎの気持ち」が味わえるかどうか、実地調査をしたくなりました。

4.     これまで、納骨堂や墓地等の存在が原因で、紛争になるなど考えたこともありませんでした。寧ろ、寛ぎの場所として争いごとから回避されるものとして考えていたように思います。

ところが、本コラムにおいて何度も紹介してきました濱嘉之氏の小説「プライド 警官の宿命」、第二巻となる「プライド2 捜査手法」を読みますと、宗教施設である霊園用の土地が紛争の対象として問題となった事件も紹介されております。
その事例として、反社会的勢力が、東京と神奈川を間にする霊園用の土地を買い占め、様々な宗教施設や霊園を作っていることから発生した事件の紹介もありました。これに宗教に関係する組織がからむのですから、大事件に発展することは私でも理解できます。
この二つの小説は、警察の捜査手法や組織を詳細に紹介するものですが、小説というより事実の紹介という内容です(そうでなければゴメンナサイ)。
警視庁の組織構成や、捜査の仕方が事実に即して詳細に述べられております。特に、「プライド 2」の警視庁の組織の詳細な紹介には関心がない人には読み切ることが難しいほどの内容です。私は濱さんのファンですから、面白く読みました。警視庁の内部の様子や事件捜査の内容を知って驚いております(国や警察、特に警視庁と揉めないのか?などという感想は不要でしょうね)。 
納骨堂で感じた気持ちが、このように随分違った内容になったことに自分でも驚いております。

 

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