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書評 その6「天空の魔手」(著者 濱嘉之)

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書評

1.   「国政上、最近、気になることを挙げてください」と言われると、よく考えることの一つとして、「中国の台湾政策に関し、何らかの動きが出てくるのではないか」ということがあります。
 地図を見てもらえれば、直ぐに分かることですが、日本の西の端は、沖縄の与那国島です。その直ぐ傍に台湾があるのですが、その近いことには驚かされます。
 台湾に何かあれば、その余波が、与那国島に影響しない訳がない近さなのです。つまり、中国が台湾に侵攻し、台湾の抵抗が始まるなら、日本の領海域に中国の軍船が侵入することは必然的と言っていいでしょう。アメリカを巻き込めば、米軍は日本を基地にしているのですから、この紛争に巻き込まれるのは必然です。
 広島サミットも閉幕となりましたが、当然、中国は参加しておりませんし、中国の腹を探るような議論も行われていないようです。ウクライナの支援については、ゼレンスキー大統領の広島入りで、「強い協力体制」が論じられましたが、台湾についても何か議論が欲しかったと、つい思ってしまったのです。
 中国が、台湾を中国の一部であると考えるのは、台湾が成立した経緯からしても必然的ではないかと思います。

2.   今回、読了した「天空の魔手」は、台湾に限らず、世界の情勢について種々教えてくれます。発売されたのが今月(5月)の10日ですから、2週間程しかたっていませんが、でも世界の情勢を見ておりますと、早目に読後感を書くべきであろう思いました。
 著者濱さんの考え方に多くの異論が出るのは当然だと思います(あまりにも刺激的で、寧ろ苦情等が出ないかと心配しております)。私自身、議論を交わしたくなる場面も多いのですが、自分の考え方の整理や知らない知識を導入するについては大変面白い本だと思いました。問題点や気に入らない部分を提起して議論を挑むより、小説と割り切って読めば最高だと思いました。
 それに、何時もの濱さんの本の進行形式である会話形式による体裁から、具体的な場面の展開が多くなっており、小説としても、退屈しない内容に仕上がっています。
 濱さんの問題提起は、軍隊と称されるようなものでない警察段階で、しかも「ドローンという戦争兵器とは言えないものを使って、相手の武力を攻撃し、日本を守る」という具体的な問題提起です。小説の形をとりながら、反論のできない提案・政策提起になっていると考えると、凄い内容だと思わざるをえません。

3.   本の始まりは、ドローンを飛ばす競技会から始まります。
ドローンの運転技術を競う大会ですが、将来、その技術が軍事的に使用される展開に発展していくのですから驚きです。軍事的と書きましたが、軍事力ではなく警察段階で処理することにより、憲法の「戦争の放棄規定」を回避しようという発想も凄い。
 日本国憲法第9条を挙げておきます。
[戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認]

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力の威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 以前の濱さんの本には、今回のテーマに似た内容のものがありましたが、それほど真剣に受け止めていませんでした。そもそも、ここまで憲法や国民の意識に注意を払われているとは知りませんでした。
 確かに、警察が出るだけなら、単なる治安活動であって、戦争状態とは言えません。警察を、戦力とは確かに言わないでしょうね。
濱さんの奇想天外な着想に基づくものですが、やっと濱さんの意図に近づくことができて驚いております。

4.   「天空の魔手」では、このドローンを使って、どのように攻撃するのかという場面も登場します。当然、ウクライナを舞台とする仮想のものとなりますが、新型テルミット弾を装着したドローンの活躍に驚きました。
 でも、この本を書くために濱さんはソ連のサンクトペテルブルクに滞在してソ連内部の情報収集をされたのでしょうね。なぜなら、サンクトペテルブルクの地下鉄の状況や町の描写が詳細で、相当な滞在期間がなければ得られない情報で満載だからです。思わずサンクトペテルブルクを世界地図で確認してしまいました。
 最近、新作が1年単位になっていて、濱さんの体調等心配したことが悔しいくらいです。
 

5.   最後になりましたが「天空の魔手」という本は、本当に面白い。是非、読んでください。

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