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「探偵業の業務の適正化に関する法律」

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所感

1.   「探偵業の業務の適正化に関する法律」の内容を読んで、今まで不思議に思っていたことがスッキリしました。この法律は平成18年に施行されていますが、これまで内容を読んでいなかったのです。
 実は、私は、小説をよく読んでおります。探偵に関する小説も大量に読んできました。しかも弁護士を辞めざるを得なくなって、探偵稼業に転身したという小説もありました。二つの稼業が絡み合う場面は面白いですね。
 ところで、弁護士は、逆に探偵業に関係するような行動をすることもあると、当コラムでも書いてきました。でも、弁護士業務ができなくなるということは、弁護士会内部での懲戒処分や刑法上の刑罰を科されることがあったためです。弁護士業務ができなくなったため、止む無く転身したというのが常識的な判断です。つまり、弁護士業には社会的な評価がありますから、その社会的な地位を放棄して、探偵稼業に簡単に転身する理由がないからです。
 小説の進行具合に不思議に思ったこともありましたが、今回、探偵業には「探偵業の業務の適正化に関する法律」で拘束されていると勉強して色々と分かってきました。本当に厳しい法律です。でも、小説は小説として楽しめばいいのです。

2.   早速、「探偵業の業務の適正化に関する法律」の内容を見てまいりましょう。
「探偵業務」の定義があるのでびっくりしました。
2条で「探偵業務」とは、「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう」とされています。
 探偵業務が、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行うことであるとする直接的な定義に驚きました。離婚事件で裁判の行われた直後、本人や探偵等の尾行に注意して弁護士業務を行ってきたことも当コラムでも書きましたが、正しい行動だったのですね。尾行がはっきりしている事件では、裁判官にお願いして、依頼者とともに裁判官通路(法廷の裏側にあります)を使わせていただいたのは賢明な判断だったのです。
 小説では、探偵業務というものには才能が必要であるとしていますが、少しがっかりしました。資料の収集等弁護士の秘密業務と比較し、単純に肉体的な調査であることに少し興ざめしたのです。
 でも欠格事由という第三条を読んで、探偵業の厳しさに驚きました。
 破産者や罰金刑を受けた者など欠格事由に該当し、非常に厳格に規定しています。暴力団の欠格事由もあり、驚きました
 書面による契約方式、名簿の備え付け、届け出書面の掲示等珍しい規定が一杯あります。取締機関が公安委員会であるのも驚きました。本規定の罰則も厳しいですね。

3.   小説では、届け出をしない探偵業者の話も頻繁に登場します。或る小説では、届け出しない探偵業者との争いを面白く展開する話もありました。実は、私は、届け出しない臨時の探偵業者や、臨時雇いの探偵業者の話もよく聞いておりました。
 随分前になりますが、優秀な会社員であった社員が会社を退職して探偵になる(なった?)という話を聞いたことがあります。彼の友人に会う都度、探偵業の届け出をしたのかと聞いておりましたが、届け出をしていなかったのでしょうね。
 今回、法律を勉強して、このような法律違反の探偵を探偵などと言ってはいけないことが分かりました。
 小説ではこのような探偵が出てくる背景を深堀りしたものもありました。或いは、探偵になるための学校を作った探偵業者の話もありました。

4.   離婚事件や相続事件では、探偵業者に依頼せざるを得ない事件も受任します。浮気の事実や別居後の住所(子供の所在)を知りたいと判断されることも多々あるのです。或いは、過去の暴力事件が、現在の紛争に有利に使える可能性のある事件も存在します。どちらにしましても、当事者に抜き差しならぬ紛争が現存し、当事者同士が現実に会うと危険な状況になるという事件はかなりあります。
 離婚事件であるなら、読者の皆様も探偵を付けて浮気の現場を押さえようとしているなと想像されるでしょうが、相続事件でも、刑事事件でも調査が必要な事件は多々あります。
 近隣紛争ですが、私の現地調査に関係して、後追い調査をされたこともありました。事務所を出るところから後を付けられ、会う人の調査をされたため、後日、依頼者から苦情を言われたこともありました。
 でも後を付けられても、気付く人は少ないでしょうね。今回、小説を読んでおりまして、追尾する人の前に出る追跡調査方法や、複数の者による追跡調査方法も勉強しました。住んでいる家に面した借り家で、ベランダに定点カメラを設置して何日も調査する方式の小説も読みましたが、本当に調査方法にはきりがないですね。

5.   以上のような事件のために、自分自身が注意深くなるだけでなく、事務所の戸締りや、面会申し込みに対して、事務所の全員が意識して注意するようにしたこともあります。
 今後とも、以上を肝に銘じて邁進します。

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