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相続放棄による不動産放棄

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不動産の放棄
1 不動産放棄に関する電話相談は本当に多いのです。本コラムをご覧になって、全国から電話がきます。
 私の生まれ故郷の近くに居住される方から電話がきたときは、ついつい、こちらから具体的な内容に踏み込んでしまいました。「その畑では、猪や鹿が山から降りてきて、彼らが生活しているような状況ではありませんか?」、私自身が何とかしたいと思い、「近くの畑や山の所有者と、工夫できないかどうか相談していますか?近隣や役所との相談が絶対に必要ですよ」という具合です。
 最近の電話相談は、私のコラムをよく勉強されている方々が多い。例えば、「もはや管理できない不動産があるので、相続放棄したい。でも相続放棄をすると、次に、この不動産を相続する遠い親戚に、どんな迷惑がかかるでしょうか?」、或いは「全く価値のない不動産だけ、相続が始まる前に処分しておきたいのですが?」というようなものが多いですね。このような一般的な質問であるなら、再度、本コラムを書く必要もありません。

2 次の電話相談には衝撃を受けました。
 相談者は、「売却も放棄もできないで困っている不動産があるのですが、100円で買ってくれるという業者に売却してもいいでしょうか?」というのです。びっくりした私は「それはありがたい。でも信じられないのですが、本当ですか」と返答しました。相談者は「ヤフーのページで閲覧できます」と言うのです。電話中でしたが、慌ててヤフーの検索欄に「不動産の放棄」と入れたところ、確かに“100円で買います”という趣旨の表示が見出し欄にありました。私は、詐欺かもしれない、或は外国人の買い付けかもしれないと考え、その欄をクリックしてホームページを読みました。その広告記事と思われる内容からは、コンサルタント料、登記費用、それに物件調査費用として合計80万円程度、支払いが必要なことが分かりました。でもこれで終わりになるのかどうかは分かりません。私は、「経費が値上がりする可能性もあります。話を聞いて十分検討してください。でも、近い将来、国が放棄できる法制度を作る可能性が高いと思うのですが、それまで待てませんか?」というようなアドバイスをしました。相談者には、注意深くやって下さるようお願いし、この相談自体は終わりになりました。

3 ところで、不動産放棄のコラムについて、私の思いを書かせていただきます。私自身は、不動産放棄のコラムは、数年前の連載で終了したものと考えておりました。ところが昨年、当該論点に関係する国の法制度見直しの準備状況について、お付き合いさせていただいている方から、勉強させていただき、国の姿勢に感心しておりました。その後、その内容が大きく新聞報道されました。直ぐに、この内容を本コラムに掲載し、本当にすっきり終わったと思っておりました。数年前は「不動産の放棄」を論じること自体が珍しく、当時は、講演に引っ張り出されたり、各種の報道機関から取材を受けたりして大忙しでした。でも本件論点について、相続放棄やその他、周辺制度と区別して認識していただく機会を作れたと喜んでおりました。つまり、今後、不動産放棄に関係したコラムを書くことはないと考えていたのです。
 しかし、前項記載のような電話相談を受けたことにより、数年前、数回に亘って連載した本コラムから、その後に変化した事実(特に、「相続財産管理人による不動産の放棄と国庫への帰属」は、一歩進んだと言っていいでしょう)は書いておいたほうがよいと思うようになりました。そもそも社会状況も変わっております。九州の面積より広い所有者不明の土地が、更に増大しているというように、やかましく言われる時代になり、私がコラムを書いた当時と全く違ってきました。前項のような「負動産」と言われる不動産の処分について、これに関与する業者等(司法書士や弁護士も含む)も多数出現し、その広告も多数目にする時代になっております。

4 相続放棄に関係して、相続財産管理人の相続人不存在による不動産の放棄が、一昨年、平成29年6月27付理財局国有財産業務課長事務連絡により変化し、国庫で引き取る方針に変わったのです。
 私も相続財産管理人の不動産放棄に際し、四苦八苦した経験があります。本コラムでも、詳細は触れませんでした。民法第959条があるのに引き取ってもらえないなど、弁護士としてあってはならない事象だと考え、影響の大きさにも配慮したからです。
 残り頁が少ないので「相続財産管理人、不在者財産管理人に関する実務」(著者正影秀明氏 288頁)から引用させていただきます。
 「財務省の方針が変わったこと自体は、あまり知られてはいない状態であるのが現実である。国庫が引き取る方針に変わったといっても、実際に引き渡すにはどうすればいいかが、噂のようにいろいろ飛び交っている。例えば、建物は解体しないといけない、境界が確定しないと引き取らないなど様々な噂が飛び交い、現実がどうなのかは、まだまだはっきりしない。」
 そうなのです。私の案件でも私道部分等の境界が判然とせず、当時、本当に困りました。

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