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「災害において弁護士の出来ること」 ―東日本大震災10年を迎えて

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法律相談
  1.  東日本大震災は、2011311日、午後2時46分に発生しました。当時、私は、事務所で準備書面を作成しておりましたが、何度も起きる余震と、その揺れの激しさに、たまらず事務所全員で新宿御苑に避難しました。既に、かなりの人が避難してきておりました。余震が続き、新宿御苑を囲むビル群が大きく揺れました。相互のビルが接触するのではないかと恐怖したことを昨日のように記憶しております。
     丁度、本年の213日、深夜になろうという午後11時過ぎ、大きな揺れが起こりました。この地震が、東日本大震災の余震と聞いて、10年も経っているのにと驚きました。
    丁度
    10年前の大震災直後、被害者の方々に向けた法律相談の実施に際して、被災地や避難場所を視察したことがあります。その被害の甚大さには本当に驚きました。津波からの避難場所になった小高い丘から津波の惨状に唖然としました。かなり高いこの山に必死で駆け登った経験をお聞きしながら、津波のため家屋が押し流され、むしろ広々とした大空間を見下ろした経験を思い出します。破壊しつくされた小学校は、校舎の外壁だけが残り、津波の威力をまざまざと見せつけるようでした。
  2.  1995年の阪神淡路大震災の当時、私は、所属する第一東京弁護士会法律相談運営委員会の中心的なメンバーとして種々の工夫に参加しておりました。
    そのような流れの中で、東京の弁護士であっても、神戸の皆様に弁護士として何かできることがあるのではないかと思うようになりました。
    阪神淡路大震災の被害の大きさに驚き、また日々の深刻な報道によって、現地を直接見る必要を感じ、神戸の弁護士会に直接訪問する気持ちが強くなりました。2週間程して、一人で大阪に宿をとり、何とか神戸に辿り着きました。しかし、神戸弁護士会の入る建物の廊下には、多数の避難者が寝ておられ、弁護士会に辿り着けません。やっと辿り着いても、弁護士会に先生方がおられず、打ち合わせは困難であると思い知りました。被災地を見て回り、高速道路の崩壊と、燃え尽くされた住宅街地域に、特に、ショックを受けました。第二次大戦の東京空爆も、このような状態であったろうと思ったものです。
  3.  当時、東京の三つの弁護士会が集まって、新しい弁護士会館に入館しました。私は、第一東京弁護士会の法律相談運営委員会委員長になりましたが、その思いの一つとして、阪神淡路大震災の教訓を生かすよう全力を尽くしました。東京には、三つの弁護士会があるのですが、互いが反目するところがあり、一緒に法律相談を行うことにも種々のしがらみを突破する必要がありました。具体的なしがらみの話は、差し障りがありますので止めておきましょう。でも東京三弁護士会の法律相談が一緒に活動できるようになったのは、私が委員長の時であります。
    当時、東京都も新宿区も、阪神淡路大震災を教訓にし、将来の災害に備えて種々の対策を考えておられました。同時に、弁護士であっても協力できることがあるのではないかと思うようになり、
    「災害復興まちづくり支援機構」を立ち上げたのもこの頃です。私も二代目の代表委員を勤めております。
    行政の中心的な役割を担われる東京都や新宿区とも何度も打ち合わせをし、その一環として復興に不可欠の多くの資格保有団体(例えば、建築士、測量士、税理士、司法書士等の先生方11業種)に声掛けをし、東京都庁の大会議室でも何回も打ち合わせをしました。
    このような経緯で見せていただいた地下大放水路は、皆様ご覧になれば本当に驚かれますよ。
  4.  「災害復興まちづくり支援機構」の先生方と行動を共にし、感激したことがあります。それは、20041023日におきた新潟中越大地震の際です。多くの家屋が壊れましたが、危険かどうかは弁護士の私には分かりません。同行していただいた建築士の先生が、行政と一体になって行動され、壊れそうだという建築物には「危険だから入らないように」という紙を張っておられるのを見て感心しました。そういえば、当時研修に来ていた司法修習生もバスに乗って同行していました。新潟に向かう電車は、まだ動いておりませんでした。彼からは、「貴重な体験でした」と言ってもらえ、お連れして良かったのでしょうが、余震を考えると疑問です。現在、反省しております。
  5.  東日本大震災当時の話に戻しましょう。
     一刻も早く法律相談を実施し、被災者の法律的な悩みをお聞きし、相談に乗らなければなりません。そのためには、被災者の多くが避難をされ、法律相談ができる場所を確保しなければなりません。驚いたことに、海岸から遠く離れた内陸の郡山市の中学校だったと思いますが、学校の体育館が法律相談会場に決まりました。新幹線の運行開始初日に合わせて行われた法律相談会でした。
    若い先生が「法律相談を実施します」というプラカードをもって避難場所を歩かれたところ100人近くの人が一緒に着いてこられたことには大変感動しました。しかし、何と法律相談中に余震が発生し、体育館の天井からバラバラ破片が落ちてきたのです。私たちは机の下に逃げ込みながら、余震後に再度法律相談を続けました。この当時の法律相談は、家が流され書類も無くなっておりましたから、預金通帳の紛失などという想像しやすい相談ではなく、契約書や申込書等がないので、何処に問い合わせをしたらよいかも分からないという相談が多くて驚きました。遺言書の紛失という相談までありました。

 

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