1. HOME
  2. コラム
  3. 労働事件
  4. 働き方改革法への対応が急務です(人事労務コンサルティングその2)

新宿の顧問弁護士なら弁護士法人岡本(岡本政明法律事務所)

当事務所では、上場企業(東証プライム)からベンチャー企業まで広範囲、かつ、様々な業種の顧問業務をメインとしつつ、様々な事件に対応しております。

アーカイブ一覧はこちら

働き方改革法への対応が急務です(人事労務コンサルティングその2)

カテゴリ : 
労働事件

 

一.   2019(平成31)年4月より、働き方改革法が施行され始めます。
 今まで労務問題が生じていなかった会社や法人においても、今までの働き方を大きく変える必要があり、働き方改革法に対応できなかった会社は、ブラック企業であると叩かれ、訴訟を起こされるという世の中がすぐそばに来ています。
 大企業だけではなく、中小企業も含め、働き方改革法に対応することが急務になっておりますので、本コラムにおいては、まず、働き方改革法の概要をお知らせいたします。

二.   まず、今回の改正によって、法律上、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、「臨時的な特別の事情」がなければこれを超えることができなくなります。
 「臨時的な特別の事情」がある場合でも、時間外労働は年720時間以内にしないといけませんし、月45時間を超えられるのは年6カ月が限度です。
 これに違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあります。また、時間外労働と休日労働の合計は、常に月100時間未満、2〜6カ月平均80時間以内にしなければなりません。
 2019(平成31)年3月31日までに36協定を定めれば、1年間はこのような規制が適用されませんので、今のうちに対応しておくと良いと思います。

三.   今回の改正によって、年次有給休暇(有給)が年10日以上付与される労働者については、有給を年5日取得させることが使用者の義務となります。
 使用者は、労働者ごとに、意見を聴取した上で、有給を付与した日から1年以内に、取得時季を指定して5日間の有給を取得させなければなりません。
 また、使用者は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。そのため、多くの会社において、就業規則の改定が不可欠と言って良いと思います。

四.   今回の改正によって、フレックスタイム制も使いやすくなりました。
 フレックスタイム制を導入すると、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働しても、ただちに時間外労働とはなりません。清算期間(上限3か月)における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総数を超えた時間数だけが残業代の対象となります。
 もっとも、清算期間全体の労働時間が、週平均40時間を超えるか、または、1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超えると、残業代を支払う必要が生じてしまいます。フレックスタイム制を導入するためには就業規則の規定と労使協定の締結が必要ですので、注意が必要です。

五.   今回の改正によって、正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されることになります。
 また、非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由について、事業主に対して説明を求めることができるようになります。
 例えば、厚生労働省が公表している「同一労働同一賃金ガイドライン」においては、労働者の貢献に応じて支給する賞与について、貢献に応じた部分につき、パートタイム労働者等であっても同一の支給をしなければならないとされています(実際に、平成31(2019)年2月15日、大阪高裁が、アルバイトに対して賞与を支払わないのは違法であるという判決を下したという新聞報道がありました)。
 また、平成31(2019)年2月20日、東京高裁は、正社員との間に待遇格差があるとして、長期間勤務した契約社員に退職金の支給を全く認めないのは不合理であるとして、契約社員に退職金の支給を認める判決を出したという新聞報道がありました。
 多くの会社において、「正社員に支払っている手当や賞与」と「非正規社員に支払っている手当や賞与」には差があることが一般的ですので、会社としては、直ちに対応する必要性が大きいポイントの一つです。

六.   今回の改正により、裁量労働制の適用者や管理監督者についても、会社が労働時間の把握をしなければならなくなりました。
 また、マスメディアを賑わせた高度プロフェッショナル制度も導入されます。年収1075万円以上の高度労働者(具体的には、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、 アナリストの業務、コンサルタントの業務、研究開発業)が希望した場合には、残業代の支払いとは異なる規制がなされることになります。
 もっとも、高度プロフェッショナル制度を導入するためには労使委員会で定める必要などがありますので、注意が必要です。

七.   以上のように、働き方改革法によって大きく考え方が変わりますので、ほぼ全ての会社において対応が必要になると思われます。
 厚生労働省は、中小企業においても働き方改革法を着実に実施することが必要であると述べておりますので、働き方改革法に対応できない場合、ブラック企業と叩かれ、魅力ある人材を採用できなくなるばかりか、訴訟になったり罰則が適用されたりする可能性もあります。
 そのようなことにならないよう、当事務所は、会社の実情に合わせ、働き方改革法に対応するための人事労務コンサルティング業務を数多く行っております。
 是非とも当事務所までお問い合わせくださいますよう宜しくお願い致します。

 

 以 上

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ:03-3341-1591

メールでのお問い合わせ:ご質問・お問い合わせの方はこちら

  • 閲覧 (14926)