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株主総会突発事故 (株主総会 その2)

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株主総会

 

一 株主総会での予想しない事故
 
1   毎年6月は緊張します。6月は、顧問先或いは社外取締役を務める上場企業の株主総会が多数行われることが原因です。そのための模擬株主総会や、当日遅刻しないためのホテル宿泊もあって通常の月と違った緊張感があります。
2年前の6月には顧問先一部上場企業において発覚したある事件の関係で、長時間の株主総会を乗り切るため、成人男性用「おむつ」まで着用しました。議長である社長がトイレ休憩を上手にとってくださればよいのですが、紛糾した場合なかなか難しい。仮に上手に休憩を入れてくださったとしても、我々事務方は社長のトイレ休憩に併せてトイレに行くことができるとは限りません。
 
2    株主総会というものは出たとこ勝負の側面があります。いくら事前に準備しても、突発事故の起きる可能性を排除しきれるものではありません。皆様が、たいしたことではないとお考えになるはずの事例から紹介しましょう。
社長が株主総会に遅刻された、或は遅刻されそうになった経験も幾度かあります。いずれの社長も社内規定に通じておられ「定款の定めに従って、専務が開会宣言をし、その後も株主総会を運営して下さい」と自信満々に指示されました。これは事故といえるようなものではないかもしれませんが、専務のお顔を拝見するなら、私が青ざめるのも無理がないと思います。
 
3   でも皆様、事前準備もなくして専務が株主総会を仕切れると思われますか?株主を無視した形式的株主総会ならできるかもしれません。しかし議事運営においては、株主の疑問には“きちんとお答えする”という気持ちを込めた事前準備なくして、株主に満足な進行は困難だと思います。
 
二 突発事故は株主総会指導書にも書かれていない
 
1    ところで今期のソフトバンクグループの株主総会では、事前に取締役候補として株主に通知されていたインド人副社長ニケシュ・アローラ氏を株主総会では取締役に選任しなかったという話が報道されました。かって同様の経験をしたことがあったため、報道に注意を払っておりましたが、私が経験をした当時は、インターネットのWeb情報等の利用もなく、株主総会の在り様もずいぶん違いがありました。
私の事案は、株主総会の前日、それも夜遅くになって、取締役を入れ替えたいという相談がありました。株主総会担当者は悲壮でしたね。当時はこのような事態に関する解説書もありませんでした。
私が大事なこととして配慮したことは、株主の意思を尊重した総会運営にするというものでした。
結論としては、ソフトバンクグループの株主総会と同様、会社提出の議案を撤回することは同じですが、私の場合は、更に新たな取締役の選任が必要になります。そこで株主の自主性を尊重し、株主より、役員として適切な役員選任の緊急動議を出してもらいました。そして株主提案の議案を先に討議し、会社提案は後回しにして撤回の処理にしました。今回、ソフトバンクに関する種々の解説を見ましたが、私の処理は間違っていなかったと自慢できると思います。
 
2    でもソフトバンクグループの株主総会処理には後味の悪いものが残ります。例えば、当時の当該副社長の役員報酬は64億7800万だと報道されていますが、株主総会説明責任は果たされているのでしょうか?純利益は4741億ですから、こんな高額報酬は疑問だと主張される株主もいらっしゃるはずです。ところが驚くべきことは、ソフトバンクの株主総会では役員報酬全体の上限額を「年額8億円以内」と決議されているというのです。上記8億円は役員全体の金額ですよ。
何故こんな無茶なことができるのかと思い、調べてみました。何とソフトバンクグループからは9900万円しか払われておらず、残りは全て子会社から支払い、会社法の規制を事実上免れていたというのです(日経ビジネス2016.07.18「役員報酬、規律なき膨張」16頁)。
世界に誇る会社にしようとされているのですから、コーポレートガバナンスはどうなるのでしょうか?法に従い、堂々と処理され、株主に説明するべきだと私なら言います。
 
三 株主総会は会社理念検証の場
近時「開かれた株主総会」或いは「株主に対する説明責任」が株主総会運営理念に掲げられることが多くなりました。弁護士用の株主総会指導書も昔と様変わりしております。昔は“とにかく無事に乗り切れればいい”という、その場しのぎのものが殆どでした。株主を尊重しようという姿勢よりも、結論として形骸化した民主主義、即ち“株主さまが王様です”と持ち上げながら、実態は形式的な、その場凌ぎのものという印象でした。私はこのような傾向に嫌気がさし、ずいぶん前に“ソフトバンク”と同様の株主総会指導をしていたことになります。
私は幸せだと思います。私が関与させていただいている上場企業は株主を大切にされております。例えば、株主総会の直後に、株主総会と同様の形で会社説明会を長時間もたれている一部上場企業、あるいは別の日程を設けて、経営方針説明会を開催されている会社もあります。会社の将来について株主に真剣に説明される社長の気概は本当にうれしい。
ところが近時、「特殊株主」について議論されることが多くなりました。「ためにする不規則発言」対策等を考えると、総会運営担当者には“気の休まる6月”などというものは、当分やってこないのです。
次回は、このような体験と対策を書こうと思います。

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