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破産管財人の業務とは?

カテゴリ : 
破産事件

 

1 破産法の規定
 
(1)   破産法上でも破産管財人の規定は種々おかれております。破産法に強い先生方でも国税徴収法において定義規定(第2条)にまでおかれていることはご存じないようです。私は、破産者の社長さん等が菓子折りなどを持参されるような場合に、お断りする説明として本条文も使わせていただいております。
  もちろん破産法上、破産管財人に関し、収賄罪・贈賄罪の規定があり(第273及び274条)、懲役まで定めてあることは公務員と同様です。その反面、破産管財人の業務が厳重に保全されており、「破産管財人等に関する職務妨害の罪」(第272条)までもあります。これらは皆様にぜひ知っていただきたいことです。
 
(2)  では破産管財人の定義から業務内容を見てみましょう。
前回、破産法第1条、すなわち破産法の目的を書きました。この目的規定を受けて第2条に破産管財人の定義規定があります。それには「破産管財人とは、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう」とされております。実は、破産管財人は、公平な配当の実施のために所有者と同等の処分権まで与えられているのです。
前回コラムで引用した裁判官著作の「破産・民事再生の実務」を見てみましょう。
「破産管財人は、・・破産者に代わって・・狭義での破産財団の管理・換価を行うほか、否認権を行使して財団を巡る実体的法律関係を整理したりすることで、その管理下にある破産財団を本来あるべき財団の範囲に一致させ、配当の基礎となる財団を作り出す。他方で、配当の相手方となる破産債権者の権利内容を調査し、配当を受領すべき債権者の範囲及び債権額を確定させる。このほか、破産管財人は、特に破産者が個人の場合であるが、免責審理に際しての調査・報告にみられるように、破産手続のもう一つの目的である『債務者について経済生活の再生の機会の確保を図る』こと、すなわち破産者の経済的再生にも注意を払わなければならない。」とされています。
 如何ですか?具体的に話したほうがよさそうですね。
 
2 破産管財業務のエピソード
 
(1)  破産管財人の仕事は、先ず破産者の有する財産を確保することから始まります。申立代理人である弁護士が財産全部を整理されて当事務所に持参されれば問題はありません。しかし持ってくることのできない物もあります。その典型は不動産です。事務所、工場、倉庫、社宅等全て決定が出るのと並行して現地を調査するのが私のやり方です。こんなこともありました。会社本社事務所が賃貸であったため、その巨大ビルの管理会社から入室を物理的に妨害されたこともあります。まだ決定が出ていないということで相手の弁護士までも関与してきた案件も2件あります。私はこのような状況も予想して対応してきました。これらの案件でも社長を同道させておりましたので物理的に押し切って入室しました。抗議のあった弁護士には当事務所職員が裁判所から決定書を受領に走っているから、私を妨害できないこと、そして決定がすぐ出るので弁護士が物理的に抵抗されるなら破産法第84条に基づき「警察上の援助」により入室するとも伝えました。
昔の破産事件は派手でしたね。ここ10年程はこんなに揉めることもありません。
 
(2)  もう一つ愉快な事例(「みっともない」かな?)を紹介しましょう。私が破産管財人として管理している工場に、深夜、上場企業の会社が何台ものトラックで乗りつけ、リース物件である巨大機械を運び出そうとした事件がありました。この事件は機械を朝までに持ち出せず未遂に終わりました。実は、破産会社の社長さんはこのようなことが起こることも予想され、人の出入りできる出口を除いて全てのカギ穴を蠟で塞いでおられたため、手間がかかりすぎて未遂に終わったのです。でもこれは犯罪です。当時はこんな馬鹿なことも起きると予想しないと「辣腕の破産管財人」とは言えない時代でした。
 
(3)  破産会社の財産確保は以上のようですが、「破産・民事再生の実務」で次に出てくる否認権の行使は難しい。これまでコラムで書きました「築地事件」ではつい最近でも否認訴訟を2件やっております。当然相手方も上場企業ですから徹底抗戦してきます。一勝一敗というのが正直なところで、当事務所は訴訟で負けることなど殆どないのですから、とても許される結果ではありません。
事件の一つは破産申立前に営業権を担保に入れた事案、もう一つは破産直前に3億程度の債務の返済を受けたものです。これらの担保設定行為や支払不能後の弁済は他の破産債権者を害することを知って行ってはならないのです。入門編で利用される先生方のために注意点だけをお話ししておきましょう。つまり訴訟というものは早期に終わらせることは大変に難しい。でも破産事件ですから、通常の訴訟のような経過をたどるのでは破産裁判所に苦情を言われます。何年も要するであろう否認訴訟を、如何に当方有利に早期決着させるかという工夫こそが腕の見せ所なのです。
そろそろ時間切れです。次回は破産管財人の業務として重要な「免責」のお話をしないとなりません。しかし一か月を経過しますと違うことを書きたくなるのです。その時は諦めてくださいね。

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