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立退料の相場

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借地借家

一 当事務所が数多くの立退案件を取り扱っていることは、これまでいくつかのコラムの中でお話しした通りです。

二 そして、立退料に相場が無いということもこれまでお伝えしている通りです。
 このことは、当事務所において、不動産業者などの賃貸人から依頼された際には立退き料0円で解決していることもありますし、賃借人から依頼された際には立退き料として月額賃料の200ヶ月分で解決していることもあることからご理解頂けると思います。

三 不動産業者などの賃貸人の立場に立って解決する場合であっても、賃借人の立場に立って解決する場合でも、具体的に近時の裁判例がどのように解決しているのかを知ることが最も重要です。
 裁判所がどのような事案でどのような結論を取っているのかを知り、依頼者にとって有利になるように裁判例を使いこなすことこそが弁護士の能力の一つだと思いますし、当事務所が様々な依頼者から喜ばれている理由の一つだと言えます。
 そこで、定期的に近時の裁判例をご紹介することにしております。

立退き料

平成27年9月18日東京地裁判決

1億7000万円(月額賃料の約65ヶ月分)

築44年。鑑定結果は、借家権割合法による価格を1億7000万円、移転補償額としての価格を1億7000万円。移転補償額の算定に当たっては、家賃補償年数を2年として算定することが一般的であるところ、鑑定時において賃貸期間3年を残しての中途解約事案であることを特に考慮して、家賃補償年数を3年として移転補償額を算定した。

立退き料

平成27年9月17日東京地裁判決

555万円〜760万円

営業補償について、賃借人らが財務諸表等の証拠を提出しないので、業種別・企業規模別に企業の営業利益等を調査した「中小企業実態基本調査」のデータに依拠して検討した。その他に店舗部分の内装設備工事費用、契約費用、引っ越し代を考慮した。

立退き料

平成27年7月28日東京地裁判決

1000万円

 

賃借人は立退き料を6738万9722円と主張したが、一般に利回り法による算定の際に前提とされる利回り率は、5%から6%が相当であるとされることが多いので、賃借人の計算をもとにしても1300万円程度になると推測した。賃借開始時点で既に建築後45年程度が経過していたこと、本件建物が木造であること、賃貸人は近隣に比べて低額な賃料について増額を請求しないばかりか、平成21年からは減額に応じていたことなどを考慮した。

立退き料

平成27年7月17日東京地裁判決

200万円(賃料40か月分)

築50年以上を経過した木造の建物で、現に、複数箇所で雨漏りがあり、天井板の一部が崩落しているほか、天窓の亀裂、カビの発生、床板や土台のきしみ、腐食も認められるなど、著しい老朽化が認められること、賃貸人は、賃借人らと紛争となり、調停も不調となったことから、低額の賃料収入を甘受しながらローン2000万円程度の返済を継続する必要があること、賃借人は両名とも高齢ではあるものの、他所に転居して生活することに特段の支障があるとは考え難いこと、賃借人は相当程度の収入を得ているものと伺えるだけでなく、別荘も所有していることなどの事情を考慮した。

立退き料

平成27年6月30日東京地裁判決

200万円

 

昭和9年建築であり、老朽化が進み、物理的に損傷している上、耐震性にも相当の問題があるために、現状のままで建物の機能を維持することは著しく困難であるものの、賃借人は平成12年から本件建物で起居していることから、これに代わる住居を手当てし、移転費用を支出しなければならないとして、賃料、通常要する引っ越し費用、近隣の賃貸住宅の賃料や敷金等入居に係る費用を考慮した。

立退き料

平成27年3月6日東京地裁判決

1億3000万円

本件耐震改修促進計画に基づく耐震診断は行われていないこと、賃貸人の必要性は経済的な理由にすぎないこと、賃貸人がいまだ本件各土地の具体的な利用計画を明らかにしていないこと等を理由に立退料なしでは正当事由が具備できないとした上で、借家権割合方式で借家権価格を1億3800万円と算定した。

立退き料

平成27年2月27日東京地裁判決

150万円

賃借人は立退料2354万2637円を主張した。賃借人には本件建物の使用を必要とする事情があるものの、必要性がそれほど高くないとした上で、代替物件への引越に要する実費及び数日分の休業補償に見合う分を立退料として認めた。

立退き料

平成27年1月30日東京地裁判決

2376万円(月額賃料33か月分)

 

賃借人は代替店舗が無いことなどを理由に立退料として4億9692万円を主張していた(年間売上額は2億円程度)。都市再生法に基づく再開発であり、築20年が経過していること、本件店舗の売上高は賃借人の売上高全体の1割にも満たないこと等から、借家権価格108万円と公共用地の取得に伴う損失補償基準等に基づいて求めた通損補償額(営業補償、工作物補償、動産移転補償及び移転雑費補償の合計額)2268万円の鑑定合計額を支払うことで明渡しを認めた。

立退き料

平成27年1月14日東京地裁判決

0円

主位的に債務不履行解除を、予備的に200万円の立退料と引換えに明け渡しを求めた事案。無断転貸とまではいえないものの、用法違反、高額の金銭請求をしたこと、無断で補修工事をしたこと等を総合して判断して債務不履行解除を認めた。

請求棄却

平成27年2月3日熊本地裁判決

正当事由なし

(福岡高裁においても維持)

賃貸人は自社ビルを建築すると主張するが法規制上建築できるか疑問であること、賃料が低額なのであれば増額請求手続を履践すれば良いこと、近辺で賃借人が同業を営むための建物を新規に建築することは難しいこと、賃貸人が提示している300万円の立退料では少ないことなどを理由とした。(高裁では賃貸人は1000万円の立退料を提示した。)

請求棄却

平成27年2月5日東京地裁判決

正当事由なし

建築後79年が経過し、外観が古びていること、賃貸人が実施しようとした専門家による検査への協力を賃借人が拒んだものの、賃借人が昭和19年生まれの男性であり、昭和61年頃から本件建物に居住していること、賃借人は約10年前から、本件建物のある東京都北区やその周辺地域で貨物の運送業を営んでおり、運送業収入と基礎年金で生計を立てていること、賃貸人が本件建物の所有権を取得するや、2か月余りで本件解約申入れをしていること等から、賃貸人が立退料204万円を申し入れているとしても正当事由は具備できないと判断した。

請求棄却

平成27年7月16日東京地裁判決

正当事由なし

賃貸人が使用する必要性が高いことを立証できないのに対して、賃借人が使用する必要性が高いこと、築50年以上を経た古い建物であり、築年数相当の老朽化が見られるが、その外観や内観からして、朽廃が近いものとは認められないこと、本件耐震診断評価書で倒壊の危険があるとされているが、筋交いを設置して補強するだけでも一定の耐震効果が得られるものであることは明らかであること、正当事由として立退料300万円を申し入れているものの金額の問題ではないこと等を理由にした。

請求棄却

平成27年8月31日東京地裁判決

正当事由なし

本件耐震診断書作成の際に行われた現地調査によれば、躯体のひび割れ、変形が著しいものは見受けられず、仕上げ材の剥落等もなかったこと、同診断書は、コンクリート強度調査,コンクリート中性化試験及び鉄筋調査を行わずに作成されたものであること、他方で賃借人は数十年にわたり営業していることなどを理由とした。

請求棄却

平成27年9月7日東京地裁判決

正当事由なし

賃貸人は他に建物を所有しているのに対して賃借人は家族で住む必要性が高いこと、築70年以上経過しているものの、一応居住できる状態にあって、朽廃の状態にあるとまで認められないこと等を理由とした。

請求棄却

平成27年9月10日東京地裁判決

正当事由なし

賃貸人の主張は相続税対策の必要性にすぎないこと、他方で賃借人は本件建物とは別に自宅マンションを有しているものの、年金以外に収入はなく、生活のため本件建物からの賃料収入を必要としていること等を理由とした。

請求棄却

平成27年9月17日東京地裁判決

正当事由なし

賃貸人は3億3880万円の立退料を支払うと申し入れていたが、具体的な建築計画を有していたと認めるに足りる証拠はないこと、本件鑑定結果からも建替えを必要とするような建物の劣化が存在するとは認められず、本件耐震診断においても経年劣化の程度は軽微であるとされていること、建物について耐震性が不足する場合であっても、これを取り壊して建て替えるのではなく、耐震補強工事を行うことが可能であること等を理由とした。

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                               以 上

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